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『彼女、お借りします』の宮島礼吏が語る漫画作りの極意!(後編)【漫画家への花道】

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前編はコチラ! 

 

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「描きたい絵」多すぎ!

ーー先ほど、自分なりの「描きたいもの」がない話になっている、とおっしゃっていましたが、それ以外で気になったところはありますか?

 

宮島:「絵」が気になりますね。何より、情報量が少ない。背景も少ないです。

例えばこの、椛が床で寝ている好に気付かず頭を踏んでしまうシーン(図3)。これでは床の素材がわからないですよね。

「表現する」というのは、それがどういうものなのかを「表に現す」ってことなので、これが目である、これが口である、こういう顔をしている、っていうことと同じように、壁や床の質感も伝えるべきだと思います。

それが「臨場感」にもつながるんじゃないかと。

同じように、誰が、どこに、どれくらいの距離間でいる、ということを伝える絵も少なく、わかりにくいです。

 

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⬆︎図3:例に挙がったコマ。たしかに、床の素材は木なのか、木ならそれはボロいのか、新しいのか。そういったことが伝わらず、臨場感がない。


ーー絵の情報量が、臨場感とわかりやすさにつながるんですね。では、なぜ情報の少ない絵を描いてしまったのだと思いますか?

宮島:「描きたい絵」が多いからだと思います。

新人の頃は「描きたい絵」がたくさんあって、それに固執してしまっていたことを、よく覚えています。でもそれは実は「描きたくない絵」を描きたくないだけだったんだと思うんです。「情報」が多い絵は大変ですし。

でも、今は「描きたい絵」はラストに一つあればいいと思っています。「伝えたいこと」と「描きたい絵」、その二つが合致した見開きが、ドーンとあれば。

あとはそのシーンがいかに盛り上がって見えるかということに終始すべきであって、そこに至るまでは「描きたい絵」よりも「情報」の方が大事だと思います。

この作品は、そもそもラストの見開きの「伝えたいもの」がしっかり定まっていないにもかかわらず、他の細かいところで「描きたい絵」を優先しているところが多く、めちゃめちゃ腹立ちます(笑)。

 

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⬆︎図4:描きたい「キャラクター」を中心に描きすぎて、誰がどこにいるのかが伝わりにくくなってしまっている。

 

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⬆︎図5:よく描き込まれた、ハイレベルな絵!でもそれが多すぎても、逆効果に…。

 

 

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本作品の「褒め所」は?

ーーここまで、ダメなところをたくさん挙げていただいたので、ここは頑張って描いているな、というところを教えてください。

宮島:上限50ページという制限の中で、話をまとめ切ったところはなかなか頑張っているなと思います。

ただ、今思うと50ページでやるべき内容ではないですね……。やるなら70ページくらいかける話だと思います。

頑張って収めたとは思いますけど、根本的にその目測を間違えているので、全然ダメですね(笑)。

ーー……結局ダメ出しになってしまいました。他にはありませんか……?

宮島:構成面での「読み切りの作り方」みたいなものは押さえられていると思います。

ただやはり、頭でっかちに作ってしまっていて、結局最後に「描きたいもの」 がないので、グッとこないですね。

だから「選外佳作」 なんじゃないでしょうか(笑)。

ーーああ……やはりダメ出しに……。

読み切りは「25ページ」でいい!

ーーでは最後に、新人賞を目指す皆さんに一言お願いします!

宮島:話を詰め込み過ぎないで、と言いたいですね。

上限が50ページなら、内容自体は25ページくらいで描ける話でいいんです。
残りのページは「それを君はどう描くんだ?」っていうところに、全部使って欲しいと思います。

70ページ分くらいあるような大きい話を凝縮したものだと、話を伝えることに終始してしまって、意外とその人の良いところが伝わらない作品になってしまうと思うので。

それがこの作品なんです(笑)!

皆さんはそうならないように、頑張ってください!

ーーありがとうございました!


次回は『五等分の花嫁』の春場ねぎ先生をインタビュー!

新人時代から人気作家への軌跡を辿る!! 

お楽しみに!!  

 
(※この記事は週刊少年マガジン2019年14号に収録されたものです)

  

 

第102回新人漫画賞
締め切りは
2019年3月31日(日)

当日消印有効!

新人賞の詳しい応募要項は「週刊少年マガジン」公式サイトをチェック!

  

 

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