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【第111回新人漫画賞応募開始記念特別企画】〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家への花道 『甘神さんちの縁結び』内藤マーシー先生が新人漫画家の悩みを解決!

新人漫画家さん必見!! 今回は、第111回新人漫画賞応募開始記念特別企画として、漫画家先生へのインタビュー「漫画家への花道」を大公開! 『甘神さんちの縁結び』の内藤マーシー先生が新人漫画家の悩みを解決しちゃいます!

 

4月で連載が2年を迎える
ラブコメ漫画のプロフェッショナル
『甘神さんちの縁結び』の内藤マーシー先生に聞く!

魅力たっぷりのラブコメを描く極意!!

大人気ラブコメ『甘神さんちの縁結び』の内藤マーシー先生を直撃取材しました! 魅力的なキャラ作りや創作で意識していることなど、いろいろとお聞きしています。プロ志望の新人漫画家さんは必見です!!

 

内藤マーシー先生Profile
京都府出身。2017年に『芸術せんせいしょん!』で第99回週刊少年マガジン新人漫画賞佳作を受賞。20年12月に『甘神さんちの縁結び』の読み切り版を週刊少年マガジンに掲載。読者からの反響が大きく、21年4月に同誌にて連載が開始。

 

――そもそも漫画家を目指された理由は何ですか?


絵を描く仕事がしたいというのが人生の大前提としてありました。選択肢の一つに漫画家がありましたが、当時は漫画家一筋というわけではなかったです。高校と大学は芸術系の学校に進学して、卒業後はゲーム会社に就職しました。そこでも絵を描く仕事ができて幸せな人生を送れていたのですが、社会人の時に初めて漫画を描き上げました。趣味で描いた作品だったのですが、せっかくだから応募してみようとなり、週刊少年マガジン編集部の新人賞に応募し、奨励賞をいただけました。そこでプロになることを意識し始めました。


――受賞してから、どんなペースで作品を制作していたのでしょうか。


初めて賞をもらった時は、まだ働いていたので、仕事の合間を縫って作っていました。受賞してから半年で、もう一作品を作りましたね。そのあたりで会社を辞めて実家に帰りました。アシスタントの仕事をしながら本格的に漫画家デビューを目指しました。

 

●極意その壱
自分の経験に基づく描写は読者への説得力が増す!

――『甘神さんちの縁結び』は20年に描いた読み切り版の好評で、連載につながった作品です。しかも、初めて描いたラブコメが『甘神さんちの縁結び』だったという……。


 そうですね、それまでに作った読み切りでラブコメ要素のあるものはなかったです。芸術家の先生が生徒の悩みを解決する物語や、京都在住の女の子と外国からやってきた京都が大好きな女の子の物語などを描いていました。もともとは、近未来が舞台のサスペンス漫画を連載用のネームで描いていたのですが、女の子のキャラクターを編集部で評価してもらえて、「ラブコメを描いてほしい」というリクエストをいただいたのがきっかけです。


――『甘神さんちの縁結び』は、どのように作っていったのでしょうか。


 シンプルに僕が京都出身なので、京都を舞台にしようとなって。京都を舞台にするなら、神社があるなとなり、神社なら巫女さんがいるなと。巫女さんなら可愛いヒロインが描けそうだし、そのラブコメを描いてみたいなと思えました。慣れ親しんだ土地がすごいイメージしやすかったので、京都を題材にして良かったなと思っています。


――自分の体験を軸に描くことが多いのでしょうか。


 そうですね。場所だけでなく、基本的に、自分の体験を軸に描いていることが多いです。キャラクターの感じることも、自分が思ったことや考えたこと、もしくは自分が言われて感じたことをキャラに載せることもあります。


――経験に基づいた描写の方が、読者への説得力が増すんですかね。


 そうだと思います。この作品に限らず、例えば京都が嫌いな女の子の読み切りを描いた時も、別に僕は京都が嫌いなわけじゃないんですけど、(嫌いな人の)気持ちは分からなくもないんですよね。そういった気持ちを膨らませて描いていました。自分の中にあるものを出していく感じです。

 

▲京都の魅力がふんだんに詰め込まれた見開き。幻想的な風景に思わず目を留めた読者も多いはず。

 

●極意その弐
対立構造からキャラを作っていく!

――キャラ作りで意識されていることはありますか。


 『甘神さんちの縁結び』に関して言えば、キャラ同士の対立構造を作ることです。ヒロインの巫女は神様を信じているから、その前提なら、ヒロインに対立する形で、神様を信じない主人公を作ろうとなり、瓜生というキャラが生まれました。そのあと、対立する中で生まれる主人公たちのドラマを読み切りでは描こうと考え、ストーリーを決めていった流れです。


――対立構造からキャラを作っていく理由は何でしょうか。


 対立するキャラクター同士は、一番楽しい掛け合いが生まれると思っていて。時には喧嘩したり、仲良くなったり、いろいろなドラマが描けると思っています。対立は強く意識していますね。『甘神さんちの縁結び』に当てはめると、次女の夕奈は、一番真面目で神様への信仰心も強い。その分、主人公と一番ぶつかる子にもなります。ここの関係性を最初に作ってから、残りの姉妹のキャラも決めていきました。

 

▲衝突していた瓜生と夕奈が歩み寄る場面。2人の激しい対立が描かれていた分、心温まるシーンとなっている。

 

――残り2人のヒロインはどのようにキャラを作りましたか。


 主人公だけでなく、姉妹同士の掛け合いも楽しくなるように、キャラ作りは進めました。次女は真面目でツンデレだから、反対に長女の夜重は自由で少し子供っぽい美女にしました。「あの人がこんなことをするなんて……」というのは大げさな言い方ですが、ギャップをつけることは意識しています。夜重は長女であり、見た目も美しいですが自由奔放で、だらしない一面もあります。一方で三女の朝姫は、ませてて小悪魔チックな子にしました。結果的にバランスのいい三姉妹になったと思います。

 

▲三姉妹を束ねる、しっかり者の長女かと思いきや、イメージとは違う性格が垣間見えた場面。このギャップにより、キャラの魅力も高まっている。

 

●極意その参
キャラを絞りドラマをシンプルに

――読み切りも含め、限られたページの中で面白い物語を描くために、意識されていることはありますか。


 「漫画家への花道」で散々言われていることかもしれませんが、キャラを絞ることだと思います。(デビューするきっかけとなった)芸術家の先生が主人公の読み切りを描いた時に、それを感じたエピソードが僕にもあって。
 主人公は傍若無人で自分勝手な先生なんですが、芸術をこよなく愛しています。最初にネームを描いた時は、その先生が大人げなく生徒と張り合ったり、逆に悩んでいる生徒の助けになったり、とにかく、さまざまな生徒にアプローチする物語を描きました。ただ、いろいろな情報を詰め込んだ結果、物語が薄くなってしまって……。最終的にできあがったのは、主人公の先生はそのままで、アプロ―チする生徒をヒロイン1人にしました。キャラを絞ることでドラマをシンプルにし、キャラをより魅力的にするように方針を変えました。

 

ラブコメの多い週マガで生き残るために――

●極意その肆
見開きページは場所・時間帯を細かく設定する!!

――ラブコメ作品が多い週マガでもありますが、読み切り版から連載版を描くにあたり、取り組んだことはありますか。


 魅力的なラブコメ作品が数多くある中、この作品で何ができるかを考えた時に、読み切り版から連載作品に大きく追加したのがSF要素になります。
 京都という題材には、神秘的な場面を描きやすい側面もあると思っていて。この漫画にSF要素をどうにか入れ込んでみようと思いながら、連載版を書き始めました。


――第1話で描かれた「星つぶの叶い雨」の見開きは、とても美しいシーンだと思います。


 僕が新人で初連載なので、僕のことを知らない読者がほとんどだと思います。雑誌をパッと開いて目に留まるような絵を描かないといけない。見開きに対する意識は強いと思います。こだわりがあるとしたら、SF要素を盛り込んだ作品なので見開きも神秘的にというか、情緒的に描く努力をしています。ただ女の子が可愛い、じゃなくて、時間が止まったような感じの絵になればいいなと、常に心がけて描いています。
 そのシーンを描くために、場所や時間帯などを細かく考えています。その方が、より女の子が魅力的に映えるシチュエーションになると思っているので。また、三姉妹は名前に(長女から順番に)「夜」「夕」「朝」がついているので、ヒロインの魅力的なシーンはその時間帯になるように意識して設定しています。

 

▲幻想的に千羽鶴が描かれていることで、ページをめくる手を思わず止めてしまう見開きだ。

 

居酒屋で聞けるような話が物語のタネに……!

――インプットは、どのようにしていますか。


 何か決めてインプットしているというより、その時に気になったものをつまむ感じですね。それが作品に生かされるかどうかは別としてインプットしています。
 最近は作画中にラジオを聴くことが多いですね。食事の時にバラエティ番組を観ることも多いです。基本的に作業している時は家にいることがほとんどなので、どうしてもコミュニケーションの機会が減ってしまうんです。テレビやラジオで、いろいろな人の話を聞けることが一番のインプットになっているかもしれません。「ここいいな」と思ったものはメモを取るようにしています。そういうものが積み重なって(作品に反映されて)いるのかなと思います。
 メモした内容は、最近だと、芸人さんが話していた好きな女の子の仕草とかですね。バラエティー番組でも、雑談しているような番組が好きで。普通に飲み屋でするような話題をテレビ番組でやっている感じなので、面白いやり取りがあったらメモするようにしています。

 

プロとアマチュアの違いは――

――最後に、デビューを目指しているプロ志望の方にメッセージをお願いします。


 プロとアマチュアの一番の違いは、自分以外の人を楽しませることだと思っています。僕も、まだ新人作家だと思っているので、自分に対する戒めでもあるのですが。アマチュアや趣味で作品を描いている方は、自分が楽しむことが大事だと思うのですが、そこからプロになると、自分以外の方を楽しませる努力も必要になります。ここがプロとアマチュアの大きな違いで、大きな壁でもあります。これは僕も常に難しいと思っています。
 ただ、その上で自分が好きなものを描いてほしいし、自分が描きたいことを表現してほしいなと思っています。それを読者にどう楽しんでもらえるかを考えながら作品を作っていけば、クオリティの高いものができあがるのではないかと思います。
 僕にとっての大きな課題でもあるので、一緒に頑張りましょう!(笑)


――お忙しい中、ありがとうございました!

 

『甘神さんちの縁結び』は「週マガ」で大好評連載中!

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第111回新人漫画賞
特別審査委員長は「別マガ」
にて『トモダチゲーム』連載中の佐藤友生先生!!

締め切りは2023年9月30日必着! ご応募お待ちしております!!

 

ぜひ周りの人にも教えてあげてください!

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