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【第115回新人漫画賞締め切り直前特別企画】〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家への花道 『ガチアクタ』裏那圭先生が新人漫画家の悩みを解決!

新人漫画家さん必見!! 今回は、第115回新人漫画賞締め切り前特別企画として、漫画家先生へのインタビュー「漫画家への花道」を大公開! 『ガチアクタ』の裏那圭先生が新人漫画家の悩みを解決しちゃいます!

 

大ヒット作品連載中の漫画家が語る漫画の作り方!!
『ガチアクタ』裏那圭先生に聞く!

物語の世界観を彩る「敵」の作り方!!

週刊少年マガジンにて『ガチアクタ』を大好評連載中の裏那圭先生に電撃取材! 裏那先生に漫画について語っていただきました!

 

裏那圭先生Profile
広島県出身。2018年3月期MGPに『脳枷』にて入選。その後、2019年の第103回新人漫画賞に『獅鬼童』にて入選。大久保篤先生のもとで『炎炎ノ消防隊』アシスタント経験を経て、2022年2月より週刊少年マガジンにて『ガチアクタ』を連載中。2025年7月よりアニメ放送開始。

 

●極意1
世界観設定にこだわれ

――はじめに、裏那先生が漫画家を目指したきっかけを教えていただきたいです。

 

 小さい頃、アニメをたくさん見ていて、アニメのキャラの動きを自分なりに解釈して漫画に描き起こしていくことが好きだったんです。一番最初は、小学校低学年の頃に『ブレイブ ストーリー』のアニメを見て、漫画に描き起こしました。そのあと『D.Gray-man』や『かみちゃまかりん』を読んで、こんな漫画描きたいなぁ、と思って漫画を描き始めました。

 

――具体的に「漫画家になって、この雑誌で連載したい」と思い始めたのは、いつからでしたか?

 

「この雑誌で連載したい」っていうのはあまりなくて、漠然と「漫画描きたい」と思っていました。なので、自分に合っていて自由に描ける媒体が良くて、週刊少年マガジンに持ち込みに行きました。

 

――なぜマガジンに自由なイメージを抱いたのですか?

 

 元々『ソウルイーター』のファンで、当時その作者の大久保篤先生が『炎炎ノ消防隊』をマガジンで連載していたのが大きいと思います。他の人は思いつかないような展開やキャラを描く大久保先生のことを、勝手に「自由人っぽいな」と思っていたんです(笑)。ご縁があってその後大久保先生のアシスタントをさせてもらっていたのですが、その時も仕事に対しては真剣な一方で、時折驚くような行動をしていました。アシスタントが仕事をしている後ろでキックボードを組み立て始めて、部屋の中をぐるぐる回り始めたこともあります(笑)。

 

――マガジンに持ち込みに行った際の印象はいかがでしたか?

 

 直接感想を聞きたかったので対面の持ち込みに行ったのですが、担当していただいた編集の方に第一声でお褒めの言葉をいただいて、とても嬉しかった記憶があります。めちゃめちゃ緊張していてあまり内容は覚えていないんですけど、しっかりアドバイスももらいました(笑)。

 

――新人時代に連載を勝ち取るために、特に力を入れたことは何ですか?

 

 当初からキャラクター設定やデザインはとても大事だなと思っていました。その上で、担当編集や先輩方からアドバイスをもらう中で、「どんな世界で何をするのかを詳細に考えてから連載をした方が良い」と言われることが多かったので、世界観設定を作る時間もたくさん設けるようにしていました。

 

―― “ゴミ”をテーマにしようと思った背景を教えていただきたいです。

 

 ゴミが出てくる作品はすでに世の中にあったと思うんですが、完全にゴミオンリーの作品は無いと思って、ゴミを題材にした面白い漫画を描きたいと思いました。でも、ゴミをテーマに読み切りネームを1本描いてみたときに、ゴミの世界を上手く表現できなくて、違う連載案を考えたりもしました。でも、最終的にやっぱりゴミの漫画を描きたいなと思い、再度練った末、『ガチアクタ』ができていきました。

 

――他の連載案を考えていた時期もあったとのことですが、『ガチアクタ』に再び取り掛かるために、途中まで考えていた他の連載案をやめることに抵抗はありましたか?

 

 あまり抵抗はなかったです。途中で連載案をやめたとしても、ネームの勉強ができたり、次回に引き継げるキャラデザなどの要素があったりすると思っていました。実際にボツ案から、『ガチアクタ』に流用しているネタもたくさんあります。全てがストックですね。

 

――『ガチアクタ』の連載案構想時から現在グラフィティデザインを担当されている晏童秀吉先生と一緒にやろうとお話されていたのでしょうか?

 

 当初は一人で描くつもりで、分業みたいなことは考えていませんでした。初めて晏童にグラフィティデザインを入れてもらったのは、『ガチアクタ』の連載が決まって、巻頭カラーの1ページ目を描いている時でした。晏童は元々友達でよく作業通話をしていたのですが、その時も通話をしていて、自分が「これグラフィティ入れたらかっこいいんじゃね?」と思いつきました。それを晏童に伝えたら、フラットなノリでグラフィティを入れてくれて、出来上がったデザインがすごくかっこよかったんです。それがきっかけで本格的に晏童にグラフィティデザインをお願いすることになりました。

 はじめは、漫画とグラフィティデザインが分かれている前例のない体制だったため、探り探りでした。ケンカもよくしましたが(笑)、いい共作ができるようにたくさん話し合ってきました。そのうちに自分たちのスタイルがだんだん確立されて、自分がイメージを伝えて、それに沿って晏童が小物や組織のロゴ、エンジンのタトゥーなどをデザインしてくれる、という現在の体制になりました。

グラフィティ担当の晏童先生と作っている掃除屋のロゴ。ロゴ入りアウターを身に着けるエンジンの身体に刻まれたタトゥーも晏童先生デザイン。

 

●極意2
読者に一目で所属を伝えろ!

――『ガチアクタ』では、個性豊かな敵キャラクターが印象的です。敵キャラをイチから生み出すときに、最初に決めていることは何ですか?

 

 デザインですね。敵キャラを作るときは、ポケモンの悪の組織を参考にしています。あいつらって組織ごとに個性が際立った容姿をしているため、どこにいても、「こいつ○○の組織だ」って見ただけですぐに分かりますよね? それってキャラクターや衣装のデザインが優れているからだと思うんです。『ガチアクタ』でもデザインから組織が分かるように意識して考えています。

 

――『ガチアクタ』で主人公・ルドたちと対立する“荒らし屋”のキャラを描く際に意識されていることを教えていただきたいです。

 

 顔の影と目にこだわっています。“荒らし屋”のゾディルというキャラが特にわかりやすいんですが、顔の影がめっちゃ多くて、回を重ねるごとに黒くなっていきます(笑)。目は、焦点が合ってないように描いていて、読者にどこを見ているのか、何を考えているのか分からないイメージを持ってもらえるようにしています。

 

――戦闘で使用する“人器”のデザインはどのように考えていますか?

 

 まず、アイテムを決める時は、読者が身近に感じているものにしたいので、自分が持ったことのあるものや、周りを見渡して目に入ったものを採用しています。また、銃や刀のような最初から攻撃性のある武器は極力使わないようにしています。

 次に、その人器を使うキャラに沿ったデザインや能力を考えていきます。人器が武器化した時のデザインは、キャラの性格や人器の使い方を考えながら、描いている時にアドリブで決めていくことが多いです。例えば、フォロの人器にはチューブが付いているのですが、チューブを通して感情のエネルギーが伝わっていくようなイメージでデザインしました。ハンマーを持っているキャラが2人いたとしても、それぞれ性格や考え方が違うと思うので、そのキャラに沿ったデザインと能力になるようにこだわっています。

▲“荒らし屋”の頭・ゾディル。顔の影や目線がその悍ましさを物語っている。

 

フォロとフォロの人器。チューブが印象的でカッコいい!!

 

●極意3
強い敵は“重厚感”を出せ

――ルドたち“掃除屋”の駆除対象である“斑獣”も『ガチアクタ』の世界観を彩る敵ですよね! すごくリアルで迫力があるなと思うのですが、 斑獣を描く時に意識していることを伺いたいです。

 

 どの斑獣を描くときにも、感情があるのか無いのか分からないと思ってもらえるように描いています。また、白いプラスチックの集合体も必ずどこかに配置します。その一方で、斑獣の個体ごとのこだわりもあります。例えば、その斑獣の生息地によってその斑獣を構成するゴミの種類を変えています。ハイウェイのような場所にいる斑獣は、バイクや車の部品、看板の一部などを入れて描いています。

 

――斑獣の中でも強さに差があると思うのですが、それを読者に視覚的に伝えるために意識されていることは何ですか?

 

 強いヤツほど重厚感を出すようにしています。小さくても強かったら、まとっているオーラが違うと思うので、ヤバイやつが来たっていう重みを画や展開で表現できるように工夫しています。

▲ハイウェイで登場する斑獣。ネコ型亜目の動物っぽさがあり、バイクのスプロケットのような部品が組み込まれている。

 

●極意4
キャラの性格を膨らませろ

――ここまで敵キャラのデザインについて伺ってきましたが、内面はどのように考えているのでしょうか?

 

 自分の場合、自分の感情からキャラが生まれることが多いです。そして、そこからキャラの性格がどんどん膨らんでいきます。例えば、ちょっと下品なんですけど、荒らし屋のジャバーは、下痢をしている時の気分なんですよね。下痢をしている時に、きつすぎてなぜか「それを楽しめばいいんだウエエエイ!」みたいな感じで笑っていたことがあったんです(笑)。その時の気持ちからジャバーが生まれたんですけど、そこからどんどん「これを楽しめるんだったらこれも楽しめる」「こいつはこれのこういうところを楽しむんだろうな」ってキャラクター像が広がっていきました。

 

●極意5
敵キャラは悪者ではない

――敵キャラを描く際に、内面において意識して味方と変えていることはありますか?

 

 敵キャラは、完全な悪者でなく、主人公から見て相容れない存在として描くように意識しています。実は『ガチアクタ』では、今のところ“完全悪”みたいなキャラは、あまり出てきていません。例えば、荒らし屋のボス・ゾディルと主人公・ルドが過去にいた環境って結構似ているんです。でも、関わっている人間の影響で思考や正義が大きく異なって、対立するキャラクター像になっています。なので、「どう歩んでこう曲がってしまったのか」とか「主人公たちと、どういう点で相いれないんだろう」とか一人一人の背景を深掘ることはすごく大切だと思います。

 

――『ガチアクタ』は、“荒らし屋”の個性的なセリフ回しも印象的です。“荒らし屋”を描く際にセリフにおいて意識していることはありますか?

 

“荒らし屋”だからと特別意識はしていないのですが、「主人公や自分がどのように圧をかけられたら嫌かな」と考えながらセリフを書いています。

 

●極意6
行き詰まったら、とにかく遊べ!

――たくさんの質問にお答えいただきありがとうございました! 最後に、連載に向けて漫画を描いている新人作家さんに向けて、メッセージをお願いします。

 

 楽しんで描いてください! 楽しみつつ切羽詰まりすぎず、描きたいものを自由に描いてほしいです!

 

――ちなみに裏那先生は切羽詰まったときにやっていることはありますか?

 

 新人の時は、切羽詰まったらとりあえず遊んでいました。遊ぶと言うと聞こえは悪いかもしれませんが、遊んでいるときに生まれるアイデアもあると思います。例えば、ゲームをしている最中に、頭の中では全然違うこと考えて、「こういう漫画描きたいなあ」「こういう漫画があればいいかもな」みたいな考えが浮かんできたりします。

 他の作家さんはもう少しちゃんとしたアドバイスをすると思いますが、まあ自分は遊んだほうがいっぱい描けると思います! とお伝えさせてもらいます(笑)

 

――本日はありがとうございました!

 

 こちらこそ、ありがとうございました!

 

『ガチアクタ』は週刊少年マガジンで大好評連載中!

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第115回新人漫画賞
特別審査員はマガポケにて『ガチアクタ』連載中の裏那圭先生!!

締め切りは2025年9月30日当日消印有効! ご応募お待ちしております!!

 

ぜひ周りの人にも教えてあげてください!

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