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同級生の5人組にいじめられた挙句、自殺に追い込まれた黒瀬良太郎を主人公とする『復讐の教科書』。
同級生の5人組にいじめられた挙句、さらに家族を惨殺された漆間俊を主人公とする『十字架のろくにん』。
主人公たちは壮絶ないじめを経て、とある行動を取ることになります。それは――。
復讐
ひとことに「復讐」と言っても、刺したり、切ったり、撃ったり、燃やしたり、鼓膜を破ったり、彼女を奪ったりと方法は様々。主人公のふたりは、自らがされた行いを反復するように、作中で復讐劇を繰り広げていきます。
そこで今回は『復讐の教科書』VS.『十字架のろくにん』の復讐方法を徹底比較。
まずは復讐方法を比較する前に、主人公たちが復讐するきっかけとなったいじめの酷さを、作品内容とともに振り返っていきましょう。
●受けたいじめの残酷さ
『復讐の教科書』
主人公・黒瀬は教師になることを夢見ていた高校生。唯一のお友達は飼育小屋の「ウサギ」という心優しい男の子ですが……。
いじめグループから、ウサギの糞を口いっぱいに詰めこまれます。さらに、親友のウサギが何者かの手によって惨殺されたうえ、先生にいじめを告発したことが、いじめグループリーダーの不道にバレてしまい……。
不道は、人の命よりも保身が先立つようなクズ。いじめは止まることを知らず、黒瀬は窮地に立たされます。
そして追い込まれた黒瀬は、校舎の屋上から足を踏み外し無念のまま転落していってしまうのです。
『十字架のろくにん』
一方、『十字架のろくにん』の主人公・漆間は、両親・弟ともに暮らす、どこにでもいる心優しい小学6年生。ところが、ひとつだけ普通とは違うところがありました。それは、彼が同級生5人から壮絶ないじめを受けていること。
リーダー格・至極京を筆頭に、同級生グループは筆舌の限りを尽くすいじめを働きます。さらに漆間を「実験隊A」と名付け、彼をどこまで追い込めば自殺するのかという“実験”を開始。
そして――。
至極京は漆間家の父・母・弟が車で峠を越えているところを狙い、交通事故に見せかけて漆間の両親を惨殺。さらに、まだ息のある漆間の弟に暴行を加え車両に放火。全身火傷を負った漆間の弟は見るも無残な姿に変えられてしまいます……。
●復讐心の強さ
自殺寸前にまで追い込まれた黒瀬、そして家族を惨殺された漆間。そんなふたりは、いじめっ子に対して復讐を企てていきます。恨みの強さは、復讐の壮絶さにもつながるのでは――ということで、ふたりの復讐心の強さも振り返ってみましょう。
▼「死ね死ねコール」で屋上から足を滑らせ、死の直前に怒りを爆発させる黒瀬。
▼祖父の猟銃を手に、家族の仇をとると決意した漆間。
ということで、どちらも復讐への執着が相当あることがわかります。
それでは、いよいよふたりの企てる復讐を比べてみましょう。
まずは、復讐開始までの時間です。時間をかければかけるほど、復讐のヤバさは跳ねあがってくるはず。では、黒瀬と漆間の復讐準備期間は――?
1.復讐開始までの時間
『復讐の教科書』では、屋上から飛び降りた黒瀬の真下に、ちょうど彼の憧れである白鳥先生が! 激突したふたりは入れ替わり、黒瀬はなんと「白鳥先生」の姿になって帰ってくることに。
そして、教師という身分を手に入れた黒瀬は、さっそく復讐を開始していきます。
その間、8日間――。
一方、『十字架のろくにん』は――
漆間の祖父は、第二次世界大戦中に発足した日本の秘密部隊・呉鎮守府第百特別陸戦隊、通称“北山部隊”に所属していた人殺しのプロ。漆間は祖父から徹底的に殺人の訓練を受けます。
その期間は、なんと…4年間。
365×4=1460日、黒瀬の約182.5倍
そして漆間は「不屈の何か」に成ったのです。彼の決意がいかに固いものであったか、とてもよくわかるエピソードですね。
2.肉体的に追い込む復讐
次はそれぞれの主人公が、いじめっ子を肉体的に追い込んでいく復讐手段を比較していきましょう。
『復讐の教科書』のターゲットは、この5人。
今回の標的は、左端でニヤけた笑いを浮かべている、キリコこと切木竜也。仲間を信じる「絆」をなによりも大切にしています。が、しかし……
パシらせた黒瀬が「甘口」でなく「辛口」カレーを買ってきたという理由で、黒瀬の目にカレーを流し込みます。表面上は絆を大切にすると装いながら、裏では卑劣ないじめ行為に加担しているのです。
そこで黒瀬は――
キリコを罠に嵌め生き埋めに。そして、彼の周囲に爆竹を配置し点火します。
爆竹なので殺傷能力はありませんが、キリコは鼓膜を破る肉体的ダメージと精神的ショックを受けます。黒瀬の狙いは成功したと言えるでしょう。
一方、『十字架のろくにん』は――?
まず、ターゲットはこの5人。
この右から2番目の男が、今回の標的。千光寺克美(せんこうじ かつみ)。
彼は主人公・漆間に対して、お腹をエアガンで撃つなど、壮絶ないじめを繰り広げます。
復讐のために祖父の鍛錬を受けた漆間は、まず千光寺に狙いを定めブルーシートで覆った部屋に拉致。
そこで彼は、祖父が所属した呉鎮守府第百特別陸戦隊に伝わる拷問を実行します。
それは、皮膚を削ってむき出しになった神経に、改造エアガンを撃ち込むという凄惨なもの。
漆間の祖父いわく、この拷問方法は「むき出しの神経をつーっと触るんや。バーナーで炙りなぞられとる」ような耐えがたい苦痛を与えるものでした。
3.精神的に追い込む復讐
肉体的に追い込むやり方では『十字架のろくにん』漆間に軍配があがるかもしれませんが、『復讐の教科書』黒瀬も負けてはいません。確かに、キリコの肉体的なダメージは「鼓膜が破れた」くらい。ですが、さらに精神的に追い討ちをかけて多大なダメージを与えます。
実はキリコには、美谷ひなという彼女がいます。黒瀬は、キリコが大切にしている彼女との絆をぶち壊しそうと計画。
結果、黒瀬はなんとキリコの彼女・ひなを奪い取ってしまうのです。
これにはキリコも絶望の色を隠し切れませんでした。キリコの自業自得なので同情の余地はありませんが、相当な精神的ダメージを受けたのは間違いないでしょう。
対して『十字架のろくにん』の漆間は――
肉体的苦痛を与えた後に、皮膚をはぎ取られた自分の姿を見せつけるという精神的ダメージを与えます。
肉体的にも精神的にも苦痛を与える――それほどまでに、黒瀬と漆間の復讐対象への憎悪は深いことが見てとれます。
4.〈番外編〉復讐にかける金
ここまでふたりの復讐方法を比較してきましたが、最後はちょっと番外編――「資金力」を勝手に比較してみました。
まずは黒瀬が復讐のために遊井に渡したプレゼントは――
高級筆19,690円(筆者調べ)
そして漆間が千光寺に復讐するためにそろえた道具
ビニール(30m)2,189円、ピーラー1,320円、モデルガン12,800円
計 16,309円(筆者調べ)
漆間も意外とお金がかかっているようですが、資金力に関しては、筆一本に20,000円近くの資金を投入できる黒瀬というか白鳥先生が勝っているようです。ここは『復讐の教科書』に軍配があがりました。
●結果発表
さて、ここまでふたりの復讐方法をアレコレと比較してきました。
筆者としては、「苦痛を与える」という点では、4年間の特訓で各種拷問を身につけてきた漆間が際立っているように思えます。
一方、教師という地位をフルに活用した黒瀬の、復讐対象を巧妙な罠でじわじわと追い詰めていくスタイルも、相手にとっては相当ダメージがあるだろうな……と。
いじめも、いじめに対する復讐も、人間の業をこれでもかと感じざるを得ない2作品。
ここまでふたりの復讐を見てきましたが、彼らの復讐劇はまだまだ終わりません――。
この続きはぜひマガポケにて! 彼らの復讐劇の行く末をしかと見届けてあげてください!
ぜひ周りの人にも教えてあげてください!
▼『復讐の教科書』はマガポケで読める!
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