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【第111回新人漫画賞締め切り直前特別企画】〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家への花道 『トモダチゲーム』佐藤友生先生が新人漫画家の悩みを解決!

新人漫画家さん必見!! 今回は、第111回新人漫画賞締め切り直前特別企画として、漫画家先生へのインタビュー「漫画家への花道」を大公開! 『トモダチゲーム』の佐藤友生先生が新人漫画家の悩みを解決しちゃいます!

 

これぞプロの仕事!!!!
圧倒的経験量から生まれる熟練の筆さばき!!
『トモダチゲーム』の佐藤友生先生に聞く!

原作を鮮明に描き出す、作画担当の極意!!

別冊少年マガジンにて連載中の頭脳戦サスペンス『トモダチゲーム』の作画担当である佐藤友生先生を直撃取材!!

 

佐藤友生先生Profile
福岡県出身。2001年に第66回週刊少年マガジン新人漫画賞にて入選を受賞。同年にマガジンFRESHにて『淘汰—The Death』でデビュー。その後読切掲載を経て、2007年から週刊少年マガジンで『妖怪のお医者さん』を連載。そして、2014年から現在まで別冊少年マガジンで『トモダチゲーム』を連載中。

 

●極意其の壱
自分に合ったスタイルを見つける!!

――『トモダチゲーム』は原作が山口ミコト先生で、作画を佐藤先生が担当されています。作画のお仕事を引き受けられた経緯を教えてください。


 当時新作の構想を練っていたんですが、なかなかコレだという案がなくて。そんな時期に担当編集から「作画担当としてこの作品を描いてみませんか」という打診があったのがキッカケです。お受けした最大の決め手は、『トモダチゲーム』原作の山口ミコト先生からの「佐藤先生の絵がいいです!」という熱烈なラブコール (笑)。 絵描きとしてとても光栄でしたね。
 あと自分が作画を担当するなら自分には描けないお話がいいと思っていたんです。『トモダチゲーム』の緻密な頭脳戦は自分からは出てこないタイプのストーリーで、「これを描くのはワクワクするし、この挑戦で成長できるかもしれない!」と感じましたね。


――山口先生の描いたストーリーに佐藤先生が意見することはあるのでしょうか。


 基本はありません! 連載当初は山口先生と担当編集と私で集まってストーリー打ち合わせをしていたのですが、それも途中で参加するのをやめました! 過去連載していた経験から分かるのですが、ストーリーって色々な人から意見を聞きすぎると良くないんですよね。作品の方向性がブレて分散してしまう。漫画描きのあるあるだと思うんですよ。
 作品を友達とか家族に読ませたら、感想がバラバラで「結局どうすればいいんだっけ?」と迷いが出るみたいな。だから『トモダチゲーム』に関しては、ストーリーは山口先生と担当編集でしっかり決めてもらいます。「餅は餅屋」といいますからね。
 ただもちろん、一読者としての感想は言いますよ! この間も友一の過去の展開に驚きすぎて「衝撃でした…‼」と伝えたばかりです(笑)。

 

▲別冊少年マガジンにて連載中の今作品。騙し合いを絡めた高度な頭脳戦が魅力!!

 

——一人で漫画を描かれるのと、作画を担当するのはどちらが大変ですか? またそれぞれ違った楽しみがあるものでしょうか?


 私は『妖怪のお医者さん』という作品で週刊少年マガジンでの連載を経験したのですが、死んだほうがマシじゃないかってくらい大変でした(笑)。今はデジタルですが、当時はアナログ作画だったこともあって、正直作業量だけで見たら今の方が楽だと言えます。あと作画だけ担当すると、絵のクオリティを高めることに注力できるのも楽しいポイントですね。
 ただ、漫画家ってそれぞれネームのコマ割りの仕方や構図の取り方にクセがあるんです。山口先生のネームのリズムは当然自分のリズムとは違いますから、それを合わせるのに当初は苦心しました! やはり山口先生の大切な原作をお預かりしている以上その魅力を作画で十分に発揮しなければいけないというプレッシャーもあります!

 

▲佐藤先生の初連載作品である『妖怪のお医者さん』。この頃は作風に合わせて少年誌らしいタッチなのが伺える。

 

●極意其の弐
噓の筋肉を描け‼

――『トモダチゲーム』は、主人公をはじめとしてキャラの表情の豊かさが印象的です。


 表情は自分も一番気を遣っている点です。山口先生のネームの絵は基本的にすごく詳細で、特に決め顔に関しては細かく描き込まれています。なので私は山口さんが描いてくれたものを参考にしつつ、それ以上の表情を描くことを目指しています! もちろん毎回はできないのですが(笑)。
 作画で意識しているのはデフォルメの仕方です。『トモダチゲーム』でよく描く、口角や目元がぐにゃりとした笑みは、現実の人間の表情では再現できないものだと思います。こういった骨格や表情筋、目の開き方などに、デフォルメを利かせる必要があって、要するに筋肉に噓をつかせて描いています(笑)。現実にいそうなデザインのキャラクターが多いので描いていると「リアル感」が出やすいのですが、頂いたネームには歪んだ表情が描かれている。そうしたら人体にはない筋肉を想像しながら描くしかないなと(笑)。
 ただ、やりすぎもよくなくて。主人公はカッコよさが必要ですから、顔を歪ませてもギャグやホラーになりすぎず、一定のラインのカッコよさは保たせなきゃいけないと考えています。やりすぎたかなと思うシーンもありますが…そこも楽しんでみていただければ!(笑)

 

▲主人公が顔を歪めながら煽るシーン。禍々しい雰囲気を演出するのはフル活用した表情筋!!


――『トモダチゲーム』を読んでいると全てのキャラに何か裏があるように見えてきます。読者に疑いを持たせるような、キャラの描き方は何かあるのでしょうか。


 逆に何も意識しないで描くことがコツですね。これが意外と難しくて。結構ストーリーの序盤から裏切るキャラ自体は決められているんですが、怪しさを醸し出し過ぎないようにあくまで自然に描いています。「何かやりそうだぞ」ってキャラは『トモダチゲーム』だと逆にすぐ脱落するので(笑)。もし作中で自然にふるまっているキャラクターが怪しく見えるのなら、それは『トモダチゲーム』を読んできた蓄積がそう思わせているのだと思います。


――『トモダチゲーム』の絵柄はやや青年誌寄りですよね。


 そもそも別マガという雑誌には「絶望を描く」というテーマがあると担当さんから聞いたことがあります。それもあって連載開始前から、明るい感じにはしないで描こうと山口先生と決めていました。私自身もキャラに冷たい血が流れているような作品を描きたいと考えていました。その中で、山口先生が描く作品のテーマも相まって青年誌っぽい雰囲気になっているのかなと。

 

●極意其の参
好奇心を持ち続けるべし‼

——漫画を描く際のルーティンは何かありますか?


 新人時代からずっと続けていることといえば作業前にカフェオレを飲むことくらいですね。あとどんなに忙しくてもお風呂は入ります。結局リフレッシュが大事なのかなと思いますね。
 現在は、子育てと漫画家を両立しているので、子供が幼稚園に行っている間という時間的制約の下で作画をしています。メリハリをつけなければいけない環境というのもあって、カフェオレが「作業に取り掛かるぞ!」というスイッチになっているのかもしれません。


――何年も連載を継続しておられますが、描き続けていくコツはありますか。


『トモダチゲーム』と出会って早10年弱になるんですが、こうやって連載を継続出来ているのは運が本当に大きかったなと。ただその運を摑めたのも、漫画をずっと描き続けてきたからなんですよね。コツとはちょっと違いますが、私には常に誰かに絵を見て欲しいというモチベーションがあるんです。誰かに見て欲しいという気持ちさえあればいつまでも描き続けられますし、評価されたらもっと描きたくなる。結局それが一番大事で、そのモチベーションを保つためには好奇心を失わないことが大切なのかなって。ストレスや疲労が溜まると、好きなことでも作業のように感じて楽しめなくなってしまう。好奇心は健康な体に宿りますから、最近は心身ともに陽キャでいられたらいいなと思っています(笑)。
 あと「これでいい」と満足しない心がけですかね。もっといい絵、もっといい話を描きたいという気持ちが本当に大事だと思います。常に色んなコンテンツに触れて、自分より面白いと感じたものを吸収しようとしています。逆に、自分の力に驕ってしまうと、自分よりすごい人が出てきてしまったときにその状況を楽しめなくなってしまうんですよね。描き続けるためには、描くことを楽しめる心身でいないといけませんから。やっぱり、周囲を見ていると何事も楽しめている人が結果を出していて、楽しめないとドンドンがんじがらめになっていってしまう。
 漫画を描いていると〆切に遅れてしまう事ってあると思うんですけど、時間がかかってしまったから担当編集にもっといいものを出さなければという気持ちになって、結局なにも出せずに終わるという負のサイクルに陥るんですよね。そうならないように、普段から担当編集に見て欲しいと思う気持ちが大切で、私は新人だった頃、毎日1枚だけ絵を描いて担当編集に送っていました。最初は「すごいやる気だね」という感じで見てくれていた担当編集が「もう勘弁してくれ」となるまでひたすら(笑)。それくらい図々しくやってもいいんじゃないかなって。


――連載作家という時間的制約のある生活を送られているかと思いますが、限られた時間内でのインプットは何を意識されていますか。


 今でいえば、作業中にTVやサブスクでドラマ、アニメの話題作は見るようにしています。面白い漫画とかも友人から共有されたときは読むようにしていますね。Twitterでバズっている絵とかもよくチェックします。ここら辺は意識してやっていることですが、今の生活の中で無理なくインプットできていることは、生活の中で触れる情報ですね。宮藤官九郎さん脚本の『離婚しようよ』のような、ちょっとした日常のしぐさに笑えるような作品って普段から考えていないと思いつかないんじゃないかなって。漫画でも日常のことを面白く描くのが本当に難しいので、ママ友や子供、美容師の人が話してくれた情報など、些細なことにも常にアンテナを張っています。
 また、「こういうジャンルの物をやりたい!」と思った時は、資料本から情報を得ますし、キャラクターをつくるために人づてに聞いた面白い人の話とかは常にストックしています。

 

●極意其の肆
漫画家は生の体験が命‼

――「連載前に準備しておくべきだった」と思ったものはありますか。


 もっとやっておけばよかったと思うのは、バイトと勉強ですね。歴史に強いことはネタの宝庫に精通しているということですし、理数系に強いと必殺技も思いつきやすいと思うんです(笑)。理科、社会、数学あたりはもっと勉強しておけばよかったと今でも思います。アルバイトも、バイト先の面白い人はキャラ作りに活きますし、バイトのシーンを描くリアリティも変わってきます。ネットで調べれば専門的な知識だっていくらでも出てくる時代にはなったけれど、やっぱり肌で感じた経験に勝るものはありません。経験から得られる着想だってありますしね。
逆にやっておいてよかったなと思うのは、アシスタント経験。やっぱり自分と同じ志を持った人たちと同じ環境で努力することはモチベーションになりますし、先生の技術を間近で見せてもらえた時は本当に感動しました。

 

――漫画家を目指す人々に何か一言をお願いします。


 今はYouTubeとかでも漫画を描く方法を学べますし、漫画を描く技術は整いやすくなったとは思うのですが、漫画一本で生きていくためには、自分自身が経験する生の体験を大事にして欲しいです。友人関係や日常から得るものはとても大切です。
 漫画家は時には、描きたいものと、読者が求めているものが違ったりする時があるのですが、楽しんで描きつつも、読む人を意識するのも大切です。そのバランスを考えつつ、自分を信じて作品作りに邁進してください!

 

『トモダチゲーム』は「別マガ」で大好評連載中!

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第111回新人漫画賞
特別審査委員長は
佐藤友生先生!!

締め切りは2023年9月30日必着! ご応募お待ちしております!!

 

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