あのとき、Aじゃなくて、Bを選べばよかった……
シナリオライターで小説家の木緒なち先生によるライトノベル『ぼくたちのリメイク』は、「このライトノベルがすごい!」の2018年版で文庫部門6位、そして2019年版でも同7位に輝いた、28歳の主人公が人生をやり直しをしていくファンタジー。
本作品をキャラクター原案をえれっと先生が担当し、閃凡人先生が漫画化しました!
ほんの少し、勇気を出せばよかった。
自分の気持ちに素直になればよかった。
もし、やり直しができたら?
やり直しの人生は、はたしてうまくいくのか?
2016年から、2006年へ
28歳の橋場恭也は、とあるエロゲメーカーのディレクター。
しかし入社した会社は、コネがあるという有名シナリオライターには返信さえ貰えず、頼んだ女性原画家さんは社長のセクハラメールにより途中降板。
社長の妄想ともいえるプロットでなんとかシナリオを書くも、開発は難航して借金は膨れ、会社は倒産。
恭也は実家に帰ることになりました。
恭也だけでなく、妹も離婚して実家に帰ることになり、部屋を片付ける恭也。
恭也にとって思い入れのある画集でした。
そこへ、大手ゲーム会社「サクシード」の新作発表通知が。
プラチナ世代のトップクリエイターとは、ライターの「川越京一」、シンガーの「N@NA」、イラストレーターの「秋島シノ」。
3人とも1988年生まれで、恭也と同じ年。
恭也も合格通知をもらっていた大中芸術大学卒。
それよりもランクの高い第一志望に合格し進学していました。
「もし大中芸術大学に行っていたら…」
プラチナ世代と出会っていたかもしれない。
一緒にものづくりをして、泣いたり笑ったりしていたかもしれない……
たくさん膨らむ、「もし」「もし」「もし」の妄想の連続。
で、ドーンと落ち込む!
中途半端な生き方をしている自分に、気付かされる。
痛いですが……よくあることです。
ところが……
ウトウトして目が覚めたら、2016年から2006年へ戻ってしまいました!
そうして恭也は、あのとき選ばなかった「もう一つの選択肢」を選ぶことにしました。
プラチナ世代の3人と同じスタートラインに立ったのです。
もう一つの選択肢の厳しい現実
無事入学した恭也は、住むことになるシェアハウスへ。
同じ大中芸大に通う3人の同級生と同居生活がはじまります。
貫之と、奈々子と、シノアキ。
全員同じ映像学科でした。
大中芸術大学、映像学科は、誰もが知る国民的アニメの監督や、世界的なゲームメーカー陣天堂にも多数のクリエイターを輩出しています。
オリエンテーションでは、実技担当の加納助教授が。
135人中、なりたい仕事に就けた卒業生は8人。
それが現実です。
学校には映像を愛してやまない生徒が沢山。
その中から、特別になれる人間はほんの一握り。
自分は甘かったと、恭也は考え直します。
プラチナ世代がすぐそこに?
その夜、シェアハウスの4人で親睦会を開催。親睦会後、忘れ物を届けにシノアキの部屋をのぞいた恭也。
パソコンに向かって一生懸命に描くシノアキを見つけます。
10年後、「この画集は捨てられない」と大切に持っていた一冊のイラスト集は、シノアキの作品。
シノアキは10年後にプラチナ世代と呼ばれるひとり秋島シノでした。
奈々子とバイト先が一緒になった恭也。
クレーマーにクレームを受ける奈々子のピンチを恭也が救ったことで、奈々子に誘われ、2人でカラオケに行くことになりました。
カラオケ大好きの奈々子、実は歌が下手でした。
でも、全身から「歌が大好き」という熱い思いが聞こえてくるような熱量のある歌です。
恭也の提案を奈々子は恥ずかしがって断りますが、またカラオケについてきてほしいと恭也に頼みます。
今のところ奈々子はN@NAではなさそう……
もしかしたらすぐ近くにプラチナ世代の2人もいるかもしれません!
存在しなかった「もう一つの選択肢」を選べば、ほんとうに私たちは、今よりも輝いた人生を歩んでいたのでしょうか。
それとも、また違った失敗を繰り返すのでしょうか。
「ぼくたち」と一緒に考えてみませんか?