マガポケで大好評連載中の『魁の花巫女』。
現代日本を舞台に、人々に災いをもたらす“禍神(まがつかみ)”と戦う美少女集団 “花巫女(はなみこ)”の活躍を描いた、和風バトルファンタジー作品です!
今回は、きただりょうま先生に、『魁の花巫女』の誕生秘話から制作の裏側まで、さまざまなお話を伺いました!
●企画を実現するためにマガポケへ! 『魁の花巫女』が生まれるまで
――きただ先生が漫画家を目指したきっかけを教えてください。
きただりょうま先生(以下、きただ先生):
子どもの頃から絵や漫画を描くのが好きで、なんとなく「自分は将来漫画家になるんだろうな」と思っていました。いつもノートに落書きをしたり、好きなキャラクターを模写したり、『ポケットモンスター』の漫画を描いたりしているような子でしたね。本格的に漫画家を目指し始めたのは、大学生になって、漫画の勉強を始めてからです。
――漫画の描き方はどのように学ばれましたか?
きただ先生:
最初はほとんど独学でしたが、漫画家さんのアシスタントを経験したことが一番勉強になりました。プロの仕事現場では、自分の引き出しにはないことがたくさん学べるわけです。それはもう感化されましたね。現場を知ったことで、プロの漫画家として活動するイメージも具体的になっていきました。
――その後、「ジャンプSQ.」でのデビューまではどのような経緯があったのでしょうか?
きただ先生:
大学卒業と同時に、「ジャンプSQ.」の月例賞に応募し、『放課後デッドライン』で佳作をいただきました。受賞作がデビュー作となる場合が多いと思うのですが、僕の場合は、賞の結果を待つ間に描いた『みゅうたんと!』が、『放課後デッドライン』より先に誌面に掲載されて。なので、正式なデビュー作は『みゅうたんと!』になります(笑)。
――『みゅうたんと!』でのデビュー後、『μ&i みゅうあんどあい』『ド級編隊エグゼロス』などのヒット作を経て、マガポケで『魁の花巫女』がスタートします。本作が誕生するまでの経緯を教えてください。
きただ先生:
前作『ユメオチ~ユメで僕らは恋にオチる~』(ジャンプ+)を連載中に、次の企画として考えていたのが、『魁の花巫女』の元となる企画です。元の企画は、現在連載中の『魁の花巫女』と異なる部分も多いのですが、当時お世話になっていた編集部さんで連載には至らず……。個人的に描いてみたい企画だったこともあり、編集部さんの了承を得て、マガジン編集部さんに持ち込みました。
――企画当初から、和風バトルファンタジーの世界観はできあがっていたのでしょうか?
きただ先生:
最初は、江戸時代風の架空の都市が舞台でした。ですが、架空の街を舞台に「花巫女」という架空の職業まで出てくると、ファンタジーすぎて入り込めないな、と。もっとシンプルに、「花巫女」の要素はそのままで、舞台を現代日本に変えていきました。
――キャラクターも当初とは変えているのでしょうか?
きただ先生:
そうですね。企画当初、主人公は女の子にする予定でしたが、読者の方が僕に求めているものって「男性読者目線での共感」だと気づいたんです。そこで、男性教師である主人公・新(あらた)が、花巫女たちの最高責任者である「楼主(ろうしゅ)」を目指して奮闘する物語にしました。
――マガポケでの連載が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
きただ先生:
紆余曲折を経ての連載だったので、やりたかった企画が実現して、素直にホッとしました。僕の作品を読んできてくださった方はもちろん、はじめましての方にも読んでいただきたかったので、読者層の広いマガポケで連載できてとても嬉しいです!
●目を見れば、キャラが分かる!? 女の子をかわいく描くこだわりとは
――本作は、和風の世界観が特徴です。世界観を表現するうえで、影響を受けた作品はありますか?
きただ先生:
『千と千尋の神隠し』ですね。もともとジブリ映画が好きで。女の子が神様相手に接客する姿を、和風ファンタジーの世界観に落とし込もうと思い付きました。それをもとに、バトル要素も入れたかったので、“よい”神様への接客の見返りとして、“悪い”神様に対抗する力が与えられる設定にしています。
――舞台設定を作り込む中で苦労したことはありましたか?
きただ先生:
今まで和風ファンタジーものを描いたことがなかったので、描き始める前の準備期間が大変でした。資料や素材を集めて、遊郭の歴史や、かつて吉原で使われていた用語など、ひと通り勉強しました。作中に「花魁言葉」を入れているので、そこも注目してほしいです!
※禍神を倒したときの決め台詞「おさらばえ」は、江戸時代の遊女が使っていた言葉。
――本作には個性豊かな女の子がたくさん登場します。女の子をかわいく描くポイントはありますか?
きただ先生:
“目”です! まつ毛の描き方やハイライトの入れ方など、キャラクターごとに細かく作り込みました。たとえば、新が面倒を見ている丁子(ちょうじ)部屋の健気な女の子・春椿(はるつばき)は、目のハイライトがお花の形になっているんです! 女の子がたくさん出てくる作品なので、目を見ただけでキャラが分かるようにしています。
――きただ先生の推しキャラクターはいますか?
きただ先生:
作者の目線になってしまうのですが、描いていて楽しいのは、丁子部屋のちょっと野性的な女の子・稲妻(いなづま)です! 褐色キャラ特有の肌艶をトーンで見せたり、身体のふっくら感を表現したり、作画面でこだわっています。特徴が多いので手間はかかりますが、その分、表現方法を試せる楽しみがありますね。
●モンスターの描き方は、“本能で恐怖する”ホラーをリスペクト!
――人々に災いをもたらす「禍神(まがつかみ)」を描く際に意識しているポイントはありますか?
きただ先生:
世界観に合わせて、和風ホラー要素を足しています。禍神はモンスターですが、「モンスター」と聞いて思い浮かべる姿とのミスマッチ感がポイントです!
――最初に出てきた禍神も、長い髪が特徴的でしたね。
きただ先生:
あの禍神は、貞子をイメージしました。バトル漫画で、キューティクルのある綺麗な長髪のモンスターは見ないですよね(笑)。
――ホラー作品からインスピレーションを得ることが多いのでしょうか?
きただ先生:
そうですね。モンスターの顔の一部を隠す演出は、映画『呪詛』を参考にしました。お化けの顔がはっきり見えないと、得体の知れないものに対峙している恐怖を感じるんですよね。実際にホラー映画などを観て、本能的にぞわっとしたものを参考にしています。
●「凹(ぼご)ぉ」「肉(ぐに)」……!? 漢字オノマトペで、前例のない表現に挑戦!
――本作の和風要素として、オノマトペに漢字が使われているところも特徴的です。このアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?
きただ先生:
作品の雰囲気に合わせて、漢字を印象的に使ってみたいと思っていました。特徴的なオノマトペが出てくる作品はありますが、全編漢字で表記されている作品はあまり見たことがなかったので、やってみようと。前例のない表現に挑戦することで、話題になればいいなと思っています。
――外国語翻訳版では、どのように表記されるのか気になります。
きただ先生:
中国では、漢字としてそのまま意味が通じそうですよね。それ以外の国では、どうでしょう……? 漢字がかっこよくて好きな方は多いと聞くので、海外でもそのまま漢字が使われるかもしれないですね。
――作中に出てくるオノマトペでイチオシのものはありますか?
きただ先生:
殴るアクションに対して「凹(ぼご)ぉ」など、オノマトペと意味が合致しているものが好きです! あとは、肌と肌が触れ合うときの「肉(ぐに)」も。そんな読み方はないんですけど(笑)、なぜか読めなくもないラインを意識しています。
――言葉の繋がりで言うと、タイトルも印象的ですよね。
きただ先生:
言葉遊びが好きなので、タイトルも掛け言葉にしたくて。花魁っぽいイメージも入れたかったので、花魁の由来になったとされる言葉「花の魁」を参考にしました。「花魁」と「巫女」のミスマッチ感も気に入っています。
●もしも先生が「謉(ことだま)」を使うなら――?
――楼主の血を引く新は、発した言葉に実現力を付与する能力「謉」が使えます。この能力を印象的に使用するため、意識していることはありますか?
きただ先生:
「どう使うか」よりも、「どうしたら使わずに済むか」をいつも考えています。謉は強すぎる能力なので、ある程度リスクや制限を設けないと、チート能力になってしまうんですよ。その塩梅を考えるのが難しいです。
――ちなみに、先生が謉を使えるなら、何をしたいですか?
きただ先生:
自分に対して、「もっと自信を持て」と自己暗示をかけたいですね!
――作中では他者に対して使われることが多い能力ですが、先生はご自身に……?
きただ先生:
現実で相手に対して謉を使うのはやばいヤツなので(笑)。自己暗示で強くなるキャラクターが好きなので、自分にバフをかけたいです!
●花巫女たちの“和装じゃない”私服姿に注目!
――2024年7月の連載スタートから、約9か月が経ちました。描いていて一番楽しかった回はありますか?
きただ先生:
可愛い女の子を描くのはもちろん楽しいのですが、異形のモンスターを描くのも同じくらい好きなので、その両方が出てくる第27話が一番楽しかったですね。まぁ、楽しさと同じくらい、大変なんですけど……(笑)。
――今後、注目してほしいシーンや見どころについて教えてください。
きただ先生:
花巫女の服装です! 花巫女は、彼女たちが暮らす「廓夜城(くるわやじょう)」にいる間は和装なのですが、外に出るときは私服に着替えます。今後は外で活動するシーンが増えてくるので、花巫女たちみんなの私服姿を楽しんでいただけるようにしたいですね!
――注目しているマガポケ作品がありましたら教えてください。
きただ先生:
果坂青先生の『GALAXIAS』ですね。密度、漫画表現、デフォルメ、どれをとっても上手なんです! ストーリーももちろん楽しみにしていますが、漫画の技術書としても勉強になります。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします!
きただ先生:
いつも読んでくださり、ありがとうございます! コメントや感想が励みになっています。作品の公式X(旧Twitter)では、宣伝として毎週プレゼント企画をやっているので、そちらもたくさんの方に参加していただきたいです。アニメ化を目指してこれからも頑張りますので、ぜひ応援よろしくお願いいたします!
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●『魁の花巫女』
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ぜひ周りの人にも教えてあげてください!