マガポケベースマガポケの秘密基地! ここだけで読める面白記事あります!

ふたりの主人公は“理想と現実”!? 『蒼く染めろ』桜井ミヤト先生インタビュー

「マガポケ」にて好評連載中の『蒼く染めろ』
天才の兄・飛高紅也と、落ちこぼれの弟・飛高蒼士が繰り広げるアツい展開が見どころの本作。

 

個性豊かなチームメイトや新たなライバルが続々と登場する中で、互いに成長していく蒼士と紅也から目が離せません!

 

▼キャラクター紹介記事はこちら!

pocket.shonenmagazine.com

 

今回はそんな『蒼く染めろ』を連載中の桜井ミヤト先生にインタビューを実施。漫画家を志したきっかけや作品の誕生秘話などについてお話しいただきました!

 

●学生時代に描き溜めた長編漫画は50作!?

──桜井先生が漫画家を目指したきっかけを教えてください。

 

桜井ミヤト先生(以下、桜井):
小学校低学年の頃、とてもセンスのある友だちがいたんです。彼が学校に持ってきたものはすべて流行るほど影響力のある子で。あるとき彼が『BLEACH』を学校に持ってきたのですが、それを読んだときに「僕もこんなふうにみんなに面白いと言われたい」と思い、見よう見まねで漫画を描いたのがきっかけです。

 

──その後はどのような漫画に触れてきたのでしょうか?

 

桜井:
『シャーマンキング』や『ジョジョの奇妙な冒険』など好きで読んでいましたね。あとは、髙橋ツトム先生の作品です。20歳くらいの頃は髙橋ツトム先生の漫画を模写し続けていました。特にバトルものが好きで、僕も学生時代に長編もののバトル漫画を描いていたんです。全部で50作ほど描きましたね。

 

──50作ですか!?

 

桜井:
小学生の頃からずっとノートに漫画を描き続けていて、友達に読ませていました。高校生になると、描き溜めた漫画を空いていたロッカーの中にすべて入れていて、学校中の友達がその漫画を自由に読んでいました。授業中に読んで没収される人もいて(笑)。

 

──『蒼く染めろ』はサッカーを題材としていますが、先生はスポーツ漫画も読まれていましたか?

 

桜井: 
『DAYS』や『SLAM DUNK』などのスポーツ漫画を読んでいました。一番好きなスポーツ漫画を挙げるとすると、『エリアの騎士』ですね。

 

──『エリアの騎士』はどのようなところがお好きなのでしょうか?

 

桜井: 
僕自身サッカー部に所属していたこともあり、実際のサッカーでもできそうな技が出てくるところが好きです。「φ(ファイ)トリック」など、マネしましたよ(笑)。ストーリーでは、兄の心臓を移植されたことで覚醒するところが衝撃的でした。

 

──先生はずっとサッカーをされていたのですか?

 

桜井: 
幼稚園~高校までやっていました。ポジションはずっとフォワードです。

 

──先生の公式Twitterでも、サッカーのお話をされていることが多いですね。

 

桜井: 
そうですね。以前リバプールに所属していたフェルナンド・トーレス選手が好きで、それからずっとリバプールを応援しています。講談社とリバプールがパートナーシップを結んだときは、「『蒼く染めろ』も上手くいくんじゃないか!?」と興奮しました(笑)。

 

●スポーツ漫画を描き続けていたことが今に繋がる

──プロの漫画家を意識し始めたのはいつ頃だったのでしょうか?

 

桜井: 
高校生の頃に何度か「週刊少年ジャンプ」編集部に持ち込みに行きました。僕の漫画を読んだ友達はみんな絶賛してくれたので天狗になっていて、俺が一番面白い漫画を描けると本気で思っていたんです……(笑)。ですが、編集部の方からは良い評価をもらえませんでした。その後、講談社で現在担当していただいているナカタさんと出会い、賞に応募するようになりました。

 

──賞に応募し始めてから、『蒼く染めろ』の連載までは順調だったのでしょうか?

 

桜井:
いえ、まず賞を取るまでに苦戦しました。『カミカゼ』でようやく第102回新人漫画賞の特別奨励賞を獲得できましたが、長かったですね。『蒼く染めろ』ができるまでもスポーツものの作品を描いたのですが、なかなかうまくいかず……。そんなとき、スポーツものの企画が上がって「新人賞でスポーツものばかり描いている桜井くんはどう?」とお誘いがきて、自分がずっとプレーしてきたサッカーを題材に描き始めました。

 

──ストーリーはすぐに決まったのでしょうか?

 

桜井:
ダブル主人公ものの作品が好きなので、兄弟を主人公にしたいと考えていました。スポーツものの兄弟はどちらか1人いなくなってしまうことが多いので、2人がずっと一緒にいて、支え合い成長していく作品を描きたかったんです。そこを軸にして、『蒼く染めろ』を作り始めました。

 

──兄弟でともに活躍していくストーリーは最初の段階から決まっていたんですね。担当さんからはどのようなアドバイスがあったのでしょうか?

 

担当編集ナカタ(以下、ナカタ): 
連載開始前に「キミは王道で成功する人間なんだ」と何度もお話しした記憶があります。『カミカゼ』は第二次世界大戦中に南方戦線で野球をするストーリーで、もちろんそれはそれで面白かったのですが、「連載をするなら、甲子園を目指すような話を描かないといけない」と話しました。

 

桜井: 
他は、「主人公を主人公らしく描く」ことですね。キャラクターが増えてくると、新キャラの登場するシーンが増え、主人公の影が薄くなってしまうんです。たくさんのキャラがいる中でも、きちんと主人公を活かすよう、何度もアドバイスをいただいています。

 

──チームメイトを中心に、他のキャラクターたちも個性が確立されているので、その中で主人公を立たせるのは大変そうです。

 

桜井: 
そうですね。いろいろなシーンで、できるだけ主人公を登場させるように意識しています。

 

ナカタ: 
桜井さんはとても勘の良い方だと思います。「これを読者は求めているんだ」「こんな見られ方をされるだろう」と客観的な見方ができることは、作家としての武器ですね。毎話苦労して生み出していると思いますが、主人公の立て方を掴んできていると感じます。

 

──やはり試合中の紅也と蒼士は印象的ですが、2人のプレースタイルはどのように決められたのでしょうか?

 

桜井: 
あの2人は理想と現実です。蒼士は、サッカー部時代の自分を投影しています。

 

ナカタ:
蒼士が桜井さんだとしたらサッカーの天才ですよ!

 

桜井: 
PHASE-001を描いているときは自分の投影だったのですが、いつの間にかかけ離れてしまいましたね。もちろん今も親近感を持って描いていますが、少し寂しいです(笑)。

 

●仙道は中学生時代から描いていたイケメンキャラ

──最初に登場したときと現在で、設定などが変わったキャラクターはいますか?

 

桜井: 
鉄平(黒川鉄平)です。鉄平があんなに大きな存在になるとは思っていませんでした。鹿山実業戦では完全に主人公でしたし、自分自身、こんなに鉄平を好きになるとは思っていなかったですね。

 

──反対に、変わらなかったキャラクターは?

 

桜井: 
仙道(仙道駿)さんです。仙道さんは中学生の頃に描いていたサッカー漫画からずっといるキャラクターです。そのときから「髪を結んでいる天才タイプで、背番号は10番」の設定でした。髪をまとめたときのビジュアルはその頃から変わりませんが、「怪我が原因で三軍」「前髪で目が隠れている」設定は、『蒼く染めろ』で加えました。「試合に出るときには髪を上げて、その瞬間に顔が見えるとカッコイイんじゃない?」と思いついたんです。

 

──中学生の頃に描いていたときから仙道さんはイケメンなんですね。

 

桜井: 
そうですね。『蒼く染めろ』でも、「作中で一番のイケメンにしてやる!」と思いながら描きました。

 

──コミックス3巻の表紙はその仙道さんですが、達成感はありましたか?

 

桜井: 
中学生の頃から描いていたキャラクターを連載作品に登場させることができ、そのキャラクターの話を一区切りできたのだと、感慨深いものがありました。

 

●描きながら思わず泣いてしまった!?

──仙道さん以外にお気に入りのキャラクターはいますか?

 

ナカタ: 
秋水ちゃん(秋水冬凛:1年生マネージャー)じゃない?

 

桜井: 
それだと好きな女の子の話じゃないですか(笑)。仙道さん以外だと鉄平も好きですね。監督(路田御子)は理想の女性を描きました。女性を描くときは、他のキャラクターを描くときとは本気度が違いますね。絶対に自分の気に入る顔を描かなければ、と意気込みます。

 

──監督を女性にしたのはなぜでしょうか?

 

桜井: 
とにかくイケてる女性を描きたかったんです(笑)。

 

ナカタ:
イケてる女性を出すには監督のポジションしかなかった(笑)。

 

桜井: 
そうです(笑)。監督が女性だとカッコイイなという思いもありました。あと、仙道さんと絡ませたくて! 幼なじみの設定は登場する直前に決めました。

 

──先生のお気に入りのシーンを教えてください。

 

桜井: 
これも仙道さんになってしまいますが、紅白戦が終わったあと、倒れている仙道さんを監督が仁王立ちで見下ろしているシーンです。仙道さんのキャラクターが確立した瞬間に思いついたシーンだったので、とても印象に残っています。あとはバス停での別れのシーンかな。「ケガするなよ」のシーンは気合いを入れて描いていたのですが、描きながら泣いてしまいました。

 

ナカタ: 
ギャグシーンのお気に入りはあります?

 

桜井: 
自分で描きながら笑ったシーンは、マッスルブラザーズのところですね。「こいつらは何をやっているんだろう?」と思いながら描きました(笑)。蒼士のキャラクターは、新たな関係性もできるのが良いなと思います。

 

ナカタ: 
担当的にはギャグも面白い作品だと思っていて、そこも注目して読んでほしいですね。鉄平が投げたペットボトルを蒼士が弾いたらフジくん(藤本竜輝)に当たるシーンも笑いました(笑)。

 

桜井: 
ギャグにギャグを重ねていくのが好きなんです。

 

●読む人の感情を揺さぶる作品を作りたい

──今後の展開について教えていただけますか?

 

桜井: 
これまではチラッとしか登場していなかった「黄金の時代(エル・ドラード)」(紅也を追って日本に来た世界の有力選手たち)とこれから戦っていくので、彼らに対して紅也が実力を100%発揮してぶつかり合うシーンを思いっきり描きたいです。そして圧倒的な力を前に、蒼士がとのように周囲を驚かせるのか、自分でもまだ想像がつかないので楽しみですね。

 

──マガポケの連載作品で注目している作品を教えてください。

 

桜井:
『いじめるヤバイ奴』は毎回楽しみに読んでいます。暗い雰囲気のマンガが好きなので、『満州アヘンスクワッド』も読んでいます。絵柄も好みです。あとは、『イレギュラーズ』もドラマを観ているようで好きな作品です。それぞれ異なるビジュアルのキャラクターがみんなカッコよくて、憧れながら読んでいます。


──最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします。

 

桜井:
これからどんどん熱くなっていく『蒼く染めろ』。みなさんの感情を揺さぶるような熱い作品をこれからも描いていきたいと思います!

 

 

●『蒼く染めろ』最新単行本第3巻、好評発売中!!

kc.kodansha.co.jp

 

感想をツイートする

▼『蒼く染めろ』はマガポケで読める!

pocket.shonenmagazine.com

▼第103回新人漫画賞受賞作 佳作『絶走』はこちら!

pocket.shonenmagazine.com

▼桜井先生の読切作品『GHETTOs』はこちら!

pocket.shonenmagazine.com

▼『蒼く染めろ』の記事はコチラでも!

pocket.shonenmagazine.com