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【ショウ年マンガ】音楽家ヤマモトショウの自由研究 第5回「総決算! ヤマモトショウが今年読み始めたマンガ」

今回は、「別マガ」1月号に掲載された【ショウ年マンガ】音楽家ヤマモトショウの自由研究 第5回「総決算! ヤマモトショウが今年読み始めたマンガ」を大公開!

 

別マガ異色のエッセイ連載、第5回―!
ショウ年マンガ

音楽家ヤマモトショウの自由研究
第5回「総決算! ヤマモトショウが今年読み始めたマンガ」

今年もお世話になりました

 2025年も終わりが近づいてきました。年末になると、音楽業界では年末の歌番組や賞レースなどの話題が盛り上がります。僕も昨年末には、「日本レコード大賞」の授賞式に参加したりしました(FRUITS ZIPPER「NEW KAWAII」で日本レコード大賞の優秀作品賞をいただきました)。ただ、毎年これは変だなと思うこととして、11月以降くらいに出たヒット曲はなかなか扱われづらいんですよね。どこかで区切ることで、どうしても見逃されてしまう曲もあるよなと思います。

 そうはいっても、年末になると今年のことをまとめたくなる、というはありますね。僕は、自分の記憶がその時にしていた別のことと結びついていたりするものなので、ここでは「今年読み始めたマンガ」の話をしながら、今年のことを振り返ってみたいと思います。取り上げるマンガはあくまでも「今年ヤマモトショウが単行本を買い始めた」ということなので、連載が今年始まったというわけではないのでご注意ください。

 

まずは講談社作品を…(チラッ)

 実は私は昨年ミステリー小説を出版して、ミステリー作家としてもデビューしたのですが、マンガでもミステリー系の作品は特に好んで読んでいます。新しい小説も書きたいのですが、ミステリーはトリックの被りがあってはならないので、新しく出た話題作には必ず目を通しておかなければいけません(そうはいっても偶然ネタが似てしまうということはありえますが)。マンガは「叙述トリック」を封じられている媒体だと思うので、どのようにミステリー的な驚きを持たせるのかという漫画家さん達の挑戦は、世界的にも類を見ない面白い実験なのではないか…?と、いつも注目しています。

 今年最も印象に残っているのは『罪と罰のスピカ』(井龍一先生・瀬尾知汐先生)です。井龍一先生は『親愛なる僕へ殺意をこめて』など、かなり挑戦的なミステリーマンガをいくつも手がけられているので、もちろん期待値は高かったのですが、この「スピカ」の設定には参りました。瀬尾知汐先生の素晴らしい絵だからこそ成り立つ探偵役の設定は、相当エポックメイキングだと思います。まさにマンガならではの表現だと感じました。ミステリーは何を言ってもネタバレになるので、ぜひ読んでいただけたらと思います。

 加藤元浩先生の『Q.E.D.』シリーズが新章『UNIV.』に入り、その第一巻も今年発売でした。ミステリーのクオリティは今更僕が語るまでもない素晴らしいものなのですが、ついに主人公たちが大学生になった(といっても燈馬君は15歳で大学をすでに出ているのですが)のが感慨深いです。僕は中学生の頃から愛読しており、自分自身はその間に高校、大学も経て、すっかり大人になってしまいました。僕が中高生の頃は、高校を出てすぐに海外の大学に行くというのはなかなか考えられなかったのですが、今では選択肢の一つになっているように思います。だからといって彼らのようにハーバードにいけるかはわからないのですが、今自分が高校生だったらもっとリアルに影響を受けていたかもなとも思いました。リアルタイムで主人公たちが大統領選の影響を受けたりもしていますよね。

 

興味津々! 「クリエイター」マンガ

 ミステリー小説家でもあり、そして音楽の作家でもある自分にとっても印象に残った作品が、竹屋まり子先生の『あくたの死に際』です。創作活動の苦しみと喜びを非常に的確に描写されているように思います。しかもそれが「賞」という形で可視化されることに対しての葛藤/切り口も面白いです。

 僕の経験と照らし合わせると、今年は「MUSIC AWARDS JAPAN」という音楽アワードが新設され、FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」という楽曲が「最優秀国内アイドルカルチャー楽曲賞」をいただきました。この数十年の日本のアイドル史に残る楽曲ばかりの中で、最優秀をいただけたことはもちろんすごく嬉しかったです。しかし、「これってそもそも横に並べて比較するものなのか・・?」というのは、なかなか答えの出ない問題だとも思いました。

 同じく小説を題材にされている、赤井千歳先生の『100年の経』も興味深い作品です。こちらはAIと創作の関係性ということで、僕自身も今年自分の仕事の相当な時間を使ってAIに取り組んできているので、今後どう展開していくのかを楽しみにしています。「AIが作品をつくる」ことが取り沙汰されがちですが、むしろ「AIが作品を評価する」という事象をどう捉えるか・・というのは、クリエイター側が問題提起できる面白い視点なのではないかと思いました。私は今年かなりの量の楽曲で、AIによるアレンジと自分のアレンジとを比較しているのですが、この半年だけでも進歩が目覚ましいので、おそらく来年には音楽業界全体でも相当状況が変わっているように思います。

まだまだまだまだ読んでます

 連載自体はもっと前から始まっていましたが、こざき亜衣先生の『セシルの女王』にも今年ハマりました。歴史物はある意味で「結末がわかっている」とも言えるのですが、歴史を勉強していても細かく焦点が当たらない一人の人物を深掘りするマンガは、とても興味深く読めます(というか、人生を細かく知っている歴史上の人物なんてなかなかいないわけですが)。と、同時に僕は高校生のときに履修漏れというやつで世界史をきちん学んでいないので、こういった素敵な作品でイングランド史を再確認できるのは大変ありがたい機会です。

 『ヒカルの碁』(ほったゆみ先生・小畑健先生)以来、おそらく久々の囲碁マンガである『伍と碁』(蓮尾トウト先生・仲里はるな先生)も注目しています。将棋マンガはかなり多いですが、囲碁マンガはなかなか目にしないように思います。それこそ『ヒカルの碁』という相当高い壁がある中で、どんな展開になっていくのか今から楽しみです。主人公の人物像が、意外と今までの文系スポーツマンガにはいないタイプである点にも注目しています。

 この連載の中でも触れましたが、ハロルド作石先生の『THE BAND』も毎月の連載を心待ちにしているマンガの一つになっています。タイトル的にも、『BECK』以上に「バンド」というものに焦点が当たったものになっていくんじゃないかというのが楽しみで仕方ありません。

 僕自身は今年で作詞作曲家として活動10年を迎えました。と、いうことは自分がバンド活動を辞めてから10年、でもあるのです。自分自身は、そもそもバンドをやりたくて音楽を始めたのですが、元々のモチベーションであったバンドを辞めても音楽活動が10年も続けられたというのは、改めて考えても少し不思議な感覚です。『BECK』や『THE BAND』、それに今連載中のものであれば『ふつうの軽音部』なんかを読んでいると、今でも「やっぱりバンドやりたいかも」という気持ちになることがあります。どうでしょう、30代後半くらいでもう一回バンドやりはじめるマンガっていうのは、設定としてはアリなんじゃないでしょうか?

 そんな妄想も楽しみながら、来年もたくさんマンガが読めたらな、と思っています。それでは良いお年を。

 

12月の担当編集

妻と仲良くなったきっかけがFRUITS ZIPPERでした!
紅白出場おめでとうございます!

 

次回 「東大マンガ論」 につづく!

 

ぜひ周りの人にも教えてあげてください!

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