名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。今回の推薦者は下剋上ダンジョンハーレム新連載『人生逆転ダンジョン』の尾張ニコ先生とどすこい花丸様先生だ! 戦国活劇大作、話題のアニメ、そして古典まで、今月もユニークな作品が集まりました! 編集部オススメの作品もおもしろいのでチェックしてみてね!
●TITLE『キングダム 大将軍の帰還』
“これだから乱世はおもしろい”
今回最初の推薦者は、今月号センターカラーを飾った新連載『人生逆転ダンジョン』原作の尾張ニコ先生。推薦作1本目は『キングダム 大将軍の帰還』だ! 『キングダム』シリーズ第4弾にしてシリーズ最終章である。
シリーズの舞台となるのは春秋戦国時代の中国だ。
7つの国が覇権をめぐり戦いに明け暮れた時代である。
シリーズを通して描かれるのは西の大国秦の青年、信(山﨑賢人)の成長物語である。
青年が成長するのに必要なのは同じ目標を持つライバル、そしてその目標となる人物への強い憧れである。戦災孤児となり奴隷として過酷な運命を背負わされた信にとって、ライバルは漂(吉沢亮)であったが、漂は運命の悪戯によって命を失ってしまう(1作目『キングダム』)。だが、幼い頃の彼との約束が信を支える。その約束とは“天下の大将軍になる”だ。
そして信の憧れの対象となるのが“秦の怪鳥”こと六大将軍の王騎(大沢たかお)である。幼い頃、信が目にした王騎は、気高く強靭な大将軍であった。
“中華統一”を目指す、後の始皇帝・第31代秦王嬴政(吉沢亮)――信のライバルだった漂は、嬴政の影武者となったために命を落としたのだったーーの兵士となった信は、2作目『キングダム2 遥かなる大地へ』では魏と戦い、3作目『キングダム 運命の炎』では趙との戦いに突入! 『キングダム 大将軍の帰還』はさらなる趙との戦いを描く! このシリーズのおもしろさは、スケールの大きさはもとより、人気コミックの映画化だけあって、ユニークなキャラ満載なところ。シリーズ4作に渡って様々なキャラが登場するが、どれも人気と実力を兼ね備えた役者が演じていて、その1人1人に1本の映画ができるんじゃないかと思えるほどだ。特に大将軍王騎を演じる大沢たかおは素晴らしい。常に丁寧な口調ながら、底知れぬ強さを持つ、まさに大将軍。信が憧れるのも無理はない。
そんな王騎との一騎打ちを待ち望んでいたのは趙軍の総大将、ラスボスとも言える武神、龐煖(吉川晃司)である。鎌(めっちゃ長い)一振りで何人も吹っ飛ぶというほとんど噓みたいな強さである。
シリーズの最後を飾るこの作品では、戦いもさることながら、秦国が抱える侵略者としての過去、そして秦王嬴政自身の過去、王騎と龐煖の過去が描かれる。誰もが戦う理由を持つ乱世の世で、信は……!? “これだから乱世はおもしろい”王騎の言葉と同じく、映画も必見のおもしろさだ!
▼編集部オススメ、もう1本!
『ブレイブハート』
こちらはスコットランド独立のために戦った男の物語。
『キングダム 大将軍の帰還』
デジタル配信中
ブルーレイ&DVDセット
通常版:5,280円(税込)
プレミアム・エディション
初回生産限定【3枚組】:8,789円(税込)
発売協力:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©原泰久/集英社 ©2024映画「キングダム」製作委員会
●TITLE 劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』
ウマ娘の激アツムービー!!
尾張ニコ先生。推薦作2本目は『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』だ!!
〝ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前とともに生まれ、その魂を受け継いで走る。それが彼女たちの運命〜彼女たちは走り続ける、瞳の先にあるゴールだけを目指して〟。
おお、なんかワクワクする冒頭である。しか~し、困った! 『ウマ娘』聞いたことはあるものの、ゲームもやったことないし、TVアニメも未見……。この映画も未見……(すみません。映画担当なのに)。
『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』は Cygamesによるメディアミックスプロジェクト『ウマ娘 プリティーダービー』が原案のアニメーションである。アニメとは関係ない話だが、2022年のカタールW杯を全試合TVで見られたのはCygamesのおかげで、その立役者がゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットだったとか、マガジンのかつての某編集長がゲームに課金しすぎたと反省するほど夢中になったとか、TVアニメもすでにSeason3とか、『ウマ娘』、見逃してはいけなかった案件だったのね。
フリースタイル・レースで、最強を目指し走り続けてきたウマ娘の少女、ポッケことジャングルポケット。“最強はオレだ!”と自信満々の彼女は、“トゥインクル・シリーズ”で圧倒的強さのフジキセキに魅せられ“あんな風に走ってみたい、誰よりも早くなってやる。最強に!!”と決意したウマ娘だ。
物語は、このポッケを中心に、個性豊かなウマ娘たちのレースへの熱い思いを描いていく。“最強”を目指しながら、ライバル・アグネスタキオンの天才的な走りの幻影に苦しむポッケ。怪我でレースを離れることを余儀なくされ、トレーナーとの約束をポッケに託すフジキセキ。不調が続きながらも走らずにはいられないマンハッタンカフェ。自分には仲間ほど才能がないことを自覚しながらも勝つことを夢見るダンツフレーム。そして圧倒的な実力を持ちながら、レースの勝敗に無関心。皐月賞で優勝するなり引退を宣言するアグネスタキオン……。
最初、なぜアスリートのアニメにしなかったのだろうと思ったが(まあ、ゲームが先にあったと言うこともあるが)、レースシーンを見ると、それは間違いだと分かる。彼女たちの疾走感、熱狂する観客、これはウマ娘でないと成り立たない。
よくトップアスリートたちは“違う景色を見たい”というが、なるほど、自分の才能、極限までの努力、そして自分のピークをレースで発揮するというのは、ほとんど奇跡であり、そこで見る景色は、普通の者には想像もつかないものなのだろう。『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』、熱い映画である。おっと、書き忘れたが、エンディングのウマ娘、かわいいです。
▼編集部オススメ、もう1本!
『シービスケット』
こちらは実在した競走馬の数奇な物語。
劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』
発売中
ブルーレイ通常版:5,500円(税込)
発売元:Cygames
販売元:東宝
©2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会
●TITLE『ロープ』
サスペンスの巨匠の名作!
今回2人目の推薦者は同じく『人生逆転ダンジョン』の漫画担当、どすこい花丸様先生だ! 推薦作1本目は『ロープ』。巨匠ヒッチコック監督作。『サイコ』『鳥』などで知られるこの監督の作品紹介はなんと初めて。まあ、サイレント時代から監督をしていた人なので(※アルフレッド・ヒッチコック1899年〜1980年)お若い作家には馴染みがなかったのかもしれません。
作品はざっくり言うと、エリートの若者2人、ブランドンとフィリップが、凡人と判断した高校時代からの友人デイビッドを完全犯罪を目的にロープで絞殺し、残忍な悪ふざけを企むという話である。
いきなり絞殺のシーンから始まり、ブランドンは“完全犯罪の犠牲者にデイビッドはうってつけだ。ハーバード大の平凡な学生だし。これは正当な殺人だ”などと言う。いや、ハーバード大学の学生なら、平凡ってことはないだろというツッコミは置いといて、彼らは、自分たちが特別であると証明するために殺人を犯すのである!! ブランドンは、死体を居間のチェストの中に入れ、その上に燭台を飾り、料理を並べ、“最高の芸術作品になる”と悪趣味極まりない。パーティと称して、殺されたデイビッドの両親やフィアンセまで招待するこの男は人を操り、歪んだ優越感を持った男なのだ。
だがこの集まりに、教授のルパートも招かれていた。彼こそは殺人者2人に影響を与えた男。選ばれし者にとって殺人は特権だと平気で宣言する男だったのだが……!?
この作品、実際に起きた事件が基になっている。裕福な家庭に育ち、高い知能指数を持つ2人の男の、自分たちが完全犯罪を成し遂げられることを証明するために企んだ殺人事件である。“レオポルドとローブ事件”で知られるこの事件は、身代金目当ての誘拐に見せかけようとしたものの、予定していたより早く死体が見つかってしまったことから事件が発覚したのだった。
ヒッチコックは現実世界に起こった異常な犯罪に興味があったらしく、殺人事件の公判の見学なんかもしていたらしい。現代でも『殺人の追憶』は“華城連続殺人事件”(韓国)、『冷たい熱帯魚』は“埼玉愛犬家連続殺人事件”(日本)、『ゾディアック』はまんま“ゾディアック事件”(アメリカ)、実際に起こった事件が元ネタである。どれも話題作であったが、ヒッチコックはそんな現実に起こった事件を1948年、すでにエンタメにしていたのだ。ハンパない緊張感、ユニークな演出(全編をワンシーンで繫げた)はサスペンスの巨匠、スリラーの神様と言われたヒッチコック監督だけあって、今観ても、ハラハラドキドキの名作である。
▼編集部オススメ、もう1本!
『サイコ』
ヒッチコック作品を初めて観る人なら、まずこれ。
『ロープ』
発売中
ブルーレイ: 2,075 円 (税込)
DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
©1948 Transatlantic Picture Corp. Renewed 1975 United Artists Television, Inc. All Rights Reserved.
※記事公開時の情報です
●TITLE『ミッドナイト・ラン』
アクションありのバディ&ロードムービー
どすこい花丸様先生、推薦作2本目は『ミッドナイト・ラン』。やさぐれ賞金稼ぎのジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)と彼に捕まったマフィアの会計士ジョナサン・マデューカス(チャールズ・グローディン)のバディ&ロードムービーである。1988年公開作。古めの作品2本を推薦してくれたどすこい花丸様先生、かなりの映画通と見た!
LAの保釈保証業者(警察に捕まった容疑者の保釈金を立て替える人)エディから、ジャックが頼まれたのは、マフィアのボス、セラノの金を横領した会計士ジョナサンを見つけ出し、連れてくること。エディはジョナサンに保釈金45万ドルを貸しており、放っておけば彼はセラノに殺されてしまうからだ。
元刑事で凄腕のジャックはジョナサンがニューヨークにいることを突き止め、早々に捕まえる。ところがジョナサンを捜している者たちは他にもいた。マフィアのセラノ、彼にセラノの裁判の証人になって欲しいFBI、そしてジャックのライバルの賞金稼ぎだ。
ニューヨークからLAへ向かおうとした2人だったが、飛行機恐怖症のジョナサンのせいで、陸路で移動する羽目に!? 追っ手もやってくるし、ジョナサンは逃げようとするしで、移動手段は列車、バス、車とやたらと面倒なことに!? しかもジョナサンはジャックに対して、やれ健康に悪いからタバコをやめろとか、食生活を考えろとか、チップをケチるなとか、メッチャうるさい。しかも言うことが正論だから始末が悪い。だが、そんな旅を続けるうちに、ジャックがセラノにハメられ、刑事を辞めさせられたこと、ジョナサンは横領した金を逃亡資金以外、全て慈善事業に寄付していたことがわかる。2人とも正義感の強い男なのだ。全くタイプの違う男2人が、運命共同体となって友情が生まれる。いい話である。
2人の珍道中は、時代が時代なので今とは全く違う。走ってる車はアメ車ばかりだし(日本車が見当たらない)、みんなタバコをスパスパ吸っている。列車の中だって飛行機の中だってスパスパだ。読者はご存知ないかもしれないが、昔は飛行機の中でもタバコは吸えたのである。スマホなんかもちろんないから、連絡は公衆電話から、盗聴した音声だってカセットテープに録音だ(って、みなさん、カセットテープって聞いたことある?)。CGもないのでみんな本物。ヘリコプターで追われるシーンなんかもあるのだが、何でもアリのCGに慣れていると、妙にリアルに感じる。そんな楽しさもあるご機嫌な1本だ。
▼編集部オススメ、もう1本!
『テッド』
こちらはおっさんとテディベアのバディ・ムービー。
『ミッドナイト・ラン』
発売中
ブルーレイ: 4,620 円 (税込)
DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
©1988 Universal Studios. All Rights Reserved.
※記事公開時の情報です
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