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森川ジョージ先生×真島ヒロ先生 特別対談を大公開!! (『EDENS ZERO』最終回記念!)

『EDENS ZERO』堂々の最終回!! 今回は、最終回を記念した森川ジョージ先生×真島ヒロ先生による特別対談を大公開しちゃいます! 単行本最終33巻は8月16日発売予定です!

 

●『EDENS ZERO』最終回記念
森川ジョージ先生×真島ヒロ先生 特別対談
〜受け継がれるマガジンの遺伝子〜

 

■お互いプロ漫画家 実は大の仲良し!?

ーー今回『EDENS ZERO』の最終回記念として、真島先生に「この機会にお会いしたい人」を伺ったところ、真っ先に名前が上がったのが森川先生でした。


森川ジョージ(以下、森川):ありがとうございます。光栄ですね。


真島ヒロ(以下、真島):森川さんとは、結構昔からお付き合いさせていただいていますが、実は二人の会話を文章に残したことは一度もないんです。だからこそ、この機会にぜひお願いできればと思いまして。オファーを即答で受けていただけて嬉しかったです!


森川:それはそうだよ。こんな光栄なことはないですから。


真島:これまでに、僕みたいな後輩漫画家との対談の機会はあまりなかったんですか?


森川:そうだね。年上の人とばっかりな記憶で。ちばてつやさんとか、矢口高雄さんとか。


真島:レジェンドばっかりですね(笑)。

 

ーー漫画家さん同士で繫がりがあるんですね。普段はどんな交流がありますか?


真島:森川さん主催のお食事会に誘っていただいたことはあります。あの時は先輩も後輩もすごい漫画家ばかり集まっていて、びっくりしましたね。


森川:あの時は45人くらいいたかな。チャリティーをお願いした人たちへのお礼の会で。あの会は楽しかったよね!


真島:楽しかったですね。すぐ帰るつもりだったのに、結局深夜まで居座っちゃいましたから。そういえば森川さん、あの場で全員に「原稿料を言え!」って言い出して……(笑)。


森川:あの話は盛り上がったよね。


真島:いや「何言ってんのこの人!」って思いましたよ(笑)。


森川:大事なことでしょ?(笑) 結構驚く額の人とかいて面白かったよね。


真島:この先は使えない話ですよ!(笑)

 

森川:ああいう機会じゃないとご飯とかはめったにないから。でも、講談社のネーム室ではよく会ったよね。


真島:そうですね! あ、それでまた一つ思い出しましたよ!


森川:なに?


真島:昔、僕が席を立ってる時に、僕のネームに森川さんが落書きをして。それを嬉しそうにXに上げて、炎上してましたよね(笑)。


森川:あれは、ほんと出来心でさ。ヒロくんのネームを見つけたらウズウズしてきちゃって、余白にプルーを描いたんだよね。帰ったら「ごめんね」くらい言おうかと思って待ってたら、向こうの方から「これやったの誰ですか⁉」って大声が聞こえてさ。本当に怒らせたかと思って、ヤバいヤバいって……(笑)。


真島:いやいや怒ってないですよ! だって犯人はわかってましたから(笑)。ギャグのつもりで怒った演技をしただけです!


森川:それが面白くてXに上げたら、「なんて酷いことするんですか!」ってファンに言われちゃって……。


真島:あれは投稿の文章も良くなかったですよ(笑)。「ヒロくん激怒」って書いてたから、見た人も「そりゃ怒るでしょ!」って思います(笑)。


森川:僕は、仲良いですよアピールのつもりだったんだけどなぁ。


真島:いやいや。僕のファンは、僕が森川さんを尊敬していることはわかってますよ。最近では、Xのスペース配信に森川さんが来てくれますし。


森川:ヒロくんのファンがさ、「森川先生来た!」ってすぐ気づいてくれて嬉しいんだけど、スペースはいつも緊張するんだよね。今回は僕を指名してくれるかな、呼んでくれないかな、ほったらかしなのかなってドキドキして……。


真島:もうファンみたいになってるじゃないですか!(笑) 

 

■鮮烈だった二人の出会い

ーーちなみに、お二人の出会いはどのような感じだったんですか?


真島:今は本当に仲良くさせていただいています。でも出会いはすごかったですよ……(笑)。


森川:……ヒロくん話してよ。


真島:講談社漫画賞のパーティーで、その翌月からデビューが決まっていた僕は、その場で色んな先生たちに挨拶回りをしてたんです。そして小学生の時から知っている憧れの森川さんにも「来月から連載させていただきます! 真島と言います!」って緊張気味に挨拶をしたんです。
そしたら、森川さんに「来月からデビュー? それは何号? じゃあその号で潰すわ。」と言われまして(笑)。

 

ーーええ⁉ それはまた痛烈なお言葉ですね。


真島:でもそれが嬉しかったんです。眼中にないって言われるより、よっぽど嬉しくて。めちゃくちゃ感激してワクワクしていたら……その号は『はじめの一歩』が休載で(笑)。


森川:きれいなオチだったでしょ?(笑) あの言葉は「競おうよ」って意味だったんだけどね。


真島:それは理解してましたよ。だから嬉しかったんです! 後に聞くと、当時はみんなに言ってたんですよね?


森川:その頃のことはよく覚えてるよ。ちょうど「少年マガジン」の部数が日本一を獲ったタイミングで。だからこそみんな浮かれないように、やる気にさせないとと思ってた。編集者にだって強く言ってたよ。


真島:たしか新連載の開始号に合わせて、『一歩』の勝負回をぶつけてたんですよね。


森川:そうそう。なんの脈絡もなく一歩のKOシーンが出てくるんだよ(笑)。


真島:その競う姿勢を、僕は初対面で学びました。


森川:そう受け取ってもらえてたら嬉しいね。切磋琢磨しようってことが言いたくて、でもその時の言葉が「潰すぞ」になっちゃったんだけど(笑)。言葉の選び方が下手で……だからSNSでも炎上するんだな(笑)。

 

■先輩後輩? ライバル? 戦友? 二人の関係性とは

ーーその後同じ雑誌で連載をするお二人ですが、やはり競い合うライバル意識はありましたか? 


森川:僕とヒロくんの間にライバル意識はなかったよね? スポーツ漫画とファンタジー漫画でカテゴリーが違うから、読者アンケートの票も食い合わないし。


真島:そうですね。それ以上に僕は完全に憧れの対象でしたから(笑)。


森川:だからライバル意識っていうのは最初からなかったかな。でも同じジャンルの作品が始まったらバチバチだよね?


真島:それはそうですね!(笑)


森川:だよね(笑)。でも『RAVE』を初めて読んだ時の印象は覚えてるよ。今だから正直に言うけど……マガジンでは難しいんじゃないかと思ってた。誰よりもヒロくんが一番わかってると思うけどね。


真島:まあ実際、初めは人気なかったですから……。


森川:当時のマガジンにファンタジー漫画なんてなかったから。ジャンルを切り拓く作品だったよね。


真島:はい。でもありがたいことに連載は続けさせてもらえて、そうすると次第に少しずつ人気が伸びてきて、認知されるようにもなりました。


森川:やっぱり長く続けるのも大事だよね。味が出てくるのに時間がかかる漫画もあるから。


真島:だって1巻の表紙はプルーですからね。よくあの漫画が売れてくれましたよ!(笑)

 

『RAVE』
1999年〜2005年。全35巻。
真島ヒロ初連載作品。

 

ーーでは森川さんからすると、後輩が順調に人気になって嬉しいお気持ちだったんですか?


森川:少しだけ違くて、あんまり後輩みたいな意識もないんだよね。僕は漫画家っていうのは年齢じゃないと思ってるから。「先に生まれたやつが偉そうにすんじゃねぇ、すぐに抜いてやるから」。そんな気持ちで、少年マガジンでデビューしたからさ。


真島:さすが、かっこいいですね……!


森川:僕はちばさんが憧れだったからさ。そこに行くまでは、全員抜かさないといけなかったんだよ。もちろんすごい先輩ばかりだったけど、10年かかっても20年かかっても追い抜いてやる気持ちで。だから僕にとって、あんまり年齢とか先輩後輩とかは関係ないと思うかな。


真島:森川さんは今の話をいつもしてくれるんですよ。それが『FAIRY TAIL』のギルダーツのセリフになってるんです。一回り以上年下のナツに対して、「お前には負けたくねぇ」って言うんですけど、これは森川さんがモデルです。


森川:そうなんだ! それはすごい嬉しいね。でも本当に、漫画家って売れてるやつが一番かっこいいと思う。


真島:そうですね!


森川:漫画雑誌ってある意味バーターシステムじゃない? 目当ての漫画があって雑誌を買って、それがきっかけで他の漫画も読むわけで。だからもうね、「ヒロくん売れて〜。読者の入り口を増やして〜。」って思ってたよ(笑)。


真島:実際に僕も、『特攻の拓』と『カメレオン』と『湘南純愛組!』が載ってる雑誌があるって知ってマガジンを読んで。それが『はじめの一歩』との出会いでした。

 

■審査委員として後輩を育てる立場に

真島:そうして同じ雑誌で連載をさせていただいていましたが、本当に仲良くなったのは『FAIRY TAIL』の時だったと思います。多分売れたから僕を見る目が変わったんだと思います(笑)。


森川:そういうことじゃないよー(笑)。


真島:冗談です(笑)。『FAIRY TAIL』を連載していた時には、「月刊少年ライバル」って雑誌で一緒に新人賞の審査員をやりましたよね?


森川:そうだったね。いつの間にか大先生になっちゃって(笑)。


真島:いやいや。それにしても、あの審査は面白かったですね。森川さんスポーツ漫画に厳しくて!(笑)


森川:僕から見たら、ヒロくんはファンタジーに厳しすぎだったよ!(笑) まぁお互い当たり前のことなんだけどね。


真島:よく覚えてますよ。ある時森川さんが、テニスコートの大きさや野球場の砂の質感を力説してて。新人の原稿とはいえ、厳しい目で拘って見てましたよね(笑)。


森川:ヒロくんはとにかくバトル描写に厳しくて……呪文とか必殺技とか(笑)。あの審査はお互いプロだったね。


真島:でも本当に、あの時期に仲良くなった気がします。


森川:そうだね。半年に1回の新人賞をずっと二人でやってたからね。

 

『FAIRY TAIL』
2006年〜2017年。全63巻。全世界で大ヒットを記録したファンタジー漫画。

 

ーー近年だと、第100回のマガジン新人漫画賞でお二人が審査員を務めていましたよね?


真島:そうですね。光栄なことに二人でやらせていただきましたが……あの時はひどかったですよ!(笑)


森川:え?


真島:僕は新人さん一人一人へのメッセージとして、細かく寸評レポートを書いていたんです。そしたら森川さんは「そんなめんどうなことしてるの? 僕はやらないよ」って言ってて……。そしたら当日です! 森川さんはなんと手書きのレポートを持ってきて、「良かったよ君」とか言いながら全員に配ってて(笑)。


森川:少しでもヒロくんと差をつけようと思ってね。


真島:あれはやられましたよ!


森川:好感度上がったかなー(笑)。


真島:でもあの時の新人さんはすごい嬉しかったと思いますよ。だって僕はワードのデータでしたから……(笑)。


森川:いやいや、ワードでも十分嬉しかったと思うよ。そもそもワードが使えないんだよ、僕は(笑)。


真島:ちなみに、あの時の新人さんは覚えてますか?


森川:あの時に限らず、これまでたくさん審査員はやらせてもらったけど、毎回そんなに覚えてはいないね。だって僕の審査とは関係なく、世に出てくる人は自ずと出てくる業界だと思うから。


真島:なるほど。


森川:僕自身も入選なんて取ったことないし。結局、後から出てきたやつが「俺のこと覚えておけよ」って漫画で伝えてくれる感じがするんだよね。ヒロくんなんてその典型だと思うから。


真島:……僕は入選もらいましたよ。


森川:え、そうだっけ。ちくしょう……(笑)。

 

■職業“漫画家”のパワーの源

ーーマガジンで連載を続けられているお二人が、やりがいを感じるのはどんな時ですか?


真島:僕はファンレターをもらった瞬間ですね。今はファンレターを書く時代じゃないですけど、SNSとかでも漫画に「面白い」って感想をもらえると嬉しいですね。


森川:僕も同じかな。やっぱりファンだよね。「面白かったです」って言われるために描いてるわけだから。そう言われた瞬間が一番嬉しいし、だから言ってくれる人を大事にしたいです。


真島:そうですね。あと僕はサイン会が大好きです。ファンの方々と直接コミュニケーションできる貴重な機会ですね。

 

ーー逆に連載を続ける中で大変なことはありますか?


森川:うーん。大変だって思ったことはないかな。その覚悟で入ってきた業界だから。


真島:そうですね。僕もないですね(笑)。


森川:あ、でもね。ヒロくんがこの先感じるだろうなって苦労はあるかも。


真島:え……なんですか?


森川:どんどん目が老化していくと、原稿との距離感が変わって、絵が変わっていっちゃうんだよ。それを戻していく苦労はあると思う。


真島:たしかに目は悪くなってきますね。


森川:だけど、老眼とか腰や肩を痛めることとか、そういうのを全部、ちばさんも経験してきたことだと思うと、嬉しくてしょうがないんだよね。だから僕は、やっぱり大変とは思わなくて。


真島:普通はそう思えないですよ。やっぱり森川さんはすごいです。未だにストイックすぎるじゃないですか!


森川:ストイックなんかじゃないよ(笑)。


真島:僕はキャリアの中で時短の工夫を見つけながらやってきていて。でも森川さんは変わらずストイックだから。


森川:そりゃ同時にあれだけ色んなことやってたら、時短していくしかないよ(笑)。


真島:だからこそです。僕は色んなことをやりたいなって気持ちが強いので!


ーーお二人とも漫画に対して初心を忘れない意識はやはりあるんでしょうか?


真島:うーん。みんなそうだと思うけど、そもそも絵を描くのが好きですから(笑)。


森川:特別な意識はないよね。でも、コロナ前までは必ず編集部に行って、ネーム室でネームを描くようにしてたかな。新人と同じ机に並んで描くのが好きだったから。


真島:それは僕もそうですね!


森川:あの雰囲気いいよね。ここからみんな世に出ていくんだって思うと、自分も頑張るぞって気持ちになれる。

 

『はじめの一歩』
1989年〜。既刊140巻。最新141巻、7月17日発売予定。累計発行部数は1億部を突破。

 

■それぞれの漫画道

ーー漫画家キャリアを長く続けた先に、今のお二人はどんな思いでいますか?


真島:ついに『はじめの一歩』の連載中に、僕は3回も物語が終わることになりましたね(笑)。


森川:でも、またマガジンに戻ってくるんでしょ?


真島:もちろんです。森川さんがマガジンで描き続けている限りは、僕も続けたいと思っていますから。


森川:そのことについて、僕もヒロくんに聞きたいんだけど。『FAIRY TAIL』にしろ『EDENS ZERO』にしろ、続けることはできたわけじゃない? 職業「漫画家」として食うに困らない状況で、最終回にしなくてもいいじゃん?


真島:まあそうですね。でも僕、飽き性なんですよ(笑)。ずっと同じところにいると飽きちゃうと言いますか……。


森川:もっとぶっちゃけて言うと、僕は『はじめの一歩』が終わったら次の連載が当たる保証はないんだよ。やっとヒットした連載だから続けたいと思っていたし、その気持ちは今も変わってなくてさ。だから必死に週刊連載を続けているわけで。


真島:そこが本当にストイックだなって思います。


森川:だけどヒロくんは、今の成功を一回捨てて再始動するわけで……それは自信があるからなのかな?


真島:いや自信があるわけじゃないですよ。……でも、自分はもっとやれるはずだとは思ってます。


森川:やっぱり自信があるんだよ。薄々僕は気づいてたよ(笑)。


真島:いやいや希望的観測ですから! 次こそ当たるんじゃないかって思いながら、いつも新作を始めています。


森川:どれだけ当たったら気が済むのさ(笑)。


真島:……やっぱり、僕の中で『FAIRY TAIL』の存在が大きくて、あれを超えたいっていう思いがあって。だからまた新しい漫画をやらなきゃって思っている感じです。


森川:なるほどね。活きの良いうちにって気持ちもあるでしょ?


真島:もちろんありますね。

 

『EDENS ZERO』
2018年〜2024年。全33巻(8月発売)。前人未到のスペースファンタジー、堂々の最終回!


ーーお二人の漫画の向き合い方、カッコいいです。最後に読者に向けて一言いただけないでしょうか?


森川:……僕が読者の方に本当に知ってほしいのは、真島ヒロという男は裏山で漫画雑誌を拾ってきて、それを読んで漫画家になったってことです。


真島:よくそんなエピソードご存知でしたね(笑)。


森川:筍狩りみたいな感じで雑誌を拾ってきた、そんな少年がマガジンで3作品目。ここまでやって、まだ次もチャレンジするって言ってるんだから、僕は本当にすごいと思います……。読者にも知ってほしい! 裏山からマガジンを拾ってきて『EDENS ZERO』を読んでほしい!


真島:いや何回言うんですか! それに『EDENS ZERO』はもう最終回ですから!(笑)


森川:そうだったね(笑)。読者の皆さん、この後の本編はきっと大団円ですから、楽しんでください! ヒロくんお疲れ様でした!


真島:森川さんもお忙しいところありがとうございました! そして読者の皆さん、今まで『EDENS ZERO』をご愛読いただきありがとうございました。


森川:ヒロくんはまた必ず戻って来るらしいので、楽しみに待っていてください!


真島:はい! それに僕はこれからも『はじめの一歩』を応援しています!

 

ぜひ周りの人にも教えてあげてください!

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