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カラーページもおまけ漫画も、ひとりで全力で描く!? 『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』漫画・石沢庸介先生インタビュー!

2024年4月からテレビアニメが放送される、マガポケの大人気作品『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(以下、『第七王子』)。

 

魔術を極めたいと願った男が、規格外の魔力を持つサルーム王国の第七王子・ロイドに転生し、魔物や魔人、暗殺者に冒険者、果ては神父や天使までも巻き込んで「魔術道」を爆走していく、転生無双ファンタジーです!

魅力的なキャラクターに、迫力満点のバトルシーン、仲間たちとのアツい絆、美麗なカラーイラストなどで、マガポケ読者を魅了し続けている本作。

 

今回は『第七王子』の漫画を担当する石沢庸介先生にインタビューを実施。初めて明かされる制作の裏話から、テレビアニメ化への想いまで、さまざまなお話を伺いました!

 

●漫画家を目指した瞬間は、「生まれたとき」!?

──石沢先生が漫画家を目指したきっかけを教えてください。

 

石沢先生:
実は、「きっかけ」というのが全くないんです。生まれたときから漫画家になりたかったので。

 

──物心がつく前からですか?

 

石沢先生:
そうですね。小学生のときには、「自分は将来、100%漫画家になる」と思っていました。

 

──幼い頃から漫画を読むのが好きだったのですか?

 

石沢先生:
よく読んでいました。一番好きな漫画は『ドラえもん』。アニメ版も好きで、ダビングしたビデオが擦り切れるほど観ていました。あとは、兄の買ってきた「週刊少年ジャンプ」を毎週楽しみに読んでいました。それこそ『DRAGON BALL』世代ですしね。他にも、『ONE PIECE』や『金色のガッシュ!!』にも影響を受けました。

 

──その頃から漫画を描かれていたのでしょうか?

 

石沢先生:
イラストはよく描いていましたが、漫画は19歳のときに描いたのが初めてです。それを「週刊少年マガジン」に投稿したら、賞をいただけて。

 

──「週刊少年マガジン」を選んだ理由は?

 

石沢先生:
「週刊少年マガジン」だけ、投稿の条件にページ数の規定がなかったんです。そのときに描いたのが長い作品だったので、「ここにしよう!」と。

 

──漫画の描き方は独学で学ばれましたか?

 

石沢先生:
芸術系の短大に在籍していたので、絵に関する基本中の基本は学んでいましたが、漫画の描き方については全部独学です。アシスタント経験もなかったので、本当に何も知らないところから描き始めました。最初の担当さんに作業環境を聞かれて、「サインペンで描いてます」と答えたら怒られましたね(笑)。

 

──最初の読み切りは『原始のハナ』ですよね。

 

石沢先生:
そうです。懐かしいなぁ。それから『魔法の手のタマ』『オハナ迷彩』の読み切りを掲載していただいて、『超人学園』で連載デビューが決まりました。

 

『超人学園』

 

●あの異世界作品と迷った末に、『第七王子』連載決定⁉

──『第七王子』の連載に至るまでの経緯を教えてください。

 

石沢先生:
担当さんから「マガポケで異世界漫画を連載したいんだけど、やらない?」と誘われたのがきっかけです。嬉しかったのですが、原作があるものを描くのが初めてで、その責任の重さに耐えられず、一度お断りしてしまい……。だけど、担当さんが背中を押してくださって、挑戦することにしました。

 

担当編集:
2020年は、マガポケで異世界作品を立ち上げるタイミングでした。石沢先生にも何作か原作を読んでいただいて、その中から『第七王子』を選んでいただきました。

 

──そこで『第七王子』を選ばれた理由を教えてください。

 

石沢先生:
実は、もう1作迷っていた作品があって。本当にずっと迷っていたのですが、コミカライズするからには原作の面白さを最大限に引き出したいので、自分の作風により合っていそうな方にしようと思いました。『第七王子』は、コメディとバトルが派手で、ロイドくんという超やばい男の子がいる(笑)。そこが自分に合っているかなと思って、立候補させていただきました。

 

●ロイドの「不完全さ」を描きたい!

──原作の世界観やキャラクターを漫画にするうえで、意識していることを教えてください。

 

石沢先生:
ロイドくんのかわいらしさを表現することは、すごく意識しました。ロイドくんは最強の天才魔術師だけど、それ以外のことには興味がなくて、ドジったりミスったり人に頼ったりすることもあるんですよね。そういう不完全なところがかわいくて、どこか憎めないキャラとして描きたいと思いました。

 

──漫画版では、ロイドの「魔法以外に興味がない」ところが際立っている印象があります。

 

石沢先生:
原作には、封印されていた魔人・パズズとの戦いで、ロイドが「楽しくないのに無理してやっても、身につかないだろ」と言う場面があります。漫画では、逆にそのセリフをグリモに言わせたんです。そういうことすら言わないくらい、魔術以外のことはどうでもいい男の子にしたくて。

 

──魔術を純粋に楽しんでいる姿がとても魅力的ですよね。

 

石沢先生:
周りの人は「やれやれ」って言いながらも、大好きな魔術を夢中で楽しんでいるロイドに惹きつけられる。その雰囲気を描けたらいいなと常々思っています。

 

●先生の好きなキャラは、全員⁉

──先生のお気に入りのキャラを教えてください。

 

石沢先生:
『第七王子』以前の作品でもそうなんですけど、自分の作品のキャラはみんな本当に好きなんです。逆に、好きじゃないキャラは描けないと思っています。

 

──確かに、『第七王子』を読んでいると、悪役まで愛しくなっていきます。

 

石沢先生:
そう言ってもらえると嬉しいです。悪役であっても、やっぱり愛着が湧いちゃうんですよね。禁忌の魔力炉・タルタロスは完全な悪役でしたし、初めは悪として散ってもらおうと思っていましたが、中盤から後半にかけて、ロイドが生み出した分身・イドを想うキャラに変化していきました。あと、災厄級の魔人・ギザルムも。ずっと大好きなキャラです。

 

──ギザルムのどういったところがお好きですか?

 

石沢先生:
かっこいい悪役が好きなんです。ギザルムは超強いので、言ってみたら、序盤に出てきてしまったラスボス。こんなに強いキャラが、暗殺者ギルドのリーダー・ジェイドというこれまた強いキャラの中に入っているところも痺れます。

 

──ギザルムは純粋な悪ですよね。そこに愛着があるというのは少し驚きました。

 

石沢先生:
ギザルムは、優しくていい奴に囲まれたロイドの世界に一石を投じる存在だと思っています。そういう立ち位置のキャラは絶対に必要ですから。

 

●ロイドはかわいく、シルファはとにかく美しく!

──キャラの作画で意識されていることはありますか?

 

石沢先生:
ライトノベルのイラストを担当されているメル。さんの絵になるべく近づけようと頑張りました。メル。さんはやわらかくてきれいな線でかわいいイラストを描かれる方なので、そこを意識しています。

 

──ロイドやシルファを描くときに考えていることはありますか?

 

石沢先生:
ロイドくんは読者に愛されるキャラにしたいと思って、女の子に見えるくらいの勢いでかわいく描いています。シルファに関してはとにかく美しく描くことですね! メル。さんのデザインも、シルファを凛とした女性として描いているので、そこがぶれないように意識しています。なので、剣術もクールにかっこよく描こうと頑張りました。

 

──シルファの過去編で繰り出された連撃は衝撃でした。

 

石沢先生:
あれは自分の中の「大変だった作画ランキング」第3位に食い込む回です(笑)。以前から、何のセリフもなくてただ敵を倒しているだけの回を作ってみたかったんですよね。

 

──“ワンコンボ”必殺の見せ方はどこから生まれたのでしょうか?

 

石沢先生:
格ゲーが好きなんです。格ゲーには一発目が入ると技が全部つながっちゃう「10割コンボ」というものがあって。そこからアイデアが生まれました。

 

──ちなみに「大変だった作画ランキング」第1位は……?

 

石沢先生:
タルタロスvsロイドかなぁ。宇宙までいっちゃいましたから。それと、謎の神父・ギタンとの戦いもハードだった記憶があります。今ならもっと速く描けるけど、あのときはまだ色塗りに慣れてなくて大変でした。

 

●アシスタントの人数は……0人!?

──カラーを盛り込んだ超美麗な作画は、『第七王子』の魅力のひとつです。フルカラーの回を描こうと思ったのはどうしてなのでしょうか?

 

石沢先生:
以前から、いつかフルカラーの回をやりたいと思っていたんです。ギザルム戦のクライマックスはかなりいいシーンだから、そこで初めてフルカラーにしてみました。ただ、あまりにも大変だったので、もうやらないだろうと決めていたのですが……(笑)。

 

──だんだん増えていってますね(笑)。

 

石沢先生:
そうなんです(笑)。今は、慣れてそんなに苦じゃなくなっています。モノクロでトーンを貼る作業とフルカラーの作業量を比べたら、カラーの方がちょっと大変かな?

 

──色塗りの日数はどれくらいかかるのでしょうか?

 

石沢先生:
はっきりと「何日で描けます」とは言えなくて、回によって変わるんですよ。2日で終わるときもあるけど、例えばギタン戦だったら作画だけで2週間かかっています。タルタロス戦もほとんど寝ずに体をぶっ壊しながら描いていました……(笑)。

 

──ちなみに現在は完全にデジタルで作業されていますか?

 

石沢先生:
そうですね。『超人学園』はアナログで、『星と旅する』の頃はペン入れがアナログで最後の処理はデジタル。『第七王子』からデジタルに完全移行しています。漫画の常識が変わる転換期だったこともあるんですけど、ちょうどその頃、アシスタントさんを入れられなくなっちゃって。アナログでやると、とてもじゃないけど間に合わないという事情もありました。

 
『星と旅する』

 

──今現在、アシスタントさんは入っていないのですか?

 

石沢先生:
いないですね。

 

──あのカラーをおひとりで……?

 

石沢先生:
ひとりでやっています。マガポケのコメントで「アシスタント何人いるんだろう?」と書かれているのを見て、「いないんだけどなぁ」と……(笑)。

 

●カラーだからこそ生まれる、光の表現!

──カラーページを描く際にこだわっていることはありますか?

 

石沢先生:
こだわりがあるというより、今も毎日勉強中で、いろいろなことを学びながら『第七王子』で表現させてもらっています。カラーだと、モノクロよりも多彩な表現ができるんですよね。特に光の描写においては、モノクロでは見せられない表現ができるので、描いていてすごく楽しいです。

 

──『第七王子』のカラーは、モノクロに色を塗ったときとは異なる、独特の魅力がありますね。

 

石沢先生:
モノクロベースのフルカラーは、モノクロの線を忠実に残して色を塗る必要があるんです。でも、色を塗ることを前提にしていたら、線のアウトラインとは関係なく自由に色を塗れるので、そこの違いは大きいですね。

 

●おまけ漫画は、休憩代わり!?

──先生のお気に入りのシーンを教えてください。

 

石沢先生:
そうだなぁ……。好きなシーンはいっぱいあるけど、イドとタルタロスが力を合わせてロイドくんをダウンに持ち込むシーンは、描くのが大変だったのもあって、印象に残っています。

 

担当編集:
ギザルムに対して「俺だよ」ってロイドが登場するシーンとか、ギタン編の最後に金色の雪が降るシーンも、初めて読んだとき感動しました。

 

石沢先生:
そうだったんですか⁉(笑)

 

 

──描いていて手応えを感じたシーンはありますか?

 

石沢先生:
おまけ漫画のハンバーガーを食べる回ですね。「ハンバーガー食いて〜」というコメントがあって、ガッツポーズしました(笑)。

 

──「グリモ饅頭」や「豚さんトンカツ」など、おまけ漫画にはおいしそうな食べ物が度々登場しますね。

 

石沢先生:
読者のみなさんがお腹を空かせてくれたらいいな、と思っています(笑)。でも、ハンバーガーのときは「このコメントを見てニヤニヤしてる漫画家の顔が目に浮かぶ」とコメントされていて、すごく恥ずかしかったです。バレてるぞ、と(笑)。

 

──おまけ漫画の描き込みにも、作品への愛情を感じます。

 

石沢先生:
おまけ漫画は、単純に好きで描いています。「そろそろ休憩するか」という気持ちで(笑)。やっぱり好きなんですよね、漫画を描くことが。

 

担当編集:
「読者の方への感謝の気持ちもある」とお話しされていましたね。

 

石沢先生:
その気持ちはすごくあります。みなさんへ「ありがとう」という気持ちを込めて、おまけ漫画でもやるからには良いものを届けたいです。

 

●テレビアニメでは、バトルシーンに注目!

──ついに『第七王子』のテレビアニメが放送されます。アニメ化が決まったときの感想を教えてください。

 

石沢先生:
こんなことを言うとアニメーターさんに笑われちゃうかもしれませんが、アニメみたいな漫画を描きたいという気持ちで『第七王子』を描いていて。それが本当にアニメ化されると知ったときは、言い表せないほど嬉しかったです。

 

──公開されたPVでは、石沢先生の作画が完全再現されていて興奮しました。

 

石沢先生:
『第七王子』をリスペクトして、とても丁寧な作業をしていただいていると聞いています。実際、PVもすごくかわいくて! 主題歌もキャッチーで耳から離れなくて、ずっと口ずさんでいます。

 

──アフレコ現場にも行かれたのでしょうか?

 

石沢先生:
第1話のアフレコ現場にお邪魔しました。こんなに多くの人が関わっているのかと、改めて驚かされましたね。

 

──アニメで楽しみにしているシーンはありますか?

 

石沢先生:
実は、完成したものを観させていただいたのですが、パズズ戦で魅せたロイドくんとシルファの戦闘シーンがかっこよくて、かなり盛り上がりました! ぜひ楽しみにしていただけたらと思います!

 

●新章は「大変だった作画ランキング」を更新……!?

──今後の展開の見どころを教えてください。

 

石沢先生:
現在描いているスタンピート編では、7つの群れの7人の長が出てきます。全員SS級の超強い魔物たちなので、こんな強い奴らとの戦いを描くのが……今からもう大変だなと思っています(笑)。

 

──「大変だった作画ランキング」がまた更新されてしまうのでしょうか……?

 

石沢先生:
……そうだと思います(笑)。なんとか土煙でごまかせないかと考えちゃうくらい、大量の魔物を描かなきゃいけないので(笑)。

 

担当編集:
それくらい大迫力のバトルシーンが展開されるということなので、みなさんには楽しみにしていただきたいですね!

 

──石沢先生が現在注目しているマガポケ作品を教えてください。

 

石沢先生:
これは一択です! 『第七王子』のスピンオフ『現代転移の第二王子』です。本当に面白くて毎回読んでいます。

 

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──最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。

 

石沢先生:
みなさん、いつも読んでいただきありがとうございます! 自分の作品を読んでもらえなかった時期を経験しているので、『第七王子』を描かせていただけて、たくさんの方に読んでいただけて、「まだ自分は漫画を続けられるんだ」と実感しています。本当に、読者のみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。これからもみなさんに楽しんでいただけるように、頑張りたいと思います!

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