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「漫画家(プロ)への花道」、ヒット作を描く先生はどうやってキャラクターを作っているの?(前編)

「週刊少年マガジン」の人気連載「漫画家(プロ)への花道」。ネームやキャラの作り方、ストーリー、コマの組み立て方をプロの漫画家、先生にインタビューしています。

 

本記事では、「マガポケベース」にも掲載されている「漫画家(プロ)への花道」をジャンル別にまとめていきます!

今回は、キャラの作り方!

漫画家(プロ)への花道
漫画にはいろんなキャラが出てきますよね。勇気のあるヤツ、弱気なヤツ、追い詰められると力を発揮するヤツ、天然なヤツ。

 

友だちや知り合いにいそうだったり、まったくいないタイプだったり……プロ漫画家である先生たちはどのようにキャラクターを生み出しているのか、キャラクターに想いを込めているのか。

 

今回はキャラ作りのコツ【前編】をまとめました! 

 

キャラ作りは「ゴレンジャー理論」!!

「週刊少年マガジン」の大人気バスケ漫画『あひるの空』を描く日向武史先生は「ゴレンジャー理論です」と答えてくれました。

 

「戦隊ヒーローのメンバーって赤と青と緑と黄色っていうように、似た色がないじゃないですか。

漫画のキャラも同じようにした方が上手くいくと感じています」

 

「『あひるの空』はバスケなので、チームはたまたま5人でした。

その5人の中で色が被らないように、キャラを作ることを意識しました。同じチームに似たようなキャラはいらないんです」

 

そして、キャラクターの個性を作るときは「シチュエーションをまず設定して、キャラがどうリアクションをするのかを考えます」と「(長所ではなく)短所から考えました」とも話してくれました。

 

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いかにキャラクターたちに感情移入してもらうか

記憶に残り、感情を揺さぶるキャラクターたちが多い『ランウェイで笑って』を描く猪ノ谷言葉先生は、「いかに感情移入してもらうか」と読者の視点やストーリーとの組み合わせも交えて答えてくれました。

 

「大事なのは読者が山場の場面でキャラに対して『成長してほしい』って思う時に心情や考え方が変わること。

キャラの変化を望むような助走をつけてあげる、そのための筋道を作っていくということですね」

 

「読者が面白いと感じるかは、印象に残るシーンがあるかどうか」

「全体が平均的に面白い作品より、山場で120点取れる作品のほうが印象に残りやすいと僕は考えています」

 

それでは山場を盛り上げるにはどうすれば……猪ノ谷先生はこうした質問にもひとつひとつ論理的に回答してくれました。

 

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雑魚キャラだからと弱そうな演出では描きません

真島ヒロ先生は「(読み切りでも)一度読んだら記憶に残るようなキャラクターを作ることが大事」と語ってくれました。一方で、「意外と見切り発車が多いです」とも語ってくれました。

 

「大体決めているのはビジュアルと口調、性格、あとそのキャラの物語の中での役割。〝エルザ〟にやられる役とかね。

ただ物語が続くとそいつが全然違うキャラにやられたりしていて、自分でも予想してないことが起きる。

そういう風に物語の中でキャラたちが勝手に動き出すと、漫画はより一層面白くなりますよ」

 

「あのキャラはデザインが先でした。でも、このキャラは設定が先にできてました」「雑魚キャラだからと弱そうな演出では描きません」など、キャラ一人ひとりがどう物語に関わっていくのかを丁寧に解説してくれました。

 

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連想ゲームで生まれることが多い

『炎炎ノ消防隊』の大久保篤先生はストーリーや世界観と同じく「連想ゲーム」で考えていくと語ってくれました。

 

「キャラクターの設定も連想ゲームから生まれることが多いですね。

『炎炎ノ消防隊』主人公のシンラもそうです。

彼の場合、最初に〝恐ろしい笑みを浮かべる〟というクセを考え、そこから〝悪魔をモチーフにした主人公〟というコンセプトが生まれました」

 

ただし、主人公だから「いい子」。いい子だから「ヒーローになりたい」。「そんな流れで生まれたキャラクターです」と語ってくれました。そして、キャラクターから世界設定を想像していく……「キャラクターの個性を考えながら、さらに世界観を広げていくこともあります」と話してくれました。

 

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自分が普段考えたり、思ったことを分割してキャラクターにぶち込んでいる

『ブルーロック』や『神様の言うとおり』などの原作を描いた金城宗幸先生は、「自分が普段考えたり、思ったことを分割してキャラクターにぶち込んでいます。だからこそ、生きたキャラクターになる」と語ってくれました。

 

「僕というオリジナルの人間の血を入れることで、新しいオリジナルのキャラクターが生まれるんだと思います」

一方で、「実際に自分が出会った人をモデルにすることも多いですね」と“自分”の想いや視点、環境をベースにキャラクターや世界感を作っているとヒントをくれました。

 

「(モデルにした身近な人に対して)抱いた印象や、その人が何を考えて生きているかを想像して、それをキャラクターに込めたりもしています」

普段から周りの人を観察しつつ「ある程度、ゆとりを持たせる」ことが重要だと金城先生は強調しました。

 

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キャラが生きていればどの世界観でも成立できる

『七つの大罪』の鈴木央先生には「架空の世界を描くファンタジーだと、キャラクターを作りづらくないですか?」と質問をしてみました。これに対して、鈴木先生は「それはないですね」と答えてくれました。

 

「例えば『七つの大罪』のキャラを使って、ファンタジー以外の世界観……例えばサッカーでも、野球でも、描けと言われれば描くことができますし。

『特定の世界観じゃないと成立しない』ということは、そもそもそのキャラが生きていない証拠だと思います。

ファンタジーを描きたい人こそ特に、『リアルな一人の人間』として、キャラを考えてみてください」

 

そして「リアルな一人の人間として深く捉えた方が、矛盾は生まれにくい」とも。例えば、編集者と打ち合わせをしているときも「展開としては面白いけど、こういう行動をとるキャラではない」と考えて、実際にとりそうな行動の中から面白いことを探していますとも話してくれました。

 

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キャラクター作りは、先生たちの想いも強く、どの先生も「こうしたらいいかも」「それは面白いですね」と研究を重ねていました。後編でも、キャラクターの作り方についてまとめていきたいと思います!

 

▼「漫画家(プロ)への花道」テーマの決め方編はコチラ

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