単行本第１巻、10月16日（金）発売!!
※通常版、特装版同時発売
今回は「週刊少年マガジン」46号に掲載中の硬梨菜先生特別書き下ろし小説（１万文字）の冒頭1,000文字を特別に公開しちゃいます！
今回は、サンラクのクソゲー仲間、アーサー・ペンシルゴンが『シャンフロ』に出会う物語。
シャングリラ・フロンティア外伝
巨人殺しの第一筆 -ビギニング・ペンシル-
天音 永遠という人間にとって、現実というものはひどく窮屈で不自由なものだ。
彼女の社会的地位（ステータス）を知る者が聞けば随分と贅沢な悩みだと呆れるか、笑うかもしれない。だが当人は至って真面目にそう思っている、そして半ば諦めてそれを受け入れている……表向きには。
「ふぅん……ほとんど五世代先、ってのもあながち噓じゃあないのかも……？」
『シャングリラ・フロンティア』。
世に数多のゲームが放たれてきた中、発売前の期待に応えたものもあれば裏切ったものもある……だがこのゲームは世の全ての期待を想定以上に裏切る、という形で世界に轟く産声を上げた。
その凄まじさを語れば枚挙に暇がないが、雑草を引き抜いた指に残る土と青い草の匂いまで感じ取れるリアリティと、哲学について語り合えるNPCの知能レベルと言えば大抵の人間にはその凄さが伝わるというもの。
「おっとこの美人は……って、まぁ私なんだけど。いやすごいなぁ……リアルの顔をキャラメに反映するのは珍しくないけど再現度完璧だわ……」
フルダイブゲームにおいて、ユーザーの現実での姿をそのままプレイヤーアバターに反映する技術はそう珍しいものでも無い。だがそのほとんどは限りなく近いパーツを組み合わせる、言うなれば高級なモンタージュ写真とでも言うべきものであって、少なくともこのゲームのような極めて現実に近い再現ではない。
とはいえ天音 永遠はキャラメイクを行うタイプのゲームでは二つの縛りを設けている。一つは自分のリアルの顔と体型……要するに天音 永遠のガワでゲームをプレイする事にしている。とはいえゲーム内でも自身がトップモデル天音 永遠である事をアピールするわけではない。
本人が本人そっくりのアバターを使った上で「いや私は天音永遠ではありません」と言うのが密かな楽しみという中々悪い趣味の持ち主なのだ。
そしてもう一つ。
「えーと、フルスクラッチフルスクラッチ……と」
キャラメイクは自身の手で自身の姿を一から完全再現する事。なんてことはない、縛りとも言えないささやかなこだわり。だがそういった小さなこだわりの達成こそがモチベーションにつながるのだと永遠は信じている。
毎晩見てども見飽きぬ程に見てきた己の顔を、『シャングリラ・フロンティア』という世界に出力していく。鼻梁（びりょう）を整え、頬のラインを調節し、見目麗しく、それでいて一割以下の誇張を入れて……
「完・璧……」（パーフェクト）
本来の天音 永遠よりも本当に、本当に僅かに目尻を上げた事で引き締まった顔をした己の分身を眺めながら永遠はしばしの充足感に浸る。とはいえここで満足してしまってはこのゲームを買った意味がない。
「さぁて……あとは名前か……」
続きは「週マガ」46号、または単行本で！
お待たせしました！
単行本第１巻は、10月16日（金）発売!!
通常版の表紙はこちら！
単行本カバー裏には詳細なキャラクタープロフィールを掲載！
第１巻はサンラク!!
名前：陽務楽郎
誕生日：11月21日
好きなもの：ゲーム、エナジードリンク
特技：ミュートで音ゲーをフルコンクリアする、利きエナドリ
更なる情報は単行本で！
数量限定!! 第１巻購入特典ペーパー付き！
サンラクのイラストに加え、硬梨菜先生書き下ろし「サンラク自己紹介文」も掲載!! 一部書店にて配布します！
特典ペーパー配布店舗は、作品公式ツイッター、週刊少年マガジン公式サイトにてお知らせいたします。
さらに！ 単行本の巻末には硬梨菜先生特別書き下ろし小説も収録!!
サンラクのクソゲー仲間である、カッツォとペンシルゴンが一堂に集結！
バグだらけの格ゲー『ベルセルク・オンライン・パッション』（通称『便秘』）を遊び尽くす！
特装版は、硬梨菜先生書き下ろしの特別外伝も加わった小冊子付き！
特装版の表紙はこちら！
特装版『シャングリラ・フロンティアエキスパンションパス』
特装版特典は、超豪華上製本仕様の硬梨菜先生書き下ろし小説!! 全32Pの大ボリュームでお届け！
外伝小説の表紙を飾るのは、「夜襲のリュカオーン」!!
本誌に掲載された「サイガ-O外伝小説」全3話に加え、サイガ-O「最大火力（アタックホルダー）」獲得の瞬間を描く、ここでしか読めない特別外伝!!
（少しだけチラ見せしちゃいます！）
最大記録（レコードホルダー）、それは『シャングリラ・フロンティア』において一種の頂点として設定された称号群を指す。取得条件は規定値を凌駕する結果を示すこと。
誰に？ 世界に、だ。
誰に結果を見せるわけでもない、ただ最大にして最高峰のパフォーマンスを実行した瞬間にその称号はプレイヤー全てに通知されるアナウンスと共に与えられる。だがその称号がプレイヤー達に齎された（もたらされた）事は、片手の指で数えられる程にしかない。
（続きは特装版で！）
