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〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家への花道 第2弾『ブルーロック』ノ村優介先生が新人漫画家の悩みを解決!

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今回は、「週マガ」41号に掲載されたマガジン連載中の漫画家先生へのインタビュー企画「漫画家への花道」第2弾を大公開! 第2弾では、『ブルーロック』のノ村優介先生が新人漫画家の悩みを解決! さらに、ノ村先生にお答えいただいたものの、惜しくも本誌に収まりきらなかった内容をマガポケベースで大公開しちゃいます!

 

〜漫画家を目指すキミに贈る〜
漫画家への花道

【第107回新人漫画賞締め切り直前特別企画第2弾!!】

『ブルーロック』ノ村優介先生が新人漫画家の悩みを解決!

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これを読めば夢の連載開始が近づく!
第107回新人漫画賞の締め切り目前! 「週マガ」40号から3号にわたってマガジン連載中の漫画家先生へのインタビュー企画をお届けいたします! 新人漫画賞を受賞し、現在連載を目指して日々努力をされている新人漫画家さんから質問を募りました。今回はそんな新人漫画家さんたちが抱える悩みを『ブルーロック』のノ村優介先生にぶつけてみました!

 

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2013年に『砂人の皇』でデビュー。その後『ドリィ♡キルキル』(原作/蔵人幸明)の連載を経て、現在は週刊少年マガジンにて『ブルーロック』(原作/金城宗幸)を連載中。

 

 

――本日はよろしくお願いします。新人漫画家さんからお預かりした質問にお答えいただけたらと思います! 

 

ノ村先生:
はい! よろしくお願いします。

 

●「自分がプロだったらこう描く!!」は大歓迎

 

新人漫画家からの質問①
機材やアシスタントの人数など、作画環境はどうなっていますか?

 

ノ村先生:
今はアナログ原稿で大まかな部分を制作し、仕上げはデジタル処理を施します。多くの漫画家さんが使っているクリップスタジオを使って仕上げ作業をしています。コロナ禍になってからはフルリモートで、アシスタントの皆さんとグループ通話をしながら仕事をしています。常勤のアシスタント、いわゆるレギュラーを雇わないスタイルで、皆さんには自分の原稿や読み切りを優先してもらっています。

 

新人漫画家からの質問②
アシスタントの方々に求めることはなんですか?

 

ノ村先生:
職場の雰囲気が良くなるので挨拶は大事ですね! あとはアイデアを提案してくれると嬉しいので、色々な引き出しを持っていてほしいです。アシスタントに入る先生の作品を読み込んで線を合わせるのは大事ですが、単純作業だと慣れてきてしんどくなるはずです。「こういう背景、こういうシーンの仕事が来たら、こういうのを試してみよう!」という実験的な意識を自分の中に持っていてもいいと思います。提案してくれたアイデアが、たとえ僕が今まで描いたような背景や演出じゃなかったとしても、面白いなとかカッコいいなとか思ったら積極的に採用しています。

 

――夢を目指しやすい理想的な職場環境だと感じます。今の方針はノ村先生のアシスタント時代のご経験と関係しているのでしょうか?

 

ノ村先生:
最初に入った『あひるの空』の職場で求められる背景は割と写実的でした。季節ごとに異なる影の入れ方、密度や空気感など、「背景にも演技をさせる」描き方を教えていただきました。その描き方は『ブルーロック』でも影をつける際などに実践しています。でも背景をそこまで緻密にコントロールするのは、レギュラーのいない僕の流動的な職場では難しいです(笑)。『あひるの空』で日向先生に教わった技術を土台にしつつ、今の職場環境のベースになっているのは『進撃の巨人』諫山先生の下でのアシスタント経験ですかね。諫山先生の職場も、レギュラーを作らず全員がヘルプでした。自分の漫画をやりたい人たちがネームをバンバン描いていくため、アシスタントの回転が早かったです。そこで働きやすかったこともあって、自身の夢や目標を追いかけているアシスタントの方々を第一に考えたスタイルを取っています。

 

●サッカー漫画ならではの「制限」と格闘中

新人漫画家からの質問③
背景の指示を出す時は、どれくらい細かく伝えていますか?

 

ノ村先生:
〝画面内の熱量〟をどれだけ描き込んでほしいかという方向で指示をお伝えしています。例えばこの馬狼のシュートシーン(下のコマ)ですと、芝を流すか流さないかとか、スピード線は隙間を空けるか空けないかとか、太い線を入れてほしいとかですね。特に『ブルーロック』はスピード線が多いので、ギアを1段から5段くらいまで設定した上で指示を出しています。

 

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▲地面に沿って描かれたスピード線に注意して見ると、均一ではなく間隔や太さに絶妙な違いがあることが分かる。

 

新人漫画家からの質問④
どうしても決めのシーンが単調で同じ構図になってしまいます。見せゴマを描く時は、どのように構図を決めていますか?

 

ノ村先生:
サッカー漫画の見せ場はやっぱりドリブルとシュートシーンです。「これ見たことあるな」って思われると読者の飽きにつながるので、構図を調整して毎回新鮮に見せようとしています。一気に引いたり寄ったり、勢いを出したい時は下から煽ったり。キャラクターの体のしなりをカッコよく見せたい時は上からの構図で描いたりして違いを出しています。今までに見た漫画や映画のカッコいいシーンが自分の中にあるので、そのイメージを適切な場面で引っ張り出していますね。構図の引き出しをストックするインプットが大切かもしれません。

 

新人漫画家からの質問⑤
『ブルーロック』は個性豊かなキャラクターが出てきますが、キャラクターデザインはどのように差をつけていますか?

 

ノ村先生:
キャラを真っ黒に塗りつぶしても立ち姿だけで誰かわかるのが、僕の理想的なキャラ造形です。ただ『ブルーロック』の場合、全員ユニフォーム姿ですよね。ファンタジー漫画のように小物をつけたりできないので、髪型や顔、目、眉の形や長さや描き方などで調整しています。特に目の描き分けにはこだわっています。瞳の大きさのバランスや、目尻を描くか描かないか、二重にするのか一重にするのかとか。目をベタで描くのかトーンを使うのか、例えば蜂楽だったら斜線で黒くしたりだとか(下のコマ)。他には黒目でハイライトを入れる時、真ん中にいれるのか横にいれるのかとか。目の形は丸いかアーモンド形か四角にするのかとか、まつ毛が何本付いているだとか。アップのコマで目だけ切り取られても誰かわかる程度に、かなり細かいところまで調整していますね。

 

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▲顔のアップでも目元の描き分けにより、キャラがしっかりと判別できる。

 

●プロへの近道は「エロ」を描くこと!

新人漫画家からの質問⑥
絵のおすすめの上達法はありますか?

 

ノ村先生:
最初に絵を描き始めた頃は超下手くそでした(笑)
上達するためにどうしたらいいか考えた時、自分が好きなエロ漫画を描こうと思ったんです。エロってこだわりがあるじゃないですか。ここを描きたいとかこれは嫌だとか、おっぱいを柔らかく描きたいとか、男をカッコよく描きたいとか。僕は考えて描かないと絵は上手くならないと感じていて、それを無意識化でできるのがエロ漫画だと思うんです。まずは自分が「お、いいじゃん!」って思えるエロ漫画を完成させる。これは邪道かもしれないけど、絵の上達法で一番成果が出るやり方かなと思いますね。僕はスケベなのでエロ漫画でしたが、別になんでもいいんです(笑)。新人漫画家さんも〝フェチ〟があればご自身の〝フェチ〟にこだわって、考えて描きたくなるジャンルを全力で描いてみてください。

 

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▲「エロ」へのこだわりは『ブルーロック』でも色気のある表情や筋肉を描く際に活かされている。

 

新人漫画家からの質問⑦
ずっと漫画を描き続けていると手が痛くなってしまいます。描き方のコツなどはないでしょうか? 

 

ノ村先生:
手が痛まないようにペンの持ち方を変えてみるのはどうでしょう。初連載『ドリィ♡キルキル』の時は、今と違って隔週ペースで原稿を描いていました。しかしペンを短く持っていたせいで力んでしまい、手を痛めてばかりいたんです。どうすれば週刊ペースでもやっていけるか考えて、ペン先から遠い部分を持つようにしたら、年に数回しか痛まなくなりました! ペンを長く持ち、手首で描くというより肘や肩を使って描く感覚です。慣れるまでは大変ですが、習得すれば手の力を抜いて描き続けられると思います。


――「何で描くか」も大事ですか?

 

ノ村先生:
道具に正解はないと思います。それこそ、『ダイヤのA』では筆ペンで輪郭線が描かれている時もありますよね。『不滅のあなたへ』の大今先生もボールペンを使っていたと聞いたことがあります。新人漫画家さんは「Gペンじゃなきゃダメ!」と感じている人が多いかと思いますが、自分の一番描きやすい道具を見つけることが大事だと思いますね。


――最後にメッセージをお願いします!

 

ノ村先生:
連載が始まると仕事に全てを持っていかれるので、今のうちにたくさんインプットしておくのが良いと思います。飲み会とか映画見るとか、やりたいことは全部やっておきましょう! 無駄なことなんてないと思うので色々な経験をして欲しいと思います。


――貴重なお話をありがとうございました!

 

「漫画家への花道」
ノ村優介先生 番外編!!

ここからは、本誌のインタビュー企画でノ村優介先生にお答えいただいたものの、惜しくも誌面に収まりきらなかった内容を大公開! 作画の極意と心身のケアの極意について、ここだけの話が盛りだくさんです!

 

●プロが明かす作画の極意!!

新人漫画家からの質問 番外編①
背景に関して「アシスタントの方々に任せる部分」と「ご自身で描かれる部分」の線引きはありますか?

 

ノ村先生:
基本的に名前のあるキャラクターは全て自分が描いています。また衝撃波や煙表現、雷や墨などのエフェクトは、まずサンプル(雛形)を自分が描いて、それをアシスタントの方々に真似てもらっています。観客などのモブはアシスタントの方々にお願いすることが多いですが、比較的大きめになる場合は自分で描くこともあります。

 

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▲馬狼を纏う迫力あるオーラ

 

新人漫画家からの質問 番外編②

同じキャラの感情の変化を描き分ける際は、どういった工夫をされていますか?

 

ノ村先生:
感情のギアチェンジを表すために、眼の集中表現に差をつけることが多いです。キャラの感情に合わせて、瞳の大きさやベタの比率などを変えたりしています。たとえば愛空はオッドアイの設定です。でも常にしっかりオッドアイを守って描いていたら、どうしても似た表情になってしまいます。ですから超集中している時には瞳を白く抜いたりすることで、表情にキレが出るように工夫しています。
新人漫画家さんは最初にキャラクターのビジュアル設定を考えますよね。でも初期設定に縛られ過ぎないように描くのが大切だと思います。描いているうちに段々ビジュアルが変わっていくのは当然です。変わっていることさえ自分の中で認識できていれば、その自然な変化に対応していけば問題ないと思います。むしろその方が、キャラの表情はより魅力的に映るかもしれません。

 

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f:id:magazine_pocket:20210903132819j:plain▲シーンによって色が異なる愛空の眼

 

新人漫画家からの質問 番外編③
絵の上達法として模写は大事ですか?

 

ノ村先生:
大事だと思います。僕も最初はたくさん模写していました。それこそ好きな作家さんをパクるつもりで描くのが良いと思います。まずは自分である程度再現できるようにまで1人の作家さんを模写します。納得できるレベルに達したら別の作家さんに移るようにして、全部で3人ほど真似た後であれば、これまでに模写した作家さんの絵の要素を上手くミックスできるようになっていると思います。自分が描きたい絵の方向性もこの時点で少しずつ見えてくると思います。
新人漫画家さんの中には「自分の絵が誰かのパクリになってしまうのでは」と、模写に抵抗がある方もいるかと思います。でも自分で再現できるレベルまで複数の作家さんを模写すれば、絵は確実に上達します。1人の作家さんだけを模写をしていると危険かもしれないですが、3、4人をミックスすれば問題ないと思います。この作家さんの目の描き方が好き、この作家さんの体の描き方が好き、この作家さんのデザインが好きだとか要素をかいつまんでバラバラに組み合わせれば、自分だけの新しい絵が生まれるはずです。だから模写はどんどんすべきですし、それと並行してエロ漫画を描くのが一番の上達法かなと思いますね!

 

●プロが明かす心身のケアの極意!!

新人漫画家からの質問 番外編④
作業に取り掛かる前のルーティーンなどはありますか?

 

ノ村先生:
音楽を聴くことが多いですね。朝は歌詞のある曲を聴くと頭が働き過ぎてしまうので、ジャズやボサノバのような音だけの音楽を聴いて、体をゆっくり起こすイメージで仕事に取り掛かります。

 

新人漫画家からの質問 番外編⑤
連載がいざ始まると、数年に渡って膨大な量の原稿を描き続ける必要があるかと思います。健康を保ってかつ効率的に描き続けるために心がけていることはありますか?

 

ノ村先生:
少しの時間でもいいから湯船には入った方がいいです! 烏の行水だと疲れは取れないですよ(笑)健康を保つというのは、つまるところ疲労を蓄積させないことだと思うので、一日の中でリラックスできる時間を確保するのが大事かと思います。
そして効率的に書くためには「力を入れずに」という意識を持つのが良いと思います。「やるぞ!」っていう気持ちはもちろん頭では大事にしつつ、それが体にも出るとすぐに故障の原因になるので注意が必要です。野球のバッティングにも通じることかもしれませんが、自分が一番楽な状態を維持するのが大事ですかね。それこそ立ちながら描いてもいいですし、しんどくならないスタイルを確立するのが、効率的に描き続けるためのベストな方法だと思います。

 

新人漫画家からの質問 番外編⑥
生まれ変わっても漫画家になりたいですか?

 

ノ村先生:
漫画を描くのは楽しいので、生まれ変わっても描くかもしれません(笑)やっぱり誰かに読んでもらえることが嬉しいんです。批判されるのも、作品を読んでくれたわけなのでありがたいですね。読者さんの反応を通して仕事の実感をリアルに得られることは、漫画家の一番の醍醐味だと思います。でも大変だから、自分の子供にはあまりオススメしないかな(笑) 

 

――ノ村先生、本日はお忙しい中ありがとうございました!!

 

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『ブルーロック』は週刊少年マガジンで大好評連載中!

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第107回新人漫画賞
特別審査委員長は、瀬尾公治先生!!!!

締め切りは2021年9月30日当日消印有効

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ぜひ周りの人にも教えてあげてください!

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▼「漫画家への花道」第1弾はコチラ!

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