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『ダイヤのA』寺嶋裕二先生がリモート突撃取材! サイ・ヤング賞候補前田健太投手インタビュー 後編

f:id:magazine_pocket:20201026200458j:plain白熱! 青道vs.市大三高戦記念インタビュー!

 

寺嶋裕二先生がリモート突撃取材! サイ・ヤング賞候補前田健太投手(ミネソタ・ツインズ)に聞く“ベースボールの最前線”、後編!!

実は投げるのが好きじゃない!?

寺嶋先生:
前田投手はYouTubeの「マエケンチャンネル」でトレーニング方法などを紹介されてとても好評ですよね。

 

前田選手:
自分のスライダーやチェンジアップの投げ方を紹介していますが、「試してみます!」とか、「やってみたらよかったです!」というコメントをもらうことがあって、すごく嬉しいです。

 

寺嶋先生:
視聴者の中には高校球児もいると思いますが、自分のアドバイスをどのように活用してもらいたいですか?

 

前田選手:
とにかくいろいろ試して欲しいですね。失敗してもいいから、いろいろな人のやり方を試すことで、必ず自分に合ったものが見つかると思います。

僕らの時代はネットもないし、プロ野球選手の話を聞くこともできませんでしたけど、今は僕に限らず、いろいろな選手が積極的に技術やトレーニング法を紹介していますから、使えるものはフル活用してほしいです。

 

寺嶋先生:
トレーニングといえば、前田投手ご自身は高校時代にどのようなトレーニングをしていたんでしょう。

 

前田選手:
筋トレは全然していませんでした。ウェイトを使ったスクワットの測定ではチームで一番上がらなかったくらいで、他の人より力はなかったです。

ベンチプレスも40キロを1回上げられるかどうかで。プロに入って2年目くらいから筋トレを始めて、今はもうガッツリやっています。

 

寺嶋先生:
高校生時代に筋トレをされていなかったとは意外でした。ちなみに投げ込みはされていた方ですか?

 

前田選手:
まったくしていないです。僕、投げるのがあまり好きじゃないんですよ。

 

寺嶋先生:
えぇ〜!?

 

前田選手:
ブルペンで100球投げるのって楽しくないじゃないですか。しんどいし、バッターもいないし(笑)。

それに「休み肩」と言いますけど、休んだ方が球が速くなるんですよ。なので僕は、大会の1か月くらい前からブルペンには入りませんでした。

 

寺嶋先生:
へぇ〜。PL学園はそれが許される環境だったんですね。それもすごいな……。

 

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メジャーの強打者を攻略する"勝ちパターン〟とは!?

寺嶋先生:
前田投手がYouTubeにアップしているスライダーの投げ方解説で一番驚いたのが、手首の角度を変えるだけで曲がり方が変わるということです。

それって、いわゆるスラッター(※注=大きく曲がるスライダーと小さく変化するカットボールの中間の変化球)のような、スライダーとは違うボールを投げている認識ではないんですか?

 

前田選手:
スラッターに近いボールを投げていることはあるかもしれませんが、僕自身は別の変化球を投げているつもりはないです。

僕はスライダーを多く投げますが、同じスピードにはしないようにしているんです。スピードとバッターの反応を見て、次のボールを決めたり、同じボールを続ける場合でもスピードと曲がり方を変えたりとか。

 

寺嶋先生:
バッターとの駆け引きが大事なんですね。たとえば「これならバッターは絶対驚く」という配球はあったりしますか?

 

前田選手:
少し前はスライダーを意識させておいて高めのストレートで空振りを取るパターンが多かったですね。スライダーのみでいってしまうときもありますし。

 

寺嶋先生:
それだけスライダーに自信があるんですね。前田投手が開発したスプリットの握りで投げるチェンジアップは、どういう配球で投げると最も効果が出るのでしょうか?

 

前田選手:
やっぱりスライダーとの組み合わせですね。

僕のスライダーとチェンジアップは大体同じ球速なんですよ。なので、バッターがスライダーを狙っているときにチェンジアップを投げると、相手はスライダーが来たと思うんですよね。

ボールが外に逃げていくと思ってバットを振ると、内側の方に落ちていくので空振りになってしまうイメージです。

 

寺嶋先生:
常々不思議に思っていたんですけど、メジャーでは、キャッチャーとのコミュニケーションはどのようにされているんですか?

 

前田選手:
試合前にキャッチャーとピッチングコーチとのミーティングがあり、通訳を交えながら、相手のバッター全員に対してどういう配球で投げるか、プランを決めてから試合に入ります。

たまに試合中キャッチャーがマウンドにやってきて、「どのボールで勝負する?」とか話し合うときもありますが。

 

寺嶋先生:
それも事前にミーティングをしているからスムーズにいくんですね。

 

前田選手:
そうですね。最近はキャッチャーがリストバンドをよく見るじゃないですか。あそこにバッターの情報が全部書いてあって、忘れないようになってるんです(笑)。 

大きな決断をする時は未来の自分を想像してみる

――前田投手はフォーム改造をはじめ、若い頃から自分なりの考えを持って高校からプロ入り、そしてメジャーへと進んできていますよね。そういった、自分の将来がかかった大きな決断をされるときって、何か前田投手を後押しするものとか、気持ちはあったんですか。

 

前田選手:
僕は大きな決断をするときに、未来の自分を想像してみて、どちらの選択が後悔しないだろうか、と考えるんです。プロに入るときは、高卒ですぐにプロに入った自分と、大学に行っている自分を想像してみました。

「最悪のケースは大学に行って怪我をしてプロに入れない場合だな。だったらプロに行って成功できない方がまだ納得ができる」と。それでプロ入りの道を選んだんです。

 

寺嶋先生:
メジャーリーグに行く時は、どんな想像をされたんでしょうか?

 

前田選手:
実は僕、アメリカに全く興味がなかったんです(笑)。ただWBCを経たことで変わりました。将来、自分が引退した後で野球に携わっていくことを想像してみると、メジャーに行かなかった自分がメジャーの話をしても説得力がない、と感じたんです。

メジャーでアメリカの野球を勉強していれば、キャリアを終えた時にメジャーについて自信を持って話すことができるだろうな、と。

 

渡米とともに"エース像"は変化した

寺嶋先生:
実際にメジャーに渡ってプレーを続ける中で、日本にいた時と“エース”に対する考え方に変化はありましたか?

 

前田選手:
日本にいるときは一定の成績を残してチームの中で一番になれればエースかなぐらいに考えていましたが、メジャーに来てからは、エースは圧倒的じゃないといけないと思い始めました。

さらに成績だけでなく、ときには周りのみんなに声をかけたり、アドバイスしたりすることも必要だなと。それは試合中だけでなく練習でも同じです。

 

寺嶋先生:
チームのリーダー的な存在でもあるということですね。

 

前田選手:
日本だとエースって近寄りがたい孤高の存在みたいなイメージもありますが、アメリカではそういった感覚が全くないんです。

そしてこれは日本でもアメリカでも変わらないですが、自分の成績だけでなく、チームごと引っ張っていく存在が“エース”なのかなと思います。

 

寺嶋先生:
いや~、大変参考になりました。これからの活躍も期待しています!

 

前田選手:
ありがとうございます!

 

成績スゴすぎて割愛せざるをえない
前田健太投手これまでの歩み

1988年4月:大阪府で誕生。
2004年:PL学園高校に入学。1年夏に甲子園初登板。
2006年:3年春にセンバツ出場。
2007年:ドラフト1巡目で広島東洋カープ入団。
2010年:最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最優秀投手、ベストナイン、ゴールデンクラブ賞、沢村賞を獲得。以降、2015年まで6年連続2ケタ勝利。
2016年:MLBロサンゼルス・ドジャース入団。16勝を挙げる。
2017年:13勝6敗で2年連続2ケタ勝利。チーム29年振りとなるワールドシリーズ進出に貢献。
2020年:ミネソタ・ツインズ入団。6勝1敗の好成績で、ポストシーズン進出の原動力となる。

 

 

 

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