週刊少年マガジンに掲載された「漫画家(プロ)への花道」を特別に大公開!
本連載では、マガジン誌面でプロとして活躍している”あの”先生、”あの”作品の作家に、プロの感覚、目の付けどころ、意識していることなどをインタビュー。
講談社に持ち込んだ投稿作品を、自ら審査してもらったりもしているぞ!
今回は、2019年14号に掲載された宮島礼吏先生編の前編をお届け!
『彼女、お借りします』の宮島礼吏先生
新人・宮島礼吏を斬る!
2005年『プールの仙人掌(サボテン)』で第75回新人漫画賞選外佳作受賞。その後、「週刊少年マガジン」にて、『AKB49〜恋愛禁止条例〜』を連載。
現在連載中の『彼女、お借りします』は若者から大人気で、「週マガ」の看板作品の1つ。
ビリヤード「最強」の一族に生まれた少女・椛(もみじ)。強くあり続けなければならない彼女は、ある日、楽しく奔放にプレーする少年・好(たか)と出会い……?
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「描きたいもの」無さすぎ!
ーーまず、『プールの仙人掌』を読み返してみて、一番気になったところはどこでしょうか?
宮島:全部気になりますけど、一番は作品の根本である 「テーマ」や「題材」の部分です。
ーー「題材」と言えば、たしかに「ビリヤード」の漫画であることには驚きました。ビリヤードをやられていたり、お好きだったりしたのでしょうか?
宮島:やっていた、というか遊び程度ですね。みんな一度くらいはやったことあると思うのですが、そのレベルです。
題材に選んだ理由は、他の投稿作と被らないことを狙ったからなんです。
ーーでは「ビリヤードが描きたかった」というより、戦略的な理由からだったんですね。
宮島:そうですね。でも、だから「佳作」ではなく「選外佳作」だったんだと思います(笑)。
「ビリヤード」という題材でオリジナリティを出そうという気持ちはわかりますが、題材の扱い方が良くないですね。
結局テーマとしては「『強さ』よりも『楽しさ』が大切である」という(図1、図2参照)、少しありきたりなものになってしまっています。
本当にそのテーマを扱いたいなら、他のスポーツの方が描きやすかったかもしれない。
またビリヤードを扱うなら、ビリヤードがどういうスポーツか、その中にある「少年誌らしいところ」はどこか、という「切り口」を考えた方がオリジナリティのあるものになったように思います。
⬆︎図1:主人公の椛。「最強」の一族に生まれ、強くあることを義務付けられている。
⬆︎図2:主人公とは対照的な好。「楽しさ」を大切にする、自由奔放な少年だ。
ーー「描きたいもの」からではなく、「被らない題材」というところから考え始めていた、ということでしょうか?
宮島:はい、「逆」になってしまっていたと思います。アホですね(笑)。
だから、周りを肉付けしてオリジナリティを出そうとしていますが、根本の部分がありきたりなので、最終的にいまひとつグッと心に響かないです。
やっぱり面白い作品って、その「テーマ」や題材の「切り口」の時点で個性があって面白いんですよ。そのことに若いうちから気付けている作家さんは、「才能があるなぁ」と思いますね。
僕自身、当時はおろか、本当に最近気付いたくらいなので。
ーーなるほど、まずは自分なりの「描きたいもの」が大切なんですね。では、その「描きたいもの」はどのように見つけたらいいのでしょうか?
宮島:うーん、難しいですね(笑)。なかなか教えられてどうにかなることじゃないと思います。
自分で気付くしかないというか。毎日、何かを得ようとして、考えて生きていないといけないんだと思いますね。
もし見つかったら、次はそれを読者に読み取ってもらえるように意識して描いてほしいです。読者が読み取って初めて、作品としてのゴールだと思うので。
逆に、「描きたいもの」をわかりやすく伝える「見せ方」は、勉強して覚えられることだと思うので、たくさん勉強してほしいと思います。
☆後編へ続く!
(※この記事は週刊少年マガジン2019年14号に収録されたものです)
第102回新人漫画賞
締め切りは2019年3月31日(日)
当日消印有効!
新人賞の詳しい応募要項は「週刊少年マガジン」公式サイトをチェック!
▼漫画家(プロ)への花道【宮島礼吏先生 編】 後編はコチラ!
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『AKB49〜恋愛禁止条例〜』第1話はコチラ!
『もののて』第1話はコチラ!
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