日本を代表するゴールハンターFW・大久保嘉人選手が登場!
『ブルーロック』作中で行われるエゴイスト育成計画や、学生時代の自主練の思い出や、試合に臨むスイッチの入れ方、自身のエゴイストFW論について語っていただきました!!
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大久保嘉人
現在ジュビロ磐田所属のプロサッカー選手。福岡県出身。2003~2014年の日本代表FW。史上初めて3年連続でJリーグ得点王に輝き、J1通算最多得点記録保持者でもある。
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“エゴイストFW論”、俺も賛成です。
―――本日は、〝百獣の王〟の異名を持つ点取り屋で、日本を代表するFW・大久保選手と『ブルーロック』のコラボインタビューということで、どうぞよろしくお願いいたします。
大久保選手:
よろしくお願いします。『ブルーロック』が提唱している「エゴイストFW論」は、俺も賛成です。
正しいと思いますよ。
ストライカーにはそういう部分が必要だと思いますし、今の日本にはなかなかそういうタイプの選手はいないですから。
―――ありがとうございます!大久保選手は、いつからFWやプロを目指されたのですか?
大久保選手:
プロを目標にしたのは、小学5年生の頃です。
当時Jリーグが開幕して、そこから具体的に意識しました。
それ以前も点を取るプレーはしていましたが、FWを本格的に志したのはプロ入りしてからです。
プロは結果を求められますから、一番結果としてわかりやすい「点を取ること」に執着するようになりましたね。
「要求力」こそFWのエゴイズム
―――プロ入り後、日本屈指のFWとして、日本代表やJリーグ3年連続得点王と、現在にわたり大活躍されています。そのプレーの根本には、「エゴイズム」はあったのでしょうか?
大久保選手:
ありますね。
FWのエゴとは、「要求」できる力だと俺は思います。
俺も「俺が決めてやる!俺にボールをよこせ!」という強い気持ちでプレーしています。理想的なFWって、苦しいときに決められる選手だと思うんですよ。
俺も「あいつに渡せば何とかしてくれる」という存在でありたい。
そうなるためには「俺によこせ」と要求するパワーが必要です。チームメイトに日頃からそういう姿勢を伝えていく。
結果とコミュニケーションで、ボールを託してもらえる雰囲気を作っておく。
―――言い換えると、それは「失敗も含めて自分が背負う」という宣言とも言えますよね。そうしたエゴイストであり続けるための秘訣は、何かあるのでしょうか?
大久保選手:
自分に対して「自信」を持つことです。
俺も、ゴールを決める一発を持っている自信があるから、要求することができているので。その自信を途切れさせないことがエゴイストへの道だと思います。
「自信」がエゴを支える
―――「自信」を持つためには、どうすればいいのでしょうか?
大久保選手:
まずは、とにかく練習すること。
「あんなに練習したんだ」という自負が、必ず支えになります。
プロ入りしてからも、全体練習が終わった後でキーパーを捕まえて(笑)、自分の気がすむまでシュート練習に延々と付き合わせたり。監督に「帰れ」と言われたりするんですけど(笑)。
練習しないで入ったシュートはたまたまですから、それでは気がすまないですね。
子供の頃から特に取り組んでいるのは、壁当て練習です。
壁の狙ったところにボールをシュートするんですが、その時に、足の甲や指のどの部分にボールをどう当てると、どのようなコース・速度・回転で飛んでいくのか、細かく細かく検証するんです。
今では、自分の足でどう蹴ればどのようにボールが飛ぶか完全に理解しているので、「こう蹴れば絶対に決められる」と、試合中のシュートでも自信が持てます。
そういう積み重ねですね。俺はそういうやり方で点を決め続けてきたので、その結果がまた自信になって。
―――『ブルーロック』では、作中の寮で選手たちが厳しい練習とハングリー精神を鍛えるための苦しい生活を行っているのですが、厳しい環境は意味があると思いますか?
大久保選手:
あると思いますよ。
俺も、学生時代の練習はめちゃくちゃ厳しかったですからね(笑)。
ああいう経験が、妥協しない精神に繋がっていると思います。
俺も寮で生活していたことがあるんですが、競争心も培われましたね。
みんなスカウト組で、全員プロになりたいから本気なんです。
朝5時くらいからみんな自主練をするんですが、俺は朝が苦手だったんです。
当時のチームメイトたちが、俺を起こさないように練習に行くんです、出し抜くために(笑)。
それで俺も隣で寝てる奴に声をかけずに自主練をしたり、窓からこっそり脱出したり(笑)。競って練習していました。誰にも負けたくないという精神は、大切な気がしますね。
―――当時の自主練習の思い出はありますか?
大久保選手:
公園に行って、ゴミ箱から空き缶を拝借して並べて、ドリブルの練習をしたりしましたね。
空き缶はちゃんと片付けますよ(笑)。
他には、ゴミ箱に遠くからシュートをして、うまくボールを入れる練習もしました。
そのゴミ箱の後ろがちょうど深い溝になっていて、外すといちいち下りてボールを回収しなくちゃいけないので、めちゃくちゃ面倒くさいんですよ!!
そうやって自分を追い込んでシュート精度を上げたり(笑)。
―――少年時代からのそうした練習が、「自信」を育てていくんですね。それでも戦場は、プロや世界の舞台です。気持ちや「エゴイズム」が折れそうになることはないのでしょうか?
大久保選手:
もちろんあります。
シュートの不発が続いたりすると、気持ちが弱ってゴール前ドフリーで超チャンスな状況だとしても「俺のところにパス来るなよ」と思ってしまったりする。
でも、そういう時でも「要求」を止めることなく、弱いところは見せない。求め続ける。
練習を思い出したり、これまでの成功体験を思い返して「俺ならやれるはずだ」と気持ちを奮い立たせて。それでシュートを決めれば、乗り越えた自信がまたつきますから。
他にもメンタル的な、俺なりの気持ちの作り方があって。
気持ちを弱らせる要因を意識的に遠ざけることもやっています。
―――といいますと?
大久保選手:
例えば俺は、試合前に対戦相手の研究分析をあまりしすぎないようにしているんです。研究すると、相手の能力や動きが事前に頭に入ってしまうので、試合で「あの選手、今頃研究で見たあの動きで俺の背後に迫ってきているんじゃないか?」というように、悪い想像として相手の動きが読めてしまって、変に警戒しすぎてしまうんですよ。
そうした不安やビクつきが自信の邪魔をしたりするので、俺は試合は出たとこ勝負で、無用な不安を排除しますね。あとは、試合が始まったらすぐに気持ちを外に表現してFWとしてのスイッチを入れるように心がけています。
マッチアップした対戦相手に対して、いい意味であえて怒りを開放する。「この野郎、俺のプレーを妨げやがって!」というように。そうすることで、闘争心を高めることができるんです。
気持ちを外に出さないで淡々と臨んだ試合は、やっぱり得点できませんね。
ストライカーの必須能力
―――世界で戦う選手のメンタルのお話、とても参考になります。そんな大久保選手の、「忘れられないゴール」はありますか?
大久保選手:
2005年、スペイン(※RCDマヨルカ)に移籍して開幕デビュー戦で決めたゴールです。
あれは気持ちよかったですね。
ホッとしたんです。
本当にいいシュートを撃てた時は、撃った瞬間に「あ、決まったな」とわかるんです。
蹴った瞬間からシュートが決まるまで、全てがスローモーションになるんですよ。
何物にも代えられない気持ちよさです。
これはFWしか味わえない喜びだと思います。
―――大久保選手が考える、ストライカーに必要な能力を1つ挙げるとしたらなんでしょうか?
大久保選手:
ここにボールが来るな、と直感で読める「嗅覚」ですかね。
ゴール前で、シュートなどでボールが動くと、普通誰もがどうしてもボールを目で追ってしまって一瞬動きが止まってしまうんですよ。
そこで動きを止めずに、ボールの出先へ走りこめる選手。
それが「嗅覚」のあるストライカーだと思います。なかなか習ってできるものじゃないんですよ。
この国に〝エゴイスト〟を生むために
―――『ブルーロック』は、「日本がW杯で優勝するためには稀代のエゴイストストライカーを育てることが必要」という物語です。
大久保選手:
冒頭でも言いましたが、正しいと思います。
自分の気持ちをしっかりと外に表現できる選手が日本にはもっといるといいと思いますね。
プロでも「俺が!俺が!」という気持ちを外に出せる選手は少ないですから。
日本は、周囲を気にして、エゴな気持ちを外に出しすぎるのはみっともない、というような価値観が根付いているのかもしれません。
海外だと、少年チームの選手でもそうしたエゴイズムを遠慮なく外に出していますから。
―――そうした選手を育成するために、どのようなことを行うといいでしょうか?
大久保選手:
やっぱり、まずは自信を育てること。
そして、若いうちから熾烈な競争を経験させることだと思います。
勝った快感も大切ですが、負けた悔しさも大きな糧になるんですよ。
そうしたプラスマイナス両方の感情をしっかりと表に出させること。
あとは、失敗を恐れなくていいと学ばせる事。そこがストライカーのいいところです。
それまでにどれだけ失敗していようが、一発ゴールを決めればすべての評価がひっくり返りますから。
―――最後に、マガジンを読んでいるサッカーキッズに一言お願いします。
大久保選手:
「点を取って自分が主役(ヒーロー)になりたい」というタイプの選手は、FWに向いていると思います。
いくら外そうが恥ずかしがったり落胆せずに、一発ゴールを決めて世界をひっくり返す瞬間まで、それを含めて楽しんでサッカーをしましょう。
そういうエゴイズムを持った選手がたくさん出てくると嬉しいですね。
俺も『ブルーロック』を読んで勉強しますよ(笑)。
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明治安田生命J1リーグ
第31節 11月9日(土)14:00キックオフ VS FC東京 @ヤマハ
第33節 11月30日(土)14:00キックオフ VS 名古屋グランパス @ヤマハ
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