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今の時代だからこそ、エロくて楽しい作品を! 『お願い、脱がシて。』完結記念! 川中康嗣先生インタビュー

2019年の連載開始から現在まで、マガポケで絶大な人気を誇ってきた『お願い、脱がシて。』が、本日ついに完結。

 

呪われたパンツを脱がすことができる“解呪の右手”を駆使して、様々な女の子を救ってきた神手英心の物語に、終止符が打たれます。

 

今回は、『お願い、脱がシて。』完結を記念して、川中康嗣先生にこれまでの歩みを振り返る特別インタビューを実施! 制作秘話や、キャラとパンツに込めた想いなどについてお話しいただきました。

 

●こんなにも満足できる「完結」は二度とないかもしれない

──『お願い、脱がシて。』完結、おめでとうございます! 最終回を迎えた心境を教えてください。

 

川中康嗣先生(以下、川中):
ありがとうございます! 最終回の原稿を昨日提出したばかりなので、まだ終わったという実感はないのですが……(笑)。やりきった安心感はあります。ですが、長く連載することで自分の画力不足を痛感するところもありました。連載が終わった後は絵の練習をしたいですね。

 

──物語の終わり方についてはいかがでしょうか?

 

川中:
自分がここまでちゃんと納得のいく形で作品を完結させられることは、作家人生でもう二度とないかもしれないと思うくらい、とても満足していますね。
連載を続けていくことはできても、自分の思い通りに完結できるかはまた別の問題で……。自分でも納得できる終わり方ができたのは、とても幸せなことだと思います。

 

●年末年始も休みなし! 3年半、一度も休載しなかった理由は「読者のため」!

──長期連載をする中で、嬉しかったことはありましたか?

 

川中:
コメントやSNS、お会いした方からの感想は嬉しかったですし、連載の励みになりました。あとは、一週も休まずに連載を続けられたことかな。正確には、一度だけ掲載されなかった週はあるのですが……。

 

担当編集S:
一週だけ、編集部都合で掲載を遅らせてもらったときがありました。注釈を入れておきましょう(笑)。

 

川中:
「あのとき載ってなかったじゃん」とツッコまれないように(笑)。

 

──反対に、苦労されたことはありますか?

 

川中:
これは声を大にして言いたいのですが、キャラクターが多くて作画が本当に大変でした! 当初、こんなにキャラクターが出る作品になるとは思っていなくて……(笑)。1ページに26人とかいるうえに、それぞれが特徴的なアイテムを着けていたりするので、とにかく作画に時間がかかりました。

 

──当初の予定よりヒロインが増えた理由は何だったのでしょうか?

 

川中:
「ひとりを脱がして、また次の人を脱がして……」というスタイルは決まっていましたが、数人でそれを繰り返すだけでは面白くならないので。徐々に神手のハーレム化が進み、キャラクターも増えていきました。

 

──多くのキャラクターを描き分けながら、休載せずに続けるのは相当大変だったのではないでしょうか?

 

川中:
マガポケはマガジン本誌と違って合併号がないので、すでに決まっている「お休み」というものがないんです。そのため、休載を入れずに続けようとすると、年末進行では1週間に2本の原稿を提出しなければなりません。そこに単行本作業が重なったりすると、寝られない日々が続きました。仕事初めが元日だったことも……。

 

──原稿を落としそうなときはなかったのでしょうか?

 

川中:
ありますよ! 何なら、昨日提出した最終回も結構危なかったですね……。最終回だけ落ちる可能性もありました(笑)。

 

担当編集S:
マガポケの連載は、5月のゴールデンウイーク、8月のお盆休み、12月~1月の年末年始期間と、スケジュールが厳しいタイミングがいくつかあり……少なくとも1週は休載を入れる作家さんが多いのですが、川中先生にはなんと一度も休載なしで原稿をあげていただきました。これは相当すごいことですし、読者のみなさんも嬉しかったと思います。

 

川中:
ページ数を減らすこともなかったので、そこは自分を褒めてあげたいです。ただ、神手が呪いの本体から「世界か翼のどちらかを選べ」と迫られる最重要回(177話)が年末進行に被ってしまって。あの回の作画はかなり大変でした。


──感動的なエピソードの裏に、そのような苦労があったのですね。なぜ休載なしで走り続けられたのでしょうか?

 

川中:
『お願い、脱がシて。』は日曜日の連載だったのですが、なんとなく、日曜日に休載だと読者のみなさんが寂しいかなと思い……。大変ではありましたが、みなさんに毎週届けたいという気持ちで頑張れました。

 

●神手が「パンツを脱がす男」のイメージを変えた……!?

──描いていて楽しかったシーンや、思い出深いシーンを教えてください。

 

川中:
思い出深いシーンは、ハロウィン編のクライマックス。神手が封印されそうになるシーンです! 神手は「パンツを脱がして女の子に忌み嫌われる存在」として封印されそうになるのですが、女の子たちが「神手は違う」と庇うんですよね。

 

 

──女の子からの信頼が神手を救った、ということでしょうか?

 

川中:
神手家は呪いを封じる者が「呪いそのもの」になる宿命を背負った家系。だから、神手が呪いを抱えた状態で滅んでしまえば、呪いの連鎖は終わると考えられていたわけです。でも、神手家の中で英心だけが女の子からの信頼を得て、新しい神手家のかたちを作ることができた。神手を犠牲にすることなく、呪いの連鎖を終わらせる方向に持っていくことができました。神手は、女の子から嫌悪感を抱かれるような「パンツを脱がす男」のイメージを覆す存在です。

 

──そうした物語の設定はどのように考えていったのでしょうか?

 

川中:
実は、この作品は「FINAL FANTASY Ⅹ」の影響を受けています。「FINAL FANTASY Ⅹ」には、定期的に増えすぎた人口を減らしにくる「シン」という破壊神みたいな存在が出てくるのですが、ゲームを進めていくと、シンを倒したものは新しいシンになってしまうことが明らかになります。

 

──本作の「呪いを封じる者が呪いになる」という構造に通じますね。

 

川中:
そうなんです。「呪いの輪廻を終わらせる」というテーマがこの作品の根幹にあって、神手はようやくそこに行き着いたわけです。それは長期連載を通じて、神手が信頼を積み重ねないとたどり着けない境地だったので、ハロウィン編で明確にできたのは嬉しかったですね。

 

●散りばめられた伏線に注目!

──他にも何か仕掛けがあるのでしょうか?

 

川中:
映画的な演出を入れたいと思っていたので、伏線を散りばめました。特に、ハロウィン編で描かれた神手の幼馴染・あかりとのエピソードはこだわりましたね。ハロウィン編の冒頭は、あかりがかつて神手からもらった変身ベルトの電池が切れかかっているシーンから始まるのですが、あかりが神手に振られた後には、完全に電池が切れているようにしました。
それと、「永遠の愛」を花言葉に持つ桔梗の花から始まり、最後は桔梗の花が散っているコマで終わるように描きました。

(ハロウィン編の冒頭。散り始める桔梗の花と、電池が切れかかっている変身ベルト。)

 

(ハロウィン編のラスト。完全に電池が切れた変身ベルトと、散った桔梗の花。)

 

──ヒロインの名字にも何か仕掛けがあるとか……?

 

川中:
ヒロインの名字は、全員広島にある可部線の駅名になっています。コメントしてくださったみなさん、正解です! 広島駅発で、新白島駅、横川駅、三滝駅、安芸長束(あきながつか)駅……と続いていって。可部さんは出てこない代わりに、高校の名前を米華(べいか)にしました。

 

──お話を聞いていると、もう一度読み返したくなりますね!

 

川中:
実は伏線や仕掛けがたくさんあるので、深読みしていただけると嬉しいです(笑)。

 

●敵を倒す代わりにパンツを脱がせる!?

──先生のお気に入りのシーンを教えてください。

 

川中:
神手に片想い中のヒロイン・寿が、スーパーの階段で子どもたちに見られる中でパンツを脱がされるシーンは、我ながらエロいなと思っています!

 

──戦隊ものが好きなヒロイン・千夏が変身ベルトで隠しながら脱がされるシーンも衝撃を受けました。

 

川中:
あのタイプのベルトって意外と大きいんですよ。子どもたちがつけるとバックルが腰から出てしまうくらい。千夏は体が小さい方なので、これは上手く隠せるアイテムになるな、と思いました。あとは、単純に脱がしている最中に音が起動したら面白いな、と(笑)。

 

──パンツを脱がせるシーンで大切にしていることはありますか?

 

川中:
冷静な目で見たら「この人たちは何をやっているんだ?」と思ってしまうのですが……(笑)。それでも、バカバカしいことを本気でやることがこの作品の肝だと思っています。初めからずっと、王道の少年誌スタイルを貫こうと決めていました。敵を倒す代わりにパンツを脱がせているイメージです。

 

──144話に出てくる神手を葬るための神器「冥葬滅槍(めいそうめっそう)」も、パンツがついている以外は王道のかっこいい武器ですよね。

 

川中:
そうですね。ただ、大事なのは、「冥葬滅槍」の後に「パンツ竿じゃねえか」とツッコミが入るところ。ただのパンツ竿をいかにかっこよく言うかが勝負ですから(笑)。


──担当編集さんとはどのような打ち合わせをされていたのでしょうか?

 

川中:
連載の合間に次の話の脚本を書いて、印象的な絵を紙芝居のようにしながら担当さんに見せていました。それで「面白い」と言われたらそのまま仕上げます。「冥葬滅槍」も担当さんとしばらく話し合って、カッコいい言い回しを決めました(笑)。

 

●極限までリアリティを追求したパンツ表現!

──先生の推しキャラは誰でしょうか?

 

川中:
描いていて楽しかったのは、クールビューティーなヒロイン・八雲ですね! それまでの『お願い、脱がシて。』にはいなかった新しいタイプのキャラクターだったので。完璧を演じる中でのポンコツさがかわいいと思っています。それと、神手に自らパンツを見せてくれる女の子は八雲だけですから。男の子からしたら、同学年の女の子が「お世話になったお礼」としてパンツを見せてくれるなんて、夢のような話ですよ(笑)。

 

──ちなみに、推しパンツもあったりするのでしょうか?

 

川中:
パンツではないですが、個人的に好きなのは修学旅行で翼が着ていた水着です。よく見ると、腰の一部が穴あきになっているんですよ!

 

──こだわりがすごい……! 翼は最初おとなしいパンツを履いていたのに、神手に好意を寄せるようになると過激なパンツになっていきますよね。

 

川中:
「気になる男子とデートに行くときは、気合いの入ったパンツを履くのでは?」という勝手な想像です(笑)。正直、女子高生が作中に出てくるようなパンツを履くのかどうかは想像でしかありませんが……(笑)。

 

──パンツがそれぞれの性格を表現しているところもありそうです。お嬢様な上八木姉妹の妹・志穂は、パールが付いているパンツを履いていましたね。

 

川中:
「この子はどんなパンツを履いていそうかな?」ということは考えていました。上八木姉妹は育ちが良いので、ちょっと高級そうなパンツを履いているだろう、と。他の女の子よりはワンランク上の大人なパンツにしてみました。

 

──パンツを描くときは、どのような資料を参考にしているのでしょうか?

 

川中:
女の子のパンツって信じられない形をしていたりするので、描くのが難しくて。作画のためにパンツをいくつか買いましたが、ただクシャッと持ったり床に置いたり、自然な状態の皺を観察することが一番の資料になりました。ちゃんと観察して描くと、ただの三角形の布には絶対になりません(笑)。想像で描くと嘘がわかるなと思ったので、パンツの描写はとにかくリアリティを追求していました。

 

──下着のデザインにも強いこだわりを感じます。

 

川中:
「パンツの“タグ”まで描いているパンツ漫画はこれしかない」というコメントをいただいたことがあるのですが、確かにそうかもしれません(笑)。とはいえ、一番重要なのは「何を描くか」じゃなくて「何を描かないか」。リアリティを追求するといっても、求められていないものは描かないようにしていました。

 

──フィクションの中のリアルを徹底的に突き詰める、と。

 

川中:
ただ、女の子の下着は安いものではないので、こんなペースで脱がされていたら金銭的に厳しいだろうなぁ、と思います(笑)。

 

──翼のラストパンツはまさかの「ふんどし」でした。なぜ最後にふんどしを描こうと思ったのでしょうか?

 

川中:
みなさんふんどしを想像してください。相当エロいですよね……!? ただ、ふんどしは描くのがすごく難しくて……。構造が特殊なので、ひたすらYouTubeにアップされている「男性がふんどしを巻く動画」を観て、動画を逆再生するつもりで描いていました。その動画の再生数が上がっていたら、僕の仕業です(笑)。

 

──ふんどしもリアルを追求して描かれたのですね。

 

川中:
動画を観ていて気づいたのですが、ふんどしの構造上、最後は必ず股の部分に手を入れなきゃいけないんですよ。パンツでは絶対に起こらないことだから、やっぱりふんどしが一番エロいと思います!

 

●次回作も、セクシー系で!

──先生の今後の活動について教えてください。

 

川中:
まずは体のケアをしたいですね(笑)。それから、いくつかいただいている読切のお仕事をしつつ、次の連載に向けて動き出そうと思っています。『お願い、脱がシて。』での課題は、次の連載にぶつけたいですね。

 

──次の連載では、どのようなジャンルの作品を描いてみたいですか?

 

川中:
またセクシー系がいいですね! 描いていて楽しいですし、こういう時代だからこそ、エロくて遊びのある作品は需要があると思います。その中でも、女の子がむちむちしているような……肉感のある作品を描きたいです!

 

──先生が今マガポケで注目している作品はありますか?

 

川中:
エロに需要があると言った後ですが、やしろ学先生の『戦車椅子-TANK CHAIR-』が好きです! 描き込みもすごいですし、映画みたいな演出がかっこよくて。皆川亮二先生の『スプリガン』や『ARMS』を彷彿とさせる作風なのですが、敵キャラにちょっと遊びがあるのが良いですね。自分では描けない作風だからこそ、憧れがあります。

 

──それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 

川中:
描き始めた当初は、「パンツを脱がせる」というコンセプトの漫画をこんなに長く連載するとは思っていませんでした。自分の描きたいことをやりきれたのは、担当さんやアシスタントさん、なによりも読者のみなさんがいたからです。また次の連載でも、楽しく読んでいただけたら嬉しいです。ありがとうございました!

 

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『お願い、脱がシて。』単行本第15巻、4月7日発売予定!!

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