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日本が誇る大エース読売ジャイアンツ菅野智之投手に寺嶋裕二先生が直撃インタビュー!! 後編

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前回に引き続き、日本が誇る大エース読売ジャイアンツ菅野智之投手に寺嶋裕二先生が直撃インタビュー!!

 

球界屈指のエースが明かす 猛打者との知られざる駆け引きとは?

 

菅野智之選手Profile

f:id:magazine_pocket:20200327232658j:plain1989年生まれ、神奈川県出身。叔父は読売ジャイアンツの原辰徳監督。2012年にドラフト1位で読売ジャイアンツへ入団。ルーキーイヤーから13勝を上げ頭角を現すと、エースとしてチームをけん引。2017年、2018年には2年連続で沢村賞を獲得するなど、球界を代表する選手の一人。

 

カットボールは狙って打つな! 菅野投手の攻略法!?

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──東海大相模高校の門馬監督は投手を育てるのが上手いイメージがあります。監督ならではのメソッドがあったのでしょうか?

 

菅野選手:
当時はウエイトを一切しないで、「投げる筋肉は投げてつける」という方針でした。うちの高校はすごく変わっていて、全部のメニューが終わった後に、ピッチングをするんですよ。

 

厳しい夏の県大会を勝ち抜くためには、「どんなに厳しいコンディションでも投げられるように」と言われていましたね。

 

寺嶋先生:
球種は何を投げていたんですか?

 

菅野選手:
まっすぐと、カーブとスライダーです。でも門馬監督は色んな球種を投げさせてくれないんです。

 

練習試合で「今日はスライダー禁止」と言われたり。得意なスライダーを使えばそれなりに抑えるだろうから、ストレートとカーブだけでピッチングしてみろと。それで、どうやったら抑えられるかを考えさせられました。

 

寺嶋先生:
変化球といえば、菅野投手は色々な種類のカットボールを持ってますよね。どういう風に攻略されるとやりにくいですか?

 

菅野選手:
カットボールは、狙って打つのが難しい球種です。原点にして究極の攻略法だと思うのは、ストレートを打ちにくるけど振り遅れてタイミングが合ってしまうこと。

 

だから、ストレートにタイミングの合ってないバッターにカットボールを投げると、たまたまではありますが、逆に打たれてしまうことがあります。

 

ただ、コースを絞られる方が嫌ですね。ピッチャーは意外と表情を見ているので、打者の反応から、このあたりで待っているなとわかります。でも、そうするとピッチングが窮屈になってしまうことがあるんです。

 

寺嶋先生:
外角なら安全というわけでもないんですか?

 

菅野選手:
バッターは追い込まれたら何でも打ってくるので。追い込まれても割り切ってるのは福留(孝介選手・阪神)さんくらいです。あの人は平気で見逃し三振して、次打席の初球でガツンと打ってきます。それに森野(将彦選手・元中日)さんとか、ベテランの方は正直苦手でした。

 

寺嶋先生:
バッターも餌をまいてくるんですね。

 

菅野選手:
福留さんは、狙ってないボールをわざとファールにするんですよ。それでピッチャーが「これを狙っているのか」と球種を変えると、逆に的を絞られて「ガーン!」とやられちゃいます。

 

寺嶋先生:
そうした駆け引きは、高校時代から意識していましたか?

 

菅野選手:
その時は、全く意識できていませんでした。見逃しか空振りしかストライクじゃないと思っていて、ファールを打たせるみたいな感覚は全然ありませんでした。

 

もう少し駆け引きの意識があったら、甲子園行けたなと思いますね。

 

寺嶋先生:
もしも高校時代に戻るとしたら、こうしたほうが良いと思うところはありますか?

 

菅野選手:
高校生は、試合前に動きすぎちゃうんですよ。アップも長いと思うし、無駄な部分がたくさんあるから、それを変えるだけでも違うと思います。

 

普段のキャッチボールも長々やるんじゃなくて、時間で区切る。10分で肩を温めるなら、ストレッチを多くして肩を作らなきゃいけないなとか考えるようになるので、ダラダラやるよりも効率的だと思います。

 

マウンドを降りる時は、 チームが負ける時──
コツコツと積み重ねていくエースの信頼

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寺嶋先生:
菅野投手のピッチングは、クイックも速いしコンパクトに投げているのに、躍動感がある不思議なフォームですよね。それはもう高校時代から?

 

菅野選手:
腕の使い方は変わっていないと思います。球の出どころは見えにくい方がいいから、テイクバックを小さくして、前を大きくする基本を大切にして。

 

だから、ショートスローの練習をたくさんしました。ショート、サードと距離を伸ばしていって、最後にブルペンで投げる。肘から先の使い方は誰にも負けない自信があります。

 

寺嶋先生:
沢村も出どころの見えないボールを投げますが、高校時代にモデルにした投手はいたんでしょうか?

 

菅野選手:
モデルはいないです。松坂選手には憧れていましたけど、僕とはタイプが違うから、配球や投げる球を真似したいとは思わなかったですね。僕が生き残っていく道は肘から先の使い方、そこしかないと思っていました。

 

寺嶋先生:
そこから、球速を求める方向にはいかなかった……?

 

菅野選手:
球速の夢はまだ追いかけてますよ。いまだに速くなるって信じてるし、プロに入ってからも155〜56㎞/hまでしか出てないから、160㎞/hの数字には憧れます。でも145㎞/hから150㎞/hにするのとは、かなり意味合いが違ってくると思うし、難しさがあるんですよね。

 

それでも、全力で投げる意識を持つことは絶対に大事です。今でもブルペンの最後の5球は全力で投げます。そうしないと体が全力を忘れてしまうんですよ。ヌルくやったら球もヌルくなってしまいます。

 

寺嶋先生:
今は高校野球でも先発、中継ぎの分業が主流になってきました。その中で、エースが完投することに対するこだわりはありますか?

 

菅野選手:
以前は、肩を叩かれるまでは絶対にマウンドにいたいと思うタイプでしたね。今は……たまに帰りたいと思ってます(笑)。

 

大学時代は、疲れ知らずでしたし、完投以外ありえませんでした。途中で代わったら「どうしたの?」と言われちゃう。でも、よく言われるようにプロに入ると球速は落ちてくるんですよ。確かにスピードも大事だし、完投も大事だけど、僕はそんなに完投にこだわらなくてもいいと思うようになりましたね。

 

寺嶋先生:
最後に菅野投手にとって「理想のエース」はどんな存在なのか、聞かせてもらえますか。

 

菅野選手:
難しいですよね……人によって理想像は違うし、ジャイアンツファンの中には、過去のエースと比べて、僕のことをエースだと認められない人もいると思います。だから、「理想のエース」はあまり意識するものじゃないのかなって。

 

寺嶋先生:
エースは目指すものではない?

 

菅野選手:
周りが求めていることに、そのつど応えていくのがやっぱりエースなんだと思います。その日その日で、今日はいけるところまでいってみようとか、そういうことずっと考えてますし、それでチームメイトが、「お前がマウンドを降りる時は、チームが負ける時だ」と言ってくれるのは嬉しいですよね。

 

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