前回に引き続き、「マガポケ」責任者に詰め寄ってみました。
一回で終わるかと思ったら、聞きたいことがどんどん出てくる……
今回は、いまの「マガポケ」の複雑怪奇なシステムについて。
何が無料になって何が無料じゃないのか。
ポイントとチケットって何が違うのか。
たくさん使っていてもイマイチよくわからない、そんな数々の疑問について、「マガポケ」の責任者を問い詰めてきました!
値段がバラバラだったりチケットで読めたり読めなかったりするのは運営の陰謀なのか?
——載っている作品については前回 のお話で理解できました。
次は値段について聞かせてください。マガポケって作品やエピソードごとに値段がぜんぜん違うじゃないですか。これはやっぱり「高くても売れるだろう」って作品だけ意図的に高くしてるんですか?
運営:
違います!
値付けの基本はページ数です。
1エピソードが4ページの『生徒会役員共』と1エピソードが45ページの『進撃の巨人』が同じ値段だったら変ですよね?
だから、基本的にはページが長い漫画ほど高くなります。
単行本の値段によっても多少、左右されているところがあります。
同じ192ページの漫画の単行本でも、大きいサイズ(青年誌サイズ、B6版とかいいます)と小さいサイズ(少年誌サイズ、新書版とかいいます)は値段が違いますよね。
——でも、同じ漫画でもエピソードごとに値段が違いますよ?
運営:
発表されてから時間が経っているエピソードはバックナンバー価格として安くなっています。
あとは、キャンペーンとして一時的に序盤のエピソードだけ安くなっていたりすることがあります。
——ふーん。じゃ、次はポイントとチケットについて。
これはもう、ホント、なんなんですか?
運営:
なんでそんな不満そうなんですか。
——これも全然わかんないですよ。
ポイントを使って読んだときと、チケットを使って読んだときの違いってなんかあるんですか?
運営:
チケットで読んだ話は、72時間後に読めなくなります。
もう一度読むにはまたチケットを使うかポイントで購入するしかありません。
一方で、ポイントで購入した話は期限制限なく、いつでもいくらでも読み返すことができます。
運営側での会議では、チケット利用は「レンタル」、ポイント使用は「購入」という感じで表現してますね。
——作品や話数によってチケットで読めたり読めなかったりするのは?
運営:
オリジナル作品は最新話以外すべてチケットで読めるようになっています。
それ以外の作品については、運営や編集部や作家さんのポリシーによって、チケットで読める範囲が決められています。
全部チケットで読める作品は稀ですね。
あと、まったくチケット範囲が設定されていない作品も一定数以上あります。
——なんで? 全部チケットにしてくださいよ。そっちの方が読者が増えていいじゃないですか。
運営:
うーん。そういう考えをする方もいれば、やっぱりチケットは無料なので、無料で読んでもらえる範囲は限定したい、と考える方もいます。
——マガポケ運営の責任者としてはどうなんですか?
運営:
僕は作品によって使い分けるべきだと思っています。
チケットにするべき時期とそうでない時期は、作品ごとに異なると。
だから、作品によって範囲が異なるいまの状況を変えるつもりはないです。ごめんなさい。
——ケチ。ケチケチケチ。
そもそも「マガポケオリジナル作品」ってどういう定義なんですか? 『ワンダンス』は「アフタヌーン」にも掲載されていますが。
運営:
「マガポケ」に載るのが最速の作品をマガポケオリジナルとしています。
同時、あるいは「マガポケ」の方が後に掲載されるものはオリジナルとして扱いません。
他にもいくつか細かい決まりはありますが。
——なるほどね。じゃあ、次は更新タイミングと連載システムについて問い詰めます。
いつ更新されているのかまったくわからない作品があるのは運営の怠慢だ
——作品によって、いつ更新されているのかまったくわからないものがありますね。気がついたら数話分いきなり増えていたりします。あれはいったいなんなんですか?
あと、更新されるのに全然無料にならない作品もあります。
新連載オリジナル作品って言ってるのにすでに10話とか20話溜まっているものもあります。
どうなってるんですかいったい!
運営:
ちょ、落ち着いてください。なんでそんなキレてるんですか。
——失礼、「マガポケ」のあまりのむちゃくちゃっぷりに、言っててムカついてきてしまって。
運営:
たいへん申し訳ない。
では順番に説明します。まずは後ろから、「オリジナル作品の新連載なのにすでに10話とか20話ある」件についてです。
結論を言えば、これは「移籍」です。
——と、言いますと?
運営:
他の雑誌ですでに連載されていたものの、戦場を「マガポケ」に移したい、という希望で移籍した作品ですね。
そういうものはマガポケオリジナルとして扱いますが、すでに元の媒体で連載されていた分がありますので、話数が溜まっている、ということになります。
——じゃあ次、「更新」はされるのに全然無料にならない作品があることについて。これは何なんですか?
運営:
「マガポケ」で配信されている漫画のうち、「無料連載」を行っていない作品の場合、そうなります。
——待って。
そもそも「無料連載」って何?
運営:
「一定の周期でエピソードが順番に無料になっていく」ことを指しています。
無料になっていくペースは、作品によって毎週だったり隔週だったり月イチだったりします。
わかりにくいとは思うんですが、月刊誌の作品も多いので、更新ペースがばらけてしまうんです。
マガポケ上では「連載」という画面に表示されているものが、この「無料連載」を行っている作品です。
——「無料連載」していないのに「更新」される作品があるっていうのは、どういうことなんですか?
運営:
たとえば「イブニング」で連載されている『金田一37歳の事件簿』。
これは「イブニング」が発売されると「マガポケ」にも最新話が追加されるようになっています。そうするとエピソードが追加されるので更新されます。
が、無料連載は行っていません。有料のエピソードが増えていくだけ、という形です。
——無料連載すればいいじゃないですか。
運営:
さっきのチケットと同じ考えですね。無料連載に向く作品とそうでない作品がある、と。
あとは、まあ、諸般の事情です。
——出た、「諸般の事情」。
じゃあ次、いきなり10話とか話数が増える作品について。これはマガポケの運営が更新作業をサボっているということでいいですね?
運営:
よくないですよ。
これは「単行本が出たら、その単行本に収録されているエピソードを一気に追加する」という作品です。
『ぐらんぶる』とかがこれにあたりますね。
——なんでそんなややこしいことするんですか?
新しいエピソードが雑誌に掲載されるたびに転載すりゃいいじゃないですか。
運営:
これも作品によりますね。
単行本での加筆や修正が多いので、なるべく完全な形でマガポケに掲載したい、と考えている作品なんかはその例のひとつです。
あとは、「雑誌と同時に配信」っていうのは運営の手間としても結構大変なので、そのあたりも影響したりします。
——いや、それは運営ががんばりゃいいじゃないですか。作品の事情は仕方ないけど。
運営:
ど、努力します、すみません。
——あ、あとお気に入りにした作品が「更新されたよ!」って合図出してきてて、ワクワクして見に行ったら更新されていない、ということもあります。これはもうケンカ売ってるんですよね?
運営:
売ってません。勘弁してください。
ちょっと複雑なロジックなんで簡単に説明しますが、そういう場合は無料話か有料話のどちらかが更新されているはずです。
有料話を購入して追っている人は無料話の更新は関係ないんで、「何も更新されてないじゃん」となっちゃうことがあるかもしれません。
このあたりについては「そのユーザーさんがどのような時にその作品を読んでいるか」を判定するのが意外に難しくて、なかなかバチっとしたシステムにできていない自覚はあります。
もうちょっと開発と相談します。
ポイントがぜんぜん溜まらないことについては我慢の限界です
——ポイント、なんであんなにケチくさいんですか。
もっとたくさんくださいよ。
運営:
「マガポケ」は作品にポイントを消費すると、作家さんにお金が入る仕組みになっています。
エピソード購入でも「もっと応援」でも、これは同じ割合で作家さんに還元されます。
そして、消費されたポイントが「無料ポイント」でも「有料ポイント」でも、作家さんには同じだけのお金が還元されます。
——ん? 答えになっていないような。
運営:
無料ポイントを大量に配ってしまうと、運営としては「売上がないのに作家さんへの支払いだけが発生してしまう」ことになります。
たとえば毎日「この作品を読むと5ポイントプレゼント」という作品を指定しています。これを読んでユーザーさんが5ポイント得て、それを溜めて使って作品を読むと、「マガポケ」から作家さんに支払いが発生します。
でも、「マガポケ」は1円も儲かってない。赤字ですね。
この状態がひどくなってしまうと、「マガポケ」そのものを運営していけなくなってしまうので、無料ポイントの配布はある程度の上限を決めてやっていかないといけない、ということです。
——いやいや。宝箱ゲームありますよね。
あれは僕らユーザーが動画を見ることで「マガポケ」にお金が入る仕組みになっていること、僕は知ってますよ。
運営:
その通りです。
あれはユーザーさんが動画を視聴することで「マガポケ」にもお金が発生しています。
でもそこで発生するお金は、作家さんへの還元率と同じくらいです。
難しい話は省きますが、めちゃくちゃぶっちゃけると、あそこで発生した売り上げは右から左に作家さんに還元され、「マガポケ」はまったく儲かってません。
赤字にならないだけマシですけど。
——そんなの講談社が赤字出せばいいじゃないですか。
もっとポイントください。作家さんもユーザーもそれで喜ぶんだからいいじゃないですか。
運営:
む、無理です。
「マガポケ」が潰れます。
——でしょうね。話を戻すと、つまりユーザーがポイントを使えば使うほど作家さんが儲かる?
運営:
はい。無料でも有料でも、ポイントを消費することで作家さんの収入につながる、というシステムになっています。
「マガポケ」内の一部の人気作品だと、原稿料や単行本の印税よりも、「マガポケ」からの支払いの方が多い、というものもあります。
——あ、なんかドヤ顔してる。ムカつくなあ。ポイントの溜め方とかについてはユーザーへの説明はないんですか?
運営:
アプリ上にそれを解説しているコーナーなどがありますので、参照していただけると。
——あ、ついでに聞きたいです。機種変更とかスマホが盗難されたときって、せっかく買った作品も読めなくなりますよね? なんとかなりませんか?
運営:
ユーザー登録をしておいてもらえると、データの復旧ができます。
破損してしまった場合、機種変更をした場合などにデータの引き継ぎができますし、トラブルが起きた際にも素速く対応できます。
アプリの「設定」画面からいつでも登録できますので、ぜひよろしくお願いします。
——最後に「マガポケ」読者に向けてひと言いただけますか?
運営:
新連載、アプリのアップデート、キャンペーン、企画など、年内の予定がぱっつんぱっつんです。
新しい漫画、新しいデザインや機能、お得なキャンペーン、楽しい企画、いろいろやっていきますので、2019年、2020年も、マガポケをよろしくお願いします。