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凄惨さが連載の決め手! 『十字架のろくにん』中武士竜先生インタビュー

壮絶な復讐劇が展開する背徳の復讐サスペンス『十字架のろくにん』

 

新章に突入し、マガポケでの連載はついに100話を突破。残酷な運命に対峙する主人公・漆間俊の復讐劇から目が離せません!

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今回は新たな展開を迎えた『十字架のろくにん』を連載中の中武士竜先生にインタビューし、漫画家を目指したきっかけやお気に入りの復讐シーンなどについてお話しいただきました!

 

●絵の描き方がわからず、コラージュ絵を作っていた子ども時代

──漫画家を目指したきっかけを教えてください。

 

中武士竜先生(以下、中武):
5歳の頃から絵を描くことに興味を持ち始めたのですが、当時は描き方を知らなくて……。輪郭と顔の各パーツをすべて別々に描いて、それらを切って貼り合わせるというコラージュのようなことをしていました。「絵を描くのは難しいな」と思っていましたね(笑)。
そんなある日、父が仕事で使うトレーシングペーパーを自宅に持ち帰ってきて。使わせてもらったら、今まで苦労してコラージュしていた絵がなぞるだけで描けるとわかり、かなりの衝撃を受けました(笑)。そこから絵を描くことにハマり、漫画家になりたいと思い始めましたね。

 

──当時はどのような絵を描いていたのでしょうか?

 

中武:
父がやっていたゲームを隣で見ているのが好きだったので、ゲームのキャラクターを描くことが多かったです。コラージュを作っていた頃は『スーパーマリオ』シリーズのヨッシー、絵の描き方がわかってからは『バイオハザード』のネメシスばかり描いていました。あとは、アニメ『マシュランボー』のキャラクターですね。主人公が変身したときに、外見と性格が変わって強くなるのがかっこよくて。初めて「こういうものが描きたい」と思った作品です。

 

──実際に漫画を描き始めたのはいつ頃からなのでしょうか?

 

中武:
小学1年生からです。最初に描いた絵がヨッシーだったので、そのヨッシーを主人公にした『ヨッシーマンの冒険』という漫画を描きました(笑)。1枚1コマの紙芝居のような感じで。藁半紙に50ページくらい描いたと思います。あれは超大作でしたね(笑)。

 

──評判はいかがでしたか?

 

中武:
とてもよくて、嬉しかったですね。友達に「欲しい」と言われて譲りました。その後は、自由帳に棒人間のギャグ4コマをたくさん描いていました。本格的に漫画を描き始めたのは、小学5年生の頃です。漫画教室のようなイベントに参加して、漫画を描くための道具をいただいたことがきっかけでした。

 

──漫画を描くうえで影響を受けた作品がありましたら教えてください。

 

中武:
「別冊少年マガジン」で連載していた『マルドゥック・スクランブル』のコミカライズですね。大学では漫画について学ぶ学科に入っていたのですが、勉強のために「本屋で漫画を表紙買いしよう」と思ったことがあって、そのときに一目ぼれしたのが『マルドゥック・スクランブル』だったんです。あまりにも絵が綺麗で、しかもストーリーも原作からアレンジされていて。「大今良時先生が連載されている雑誌で描きたい」と、マガジンでの連載を意識するようになったきっかけでもあります。後に大今先生のところでアシスタントもさせていただいたので、この作品との出会いは思い出深いですね。

 

──大今先生の作品の他にお好きな漫画はありますか?

 

中武:
漫画を好きになったきっかけは、家にあった『NARUTO -ナルト-』でした。その後は『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』『鋼の錬金術師』『HUNTER×HUNTER』『はじめの一歩』などを読んでいました。『からくりサーカス』と『傷追い人』は、エグくて怖いところとちょっとエッチなところが好きでした(笑)。

 

●自分を見つめ直してたどり着いた『十字架のろくにん』と「絶望コンペ」

──マガジンに応募するようになったのはいつ頃でしょうか?

 

中武:
大学1年生の頃ですね。初めて月例賞に送り、そこで奨励賞をいただきました。編集部からのコメントに「才能がある」と書かれていて、喜んだ記憶があります(笑)。それから担当さんがついて新人賞を目指し始めたのですが、佳作以上の賞はなかなか獲れませんでした。『青春最終決戦』で新人賞佳作をいただいたのは、ちょうど大学を卒業する頃でした。

 

──その後、『十字架のろくにん』連載決定までにはどのような経緯があったのでしょうか? 

 

中武:
連載が決まるまでは大変でした。大学卒業後すぐに上京したのですが、漫画家一本でできるわけではなく……。担当さんと月に数回打ち合わせをしながら、アシスタントをしたりデザイン会社で働いたりしていました。そのような生活をしばらく続けていましたが、「この状態から抜け出すには、連載を獲得するしかない」と思い、自分を見つめ直すことにしたんです。「僕は何が描きたいんだろう?」と改めて考えて、勉強をしたり本を読んだり……。それが功を奏したのか、しばらくして『十字架のろくにん』の連載が決まりました。

 

──構想当初から『十字架のろくにん』は今のような復讐サスペンスだったのでしょうか?

 

中武:
最初は無人島で1人が30人に復讐していくストーリーを考えていました。そこから動機をきちんと作り、人数を減らして、ただ復讐するだけではない要素を追加したいと考えたんです。そんなときに北山部隊のモデルとなった「山岡部隊」(大日本帝国海軍の特殊部隊で、正式名称は「呉鎮守府第101特別陸戦隊」)のことを知り、部隊と復讐を組み合わせてリアリティを生み出せるのではないかと思いつきました。そこからはあまり時間はかからず、一気にネームが出来上がりましたね。

 

担当編集K:
実は僕、もともと怖いものとかグロいものが苦手で、最初は読むのも嫌だったんですが、そんな僕が読んでも、『十字架のろくにん』は今までの中武君のネームの中で確実に一番面白かったんです。

 

中武:
Kさんはこういうものを苦手としているからこそ、いつも客観的な視点で読んでくれますね。

 

担当編集K:
1話目のネームを見た後、2話目ではなく、復讐する回のネームを先に持ってきてもらいました。僕が吐きそうになるほど凄惨な復讐シーンが中武君に描けるなら、この方向性でいけるかもしれないと考えたんです。そのときのネームが、ピーラーで千光寺の皮膚が剥かれる回でした。読んだときにはあまりの惨さに憂鬱な気持ちになりましたが、同時に「これなら上手くいく」と思いました。その後2話目を描いてもらっている最中に、「別マガ」で実施された、「あなたの絶望を描いてください」がテーマの「絶望コンペ」のことを思い出しました。

 

──『十字架のろくにん』は、『進撃の巨人』以来10年ぶりとなる「絶望コンペ」通過作として話題を呼びました。「絶望コンペ」の通過から「別マガ」連載が決まったときはどのように思われましたか?

 

中武:
もちろん嬉しさはあったのですが、あまりにも良いことが起こったので、どこかで何か悪いことが起こるかもしれないと不安でした。連載に対する不安はなかったのですが……。漠然とドキドキしていましたね。

 

──その不安がなくなったのはいつだったのでしょうか?

 

中武:
1話目が掲載されても何もなかったときですね(笑)。1話目が載ったら話題になるんじゃないかと夢を見ていたんです。反響があって、アンケート1位で、とか……。実際にはそんなことはなく、すぐに現実に戻されてしまいました。

 

──その後、8話目からマガポケでの移籍連載がスタートしました。「別マガ」からマガポケへ移籍した経緯について教えてください。

 

中武:
単行本第1巻発売のとき、期待を込めて結構刷っていただいたのですが、売り上げが伸びなかったんです。

 

担当編集K:
「別マガ」の漫画はすべてマガポケにも載っているのですが、『十字架のろくにん』はマガポケでの売り上げが良かったので、「マガポケに移籍して連載するのはどうだろうか」という話になりました。中武君に移籍するかどうかを訊いたら……

 

中武:
二つ返事で「やります!」と。

 

担当編集K:
次の月にはマガポケへ移籍しましたね。

 

●キャラづくりは、「背負うもの」から

──俊のキャラクターはどのように生まれたのでしょうか?

 

中武:
俊は僕のあこがれです。何かを背負っている人はかっこいいから。キャラクターづくりも、「なぜ復讐するのか」という「背負うもの」の設定を考えるところから始めました。

 

──いじめっ子たちはどうでしょうか?

 

中武:
彼らは、僕が考える「こんな奴がいたら嫌だな」という存在です。例えば、久我は中学1年生から見た中学3年生のイメージ。圧倒的な体格差があって勝てないと思わせるキャラクターです。至極は、「なんでもできる」「こいつには勝てない」と思わせる強いキャラクターにしたいと思っていました。どんなに恐ろしいことをしても違和感がないイメージです。そんな奴を倒すという俊の挑戦は、僕の課題にもなりました。

 

 

──俊の同級生であり、新章にも引き続き登場している数少ない人物の一人、千鶴が誕生したきっかけについて教えてください。

 

中武:
千鶴は担当さんのアドバイスで生まれました。千鶴が登場するとストーリーが明るくなるので好きですね。『十字架のろくにん』はどうしても話が暗くなりがちなので、出てくるだけで雰囲気を和らげるキャラクターは重要です。

 

──復讐方法や拷問方法はどのように考えるのでしょうか?

 

中武:
すぐに思いつくこともあれば、担当さんと相談したり、担当さんから案をいただいたり、様々な方法で考えています。拷問に関する本も読んだりします。

 

──お気に入りの拷問はありますか?

 

中武:
右代のときに使った、「苦悩の梨」が気に入っています。ネームを見せたときに担当さんが「うう……」と唸っていたので(笑)。

 

●100話はまだまだ通過点!

──ついに100話を突破しましたが、心境はいかがですか?

 

中武:
僕としては気づいたら100話を迎えていた感じでした(笑)。でも、マガポケの100話記念企画は感慨深かったです。トートバッグなどを作っていただけて、嬉しかったですね。

 

──物語は新章へと突入しましたが、今後の展開や見どころについてお聞かせください。

 

中武:
これまでの物語と新章の大きな違いは、俊におじいちゃん以外の仲間ができたこと。新たな仲間と協力してどのように復讐するのか、注目してほしいです。また、仲間ができたことで、今まで描かれてこなかった俊の心理描写も出てくると思うので、そのあたりも楽しんでほしいですね。


──最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 

中武:
こんなに憂鬱な気分になる漫画をずっと読んでくれてありがとうございます(笑)。僕が描きたかったものをみなさんに受け入れていただけて嬉しいです。くり返しになりますが、読んでくださるみなさんに本当に感謝しています!

 

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