日本が誇る大エース読売ジャイアンツ菅野智之投手に寺嶋裕二先生が直撃インタビュー!!
シーズンで最も優れた先発投手に贈られる沢村栄治賞を ２年連続（2017・2018年度）で受賞し、 日本を代表する圧倒的エースに登りつめた 読売ジャイアンツ・菅野智之投手。
その裏には『ダイヤのＡ』さながらの地獄の合宿を耐え抜き、コツコツと積み重ねてきた 「エースの信頼」があった──。
高校時代の経験が菅野投手の反骨心を育んだ
─最初に、東海大相模高校を選んだきっかけを教えてください。
菅野選手：
伯父の原監督（辰徳監督・巨人）も含め、父も母も全員、東海大相模で……選択の余地はなかったですね（笑）。スポーツ推薦で入って、野球漬けの３年間でした。
寺嶋先生：
最初からピッチャーで入ったんですか？
菅野選手：
ピッチャー以外はやってないですね。
寺嶋先生：
初めてのベンチ入りはいつでしたか？
菅野選手：
２年生の春です。１年生の時は、入学してすぐに肩を痛めてしまって、ずっと何も出来ませんでした。
中学時代は軟式だったので、硬式になって球の重さが変わると、球速が上がったように感じられるんです。面白がって投げていたら、肩を壊してしまいました。
寺嶋先生：
怪我をしている時期は、辛かったでしょうね。
菅野選手：
祖父が東海大相模の監督を長らく務め、伯父が原監督ということもあって、周りはきっとサラブレッドとして見てきているんだろうな、と自分の中で勝手に思い込んでしまって。
最初の１年間は怪我をして野球ができなかったから、「特待生で入ってきたのに」という目で見られていると感じて辛かったですね。でも、それが僕の反骨心を育ててくれたから、結果的には良かったのかなと思います。
寺嶋先生：
高校時代から、プロは意識していましたか？
菅野選手：
プロにはなれないと思っていました。夏の大会が終わった後に、門馬（敬治）監督と進路相談をする機会があって。
「どうしたい？」と言われたので、プロに行けるチャンスがあるならやってみたいと。でも、指名されても５位とか７位の下位になりそうだと言われて……。
寺嶋先生：
そこに引っかかりがあったんですか？
菅野選手：
ジャイアンツに入りたいという気持ちがやっぱりあったんですよ。でも、僕がジャイアンツに下位指名で入るとなったら、「原監督の甥だから取ってもらったんでしょ？」になってしまう。
そこから脱却するためには、絶対的な実力をつけなきゃいけないと思って、「大学に行かせてください」と監督に言いました。それは良く覚えていますね。
──『ダイヤのＡ』を、読まれたことはありましたか？
菅野選手：
もちろんです！ 色々な野球漫画があるなかで、最初から主人公がすごいわけじゃない作品は珍しいし、リアリティがありますよね。
野球漫画の中には、ありえない描写があったりもしますけど、『ダイヤのＡ』の描写には説得力があります。そういう意味では、身近に感じられる野球漫画だと思います。
寺嶋先生：
『ダイヤのＡ』の青道高校は、「練習やりすぎ！」と言われることもあって、「地獄の冬合宿」もやりすぎなくらい描いちゃったかなと……。
菅野選手：
僕も読みましたけど、すごくリアルだと思います。当時、１週間くらいの冬合宿があって、その練習がめちゃくちゃきついんです。
朝５時起床で、５時半にホームベースに集合。今日の目標を言ってから、「ヨーイドン」の合図でグラウンドを10周。次はタイヤ押し、タイヤ引き50ｍを10本ずつ。地下１階から６階まで校舎の階段の上り下り10本、素振り２００本やってから朝飯なんですが、その後、１発目の練習が走塁練習なんですよ。まだ走るのって（笑）。
寺嶋先生：
すごいですね（笑）。
菅野選手：
練習後は、みんなが集まる寮の部屋で、チームメイトが泣きはじめるんですよ。ベッドに入っても寝るのが怖くて。目をつぶった瞬間にアラームが鳴ってるから。もうあっという間に翌朝なんですよ。
寺嶋先生：
一瞬で目が覚めてしまう。
菅野選手：
次の日になって欲しくない（笑）。寮のアラームを聞くと、めっちゃ憂鬱な気分になりました。
寺嶋先生：
それが１週間続くのは……。
菅野選手：
地獄でした。でも、終わった時の達成感はすごかったですね。
寺嶋先生：
僕がこれを描いた時は、合宿で有名な日大三高を参考にさせてもらいました。合宿最後の日に、感動して泣いたという逸話があって。
泣くまでには作中の練習量が足りないと思ったので、この話は２ページくらい増やしたんですよね。ちょっとやりすぎたかなと思ってましたが、リアルにやってたんですね……。
菅野選手：
あの頃は良く出来ていたなと。今は１００％出来ません（笑）。
寺嶋先生：
高校時代の練習は今に活きていますか？
菅野選手：
当時は正直、つらかったです。でも、あれを耐えられたら、大概のものは耐えられると思いますね。相模時代は技術面よりもメンタル面が磨かれたと思います。
寺嶋先生：
高校野球の練習も年々進化してると思いますが、同じ投手として沢村や降谷にアドバイスするなら……？
菅野選手：
沢村には御幸という優秀な捕手がいるので心配ないですよ。あんな冷静なキャッチャーなかなかいないですから。ウチの小林（誠司選手・巨人）にも真似させたい部分がたくさんあります（笑）。
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