○○年前のマガジンはどんな雑誌だったのか、どんな作品が載っていたのか……
今回は、1961年のマガジンを紹介します!
世界のホンダが生まれた年
1961年36号の表紙は、サイドカー付きのオートバイ。
実はこの年、オートバイ業界に大きな事件が起きました。
いま日本にはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの四大オートバイメーカーがあります。
特にホンダは世界でも人気のメーカーで、東南アジアではオートバイのことを「ホンダ」と呼んでいる国もあります(実話)。
「見てくれよ!俺の新しいヤマハのホンダ!」(実話)
今号が発売した61年は、ホンダが世界で最も有名なオートバイの公道レース「マン島TT」レースで優勝。
ホンダが日本のイチメーカーから、「"世界の”ホンダ」へと変わった年でした。
ホンダの優勝を受け「週刊少年マガジン」でも強力プッシュ。
巻頭特集もオートバイ一色!
上から排気量別に代表的なモデルが紹介されていました。
ちなみに上の記事で紹介されているホンダのベンリィCB92は当時の定価で15万円ほど、ヤマハYDSは18万円ほどだったそうです。
当時の大卒の初任給は2万円ほど……
しかし、車はこの2〜3倍の価格だったそうで…
ホンダが優勝するまで、日本国内でも世界でも日本車はイギリス、アメリカよりも「劣っている」という認識がありました。
上の記事でも250ccまでの小排気量では日本車が出てきますが、400ccあたりからイギリス車、それ以上になるとアメリカ車ばかりになるところが、時代を感じさせます。
しかし、これがすべて日本車に変わっていくのが、この61年からなんです!
凄い号に当たりましたが、またもやグラビアはありません……
かっこいいとはこういうことさ
さて、目次を見てみましょう。
創刊から2年半が経ちましたが、漫画は創刊号と同じく5本。
『ちかいの魔球』は、野球漫画の原作や推理小説を数多く手がけてきた福本和也先生と、大々ヒット漫画『明日のジョー』を描ききり、現在も『ひねもすのたり日記』を連載中のちばてつや先生による野球漫画です。
高校野球で大活躍した二宮は、当時のジャイアンツ監督川上哲治、強打者長嶋茂雄にスカウトされ、巨人軍に入団。
次々に現れる強敵、チームの変化、身体の故障と戦いながら、巨人のエースとして成長していく。
川上さんや長嶋さん、王貞治さんなど“超”がつくほど有名な選手たちが登場するほか、実際の巨人軍の成績に合わせて低迷時期の選手の気持ち、努力なども描き当時の子どもたちに大人気の野球漫画だったそうです。
タツノコプロ初代社長の吉田竜夫先生、同社の三代目社長の久里一平先生、『ヘレンケラー』や『ホームズ』シリーズの翻訳なども手がけていた久米穣先生が世に出したバイク漫画。
主人公はオートバイレースの選手であり、正義のために悪と戦うヒーロー。
本作は、ホンダがマン島TTで優勝する前年、60年から連載が始まりました。
多分、いまのバイクでもロケットをつけるのはまずいですね……
あの「世界最速の新聞配達」を思い出しました。
当時、ラジオドラマにもなっていたそうで、大変な人気を持つ作品だったそうです。
西部劇も当時は人気のテーマ
読み物は西部劇もの。
伝説的なアウトローだったビリー・ザ・キッドと、彼を追うガンマン、パット・ギャレットのお話。
早撃ちの名手だったビリーとビリーを倒したギャレットは、現在のアメリカでも大人気な実在したガンマンで、たびたび映画化もされています。
あまりの人気ぶりでビリーのお墓は度々荒らされてしまったようで、お墓も檻で囲まれているそうです。
生前と違って脱獄はできそうにないですが、死後も檻に入るとはさすが伝説的なアウトロー。
かっこいいです。
時代劇と西部劇を組み合わせた『黒い野牛』は、当時、手塚治虫先生、横山光輝先生とも人気を分けるほどの人気漫画家、堀江卓先生の作品。
西部劇の世界に迷い込んだ忍者、甲賀小五郎が忍術やライフルで西部開拓時代を生きぬく……男の子が考える「かっこいい」を詰め込んだような作品でした。
坂崎一彦選手は、巨人軍で活躍した打者。
プロ入り後、高校時代の持ち味だった思い切りの良いスイングを変えて、堅実にヒットを重ねる選手に。
自分の持ち味、得意技を変えてチームを引っぱった練習の鬼だったそうです。
マガジングランプリの前身のような企画を見付けました。
読者から投稿された漫画のキャラクターイラストが掲載されていました。
前号のプレゼント当選者の名前が掲載されているのですが、マガジン手帳当選者はなんと1,000名。
真面目に数えてみましたが、本当に1,000名掲載されていました!
いまから58年前、こちらにお名前が載ってらっしゃるかたに本記事が届いたらちょっと嬉しいです。
1961年の「マガジン」は、オートバイ、野球、車、西部劇、ライフル、忍者、ヒーロー、戦艦など、男の子がかっこいい!と思うものすべてを詰め込んだ漫画雑誌でした。
137ページ、定価は40円。
最新の「マガジン」(2019年36、37合併号)は489ページ、定価300円です!
次回は、王監督率いる日本代表が見事優勝を勝ち取ったワールド・ベースボール・クラシック第一回大会が行われた2006年です!