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フェチ漫画は描きたくなかった!?『フェチップル』るり原ズラチー先生インタビュー

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「マガポケ」で待望の新シリーズが開始する『フェチップル』。

 

勢いに任せて付き合うことになった髪フェチの主人公・柚木太津(ゆのきたつ)と、背中フェチの初島言花(はつしまことか)のちょっとおかしなラブコメディ『フェチップル』!

 

同作を描く、るり原ズラチー先生は自ら「変態レベルの髪フェチなんです」と語るほど、長い髪を愛するフェチズムの持ち主。今回は、るり原先生にフェチ視点で語っていただき、『フェチップル』の世界を深掘りしていきました!

 

「長くてきれいな髪の毛は、尊敬に値するほど価値がある」

──るり原先生ご自身もかなりの髪フェチだとお聞きしています。髪を意識するようになったのはいつごろからだったんですか?

 

るり原先生:
興味レベルでいうと、幼稚園に通うくらいかそれより前だと思います。
というのも、母親が髪の長い女性で。男なら母親への憧れって少なからずあるじゃないですか。そういうのもあって、長い髪に興味を持つようになりました。

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──その頃から髪フェチとしての自覚はあったんですね!

 

るり原先生:
自覚したのは大学生のときです。それまでは「男ならみんな髪が好きだ」と思っていたので、“フェチ”って感覚はなかったんです。

 

周りの友だちが「おっぱい」とか「パンチラ」に興奮するって言ってるのはギャグだと思っていました。そんなこと言ってるけど、ホントは髪を見てるくせにって(笑)。

 

──フェチであることに気付いたきっかけとかはあったんですか?

 

るり原先生:
大学生のとき、髪に包まれた男性の絵を描いたんです。僕としては「ちょっとエロ過ぎるかな……」って感覚だったんですけど、友だちに見せたら「理解できない」みたいな感じでドン引きされて(笑)。

 

どうして引かれたんだろうって気になって調べたら、どうやら世の中には「髪フェチ」というのがあるらしい……自分は特殊なタイプ、少数派だったんだって気づいたんです。

 

なんか変態の暴露話みたいになってますが、これで大丈夫ですか……(笑)?

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──むしろ大歓迎です(笑)。髪フェチっていろいろあると思うんですが、るり原先生はどんなタイプの髪フェチなんですか?

 

るり原先生:
髪を洗うのが好きな洗髪フェチや、長い髪をばっさり切ったときが好きって断髪フェチなどいろいろあるみたいですが、僕は普通に長い髪が好きです。

 

きれいで長い髪を手に入れるには、単純にお金と時間が必要なんです。あとは遺伝もあるとは思うんですが、すごく努力しているからこそ長く美しい髪になる。長くて美しい髪は努力の賜。言花の髪も、いつも髪への敬意を払いながら描いています。

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実は髪フェチをテーマにした漫画は描きたくなかった

 ──まさかご自身のフェチが漫画になるなんて、夢のようなお話ですね!

 

るり原先生:
そんなこともなくて……最初は描きたくなかったんですよ。
もちろん、髪の毛をていねいに描くっていうのは僕の中では当たり前のことだと思っています。でも、髪フェチ、自分のフェチを切り口にするのは避けたかったんですよね。

 

そもそもは人情系やギャグ漫画を描きたいなって思っていたんです。実は作品化する以前にも担当の編集さんから「フェチをテーマにした描いてみませんか?」って提案いただいていたんですが、ずっと断り続けてきたんです。

 

──そんななか、どういう経緯で『フェチップル』は作品化に至ったんですか?

 

るり原先生:
新人漫画賞に応募しては落選が続いて、思いきって描いたら受賞したのがきっかけです。第100回新人漫画賞ですね。

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新人漫画賞で佳作を受賞した『フェチップル 〜髪フェチ男と背中フェチ女〜」

 

それまでも自分なりに少年誌ウケや新人漫画賞ウケを意識した作品を描いたつもりだったんですが、受賞に結びつかず……それでものすごいショックを受けてしまって、漫画を描こうとしてもネタが全然思い浮かばなくなっちゃったんです。

 

──スランプに陥ったんですね……

 

るり原先生:
担当の編集さんに改めて相談したら、「やっぱりフェチを漫画にしてみたら?」って。それまでは断っていたんですが、スランプを抜け出すためにも思い切って描いてみようと思ったのが『フェチップル』のはじまりです。

 

──そして新人賞を受賞したわけですが、『フェチップル』を描くときに意識した点はありますか?

 

るり原先生:
どうせなら、とことん振り切って描こうと思ったんです。それまで意識していた少年誌ウケや新人漫画賞ウケは全部取っ払って、僕自身の髪フェチ要素や男女のいちゃいちゃ、ギャグを取り入れようと。そうしたら手応えを感じたんです。

 

──なるほど……担当編集とはどのように相談して作品化していったんですか?

 

るり原先生:
最初は言花が主人公で、髪にしか興味がない男性を振り向かせるという内容だったんです。でも、当時の担当編集さんが「フェチをテーマにした漫画はよくあるけど、フェチ同士が付き合う漫画は見ないよね」と話していて、「これだ!」と思ったんです。

 

──それで背中フェチが追加されたんですね! でも、どうして背中フェチだったんですか?

 

るり原先生:
当時の担当編集さんが背中フェチだったからです(笑)。

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──なるほど(笑)。るり原先生と担当編集のフェチが共演する形で『フェチップル』が誕生したんですね!

 

るり原先生:
そう、でもそれだけでは終わらず、「ショート漫画とか四コマで描いたらもっとおもしろくなりそう」って意見も出てきて、僕もショートや四コマは好きなので、「それでいこう」となりました。

 

主人公・太津のモデルはるり原先生ご自身!?

──自分はフェチはないんですけど、『フェチップル』を読んでいると「フェチっていいかも」「何か自分もフェチが欲しい」って気持ちになるんです。

 

るり原先生:
そう言っていただけるとうれしいです。

 

──おそらく髪フェチにとっては「あるある」なネタがたくさん出てきますが、太津はどなたかモデルがいらっしゃるんですか?

 

るり原先生:
まんま自分の感覚で描いています。もちろんヴィジュアルは違いますが、思考回路とかツッコミワード、何気ないリアクションなどは「自分ならこうだろうな」って。

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 ──るり原先生の頭の中を覗いてる感じですね。

 

るり原先生:
恥ずかしいですけど、そうなっちゃいますね。妄想してニヤニヤしたことを描いて、それをまた眺めてニヤニヤしている変態漫画家をイメージしてもらえれば(笑)。

 

──変態って感覚はありませんでした(笑)。ネタはいつ、どういったタイミングで考えてるんですか?

 

るり原先生:
自分が好きな髪フェチの要素を思い浮かべて、「一般的には引かれるよな」「変態だよな」って思った要素を描くようにしています。

 

変態っぽくなくても、たとえばヨダレを垂らしながらセリフを言わせることで変態っぽくしてみたり。ただ、それだと読者が置いてきぼりになるので、フェチの要素を出すときは必ずギャグにするようにしています。

 

太津も言花もそれぞれ変態なのに、お互い「変態」って突っ込んでるんです。2人とも、読者から見たら変態なのに(笑)。

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 ──確かに(笑)!

 

るり原先生:
でも、フェチって自分としては当たり前なので、お互いを変態って感じてしまうのも当然といえば当然なんですよね。それに自覚がないだけで、何かしらフェチズムはみなさん持っている気もしています。

 

──匂いフェチとか脚フェチとかいろいろありますよね。『フェチップル』を読んでそんな自分独自のフェチズムに目覚める人もいるかもしれないですね!

 

るり原先生:
そうかもしれませんね(笑)。

 

ただ、僕はフェチに共感して欲しいとかは考えてないんです。太津も言花も最初はお互いのフェチから惹かれ合いましたが、結局、人を好きになるきっかけってなんでも良い気がしています。最終的には、お互いを想い合うのが大事なのかな、と。 

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──そういった裏テーマも隠されてるんですね。

 

るり原先生:
『フェチップル』の中で、太津は長い髪の女性を見るとヨダレを垂らしますよね。「髪が長ければ誰でもいいのか」って思われるんですけど、僕も同じように葛藤したことがあるんです。好きな女性を「髪が長いから好きなんじゃないか……」と。

 

でも、その女性がある日バッサリ髪を切ったときも気持ちが変わらなくて「ちゃんとこの”人”のことが好きだった、良かった!」って思ったんです。

 

あと、長くて美しい髪も好きなんですけど、人と人がお互いを思いやる、大事に想うみたいなことも好き、フェチなんです。『フェチップル』からそれを感じとってもらえたら嬉しいって思っています。

 

少年時代の原体験がきっかけで漫画家に

──るり原先生は、いつぐらいから漫画家になろうと思ったんですか?

 

るり原先生:
小・中学生のころには漠然と思ってました。

 

当時、好きな漫画があったんですが、明らかにストーリーは終わってないはずなのに待てども待てども続きが出なくて……当時は「打ち切り」ということも知らなくて。

 

いつの間にか終わってしまったけれど、そのなかに登場するキャラクターは自分のなかで生きてる。だから、自分でいつかその先を描いてみたいなと思っていたんです。

 

──『るり原ズラチー』という名前はどういう由来なんですか?

 

るり原先生:
ズラチーはスキマスイッチさんの『ズラチナルーカ』という曲から取らせてもらいました。

 

この曲を初めて聴いたのは中学生のとき。聴いた瞬間にパッと映像が浮かんだんです。その世界観がすごく好きで、いつかこういう世界観の漫画を描けたらいいなって思ったので名乗らせてもらってます(笑)。

 

でも、ズラチーってちょっとダサい感じにしました(笑)。そのダサい感じが自分らしくていいなって。だから、中学生ぐらいから「ズラチー」と名乗っています。

 

──『るり原』は?

 

るり原先生:
大学生のときに漫画家の宮原るりさんの作品をよく読んでいて、いつかこういう作品を描けるようになりたいなって。それで拝借しちゃいました(笑)。

 

──『宮原るり』さんと『ズラチナルーカ』がドッキングし、『るり原ズラチー』になったんですね!

 

るり原先生:
そうですね。なんとなく付けた名前ですが、人前で名前を呼ばれるようになって、「もうちょっと真面目な名前にしておけば良かったな」って(笑)。

 

──『フェチップル』は第2シリーズが始まりましたが、見どころを教えてください。

 

るり原先生:
第1シリーズは太津と言花、男女ふたりの物語でしたが、第2シリーズではフェチを軸にした三角関係が巻き起こります。 

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──やはりフェチなんですね! しかも、三角関係!?

 

るり原先生:
髪フェチの主人公と、匂いフェチ、低身長フェチのヒロインが一方通行の三角関係を繰り広げます。第1シリーズではほぼほぼ恋愛感情があるところからスタートしますが、第2シリーズでは関係性を築き上げていくところからのスタートなので、王道のラブコメに仕上がるかなと。

 

──第1シリーズで登場したキャラクターがゲスト出演したりするんですか?

 

るり原先生:
はっきりとは言えませんが、あるかもしれないです。

 

当たり前ですけど、僕自身『フェチップル』が好きで、キャラクターを愛してますので! いい感じに登場させられる機会があれば、ぜひゲスト出演もさせたいなって思っています。

 

──ありがとうございます! ちなみにマガポケオリジナル作品のなかで、るり原先生のお気に入りの作品はありますか?

 

るり原先生:
中村なん先生の『いじめるヤバイ奴』はTHE少年漫画って感じで好きです!

 

いじめは苦手なんですが、この漫画は読んでいても嫌な気持ちにならないというか、むしろすごく笑える漫画で。つかみこそバイオレンスですが、実際に読んだらおもしろくて、無意識に主人公を応援したくなるんですよね。

 

──最後に、作品を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

 

るり原先生:
疲れてるときとか凹んでるときに見て、いい意味で「くだらないな」って笑っていただいたり、きゅんきゅんしていただいたり。『フェチップル』を読んで、「こういうバカなやつらがいるんだな」「明日からまた頑張ろうかな」って思っていただけたらうれしいです。

 

──第2シリーズも楽しみにしています。今日はありがとうございました!

 

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