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【第112回新人漫画賞締め切り直前特別企画】〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家への花道 『ブルーロック』原作・金城宗幸先生が新人漫画家の悩みを解決!

新人漫画家さん必見!! 今回は、第112回新人漫画賞締め切り直前特別企画として、漫画家先生へのインタビュー「漫画家への花道」を大公開! 『ブルーロック』の原作・金城宗幸先生が新人漫画家の悩みを解決しちゃいます!

 

大人気ヒットメーカーが考える漫画の作り方!!
『ブルーロック』原作・金城宗幸先生に聞く!

読者が熱中する創作の極意!!

「週マガ」にて『ブルーロック』を大好評連載中の金城宗幸先生に電撃取材! 金城先生の漫画創作論をお聞きしました!

 

金城宗幸先生Profile
大阪府出身。2011年、『神さまの言うとおり』(別冊少年マガジン)にて原作者デビュー。その後は、『僕たちがやりました』(週刊ヤングマガジン)や『ジャガーン』(週刊ビッグコミックスピリッツ)を連載。現在、週刊少年マガジンにて『ブルーロック』、ビッグコミックスペリオールにて『スーパーボールガールズ』を大好評連載中!!

 

●極意1
新人時代の過ごし方

――最初に新人時代の話をお聞かせください。連載デビュー前、作品を作るうえで何か意識していたことはありましたか?


 新人時代は、担当編集さんからの意見や提案された漫画の企画を描いてみるという点を意識していました。自分の考えだけを漫画にするより、担当編集さんと一緒に漫画を作った方が面白いと感じているので、とにかく人の意見を大切にしていました。
 原作者としてですが、初めて連載をとった『神さまの言うとおり』は、担当編集さんから企画を投げてもらってスタートした作品ですし、編集者や周りの人の意見・ニーズに耳を傾けながら作品を描くことが新人時代は大切かと思います。


――金城先生は原作者として連載デビューされていますが、最初から原作者志望だったのでしょうか?


 最初は、漫画家志望として作品を作っていました。しかし、学生時代に絵の勉強を全くしておらず、二十歳ごろから絵の技術に関して悩んでいましたね。そんな時に、担当編集さんから原作者への道を提案されて、思い切って原作者として頑張ろうと思いました。
 実際に絵を描くことよりもネームを作ることの方が好きだったので、振り返るとあの担当さんからの提案には大感謝です!
 僕はたまたまネームを作ることが好きだったのですが、逆に絵を描くことの方が好きという作家さんもいるはずです。選択肢を狭めないために、新人作家さんには「視野を広く持つ」ということを忘れないでほしいですね。

 

●極意2
世界観は要素の掛け合わせ

――次に、作品の作り方についてお聞かせください。金城先生は作品の世界観を考えるときに、何を意識していますか?


 要素と要素の掛け合わせとかは意識していますね。連載中の『ブルーロック』であれば、サッカー要素と生き残りをかけたデスゲーム要素を掛け合わせれば、新規性があって読者は興味をもってくれるかなーって。自分が考える面白いアイデアを表現するというより、この作品を読んだ人がどう思うかという外部の視点を大切にしつつ、世界観を考えていますね。
 だからこそ、世の中にある要素やアイデアを組み合わせて、誰も考えたことがない作品を生み出してやろうって思っています。
 加えて、作品のターゲット層や規模感とかも意識してますね。「この作品内容だと誰にウケがいいのか」や「どんなメディアミックスが可能か」などしっかりと連載前から考えています。自分だったらこの作品をどう楽しむのか、何を求めるか、年齢やターゲットは作品ごとに異なりますが、その点は必ず意識していますね。
 ちなみに現在連載中の『ブルーロック』は、小・中・高生が楽しく読んでくれる漫画という認識でネームを考えています。あくまでも少年漫画として、僕が子供の頃に読んでたらきっとハマっていただろうという感覚を大事に描いています。

 

●極意3
作品を生み出す過程

――『ブルーロック』では独特な世界観だけでなく、登場するキャラクターも人気です。世界観を考えてから、登場するキャラクターを考えるのですか?


 僕は、必ず世界観から考えます。そのあとでキャラクターを生み出していく感じです。今まで連載してきた全作品、その形で内容を考えていました。
 登場させたいキャラクターから考えると世界観が定まらず、自分の中でも納得のいく作品が考えられないと思っています。やっぱり面白い作品って、その作品にベストマッチする主人公が描かれているんです。だから僕の作品に対して、「この世界観だからこそ、この主人公!」みたいに読者の皆さんが思ってくれると嬉しいですね。一言で言うと、「主人公たる理由が世界観と必ずリンクする」という意識が重要かなと!

▲世界一のエゴイストを生み出すという新規性のある世界観。


――世界観を作り、キャラクターを考えるんですね。では、キャラクターを考えるうえで、何か工夫はありますか?


 登場するキャラクターは、常に主人公に対して矢印を向けるように意識しています。
「主人公に対しての矢印」というのは、何かしらの感情を持っているということです。
 怒りの感情でも、悲しみの感情でも、嫉妬でもなんでも問題ありません。感情というほどでもなく、ちょっと意識しているとか、少し気に入らないとかでも大丈夫です。登場するキャラクターが何かしらの感情を主人公に持っていると、エピソードも思い浮かんで描きやすいので、僕はその点を根底においてキャラクターを考案しています。


――どの立場のキャラクターから考えるのですか?


 ライバルとかも含め、先に仲間側を決めることが多いです。もしくは作品を動かすゲームマスター的なキャラクター。『ブルーロック』だとゲームマスターとして絵心甚八、最大のライバルならば凪 誠士郎や糸師 凛とか。主人公に向けた感情が大きく、とても分かりやすいので、そういった順番で考えますね。漫画を担当してくれる作家さんも感情面が分かると描きやすいと思いますし…。

▲ゲームマスターとしての役割を担う絵心甚八。


――確かに、漫画を描くうえで、キャラクターの感情面が分かると描きやすそうですね。


 原作者として当たり前かもしれませんが、自分が描くネームは誰が漫画を描いても面白いものであるべきと思っています。自分が生み出すネームが面白くないと、漫画を描いてくださる作家さんに失礼だし、何よりも読者の皆さんに納得がいくものを提供できませんから。どのネームも全力を出し切って、今の自分が表現できる1番面白いものを描いているつもりです。ネームの段階で面白く、さらに絵が入るとプラスで面白くなる。こんな状態が僕にとっては理想ですね。

 

●極意4
プロットは大枠から考える

――ネームのプロットについて、組み立てる順序をお聞かせください。


 基本的には大きな枠組みから順に考えています。連載案として考えるのであれば、1巻分の内容、1話ごとの内容、1ページごとの内容といった順番です。大枠から考えると全体の内容を俯瞰的に見ることができ、キャラクターの感情やエピソードについて矛盾がなく描けるので、個人的にはオススメです。また、全体像をつかんで1話ごとの内容を考えることで、読者のニーズも反映しやすく、先の展開がどんどん思いつくので自分としてもネームを作ることが楽しいです。

 

●極意5
コマ割りは迫力がでるように

――金城先生は奇抜なコマ割りが多いと思うのですが、コマ割りに関して意識していることはありますか?


 特に意識していることはないです(笑)。ただ、最後のページは、必ず次の話が読みたくなる終わり方にするよう意識はしています。
 以前に僕が作るネームに関して、「どの話も最後のページが劇場版アニメ作品のキービジュアルのようなコマ割りですね」と言われたことがあり、良い言葉だと思いました。でも考えてみると、漫画の最後のページがキービジュアルのようなコマ割りであれば、読者の皆さんも「続きが気になる! 次も早く読みたい!」と感じてくれると思うんです。だから、継続して作品を読んでもらえるように、後半にかけて無意識にコマを奇抜にしているのかもしれません。
 加えて、最後のページは読者の皆さんの心をつかむために、その話の本質ではなく、面白いかもという次回への匂わせみたいな認識で進めています。
 あと、コマ割りという概念とは関係ないかもしれませんが、僕は見開きが大好きなんです。現代社会にはたくさんのコンテンツがありますが、見開きが表現できるのは漫画だけだと思うんです。映画や音楽では体験できない感覚が独特で、作品の中に必ずと言ってもいいほど入れてしまいます(笑)。それに加えて、迫力があるシーンを見開きで読むと、鳥肌が立つじゃないですか。あの感覚を読者の皆さんに共有したくて、1話の中に見開きを入れて描くことが多いです。

▲キービジュアルと例えられるような最終ページ。


――最初に漫画を描いた時からこのコマ割りだったのですか?


 最初からこんなコマ割りでした。考えてみると、子供時代に読んでいた作品に影響されているのかもしれません。好きな漫画といっても一つではなく、たくさんあったんです。少年漫画、青年漫画、少女漫画などたくさんの作品を読んでいました。そして、自分で漫画を描く立場になって、「あの作品はこんなコマ割りしてたな」とか「この作品はこの構図が面白い」など考えるようになり、それらを取り入れた結果として今のコマ割りになったんだと思います。

 

●極意6
ネームは2人の自分で修正する

――ネームを修正する際にどういうことに気をつけているのでしょうか。編集者から意見を受けて直す場合と自分で修正する場合で差はあるのでしょうか?


 担当編集さんの意見は、基本的には受け入れて修正する方向で考えています。もちろん、自分が納得するかどうかも大切ですが、何かしらの引っかかりがあって、意見を提示してくれるので。より良い作品を作るために、僕はネームを修正することに関して抵抗感はありません。自分で直す場合も同様です。


――ネームを修正することに関して、全く苦はないのですか?


 修正前のネームより修正後のネームが面白ければ、僕は何も問題ないと思うんです。最終的には面白い作品を生みだすというゴールがあって、担当編集さんも同じゴールに向かって歩んでくれているので、面白いアイデアがあれば何でもアリだと思います。
 一方で、「面白いアイデアや提案が担当編集さんからしか出てこない」という状態は良くありません。自分から「これが1番面白いんです!」というネームを作るように努力をして、それを担当編集さんと共にブラッシュアップしてもう1段階面白くするという認識ですかね。こんな感情でいつもネームを描いています。
 個人的な意見ですが、僕は「ネームを描いている時の自分」と「ネームを修正している時の自分」を別人だと思っています。それぞれを別の自分で見ているからこそ、他人の意見を受け入れやすく、客観的に面白さを判断できるので。2つの側面を持つ自分を認識して、使い分けることで、納得のいく作品が生み出せるのかなと思っています。

▲鳥肌が立つ見開き。漫画担当のノ村優介先生の絵も組み合わさり、迫力のあるシーンになっている。


――最後に、新人作家さんに向けてメッセージをお願いいたします。


 「自分が連載を勝ち取ることで、他の誰かは連載を取れない」ということを理解していると良いのかもしれません。
 他の作家さんと競い合って連載するという認識を持つと、必然的に今の自分が出せる最高の面白さを表現することにつながります。
また、面白いアイデアや企画は出し惜しみせず、全てを出し切る感覚で漫画を作ってみてください。常に100%で漫画に挑み、今しか描けないものを生み出す。これが連載への近道だと思います!
 皆さん、諦めずに頑張ってください!


――本日はありがとうございました!


 こちらこそ、ありがとうございました!

 

『ブルーロック』は「週マガ」で大好評連載中!

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第112回新人漫画賞
特別審査委員長はマガポケにて『黒猫と魔女の教室』連載中の金田陽介先生!!

締め切りは2024年3月31日必着! ご応募お待ちしております!!

 

ぜひ周りの人にも教えてあげてください!

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