月刊モーニング・ツーで好評連載中の片山ユキヲ先生『夜明けの旅団』。
第二次世界大戦中、突如として現れた死霊。
米独は共闘して立ちむかうも死霊の勢力は広がっていく。
死霊や暴走したナチス兵と戦いながら、死霊の本拠地ノイシュヴァンシュタイン城を目指し、
ジョニーボーイとハニーバニーは旅を続ける。
8月に第三巻が発売予定の本作、一巻の発売時、超レアなとある記念企画を行いました。
それが藤田和日郎先生と片山先生の対談!
片山先生は、あの藤田先生のデビュー作『うしおととら』からの付き合い。
『うしおととら』のおまけ漫画にも度々登場し、藤田先生に絶壁スラッシュを繰り出していました。
『空色動画』『花もて語れ』『ふろがーる!』など、これまで日常をテーマに描いてきた片山先生が、なぜホラーファンタジーを描くことになったのか。アシスタントから漫画家となった弟子、片山先生に藤田先生が師匠視点でぶっこんでいきます。
師匠、「夜明けの旅団」を絶賛する
しょっぱなから師匠から鋭い質問が飛ぶかと思いきや、片山先生との昔話に花を咲かせる藤田師匠……師匠、質問をお願いします!
「これ(夜明けの旅団)すっげーおもしろい」と大絶賛。
言葉の節々から、片山先生への愛が伝わってきます。
『夜明けの旅団』のページを見せながら、熱い思いを語る藤田師匠。
「もう、痺れちゃったもん。始まりが映画みたい!」
「映画みたいって言ってくださるのはとっても嬉しいです」
「なんか堅いね。『くださる』なんていままで言われたことないよ(笑)」
師匠との初対談に緊張してしまったのか、ぎこちない様子の片山先生。
言葉の使い方がよそゆきになっちゃっていました。
水を飲んでリセットするお茶目な片山先生。
調子を取り戻したのか、今度は、執筆中の原稿を藤田師匠に見せはじめます。
藤田師匠は「いいね、いいね!あなたいいね!」とテーブルを叩いて大興奮。
「いままでだって、俺がちっちゃく描いたうしおの後ろにたくさん背景描いてくれてたじゃない。ここに俺が何か描いたらなんとなく『夜明けの旅団は俺のもの』みたいになるんじゃないか(笑)?」
藤田師匠、いくらなんでもそれはちょっと…
悪い顔をしていますね〜。
いったい、何かを企んでいるのでしょうか。
「ここに『ザシャアア』って描いていい?」
「音、間違ってますそれ(笑)」
弟子、「ホラーファンタジー」について語る
「なぜ、ここへきてホラーファンタジーを描いたの?」
「藤田さんの漫画は殺伐としていて嫌だなと(笑)。もうちょっと優しい世界はないかなと思って(前作までは)描いていたんですよ。でも、藤田さんから言われたあるひと言がきっかけになって……」
「ファンタジーを描くのは難しいよね。現実にないことだから、本心から描かないと現実感がなくなってしまう」
そして、「魅力的なキャラクターの生み出し方は?」などなど、藤田師匠は考察を織り交ぜながら質問していきます。
やはり二人ともプロの漫画家!
話は作品を飛び越え、これまで聞くことのなかったお互いの「漫画論」や「アシスタントとの付き合い方」などへ!
「俺が片山を大事にしたように、アシスタントさんを大事にしてあげな。有能だよ、このアシスタントさん」
「そうですね。(アシスタント)一人で描いているので背景とか大変だと思います
アシスタント時代の話までおよび、これまた懐かしトークが炸裂します。
「片山は元々、ギャグ漫画が描きたかったんだよね」
「実は『うしおととら』を参考にしたシーンもあるんです。あのシーンを観て『夜明けの旅団』にこのシーンをいれたんです」
「ああ、そんな風に受け取ってくれたんだね。それ、リップサービスでしょ(笑)」
お互いを知り尽くしているだけに、話が尽きることのないおふたり…。
最後は「かっこいいキャラの描き方」について語り尽くしたところで対談は終了。
「絵が死んでない。好きなものを描いている気がする」
「ありがとうございます」
実は『夜明けの旅団』には藤田師匠も登場。
死霊として頭が吹っ飛ばされています。
友だちと飲みながら話しているようなおふたりから人柄や信頼が見えてきます。
また、「この小さいこだわりいいね!」「藤田先生のあのひと言が残っていた」、お互いプロだからこその漫画や仕事への情熱も伝わってきました。
藤田先生、片山先生、ありがとうございました!
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