別冊少年マガジンで大人気連載中のコラム
『別マガ ムービーガイド』!!
週マガ編集部の映画担当が、漫画家さんや編集部員のオススメ映画を聞いて、それを紹介するコーナー!
今回は、『アルスラーン戦記』待望の単行本10巻発売を記念して、荒川弘先生イチ押しの映画作品をご紹介します!!
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荒川弘先生のお気に入り映画がわかったところで、お時間のない先生に変わり、マガジン映画担当がその映画を紹介します(無理矢理な展開で申し訳ないが)。ムービーガイド番外編!
『ショーシャンクの空に』。
原作はモダンホラーの帝王ことスティーヴン・キングである。
そう聞くと、『IT / イット“それ”が見えたら終わり。』みたいな怖~い映画を思い浮かべてしまうが、そうではない。同じくキング原作の『スタンド・バイ・ミー』と並ぶハートにしみる映画である。
1947年。ある男が妻とその愛人殺しの罪で刑務所へ送られる。
彼の名はアンディ(ティム・ロビンス)。刑務所の名前はショーシャンクである。
映画は同じ刑務所に収監されていた罪人(どうも殺人を犯したらしい)レッド(モーガン・フリーマン)が語るアンディの物語だ。
観客はアンディが無実だということを知っているが、裁判の判決は終身刑。一生刑務所暮らしである。
そして当時の刑務所は暴力が支配する世界だ。冷酷な所長と刑務官、そして本物の犯罪者たち。
レッドの考えは、
大銀行の副頭取だった彼がここで暮らせるわけがない
である。
ところがこのアンディという男は、なんというか不思議な男だったのである。
レッドは彼を見てこう思う
“物腰がここの連中とは違う。刑務所の庭を、どっかの公園を散策するように歩く。自分だけの世界を持っているのだ”。
それは、たとえ刑務所でレイプされてもである。
そんなある日の出来事。
屋上での作業中、主任刑務官が多額の相続税に腹を立てているのを聞いたアンディが、自分なら相続税を合法的に節約することができる(なんせ、元大銀行の副頭取だ)、もし仲間(レッドとその仲間)にビールを振舞ってもらえればと、とんでもない提案をしたのである。
驚いたことに、刑務官は囚人たちにビールを与える。
このシーンがとてもいい。束の間の幸せを喜ぶ囚人たちと、それに安らぎを覚えるかのような穏やかにほほ笑むアンディ。
この出来事を機に、アンディは図書係にされる。とは言っても、仕事は刑務所の経理。
刑務官らの所得申告をし、所長がサイドビジネス(囚人を使った違法なものだ)で得た金の管理である。
だがアンディは、図書係の仕事もこなす。
本を増やす予算がないと言われれば、州議会に手紙を書き続け、議会がもう手紙はよこすなとお金と本を送ってくれば、さらに手紙を飼い続け、ついには予算を手に入れる。
受刑者の中で高卒の資格が欲しいという者がいれば、その手伝いをしてやった。
ある時、アンディは、寄付で送られてきたレコードを、刑務官に無断で刑務所中に流す。
『フィガロの結婚』、モーツァルトのオペラである。
美しい歌声に聞き惚れる囚人たち。
この歌声には、誰にも奪うことのできない“希望”が込められていることをアンディは知っていたのだ。
この行為によって独房に入れられることになっても、“希望”を失うわけにはいかない。
だが長年刑務所にいたレッドにとっては、“希望”は危険なものだった。
“希望”を失えば、残るものは“絶望”だけなのだ。
そしてレッドの考えが正しいことが証明される。
アンディの無実を証明できる若い受刑者が、所長の命令によって殺されてしまうのだ!
全ての“希望”が失われたアンディ。
だが……!?
“希望”というものを丁寧に描いた珠玉作。
1度は観るべき作品である。
【追記】
アンケートでは荒川先生は3本の映画を推薦してくださいました。
他の2本はギレルモ・デル・トロ監督(『パシフィック・リム』『ヘルボーイ』等)のモンスター愛炸裂の『シェイプ・オブ・ウォーター』と、韓国映画の振り切った感がハンパない『新感染』でした。
どちらもすごくおもしろいので、観てみて!!
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▼『アルスラーン戦記』第1話
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(終わり)