
今回は、「別マガ」9月号に掲載された【ショウ年マンガ】音楽家ヤマモトショウの自由研究 第1回「なんで私が別マガに?」を大公開!
●別マガ異色のエッセイ連載、始動―!
ショウ年マンガ
音楽家ヤマモトショウの自由研究
第1回「なんで私が別マガに?」
■世界で一番かわいい曲をつくる人、現る!
はじめまして、作詞作曲家/音楽プロデューサーのヤマモトショウです。今、まさにこの一文が目に入った方は、「なぜ別マガにこんな文章が?」「というか誰?」となっていることと思います。
正直なことをいえば、僕自身も「なぜ?」という気持ちで今、書き始めています。漫画が大好きで小さい頃から買い続け、今でも年間で漫画に…万円使っている(正確な数字は身内にも内緒にしているので、お手柔らかにお願いします)、僕としてはまさかマガジンで「連載」をすることになる未来がやってくるとは、その驚きだけでも何曲も歌詞が書けそうなくらいです。
さて、僕は普段は音楽プロデューサーをしておりまして、今特に多い仕事はアイドルとのお仕事です。自他共に認める「世界で一番かわいい曲をつくる」人ということで、日々かわいい曲を沢山作らせてもらっています。今年に入ってから楽曲を提供したのは、「FRUITS ZIPPER」「きゅるりんってしてみて」「最終未来少女」「わーすた」など。最近ではNHK Eテレ「おかあさんといっしょ」にも楽曲を書いたりしました。他の活動として、静岡で「fishbowl」というグループのプロデュースもしています。
■夏フェス! それはアイドル&ファンの夢ッ!!
普段はアイドルの方と仕事をする機会が多く、イベントに帯同することもしばしばです。別マガ読者の皆さんの中にもアイドルファンの方がいらっしゃるかもしれませんが、この季節のアイドルといえば、夏フェスを思い浮かべる方も多いでしょうか。気温以上に、他のイベントと一線を画す「熱さ」がありますよね。
アイドルフェスの中でも、特に知名度が高いのはTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)かと思います。今年もちょうど、この別マガが発売になる8月の頭頃がTIFのシーズンです。僕自身はそれほど、アイドルファンというわけではないのですが、それでもスマイルガーデンに向かっているときに『ガールズルール』(「乃木坂46」)のイントロが流れてきた時は流石に走りましたし、夜のスカイステージで「フィロソフィーのダンス」や「fishbowl」が自分のつくった曲を歌ってくれていたときの感動は忘れられないです。炎天下の中、屋上に向かうエレベータを待つ価値があるイベントだと思います。
アイドルのメンバーの方と話しても「とにかく暑くて大変だけど、やはりそれを超える楽しさがある」と口を揃えて言います。とはいえ、彼女らからしたら暑さに体力は奪われたり、汗でメイクは崩れたりと、大変な日々だと思います。それでも、笑顔でステージに立っている彼女たちを、みなさんにはぜひ全肯定で応援してあげてほしいと思います(僕もこの期間は無条件にほめてばかりです)。

▲作業部屋①。東京と静岡の2拠点生活をしています。
■【名作スポーツ漫画、決勝戦がピークじゃない】論!
さて、せっかくの別マガ連載ですので、大好きな漫画の話もさせてください。夏になると読みたくなる漫画が沢山あります。夏の風物詩なスポーツ…特に高校野球を扱った漫画は熱くて好みです。語りたいものがありすぎますが、とにかく何度も読み返したくなる名作といえば、あだち充先生の『H2』かもしれません。リアルな人間が言って意味のある、それでいて夢のある名言に溢れています。
少々ネタバレになりますが、ストーリーのハイライトが、甲子園の準決勝だったのは意外でした。あえて、決勝じゃないんですよね。『H2』の劇中で何度も言及されている野球漫画の金字塔、梶原一騎先生・川崎のぼる先生の『巨人の星』のハイライトは「血染めの決勝戦」でした。それでは『H2』のピークが決勝戦ではないのは何故だったのでしょうか? 今回はこれを勝手に自由研究してみたいと思います。
こちらは高校サッカー漫画ですが、安田剛士先生の『DAYS』でもハイライト的試合は全国高校サッカー選手権の準決勝となっていました。ただ、その前の三回戦でも絶対王者に挑む物語のピークとなる試合があって、井上雄彦先生の『SLAM DUNK』の山王工業戦が思い起こされました。こうしてみると、野球以外の漫画でも決勝より前に天王山を持ってくる作品は少なくないように感じます。
これは私だけの感覚のような気もしますが、甲子園の決勝戦があるのはお盆過ぎなので、夏のピークの時期は過ぎているように思います。どちらかといえば2、3回戦くらいがまさに夏…という感じがしませんか? 「夏真っ盛りの時の試合にしたいからハイライトは決勝より前」…うーん、あまり納得感がないです。ちなみに高校サッカー選手権の決勝戦は1/10過ぎだと思いますが、別に冬真っ盛りですもんね。気候はあまり関係ないかもしれません。ただ、この頃には冬休みが終わってしまうから、サッカー部以外は地元に戻らないといけないかもしれませんよね…むむ?
ここまで考えてみて、スポーツ漫画内でのハイライトがしばしば決勝戦以前の試合なのは「キャラクターのスケジュール」に関係があると予想しました。というのも、高校スポーツ漫画の全国大会では、宿舎などで全国の猛者たちの交流が描かれる感じも「日常回の非日常シーン」という感じでいいですよね。しかし、決勝近くになると実際にはほとんどのチームは地元に帰ってしまうことになるので、そういう日常回がバラエティに欠けてしまう部分があるのかもしれません。
「他校の魅力的なキャラが揃っているのが3回戦~準決勝くらい説」…いかがでしょうか? そういえばアイドルのフェスも、最終日よりも前日のリハーサルや初日の夜くらいが、僕は一番テンションが上がっているかもしれません。
■漫画に【経験】は必要!?
宿舎のシーンのような「リアルな温度感」は、漫画家の先生に経験がないと描けない気もするのですが、実際のところはどうなんでしょうか? スポーツではないですが、赤坂アカ先生の漫画『推しの子』での夏フェスのシーンは、まさに前述のTIFをイメージして描かれていたように思います。アイドルが大部屋(TIFではテレビ局の社屋を使うので、大きなスタジオが楽屋代わりになっています)に集められているシーンなどはリアルすぎて驚きましたし、業界関係者の視点が入っているのかもと感じました。
甲子園に出場した経験のある人が甲子園にいく高校野球漫画を描いていたら、それはすごいでしょうね。甲子園とまではいかなくても、野球漫画を描く方はやはり野球経験者が多いようにも思いますが、逆に経験がない方がちょっと現実離れした面白い設定にもトライできるのかも…と思ったりもします。それこそ『キャプテン翼』の高橋陽一先生はサッカーの経験はなく、昔は野球をやっていたという話ですし、意外とそんなものなのかもしれません。
僕も元々音楽は好きだったのですが、アイドルが好きというわけではなかったのです。が、今はアイドルの曲をたくさん作っています。「近いけど、ちょっと違う」くらいが名作誕生のポイントになっていたりするのかもしれません。
8月の担当編集
3月4日にお声がけして3月10日に連載が決まりました(笑)
即断即決のヤマモトさん、NEW KAWAIIと思います!
次回 「かわいいってなんだろう」 につづく!
ぜひ周りの人にも教えてあげてください!
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