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「できたことが漫画だけ」、でも“だけ”じゃなかった真木蛍五先生インタビュー

ラブコメで育たなかった作者がラブコメを描いたらラブコメにないエッセンスを散りばめた作品ができたぞ!

 

「マガポケ」で大好評連載中、真木蛍五先生の『可愛いだけじゃない式守さん』。

 

「ヒロインが可愛いだけでいいじゃない!」と思われがちなラブコメに「可愛いだけじゃない」何かを取り入れた大人気ラブコメ。
でも実は、真木先生はラブコメ育ちじゃなかったんです。

 

かっこ可愛いヒロインがなぜ生まれたのか、独特の世界観はどこから来たのか――真木先生にお話をうかがいました!

「できたことが漫画だけ」、でも“だけ”じゃなかった真木蛍五先生インタビュー

 

ラブコメっぽくないラブコメはこうして生まれた!

――普通、ラブコメっていうと、ヒロインが可愛くてちょっとツンデレで、みたいなイメージがあるんですが、この作品のヒロイン式守さんは、可愛いだけじゃないですよね。
どこからこういうキャラクターが生まれたんですか?

 

真木先生:
実は、突然思い浮かんだんですよ。
ソーシャルメディアで「可愛い」と「かっこいい」を併せ持ったキャラをちょくちょこアップしていたら、かなりバズっていたので「もしかして」と思って式守さんのイメージを描いてみました。

 

担当編集さんに相談してみたら、「『好きじゃないと見せかけて、実は好き』よりシンプルでいいんじゃない」、とゴーサインが出まして。

 

ポッと浮かんだアイデアが採用されたっていう感じです。

 

――あと、式守さんはラブコメっぽくない印象があります(笑)。

 

真木先生:
実はラブコメ自体、あまり読んだことないんですよね。

 

最近は『モブサイコ100』が大好きなんですが、子どものころは『バガボンド』や『クロサギ』をよく読んでました。
父親が読んでいた漫画を死ぬほど読んでいたんですよ。
あと、『ドラゴンヘッド』とか。

 

それが、今ではラブコメ描いているとか、よくわかんないですよね(笑)。

 

――一番好きな漫画はどれ、とかありますか?

 

真木先生:
ラブコメなら『いちご100%』が大好きで、好きすぎて、好きをこじらせてしまい、「それ以外、ラブコメは読みたくない!」までになってしまいました。
オタクですよね。

 

――だからですかね、『可愛いだけじゃない式守さん』はラブコメなのにラブコメじゃない。ラブコメでは見かけないようなエッセンスも出ているような気がします。

 

真木先生:
ありがとうございます!

 

「メロンだけですけど……?」、すこし不思議な真木先生

――式守さんたちの服の描写を見ていると、ものすごいこだわりを感じます。
シンプルな服なのに、たわみや緩みが丁寧に書き込まれていて、ダサさを感じさせない。ファッションはお好きなんでしょうか。

「できたことが漫画だけ」、でも“だけ”じゃなかった真木蛍五先生インタビュー

「できたことが漫画だけ」、でも“だけ”じゃなかった真木蛍五先生インタビュー

 

真木先生:
個人的には、K-POPとかのド派手なアクセサリー ジャラジャラ~っていう服が好きなんです。
一般的に「お洒落」と言われるファッションはよくわからないんですよ。
だから、かなりいろいろ調べて描いています。

 

例えば、式守さんは清純派のワンピースなども着るので「どれだー?」ってネットで調べます。
道を歩いていても、女の子たちの服装を見て、「なんだ~?」みたいな。

 

――わからないと言いつつ、絶妙なシワやたるみ、サイズ感などを見るにつけ、かっこよく描きたい、という思いがあるのではないかなーと感じました。

 

真木先生:
調べてから、「こういうものなのかな」と考えながら描いてます。
もし「あれ?いつもと式守さんの服装が違う」と感じたら、個人的に好みな服装だったりするかもしれません(笑)。

 

――漫画や服以外のジャンルで、「これが好き」というものはありますか。

 

真木先生:
音楽ですね。
音楽を聴いてないと漫画が描けないほど、音楽は大好きです。


好きになった曲は、3日間ぐらいリピートでずっとかけっぱなしにする。
で、聞きすぎて、次の週はもう聴きたくなくなる(笑)。

 

だから、毎週、ハマる曲が見つからないと、作品作りに影響が出ちゃうのが悩みなんです。探してもらおうにも、“どマイナー”なエレクトロスイングとかジャズのクラブアレンジのようなものが好きなので、難しいですねー。

 

――それはなかなか見つからないかもですね……

 

真木先生:
食べ物は、米が好きですね。
白飯が大好きです。何もトッピングしなくても食べられる。チンするだけのご飯に、味塩かけるだけで、いくらでも食べられます。

 

――塩むすびみたいな感じですね。

 

真木先生:
あとはお菓子を食べていることも多いです。

 

単行本の作業をしていたときは睡眠時間が毎日4時間ぐらいで、エネルギーになるものが欲しくて毎日メロンを食べていました。
おかげでお肌がツヤツヤになりましたけど。

 

――メロンだけですか?

 

真木先生:
メロンだけですけど……?

 

カウンセラーになりたかった高校時代――3日間だけだけど

――絵を描き始めたのはいつ頃からでしたか?

 

真木先生:
小さいときからとしか覚えていないです。
机の前に座るのが嫌いで、いつも布団にうつ伏せになりながら描いていました。
布団の上だから、紙がぶよぶよになっちゃうんですけど、お構いなしで延々と描いていました。

 

担当編集:
真木先生は、変な姿勢でiPadを使ってササーっと漫画を描いていくんですよ。
布団の上で描いていた経験が生きているのかもしれませんね。

 

――友だちと遊ぶことは?

 

真木先生:
ありましたよ!

でも、遊んでいないときはずっと絵を描いていました。

 

小4までは、クラスに馴染もうと一生懸命頑張っていたんですけど、小5くらいで糸が切れちゃったんでしょうね。
中学生のときに「協調性を養いなさい」って学校で言われ続けた結果、ポンコツになりました。

 

高校で吹っ切れたのか、母親に「元気なポンコツになったね!」と言われたのはいまでも覚えています。

 

学校でもそんな感じだったのか、高2のときに「漫画の専門学校に行きたい!」と言っても、先生も親も「イイヨイイヨー。バッチOK、頑張ってー」という感じで送り出されました。

 

――普通なら止められるトコですよね。漫画以外の道は考えなかったんですか?

 

真木先生:
実は、臨床心理士としてカウンセラーになりたかったんですよ。
悩んでいたり落ち込んでいる人の話を聴くスキルがあるので、それを活かせないかな、と思って。

 

――カウンセラーは諦めてしまったんですか?

 

真木先生:
思い立ってから、めちゃめちゃ調べまくったんです。

 

休み時間ごとに図書室に行って心理学の本を読んだり、カウンセラーに求められることを調べたり、ネットでどうすればカウンセラーになれるか、収入はどうか、などいろいろ。

 

結構、数字をたくさん扱わないといけないということがわかりました。
しかも、クライアントが来なければ収入がない。
「これなら漫画家のほうが生活できそうだ」と思って、3日で諦めました。

 

――3日ですか?

 

真木先生:
3日ですけど……?

 

――デビューしたのは専門に行ってからですか?

 

真木先生:
そうとも言うし、そうとも言えないというか(笑)。

 

高3の夏に、AO入試で専門に受かり、後は暇でした。
だから、毎日6時間くらい腹筋して過ごしていたんですよ。

 

でも、それだけでは時間が余る。
「あー、暇だなぁ」と思っているうちに「漫画の専門に行くんだから、漫画を今から描けばいいじゃない!」と思いたって、後はひたすら漫画を描き続けていました。

 

そのうち春が来て、専門学校に入学。
先生に、描いた漫画を見せたら「どこかに応募した? なんでしてないの!?」と言われ、慌ててマガジン編集部に持ち込みしました(笑)。

 

――それがデビューのきっかけだったんですね。

 

真木先生:
ところが、そのときに担当してくれた編集さんに半年ぐらい放置されてしまったんですよ(笑)。

 

「これじゃダメだ!」と思って、別の出版社に持ち込んだら、「もうちょっとそこで頑張りましょう! もしそれでもダメだと思うのであれば、またいらっしゃい。そのときはうちで描けばいい」って言ってくれたんです。

 

それで、「マガジン」で頑張ろう、と考え直したんですけど、月例賞でさんざんな評価を得てしまい。

 

担当編集:
なんで別の出版社の方は応援してくださったんでしょうね……
本当に感謝です。僕なら絶対に引っ張ります(笑)。

 

――でも、新人賞の頃からお上手でしたよね?

「できたことが漫画だけ」、でも“だけ”じゃなかった真木蛍五先生インタビュー


真木先生:
絵に自信がなかったので『亜人』をめちゃめちゃ模写して画力を上げたんです。
そのまま出ちゃったみたいですね(笑)。

 

――そして、マガポケでの連載、『木星少女流星群』では原作ありの宇宙バトルモノを。画力がますますアップしていますよね。

 

真木先生:
ありがとうございます。
ハマっていた亜人のキャラを模写していたおかげで「上手だね」って言われるようになってきて、オタク魂って大事なんだな、と思いました(笑)。

「できたことが漫画だけ」、でも“だけ”じゃなかった真木蛍五先生インタビュー

 

説教臭くならない程度に込めたメッセージは決めゼリフの中に

――先生は「自分はポンコツ」と言いますけど、『式守さん』を読んでいると毎回メッセージのようなものを感じるんです。

 

真木先生:
そうですね、1話ごとに決めゼリフの中に少しずつ変えながらメッセージを込めています。
根っこに『バガボンド』があるせいか、メッセージ性がないと漫画を描くのがストレスになってしまうんです。

 

とはいえ、あんまり込めすぎると説教臭くなってしまうので、そこは編集さんに直してもらうことでバランスを取っていますね。

 

――これまででお気に入りの回はありますか?

 

真木先生:
第19回のプラネタリウムの回ですね。
ただのシチュエーション萌えで終わらない、「はじめてのお使い」を見届けたおじいちゃんになったような読後感が得られるのではないかと。

 

2人の青臭さみたいなものを感じてもらえるのではないかな、と思います。

「できたことが漫画だけ」、でも“だけ”じゃなかった真木蛍五先生インタビュー

 

――次回作の構想などはすでにできているんですか?

 

真木先生:
本当は、サスペンスやホラーが好きなんです。
でも、それはもっともっと頑張って、有名になってからでも描ける。だから、今は「描いてほしい」と求められている漫画を描いていければな、と思っています。

 

サスペンス原作の作画など、版権モノをやれればなぁと、密かに狙っています。

 

――真木先生にとって、漫画とは一言でいうと一体何でしょうか?

 

真木先生:
んー、唯一、できることという感じでしょうか。
漫画以外は本当にポンコツなので。

 

わたしは、お金そのものにはあまり興味がなくて、通帳の数字を見るときも「うぉおおおおお! 戦闘力が上がったぁあああ! 頑張れてる、わたし、頑張れてるよぉおおおおお!」という風にしか見られないんです。

 

だから、発行部数も気にならないんです。
ホントは気にしなきゃいけないと思うんです……一般的な社会人としては終わってますよね。

 

――でも、そんな真木先生だからこそあの魅力的な式守さんと和泉くんを描けるのかなと感じました。

 

真木先生:
そうですね。
通帳見て自分の頑張り戦闘力を確認して、もやしを食べながら毎週、編集さんと「ここで式守さんが、ガッとなってチャー! みたいになる」のような打ち合わせをするのは、本当に楽しいです。

 

――今日はありがとうございました!

 

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