今年で60周年の「週刊少年マガジン」の歴史を振り返る本連載。
○○年前のマガジンはどんな雑誌だったのか、どんな作品が載っていたのか……今回は、1985年のマガジンを紹介します!
表紙は新連載の『桜組エスパーズ』
1985年11月13日号の表紙は、飯島祐先生の『桜組エスパーズ』。
超能力、UFO、ネッシー、ノストラダムスの大予言……
1970年代に起きたオカルトブームは1980年代も続いていました。
本作は、超能力を持った主人公のドタバタコメディ……と見せかけて人類を救うなどシリアスな展開もあるヒーロー漫画でした。
巻頭特集は当時話題になったホラー映画「フライトナイト」。
本作の主人公、クリスサランドンはあの「ナイトメアビフォアクリスマス」で主人公ジャックの声を担当した名優。
そして、監督のトムホランドは後に「チャイルドプレイ」など大ヒットホラー映画を制作しています。
80年代の大人気4作が連載中の号!
さて、目次を見てみましょう。
まず目を引いたのがちばてつや先生の『あした天気になあれ』。
前回の1969年ではちば先生は言わずと知れた名作『あしたのジョー』を連載中、1961年では野球漫画『ちかいの魔球』を連載。
『あした天気になあれ』は1981年のマガジンでも紹介。
91年に連載が終了したあと、テニス漫画『少年よラケットを抱け』を連載いただき、33年もの長い間、少年マガジンを支えていただきました。
ちば先生は現在も『ひねもすのたり日記』を連載されています。
大島やすいち先生の『バツ&テリー』は喧嘩あり、暴走ありの異色野球漫画。
野球では投手と捕手、プライベートでは親友の抜刀軍(バツ)と一文字輝(テリー)が暴走族との抗争にまきこまれていく……
本作は喧嘩やバイクなどたくさんの要素を持ちながらも、すべての要素がド迫力!
アニメやゲームにもなった「週マガ」を代表する人気作のひとつです。
楠みちはる先生の『あいつとララバイ』も「週マガ」を代表する作品のひとつ。
こちらも恋愛と不良、バイクなど多くの要素がひとつにまとまった作品でした。
愛車が事故で動かなくなってしまい、絶望する主人公研二。
研二の愛車ZII(ゼットツー、ゼッツー)は作中で事故に遭うことが多いのですが、その度に研二の熱意と愛情で見事に復活。
研二の成長を見守る親友のような存在でした。
アニメと実写映画化されました。
そして、「週マガ」を代表するバイク漫画でこの作品は外せない。
しげの秀一先生の『バリバリ伝説』。
しげの先生はモータースポーツを愛し「若い人たちにも楽しんでほしい!」という信念を漫画に込めていました。
漫画なのに動画を見ているようなスピード感!
本作は2本のビデオアニメ映画、1本の劇場版アニメ映画が製作されました。
歩惟の声を担当した荻野目洋子さんは、当時まだ高校生!
スポーツ漫画、コメディ、恋愛などジャンルは豊富
塀内夏子先生が描いたテニス漫画『フィフティーンラブ』。
「俺はナンバー2じゃない!」
主人公ヒロと「不動のナンバー2」ビリーの激闘。
ビリーの視点で描かれる白熱の試合は、本作屈指の名エピソード!
このページで目頭が熱くなりました……
井沢まさみ先生のコメディ漫画『どっきんロリポップ』も主人公は超能力を持っています。
主人公智子が持つ超能力は「瞬間移動」。
でも移動できるのは身体だけ。
灯籠がとれなくなってしまうのも驚きですが、「顔を見られなきゃ裸でも平気だものね……」の開き直りっぷりにも驚かされました。
いまだかつて、こんなにダイナミックでかっこいいオヤジたちを見たことありません!
村生ミオ先生の『もしかしてKOIBITO』。
学校中にモテモテのヒロイン杏美は、仲の良かった雅人に「恋人のフリをしてほしい」と恋人契約を結ぶ……次第に惹かれ合い、高校生になった2人は結婚。
高校生であり、同級生、夫婦の2人を取り巻く周囲の目……社会的な要素も取り込みながら、2人の複雑な距離感やときめきを繊細に描いた恋愛漫画でした。
水島新司先生の『極道くん』も連載中。
極道の世界を目指していた主人公、京極道太郎は野球のセンスを見抜かれ高校に入学、野球部へ。
敵味方ともに、それぞれの選手に見せ場があり、球場の熱気が伝わってくる名野球漫画です。
そして、川三番地先生の『気ままにスクラム』。
最近、ワールドカップが開催されたラグビーを取り扱った作品でした。
阪神ファンが歓喜した一年!
今号では、第35回新人漫画賞の結果発表も掲載されていました。
ちなみに次号では、第27回新人漫画賞で特選を受賞した蛭田達也先生の『コータローまかりとおる!』の第4部がスタートします!
そして、1985年は阪神ファンにとって、とても大事な一年。
阪神タイガースが21年ぶりのリーグ優勝、2リーグ制になってからは初の日本一を達成した年でした。
「週マガ」では阪神の応援歌である六甲おろしを3ページに渡って紹介、分析。
野球についてはもうひとつ。
球界の偉人と呼んでもいい落合博満さんの若いころの記事を発見。
落合さんは79年にロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に入団。
87年に中日ドラゴンズへ移籍し、日本人初の1億円プレーヤーとなりました。
その後は、読売ジャイアンツ、日本ハムファイターズで大活躍し98年に現役を引退。
解説者や打撃コーチ、監督、ゼネラルマネージャーを歴任するなど、昭和から平成にかけて長らく野球界を支えてきました。
1985年のマガジンは、硬派と軟派が入り混じったトレンディ雑誌でした。
多くの漫画が不良やバイク、恋愛、コメディなど幅広い要素を持っているのが印象的。
そして、スケベもふんだんに盛り込まれていて、ワクワクとドキドキが詰まっていました。
348ページ、定価は180円。
最新の「マガジン」(2019年50号)は457ページ、定価300円です!
次回は、しげの先生の『頭文字D』の連載がスタートした1995年のマガジンです!