料理漫画の金字塔『中華一番!』シリーズに登場する料理を、実際の中華料理人『中華料理 一番』(東京都葛飾区)の2代目・森島さんに作ってもらおう! という本企画。前回は『三卵焼売』を調理していただき、独特の触感や味わいに驚かされました。
第2弾となる今回は『卵白炒めのせ赤チャーハン』。黒五(黒米・黒かりん・黒胡椒・黒大豆・黒松の実)を用いた独特の味と、卵白炒めによる真っ白い見た目が特徴的な料理です。残念ながら黒松のみ入手ができませんでしたが、それ以外は材料・手順ともに漫画に沿って調理して頂きます。
それでは、調理スタート!
『卵白炒めのせ赤チャーハン』の調理は、チャーハンと卵白の卵白炒めの二段階で作られるようです。まずはチャーハンを調理すべく、油を引いて熱した鍋に用意しておいた卵黄を入れてきます。
卵白に火を通しながら、そこへ黒米を投入します。白米とは色がまったく異なるため、この時点で通常のチャーハンの見た目とは変わってきます。そして卵と黒米を混ぜながら、黒五の残りを加えつつ炒めていくという流れ。タイミングを見極めながら、手際よくフライパンを振っていきます。
四川チャーハンということで、辛味に豆板醤も。漫画では触れられていませんが、ここは森島さんのアレンジ。事前に試作も行っており、そのうえでたどり着いた味のようです。
残りの黒五をサッと追加。酸味の強い黒かりんは、試作を経て控えめにされたそうですが、大きな黒大豆同様とてもインパクトがあります。黒五をすべて入れ終わると、炒めながら混ぜていきます。
そしてついに……!
赤チャーハンの部分が出来上がりました。熱々で湯気が立ち上り、このまま食べてしまいたくなるほど美味しそう……ですが、そう、『卵白炒めのせ赤チャーハン』はさらにもう一段階の調理が必要です。
続いて、卵白炒めへと調理は移っていきます。
あらかじめスープを作り、卵白にエバミルク(濃縮乳)を入れて下準備しておいた森島さん。卵白炒めには8個もの卵が用いられました。
まずは卵白を油に入れ、かき混ぜていきます。このとき、焦げないようじっくり混ぜていくのがポイントとのこと。調理は手早ければ良いというものではありません。時間を掛けながら混ぜていくと、少しずつ卵白が姿を変えていきます。
そして一度ジャーレン(中華油切り)に通して油を切ってみると、卵白はモコモコした雲のようになっています。これは難しい作業のようで、小川先生も以前、他の料理人から「この卵白炒めは、作れる人が日本に数名と言えるほど難しい」と言われたことがあるそうです。
油をしっかり切ったら、今度は味を整えておいたスープへ卵白を入れていきます。ここに少し残っていた卵白を追加して混ぜていけば、ついに卵白炒めが完成!チャーハンの上に乗せ……。
ついに『卵白炒めのせ赤チャーハン』が出来上がりです!
ひと目でこれがチャーハンだと分かる人は、恐らく少ないでしょう。黒五を中心に味付けされたチャーハンを、真っ白い卵白炒めが雲霧のように覆い隠しています。その見た目は、まさに漫画に描かれた『卵白炒めのせ赤チャーハン』そのものです。では、果たして味はどうなのか……!? さっそく試食してみます。
口に入れた瞬間、思わず頬の緩む小川先生。「一品目も美味しかったけど、これも本当に美味いなあ」と一言コメントを述べ、どんどん食べ進めていきます。特に卵白のフワフワした食感は、作者である小川先生ご自身も驚いたようでした。
筆者も食べてみましたが、いわゆるチャーハンとは味わいが一線を画します。ピリッとした辛味に黒カリンの酸味が程よく馴染み、ここに卵白の優しい味わいを加えた絶妙なハーモニー。さらに溶けるような柔らかさではなく、しかし弾力のある柔らかな卵白が食感からも楽しませてくれます。お椀に一杯の『卵白炒めのせ赤チャーハン』、あまりの美味しさに、1分も立たず一気に完食してしまいました。
(画像はイメージです)
前回の『三卵焼売』に続き、またもや想像を超える美味しさを再現した『卵白炒めのせ赤チャーハン』。ボリューム感もあり、早くもお腹が満たされ始めました。
しかし、そう、まだ最後の一品が残っています。
いよいよ次回は最後のメニュー、最新作『中華一番!極』の第1話で登場した『翡翠玉衡担々麺』です。
次回は、小川先生の特別インタビューとともにお届けいたしますのでお楽しみにお待ちください!
▼中華料理 一番
住所:東京都葛飾区西水元1-24-4
電話番号:03-3627-2262
営業時間:11:00~15:00、17:00〜20:00
定休日:金曜日
URL:
▼ 『中華一番!極』をWEBで読む!
(三河賢文)