マガポケで絶大な人気を誇る『ギルティサークル』。
大学デビューを果たした沢屋童二（さわや どうじ）が、失踪した姉の行方を追う美少女・星見楓（ほしみ かえで）とともにイベントサークル「ユーフォリア」の闇を暴いていく、快楽と戦慄のサークルサスペンスです！
息を呑む展開とエロティック描写で注目を浴びる本作が、本日ついに第１部完結を迎えます！
それを記念して、『ギルティサークル』の原作者である門馬司先生にインタビューを実施！ 本作が誕生したきっかけから、お気に入りのキャラクター、衝撃の第１部ラストシーンが生まれた理由まで、制作秘話をたっぷりと語っていただきました。
●担当編集からの提案で、ネーム原作者に
──漫画家を目指したきっかけを教えてください。
門馬司先生（以下、門馬）：
もともと漫画が好きで、子どもの頃から自由帳に漫画を描いていました。転機となったのは、高校を中退したとき。「漫画で食べていくしかない」と思い、マガジンの新人賞に投稿し始めました。最初はダメでしたが、しばらくの間挑戦し続けてようやく受賞し、デビューできましたね。
──そこからネーム原作を担当されるまで、どのような経緯があったのでしょうか？
門馬：
内乃秋也の名義で何作品か自分で絵まで描いていましたが、行き詰まりを感じてしまい……。「何かを変えたい」と思っていたときに、担当さんからネーム原作をやってみないかと誘われて、できたものが『ストーカー行為がバレて人生終了男』のネームでした。
『ストーカー行為がバレて人生終了男』（原作/門馬司 漫画/芥瀬良せら）第１話
担当Ｉ：
門馬先生はネーム原作を始めるまでに、単行本を３作品出されています。そのときからとても打ち合わせがしやすく、コンスタントに良いネームを出してくださっていて。門馬先生の強みを活かして、ネーム原作をやってみませんかと提案しました。
門馬：
僕は自分のネームを作画することに対してそこまでこだわりがなかったので、迷うことなくネーム原作のお話を引き受けました。
──ネーム原作を担当する上で、影響を受けた作品はありますか？
門馬：
いくつもあるのですが、ネーム原作者になりたてのときに一番影響を受けたのは『食糧人類-Starving Anonymous-』です。原作の蔵石ユウ先生はもともと尊敬していた方なのですが、『食糧人類-Starving Anonymous-』でも間の作り方がすごく上手で。ここでメクリ（ページをめくった後にある最初のコマ）を入れて、これを持ってきてこう繋ぐのか……と、たくさん勉強させてもらいました。
──確かに『食糧人類-Starving Anonymous-』を読んでいると、ページをめくる手が止まらなくなります。
門馬：
そうなんですよね。『食糧人類-Starving Anonymous-』も『ギルティサークル』も電子媒体で掲載している作品ですが、電子の場合はページをスクロールしたときに内容がひと目でわかるよう、コマを大きくした方が良いんです。紙でも同じなのですが、その要求レベルは電子の方が高いと感じます。
●山本やみー先生は得難い存在！
──作画担当の山本やみー先生とのタッグはどのように決まったのでしょうか？
門馬：
担当さんが紹介してくださりました。
担当Ｉ：
ネーム原作と作画が分かれている場合、ネームの企画が通ってから作画の先生を探すことになります。そこで山本先生にお声がけをしたところ、ちょうど前の連載が終わるタイミングだったのでOKをいただけました。山本先生のツイートをまめにチェックしていたおかげで、僕もこの作品に貢献できました（笑）。
門馬：
山本さんは本当に得難い存在ですよ！ 女性キャラがかわいいのはもちろん、男性キャラにも個性をつけてキャラを立たせてくれるんです。山本さんのキャラへの功績はとても大きなものがあると思います。
担当Ｉ：
門馬先生のネームを山本先生が作画にすると、良い意味で印象が変わります。小さなコマでも目を引く表情が必ずあって、山本先生の作画に原作サイドも引っ張られていくんです。
門馬：
それと、年下男子好きの先輩・美和子の絵が本当にかわいい！ 僕は山本さんの描く女の子の中で、美和子が一番好きです（笑）。
●ファンの期待に“エロ”で応える！
──『ギルティサークル』が生まれたきっかけについて教えてください。
門馬：
「乱れたサークルの漫画を作りたい」との思いから生まれた作品です（笑）。「そんなサークルに入った主人公が童貞だったら……」というアイデアにサスペンスの要素を混ぜ込み、サークルに潜入捜査する今のお話が出来ていきました。
──サークルサスペンスを描きたいと思ったきっかけはあったのでしょうか？
門馬：
実は、『ギルティサークル』誕生のきっかけになった読者がいて。『ストーカー行為がバレて人生終了男』を連載していたとき、ファンの男の子がいつも「エロ回はまだですか？」とTwitterでリプライを送ってくれていました。それがかわいくて……（笑）。その子を喜ばせるような、エロがふんだんに盛り込まれた漫画を作りたかったんです。
──作品の設定やキャラはどのように決まっていったのでしょう？
門馬：
大人と子どものあいだで揺れる大学生に面白さがあると思っていて。さらに、主人公は都会にどんどん染まっていく存在にしたかったので、田舎から出てきた純朴な男の子という沢屋のキャラが生まれました。
──ヒロインの星見楓についてはいかがですか？
門馬：
星見はいかにも先輩たちに狙われそうな女の子です。でも何か重大な秘密を抱えていて、あやしい先輩ばかりのサークルに勇気を持って潜入している。そういう子であれば、純朴な主人公とも面白い絡みが作れるのではないかと思いました。
●武田×沙織のトイレエッチで作品の方向性が決まった⁉
──本作の連載で特に意識していることはありますか？
門馬：
ラストの“引き”ですね。 「めでたしめでたし」と終わることもありますが、基本的には読者のみなさんに「次も読みたい」と思ってもらいたいので、引きを作るよう意識しています。
──カラオケや居酒屋、ボートの上など、情事のバリエーションに富んでいるのも本作の魅力です。
門馬：
やっぱり今までにない新しい場所で楽しんでいるカップルを描きたいんです（笑）。同じカップルでも、場所が変わると全然違う行為に見えるので。新鮮なシチュエーションは常に意識しています。
──その中で、お気に入りの展開やシチュエーションはありますか？
門馬：
サークルの悪い先輩・武田と、沢屋とともに潜入捜査する協力者・沙織がクラブのトイレで盛り上がるシーンです！ 反響が大きく、この作品の知名度を上げてくれました。あのシーンによって作品の方向性が固まったので、武田と沙織には感謝しかありません。
──武田×沙織のカップリングは読者からの人気も高いです。この展開は当初から予定されていたのでしょうか？
門馬：
いえ、武田も沙織もこんなに活躍するとは思っていませんでした。沙織は「漫研のかわいい女の子を出してみるか」くらいの気持ちで登場させましたが、行動的な女の子なので、自然と話に絡んできてくれて。武田はただただ「柄の悪い先輩」だったのに、いい方向に一人歩きしてくれました。
──２人のカップリングはどのあたりで考えたのでしょうか？
門馬：
新歓合宿編のときに、スワンボートでイチャイチャするシーンの評判がやたらと良かったんです。そこで、沙織が武田に近づいて情報を得ていくスタイルに手応えを感じました。後はもうこちらの手を離れて、キャラが一人歩きして物語を進めてくれましたね。
●山本先生の作画でキャラが動き出す!?
──描いているうちにキャラが自然と動き出していくことは、よくあるのでしょうか？
門馬：
こっちの想定と違う動きをしてくれることは多々ありますね。武田と沙織のように、想定よりも活躍してくれたときは自分でも驚きます。
──先ほど山本先生のお話もありましたが、作画の力も大きいのでしょうか？
門馬：
山本さんが気合いを入れて描いてくださったキャラは、そこから伸びていく気がしますね。ネームを描いているときより「このキャラ良いなぁ」と思わせてくれますし、キャラデザが良い分、そのキャラに対する想像も膨らんでいくんです。
担当Ｉ：
武田も最初は記号的な悪役でしたが、山本先生がそこに魂を入れてくれた感覚がありました。
門馬：
武田にタンクトップを着せてくれたのが大きかったです（笑）。あれは山本先生の発明なので。
担当Ｉ：
サークルを裏で操る悪人・梶原も、もっと読者に不快感を与えるキャラになってもおかしくないですよね。
門馬：
山本さんの作画でスッキリとしたかっこいい悪役になりました。キャラが動き出す要素のひとつとして、山本さんの魂の込め方がありますね。
●ギルティな男たちにも、ポリシーがある！
──サークル幹事長・白石は、星見と無理やり結ばれようとするとんでもない男です。白石のキャラはどのようにしてできたのでしょうか？
門馬：
白石は、作中髄一の本当にやばい奴です。白石が星見に執着しているのは何故なのかを考えていくと、「彼女とは運命で結ばれているから」というぶっ飛んだ動機を思いついて。こいつはぶっ飛びキャラを活かしてあげようと思い、気がつけば教会で全裸になっていました……。
──教会で結婚式を挙げてから致そうとするシーンは衝撃的でした。その手順は踏むんだ、と（笑）。
門馬：
白石の中に「結ばれるのは結婚してからだ」というポリシーがあるのだと思います。彼のぶっ飛び具合を見せるのに、使われていない教会は格好の舞台でしたね。
──「至高の射精」を目指すサークルの新幹事長・林は、白石とはまた違ったモチベーションで動いているように見えます。
門馬：
林は白石みたいなポリシーがなく、ただ単に性に憧れるだけの男です。反対に、武田は「いい女しか抱きたくない」というポリシーがあって、最終的に「沙織が一番いい女だ」という結論が出たのだと思います。
──その他に、「こいつは悪い奴だな」と思うキャラはいますか？
門馬：
う〜ん……。極悪人は梶原くらいにしているつもりなのですが……。どうでしょうか？
●サスペンス×エロの妖しい魅惑！
──第１部の終盤では、星見と梶原の直接対決が波紋を呼びました。この展開は当初から考えていたのでしょうか？
門馬：
いえ、途中で思い浮かびました。最後までするかどうかについては迷いましたが、「読者はこれを見たくてずっと読んでくれているはず……」と思い、決断しました。
──「ギリギリで一線を越えない」という漫画のセオリーを崩す展開に、とても驚きました。
門馬：
展開としては踏み込んでいますが、サスペンスとして見たときにここまで描く必要がありました。寸止めで終わると、梶原のキャラも壊れてしまいますし。お互いのキャラを活かすためにも、サスペンスの側面を見せるためにも、最後まで描こうと覚悟を決めました。
──失踪した楓の姉・千鶴ですが、第92話の展開には驚きました。このアイデアも途中で思いついたのでしょうか？
門馬：
この展開は最初から考えていましたね。ここに辿り着くために、設定や裏のネタを作っていきました。
──お話を聞いていると、門馬先生はサスペンスの部分を大切にしている印象を受けます。
門馬：
それがあるからエロシーンの魅力も出てくるのではないでしょうか？ エロシーンもありながら、「大筋はどうなったんだ？」と気にしてもらえるような作品にしたいですね。
──ちなみに、コメント欄では「ネトラレ」の賛成派と否定派で論争が起こっていますが……（笑）。
門馬：
作者的には読んでくれているのが嬉しいので、否定的なコメントもありがたく読んでいます。ちなみに、僕は「ヤンマガWeb」で連載中の『カラミざかり ボクのほんとと君の嘘』でネトラレは肯定されたと思っていたのですが……。
●第２部の注目ポイントは、キャラの関係性！
──『ギルティサークル』は、『満州アヘンスクワッド』『北沢くんはAクラス』との同時連載です。複数作品のネーム原作を担当するうえで、苦労したことはありますか？
門馬：
ストーリーを考えるのは大変ですが、同時連載は過去にも経験していたので、そこの苦労は少なかったと思います。『ギルティサークル』と『北沢くんはAクラス』は両方とも恋愛が軸となっていますが、『ギルティサークル』はどエロで『北沢くんはAクラス』はほのぼのラブコメなので、そこはちゃんと切り替えるよう意識していますね。
『北沢くんはAクラス』（原作/門馬司 漫画/夢乃狸）第１話より
──その中で、『ギルティサークル』は第１部完結を迎えます。今、実感していることを教えてください。
門馬：
第１部は70話くらいで終わる予定でしたが、思いのほかキャラたちが頑張って盛り上げてくれました。武田と沙織もそうですし、沢屋と星見も最後まで役割を果たしてくれて。主要キャラと山本先生に感謝しています。
──第２部で注目してほしいことを教えてください。
門馬：
第１部のラストで、沢屋と星見の恋人としてのルールは壊れてしまったわけですが、この状態からどう再生していくのか、千鶴のところまで辿り着けるのか……そこに期待してほしいです。各キャラやそれぞれの関係性についても見どころがあるので、注目していただければと思います！
──美和子は裏社会とのつながりも噂される謎多き人物です。彼女のポジションも重要になってくると思うのですが、そのあたりは第２部で描かれるのでしょうか？
門馬：
美和子は本当に良いキャラで。彼女には彼女なりの考えや、みんなには明かされていない裏のドラマがあります。美和子は第１部以上に活躍してくれるのではないかと期待しています。
──最後に、読者へのメッセージをお願いします！
門馬：
ここまで『ギルティサークル』を支えてくれてありがとうございます！ 僕も山本先生も気合いを入れて描いているので、第２部の展開も楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします！
●『ギルティサークル』最新第８巻、６月８日発売!!
ぜひ周りの人にも教えてあげてください！
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