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〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家(プロ)への花道 『七つの大罪』鈴木央先生が説く ファンタジー漫画の極意!

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週刊少年マガジンに掲載された

漫画家(プロ)への花道を特別に大公開!!

 

今回は、2018年40号に掲載された特別企画をお届けします!

 

 

『七つの大罪』

鈴木央先生が説く

ファンタジー漫画の

極意!!

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プロの現場で活躍する漫画家さんたちの

インタビュー企画をお届けしますっ!

 

今回は、七つの大罪』の鈴木央先生が登場!

 

読者を夢中にさせるファンタジー漫画の

描き方を語っていただきました!

 

鈴木央

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「週刊少年ジャンプ」にて『Revenge』でホップ★ステップ賞を受賞。同誌にて、『ライジングインパクト』で連載デビュー。後に「週刊少年サンデー」で 『ブリザードアクセル』、『金剛番長』を、「週刊少年チャンピオン」で『ちぐはぐラバーズ』を連載。現在は本誌「週刊少年マガジン」で『七つの大罪』を連載中。単行本が累計3000万部突破の大ヒットを記録している。 

 

 

 

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〝感覚的〟に読めるように

心がけよう!

 

ーー鈴木央先生は、これまで様々なジャンルの作品を発表されてきていますが、「ファンタジー」というジャンルならではの難しさや、気を付けているポイントがあれば教てください。

 

鈴木央先生(以下、央):一見すると、ファンタジーは入りやすく感じるんですけど、いざ描こうとすると、実はとても難しいジャンルだと思います。

 

僕自身もそうでしたが、新人の頃はどうしても「俺の考えた設定を見てくれ!」となりがちなんですよね。

 

設定そのものが、作品の面白さだと勘違いしてしまっていたように思います。

 

 

ーー「何千年前に、XX帝国の△△王が滅び、◯◯という武器が世界各地に散ってしまい……」みたいな。

 

央:そうです、そうです(笑)

 

ファンタジーの場合、1ページで世界観の説明を並べてしまいがちなんですが、『七つの大罪』ではオリジナル用語は極力出さないようにしています。

 

「王国」や「大罪人」など、普遍的な言葉は使用しますが、読者が知りたくなるまでは設定については多くは語らないように心がけています。

 

 

ーーなぜオリジナル設定を出し過ぎるとよくないのでしょう?

 

央:例えば、家電を買ったとしても、説明書を全てしっかりと読むことってあまりないじゃないですか。説明書は読まないで、自分の感覚で使っていく人が多いと思います。

 

漫画も同じで、「この用語を覚えてね」から始めてしまうと、どうしても人を遠ざけてしまう。

 

感覚的に読めるようにして、余計な情報をいれないこと。これが大切だと思います。

 

【POINT】

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『七つの大罪』第1話の1ページ。読者の興味をキャラに集め、情報量をグッと絞っているのに注目!

「感覚的に楽しめる作り」を意識しよう。

  

  

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キャラは「リアルな一人の人間」であれ!

 

ーーキャラを作るコツや、ポイントがあれば教えてください。

 

央:僕はまずはじめに「こんなキャラがいてほしいな」とか「こんなキャラがいたら楽しそうだな」と考え始めます。

 

そして、そのキャラが「どんな人間なのか」を自分の頭の中で明確に把握していく。

 

 

ーー「明確に」と言いますと?

 

央:例えば、「冷静沈着」とか「熱血」とか「ドS」とか……これらの言葉一つを取ってみても、色々な種類の感情が含まれますよね。

 

リアルな人間って、こういった一言だけでカテゴライズできるものではないと思います。

 

例えば「ドS」な性格をしたキャラを作るとしたら、「それって、家に帰ってから親に対してもドSなの?」とか考えてみる。……恐らく、それでは人間関係は成り立ちませんよね。

 

だから、そこからさらに突き詰めて「誰に対してドSなのか、何でそのキャラはドSなのか」といった細かいことを考えていく。そうすると、ちゃんと「生きたキャラ」になっていきます。

 

 

ーー架空の世界を描くファンタジーだと、キャラクターを作りづらいということはありませんか?

 

央:それはないですね。

 

例えば『七つの大罪』のキャラを使って、ファンタジー以外の世界観……例えばサッカーでも、野球でも、描けと言われれば描くことができますし。

 

「特定の世界観じゃないと成立しない」ということは、そもそもそのキャラが生きていない証拠だと思います。

 

ファンタジーを描きたい人こそ特に、「リアルな一人の人間」として、キャラを考えてみてください。

 

 

ーー漫画家さんによっては、キャラ表(※キャラクターのデザインや設定、性格などを紙にまとめたもの)を作って、キャラクターを作り込む方もいらっしゃるようにお見受けします。

 

央:僕は基本的に、キャラ表は作りません。

 

キャラ表を作るよりも「リアルな一人の人間」として深く捉えた方が、矛盾は生まれにくいように思います。

 

例えば、編集者と展開について打ち合わせをするとします。

 

その時、頭の中でキャラを「リアルな一人の人間」として捉えられていると、その場で「話の展開としては面白いけど、このキャラはこういう行動は取らない性格だから、実際に取りそうな行動の中から面白いことを探そう」と、すぐに考えることができます。

 

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エリザベスに対しては優しいメリオダスだけど、バンにはケンカ腰な一面も。「リアルな一人の人間」として描けている証拠だ!

 

鈴木央先生流!!
読者を惹きつける
画面の作り方

  

《構図のヒントは「映画」にアリ!》f:id:magazine_pocket:20181025170141j:plain 

色々な映画を観て、構図のパターンの引き出しを増やそう。

名作アクションやカンフーものなど、ド派手な映画が特にお勧めです!

 

《構図は「シーン」に対して考えよう!》f:id:magazine_pocket:20181025170141j:plain

会話シーンなのに無意味にカメラをグリグリ動かしたりするとかえって読みづらくなってしまうので注意!

「このシーンは、どういう見せ方をすれば最も効果的に読者に届くか」をよーく考えて、読みやすい画面作りを心がけよう!

 

 

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〝要素〟は絞りに絞るべし!

 

ーー漫画を作る順番としては「ストーリーより先にキャラから」になりますでしょうか?

 

央:はい。新人作家さんの中には「男の子がぶわっと泣く絵を描きたい!」とか、物語の枝葉から考える人も多いように思いますが、やっぱりキャラから作っていくべきだと思います。

 

キャラが固まっていないのに、ストーリーの枝葉だけを決め込んでしまうと、実はそこまで感情が盛り上がっていないのに、キャラが突然泣き出すシーンを描いてしまう。

 

そうなると、読者は「なんでいきなり泣いたんだろう……」と、ポカンとしてしまいます。

 

 

ーー新人作家さんから「キャラを丁寧に描写すると、読み切りの適正ページ数に収めるのが大変だ」と相談を受けたことがあります。やりたいことを全部やろうとすると、ページ数が膨大になってしまう。それを減らそうとすると、今度は肝心のキャラの描写を削らざるを得ない。結果的に、まとまっているけれど読むとあまり面白くなくなってしまうとのことで……。何か対策はありますか?

 

央:要素が絞り切れていないんだと思います。

 

一見すると「このキャラしかいないの?」「このエピソードしかないの?」と不安になるくらいまで、要素を絞っていくことをお勧めします。

 

その上で、ストーリーを膨らませられたなら、そのキャラクターは「生きている」ということになる。

 

イベントを用意してあげないと動いてくれないキャラは、そもそもキャラが弱いのかもしれませんね。

 

結局、エピソードを詰め込みすぎても、ただの出来事の羅列になってしまいますし、そこは本当にシンプルに読み切りは「キャラクターを見せるた めだけのもの」として考えた方がいいと思います。

  

【POINT】

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ゴウセルの過去を描いた読み切り「人形は愛を乞う」の一幕。エピソードもキャラも絞った構成で、とても深いドラマになっている点に注目だ!

 

ーーなるほど!読み切りの適正な構成が理解できました。

 

央:……とはいえ、小手先の事を考えすぎて、読者の予想通りの展開になってしまうのもよくありません。

 

「読み切りはこういう構成であるべき」と、頭でっかちに考えすぎないように。

 

「まとまってはいるけれど印象に残らない」というのが漫画としては一番よくないので。

 

「めちゃくちゃな話だけど、インパクトはあった!」という方が、好ましいと思います。

 

最初は下手で当然なので、「読み切りはこういう構成であるべき」という考えは、頭から追い出した方がいいかもしれませんね。個性をぶつけてきてほしいです。

 

 

ーー最後に、審査委員長の立場として、「こういう漫画が読みたい!」というメッセージがあればゼヒ!

 

央:作者の個性が伝わってくる作品が読みたいですね。

 

ガタガタでもいい。下手でもいい。

 

とにかく、自分の「好き」をそのまま原稿用紙に叩きつけたような、インパクトのある漫画を待っています!

 

ガツガツきてほしいです!! 

 

 

新人賞の詳しい応募要項は

週刊少年マガジン

公式サイトをチェック!

shonenmagazine.com

  

 

 

(※この記事は週刊少年マガジン2018年40号に収録されたものです)

 

  

▼『七つの大罪』第1話がWEBでも読める!

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(終わり)