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双子の恋愛は前途多難? 『花園さんちのふたごちゃん』北島音奈先生インタビュー

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「マガポケ」で大人気連載中、北島音奈先生の『花園さんちのふたごちゃん』は双子が幼なじみを奪い合うラブコメ漫画!
双子の妹・百合子は少し内気なアイドルで、姉・蘭子はギャルなムードメーカー。そんな対称的な「ふたごちゃん」と幼なじみの多々良くんは、百合子に片思い中。しかし、ひょんなコトから蘭子と恋人のフリをすることに…!?

今回は、待望のコミックス1巻発売を記念して、北島先生のスペシャルインタビューをお送りします!

 

漫画家を目指したきっかけは“就職ガイダンス”!

──『花園さんちのふたごちゃん』は、北島先生の連載デビュー作です。まずは先生が漫画家を志したきっかけから、お伺いできればと思います。

 

北島先生:
私は小学校のころから漫画家になりたいと思っていました。卒業アルバムにも「将来の夢は漫画家」と書いているくらい。でも、中学・高校・大学とあがるにつれて、現実的に無理かなと思い始めて……そのころは、美術や保育園の先生になりたいと言ってました。

 

──学生時代は、漫画を描かれていなかったんですか?

 

北島先生:
漫画っぽい絵をノートに落書きしたり、冒頭3ページだけ描いて飽きちゃうみたいなことはありましたけど、ちゃんと描いたことはなかったです。本格的に描き始めたのは大学3年生のころ。大学で強制参加させられた就職ガイダンスで、「私に就職活動はできない」と気づいて……あわてて原稿用紙を買いに走りました(笑)。そのときにはじめて、つけペンやトーンを使った本格的な物語を1本描き上げました。「漫画は紙とペンがあれば描ける!」と思って。

 

──同じくマガポケで連載されている『メイドの岸さん』の柏木先生も、インタビューで同じような就活エピソードを話されていました。

 

北島先生:
自分でも似てるなと思いました(笑)。私も柏木先生と同じで、美大に通っていたので、親近感があります。

 

──美大では、どういったことを学ばれていたんでしょう?

 

北島先生:
日本画学科に所属して、岩絵具という岩を砕いた画材を使って水彩画を描いてました。日本画学科といっても富士山とか屏風絵みたいな絵を描いているわけではなくて、なかには漫画っぽい絵を描いている人もいました。日本画は線で描いていくから、漫画のペン入れに通じるところがあるんです。だから、線の引き方とか根本的なところで、学んだことが活きているなと感じます。

 

──本格的に描き始める前も、漫画は好きで読まれていたんですか?

 

北島先生:
漫画はずっと好きで読んでいました! 少女漫画とか青年誌とか、なんでも好きなんですけど、王道のカッコいい話がやっぱり一番好きです。憧れているのは、読んだ後に爽快感があって「あぁ、楽しかった!」と思える漫画。そういう意味で、少年誌は肌に合ってますね。

 

──影響を受けた漫画作品はありますか?

 

北島先生:
子どものころは、『美少女戦士セーラームーン』や『カードキャプターさくら』みたいな、戦う少女漫画がすごく好きでした。こういう魔法で女の子が戦う作品に根っこのところで深い影響を受けていると思っています。

 

「ふたごちゃん」のモデルは秀才弟と金髪兄…⁉︎

──大学時代の漫画は、すぐ「マガジン」に持ち込まれたんですか?

 

北島先生:
漫画を描き始めたころは、どこに持ち込めばいいのかもよくわかっていなくて、A4用紙に漫画を描いていました。だから「マガジン」新人賞の規定に合わなかったんです。応募の規定がない雑誌があったので持ち込んだんですけど、なかなか連絡がなくて(笑)。そわそわしていた時期に「マガジン」に持ちこんだら、今の担当さんが面白いと言ってくれました。

 

編集担当K:
その持ち込みがMGP(マガジングランプリ)で佳作を受賞しましたからね。「これはすごい才能が来た!」と思って驚きました。

 

北島先生:
持ち込んですぐに「この賞出していいですか」と言われました。その熱意にどんどん巻き込まれて、ここまでの道が出来てきた感じです。

 

──本作の連載は、どういった経緯で決まったのでしょう?

 

北島先生:
実はかなりの紆余曲折が……「ふたごちゃん」にたどりつくまでに、10企画以上をボツにしていますね。バトルファンタジー、音楽漫画、ゾンビ漫画などやってみても、なかなかうまくいきませんでした。

 

──その中で「ふたごちゃん」のアイデアが一番しっくりきたんですか?

 

北島先生:
そうですね。でも、スパッと「これだ!」と決まったというよりは、少しずつかたちになっていった感じです。シンプルなかたちに落とし込むまでに、すごく時間がかかりました……。

 

──ちなみに「ふたごちゃん」のモデルになった人は…。

 

北島先生:
実は、いるんですよ。

 

編集担当K:
おー!知らなかった(笑)。

 

北島先生:
高校時代の知り合いに、双子の男の子がいたんです。別の高校に通っている黒髪スポーツマンの弟さんと、ちょっと気さくで良いやつな金髪ヤンキーのお兄さん。すごく魅力的ですよね。初めて見たときは、漫画みたいだなと思いました(笑)。百合子と蘭子は、そのふたりの雰囲気を女の子バージョンにしています。

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ギャルとアイドルの「強さ」と「弱さ」に惹かれる

──蘭子がギャルなのは、モデルになった双子のお兄さんのイメージからですか?

 

北島先生:
それもあるのですが、もともと「ギャル」というジャンルが好きなんです(笑)。この作品を描き始めたのも、担当さんに「北島さんはどんな女の子が好きなの?」と聞かれて、「ギャルが好き」と答えたのがきっかけです。それで、片割れをアイドルにしたら面白いのでは、となって。

 

編集担当K:
この作品の前の企画でも、アイドルの話はいくつか上がっていましたよね。

 

北島先生:
そうですね。あと、打合せの前は、必ず欅坂46の話をしていたりして。

 

──お好きなんですか?

 

北島先生:
はい(笑)。アシスタント先の職場で欅坂46のことを知って、それで担当さんにも話したら、ドはまりされたみたいで(笑)。ふたりで欅坂46のファンになっていました。

 

──欅坂46のどういうところに惹かれたのでしょうか?

 

北島先生:
欅坂46は反骨精神を売りにした「強い女の子」がテーマのアイドルグループなんです。でも、同時に女の子のある種の「弱さ」も表現されている。そこにグッときます。

 

──反対に、ギャルはどうしてお好きなんでしょう? 

 

北島先生:
ギャルが好きなのも、欅坂46に通じるものがあるかもしれません。金髪にしたり、手にたくさんシュシュを巻いたり、いろいろなアクセやキーホルダーを着けたりしているのは、女の子としての強さを前面に出そうとしているからだと思うんです。そのなかに、内面の弱さがふと見える感じもあって。そこが魅力なんです。

 

編集担当K:
主人公の前では、蘭子の弱い部分が出ていますよね。

 

北島先生:
フェチが出ちゃってますね(笑)。

 

──蘭子とてもかわいいですよね。この口の中の歯まで描かれているカットとか、すごく好きです。

 

北島先生:
私も好きなんですよ! 女の子が出てくるスポーツ漫画で、ビュンと手を振りかざしたときに、風で口がめくれて歯茎が見えるシーンとかあるじゃないですか。妙な生々しさがあるのが好きですね。口はリアルに描いても平気みたいなところがあるので、単純にフェチですね(笑)。

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「百合子」はクラスで一番珍しい名前だった!?

──主人公の多々良くんが生まれた経緯を教えてもらえますか。

 

北島先生:
私、ずっと同じ主人公を描くんですよね。こういう主人公がタイプというより、強い女の子に男の子が振り回される関係性が好きなんです。自然と、女の子を自由に動かしても大丈夫な男の子になっちゃいます。

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──「多々良」は珍しい名前だと思うのですが、この名前を使おうと思ったきっかけは?

 

北島先生:
昔の知り合いにいたんですよ、多々良くん。本作の主人公とは違うタイプで、「ラーメン屋さんになりたい」みたいな男の子だったんですけど。良い名前だなってずっと印象に残っていて、いつか使いたいと思ってました。

 

──蘭子と百合子の名前は、どうやって考えたんですか?

 

北島先生:
実は意外な理由があるんです! 「マガジン」読者は年齢層が上だと聞いていたので、キラキラネームはやめようと思ってたんです。でも、少し珍しい名前は何だろうと考えていたとき、ちょうど友達に小学生の弟さんがいて「クラスで一番変わっている名前教えて」って聞いてみたんです。そしたら返ってきた答えが「ゆりこ」で…!

 

──変わってる名前が「ゆりこ」なんですね!

 

北島先生:
そうなんです! もう大半がキラキラネームだから、「子」がついている名前は古風な感じで変わっているらしくて。若い子には逆に新しいんだ、これはちょうどいいと思って、妹はすぐ「百合子」に決まりました。花がつく名前で統一したかったので、姉は響きとしてかわいい「蘭子」にしました。

 

蘭子は理想の女の子、百合子は等身大の女の子

──本編では三角関係も深まりつつ、夏の旅行や水族館デートなど、ドキドキのラブイベントが続いてます。そのなかでも先生が特に気に入っている回はありますか?

 

北島先生:
百合子の気持ちをしっかり描くことができた水族館デート(17~18話)はお気に入りの回のひとつです。蘭子は理想の女の子なんです。けど、百合子はちょっとネガティブな悩みがあったり、自分にとっても等身大でリアルなところがあって。そういう女の子のモノローグを描けたのは、すごく楽しかったですね。

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──18話ではアイドルの仕事に打ち込んでいるあいだに、多々良くんと蘭子の仲が深まっていたことに悩む描写もありますね。でも、そこで仕事も恋愛もあきらめないと決意する百合子は、すごく強い女の子だなと感じます。

 

北島先生:
「仕事を頑張ってる女の子はカッコいい!」という気持ちがあるんです。だから、百合子は多々良くんとの恋愛もありつつ、アイドルの仕事を生半可な気持ちでやっているわけではないことを、しっかり描きたいと思いました。

 

編集担当K:
その百合子が決意してるシーンは、最初「どっちもがんばりたいけど……」と悩んだまま終わる案もありましたよね。でも、実際にネームが上がってきたら「どちらも頑張る」という強い決意をしているものに変わっていました。

 

北島先生:
ウダウダ悩んでいるよりも、好きなら「ちゃんと好き」と認める女の子が好きです。なので、蘭子が自分の気持ちに気づくエピソードとか、展開が速いという感想もあるんです。でも、自分に正直になれることも強さだと思うので、そういう女の子にしたいなと。

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──今後の展開で、ポイントになるのはどんなところでしょう?

 

北島先生:
ふたごちゃんの関係ですね。単行本1巻に、ふたりの幼少期を描いた「おまけ漫画」が入っているんですが、そこでは百合子と蘭子の関係がいまとは少し違うんです。その関係の変化とか、ふたりがお互いのことをどう思って成長してきたのか、なにをきっかけにふたりの関係が変わっていくのか……そこを一番描きたいと思っています。今後の「文化祭」編では、ふたりの関係が深掘りされていくので、楽しみにしていただけたらなと。

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単行本1巻収録「おまけ漫画」より

 

目指すは千田先生のダイナミズム…!?

──ちなみに、先生がいま「マガポケ」で注目している作品はありますか?

 

北島先生:
千田大輔先生の『ヒロインは絶望しました。』は、いつも楽しく読ませてもらっています。それと最近、面白くて一気に読んじゃったのが、うぐいす祥子先生の『ときめきのいけにえ』です。ホラー漫画だから怖いんですけど、怪物がどこかキュートに描かれていて「これがホラーの面白さだ…!」と感動しました。

 

──千田先生の作品は、よく読まれていたんですか?

 

北島先生:
千田先生の作品は『異常者の愛』や『マコさんは死んでも自立しない』など愛読しています。芯の通った“変態”がたくさん出てくるんですが、変態なりの正当性みたいなのがあって、道徳的に明らかにおかしいことを言っているのに読んでいるうちに応援しちゃう。そこが不思議です。

 

──千田先生から影響を受けたこともありましたか?

 

北島先生:
読者にめちゃくちゃストレスをかけ続けて、最後にスパンと気持ちいいことを言うキャラが登場すると、一瞬で好感度が爆上がりするので、そういうのがすごく勉強になります。見習いたいと思ってるんですけど……これからがんばります(笑)。

 

──最後に読者の方にメッセージをお願いします。

 

北島先生:
ほかにもいっぱいかわいい女の子が出てきますし、ふたごちゃんはふたりとも苦労すると思うけど、絶対楽しい話になります。最終的に、この漫画の登場人物はみんな幸せになるから、安心して読んでください!

 

──ますます目が離せない展開になりそうですね! ありがとうございました。

 

ぜひ周りの人にも教えてあげてください!

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