本日、待望の第1巻が発売される『ヒロインは絶望しました。』
仮想世界に転送され、化け物たちに襲われ続ける渋谷明と、彼女を助ける見返りに卑猥な要求を突きつける秋葉歪。2人の高校生を中心に繰り広げられる“凌辱サバイバル”。
『ヒロインは絶望しました。』の注目ポイントや、千田先生の来歴、気になる謎について質問してみました!
待望の1巻について
――第1巻の見どころを教えてください。
千田先生:
自分で言うの恥ずかしいですね(笑)。うーん、カバーイラストですかね。怯える渋谷さんと不敵に笑う秋葉くん。何枚もラフを描いた末に決めた絵で、自分にしては良い感じにできたと思っています。
――特別描き下ろしもあると伺いました。
千田先生:
作中屈指のドSキャラ、足立妃の外伝を16P描きました。 本編に負けず劣らずヤリたい放題暴れまわっていますので、特に妃好きの人がいたらオススメです。……いるのかなぁ(笑)。
あと、まだ本編で出てない設定についても少し触れています。
――店舗特典もあるんですよね?
千田先生:
6つの書店さん用にイラストカードの絵を描き下ろしました。いろんな衣装の渋谷さんを描きましたので、気に入った絵を手に入れてもらえると嬉しいです。
千田先生のこだわりと謎について
――こだわりのシーンなどは?
千田先生:
誤解を招きそうですが、 5話目に渋谷さんが「お尻ぺんぺん」されるシーンですかね……アップになった渋谷さんのパンツは、目を凝らすとシワが見えるんです、実は。我ながら妙なこだわり(笑)。
――『ヒロインは絶望しました。』や『異常者の愛』と、『マコさんは死んでも自立しない』や『さよならトリガー』は、ずいぶんテイストが違います。意識を切りかえるコツはありますか?
千田先生:
よく聞かれるんですが、全然ないです(笑)。そもそも『マコさんは死んでも自立しない』のネームを描いたすぐ後にシームレスに『ヒロインは絶望しました。』のネームが描けちゃうんですよね。
作品作りの根本はどちらも「このキャラクターは、こんな行動をするだろうな」というところにあって、だから『マコさんは死んでも自立しない』も『ヒロインは絶望しました。』も描く際に考えていることに違いはないです。
唯一、違うのは、ハードな作品の時は「覚悟」していることでしょうか。『ヒロインは絶望しました。』では渋谷さんがヒドイ目に遭うことが分かっているので、彼女がどんな目に遭おうとも、自分の心が傷つかないように、事前に心構えをしている、というか。
――デビューから数年は、明るい作品が多かったですよね。
千田先生:
2012年に初めて別マガに載った『ふらげの』は、天才女子小学生たちの日常漫画でした。次作の『さよならトリガー』は元軍人JKの日常漫画。
ちょっと印象の違う作品を描いたのは、その次の『異常者の愛』がはじめてでした。
――転機があったんでしょうか?
千田先生:
連載開始のタイミングは逆なんですが、連載会議を通過したのは、『異常者の愛』より『マコさんは死んでも自立しない』が先だったんです。
ただ、雑誌の都合もあって、「週刊少年マガジン」での連載開始まで1年くらい待ってほしいと言われて。それで担当さんと「じゃあ、別の作品を作って待っていよう」という話に。
幸いなことに、連載は決まっていたので、ならあえてまったく別の方向の作品に挑戦しようと思い、やってみた結果、『異常者の愛』が生まれました。
『ヒロインは絶望しました。』誕生秘話
――『ヒロインは絶望しました。』はどのようにして生まれたのでしょうか?
千田先生:
ちょっと言いにくいですね(笑)。
実は、女児向けのデータカードゲームが好きで、打ち合わせが終わった後などに、よく自宅近くのゲームセンターで遊んでいたんです。
そしたらある日、担当さんから「そんなに好きなら漫画にしてみたら?」と言われて、その一言がきっかけで『ヒロインは絶望しました。』が生まれました。
ただ、最初はまったく違う設定だったんですよ。
――違う設定?
千田先生:
ゲームセンターで遊んでいた男子高校生が小学生の女の子たちに拉致されるという始まりで、人知れず魔法少女として戦っていた女の子たちに「私たちに協力しろ。断ったら、社会的に殺す……」と脅される内容です。
いま思えば、だいぶ危ない話ですね(笑)。
――それはどうして、お蔵入りに?
千田先生:
なかなかキャラクターが動いてくれなくて、設定から変えた方がいいかなって思いまして。
『ヒロインは絶望しました。』のキャラについて
――物語の主人公である渋谷さんはどんな子ですか?
千田先生:
“とにかくいい子”ですかね。決して「ふつう」の娘ではない、ということは意識して描いています。秋葉くんほど分かりやすい歪みではないですけど、「明るいだけの娘」ではなくて、彼女には彼女の変なところがあると思っています。
――渋谷さんに歪んだ愛を向ける秋葉くんの印象はどうですか?
千田先生:
彼はとにかく「クズキャラ」として描いています。彼を良い人のように描く気は微塵もないです(笑)。打ち合わせでもよく「こいつ、本当に最低だ!」って言ってますね。
秋葉くんを応援する読者さんがいたことが、実は連載をはじめてみて一番驚いたことでしたね。
――『ヒロインは絶望しました。』を描いていて楽しい時はいつですか?
千田先生:
バトルシーンを描いているときです!
最初は、思うような迫力が出なかったんですが、最近ようやく想像通りにバトルシーンが描けるようになってきたので、より楽しいです。
――『ヒロインは絶望しました。』のテーマはなんでしょう?
千田先生:
テーマですか。
うーん、あまり難しいことを考えて漫画を描いているわけではないんですが。
上手く言えないんですけど、ものすごいピンチとか絶望的な状況じゃないと見えてこない人間性ってありそうだな、と。そしてその、追い詰められた時に出てくるものを「本性」って呼ぶのは正しいのかな、って。
「力」というか、「有利な立場」を得た時に歪みが出ることはあると思います。でもそれは、そういう機会さえめぐってこなければ、ずっと明らかにならずに済むものでもあるのになって。
なんかよくわかんないこと言ってますね(笑)。
あとは、歪みとか狂気って、「陰」とか「負」の方向性だけじゃなくて「陽」とか「正」が行き過ぎた時にも出てくるっていうこと、ですかね。現実にはあり得ないシチュエーションを描いていますけど、この漫画では、肉体的・精神的な痛みを通して、そういうものの怖さみたいものも表現できればと思っています。
――それでは最後に、『ヒロインは絶望しました。』今後の見どころを教えてください。
千田先生:
秋葉くんの言動に期待してほしいです。秋葉くんのことは嫌いでも、彼が動くことによって話が面白くなりますから。
秋葉くんが、これからどんな行動を起こし、物語を掻きまわしてくれるのか。そして、渋谷さんがピンチの時に何を考え、何を選択するのか、楽しみにしていてください。
――これからも、渋谷さんと秋葉くんの活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました!