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【騙されたと思って1本!!】「別マガ」ムービーガイド 『Fate/Grand Order -turas réalta-』TYPE-MOON先生&カワグチタケシ先生が選んだムービー編

名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。今回の推薦者は『Fate/Grand Order -turas réalta-』のTYPE-MOON先生とカワグチタケシ先生。今回もアニメ、ミステリー、マカロニ・ウエスタンと、バラエティーに富んだ推薦作が4本! 編集部オススメの作品もおもしろいのでチェックしてみてね!

 

●TITLE『長ぐつをはいたネコと9つの命』
おとぎ話のキャラたちが願う、本当の願いとは!?

 今回最初の推薦者は『Fate/Grand Order -turas réalta-』原作のTYPE-MOON先生。“ムービーガイド”に登場していただくのは2度目。前回の推薦作は『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』『バンパイアハンターD』と、マニアックな作品だったが、今回の推薦作1本目はバリバリのメジャー系アニメ『長ぐつをはいたネコと9つの命』! ドリームワークスの大ヒットシリーズ『シュレック』のスピンオフ作品である。
 イギリスでは“猫に九生あり”と言われ、日本では“猫を殺せば七代たたる”とか“13年飼った猫は化け、50年経ると尾が分かれて猫又(妖怪ですね)になる”と言われる猫。彼らには、特別な何かがあるらしい。
 この映画の主人公、長靴をはいたネコ=プスは、派手好きで酒好き、お調子者で人気者。剣さばきは抜群だが、お尋ね者。人間で言うと、ダメなモテ男である。そんなダメさ加減が災いし、命を落とすこともしばしば。猫の命は9つもあるから大丈夫と高を括っていたものの、気づけば命はあと1つ。しかも、メタクソ強い賞金稼ぎのウルフに命を狙われ、初めて本物の恐怖を味わった彼は、戦うことなく逃げ出す。
 命を失うのを恐れたプスは、自慢の長靴を墓に埋め、自らママ・ルーナの猫シェルターに向かう。
 家猫の生活を“尊厳の墓場”だと嘆きながら、他の家猫たちと暮らすうちに、すっかり怠惰な家猫になってしまったプス。このシーンに流れる音楽は『地獄の黙示録』にも流れた『The End』である。
 そこに現れたのが“ゴルディ・ロックスと3びきのくま”(イギリスの有名な童話。3匹の子豚じゃないよ)。プスと同じくお尋ね者の彼らは、魔法で世界征服を狙う裏社会の大物、ジャック・ホーナーから、“1つだけ願いを叶える力”が封印されている“願い星”のありかを示す地図を盗むため、プスを雇おうとやってきたのだ。だがプスが長靴を埋めた墓を見て、プスが死んだものと勘違いし、立ち去る。
“願い星”の存在を知ったプスは、“願い星”さえあれば9つの命を取り戻せると、長靴を掘り起こして履くと、勝手についてくる、猫の真似をして猫シェルターに住んでいたワンコ(名前)と共に〝願い星〟を求めて出発するのだが……!?
 童話から飛び出したユニークな敵役キャラとプスのサイドを固める脇役たちが楽しい。マザーグース出身のジャック・ホーナーは残酷でコミカル、ファミリーコンプレックスがあるゴルディ・ロックスは意外に可愛かったり。“願い星〟を求めて、プスの元カノであるキティ・フワフワーテも登場! プスの命を狙う不気味なキャラ、ウルフの正体も気になるところ。数あるキャラの中でも最高にご機嫌なキャラは、異常なほどポジティブ思考のワンコだろう。 みんなが彼のようになれば、世界平和間違いなし! 
 そんなキャラたちが“願い星”に願おうとしている願いとは!?
 たくさんのおとぎ話をギュウっと詰め込み、ハラハラドキドキのアドベンチャーに仕上げたドリームワークスのアニメーション大作。ライバルのディズニーとは一味違う1本なのだ!!



▼編集部オススメ、もう1本!
『シュレック』
ドリームワークスを知らない方はこの1本から!

 

『長ぐつをはいたネコと9つの命』

発売中
ブルーレイ:2075円(税込)
DVD:1572円(税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
© 2022 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.

 

●TITLE『鳩の撃退法』
小説家の言うことを信じてはいけない!?

 TYPE-MOON先生、推薦作2本目は『鳩の撃退法』。直木賞作家である佐藤正午の同名ベストセラー小説の映画化である。ちなみに鳩は登場しない。動物映画ではなくミステリー映画なのだ。
 移動する車の中での男女の会話から物語が始まる。男の名は津田伸一(藤原竜也)、かつては賞を取ったこともある作家らしい。今では落ちぶれ、小さな町にある“女優倶楽部”で働く女の子たちの送迎ドライバーである。
 女の子を送り、津田が車から降りると、現れたのはチンピラ風の男2人組。どうやら津田は地元のヤバい人たちに睨まれているらしい。“勝手に仕事してるんじゃねえ!”と殴られると“痛い、痛い、待ってよ!”と情けない。シェイクスピアからバラエティまでこなす演技派の藤原竜也だが、この手の情けない役もいい感じである。
 馴染みの古本屋の主人からは、“本を読んでないで、書きなさい”と嗜められても、“パソコン買うから、30万貸してくれ”お金にも困っているらしい。
 そんなダメ男が深夜のカフェで出会ったのは、読書好きの男。話をするうち、この男が水商売であること、何やらトラブルを抱えていることが分かる。“現実は小説より奇なりだからな。起こるはずのないことが起こっている。妻にそう告げられたよ”。意味深な会話になってゆくが、この後、この男と妻、そして子供は失踪するらしい。
“らしい”連発だが、それには理由がある。この映画は、現実の小説家・津田の話と、彼が創作する小説の話(こちらも主人公は津田)が入り乱れ、どこからどこまでが現実で、どこが創作なのかが分からなくなってしまうのだ。
 しかも現実の津田には、実際に起こったことを小説にして問題になった過去があるらしい(またもや“らしい”ですみません)。
 彼の担当編集者である鳥飼なほみ(土屋太鳳)は津田に“今回の小説はフィクションですよね”と念を押すが、現実の津田も、小説の津田も、一筋縄ではいかないのだ。
 ある家族の失踪と郵便局員の失踪、そして津田のもとに舞い込んだ偽札。暗躍する地元の犯罪組織。現実と創作の中で次々に起きる事件が複雑に繋がって……!?
 この映画を観た人が友人とかにストーリーを説明するのはかなり難しいだろう。これを読んでいる読者も怪しげな解説で困ってますよね。でも安心してください。この映画は面白いから。
 映画を紹介するにあたって、“鳩の撃退法”をググってみたら、マジな撃退法がいっぱい出てきた。鳩に困っている人は多いらしい。鳩の隠語もいろいろあって、“鳩を飛ばす”というのは命を取るということらしいし、ゲーム用語では、鳩は携帯電話のことらしい。この映画では、鳩は偽札のこと。果たして津田は偽札を撃退できるのか!?

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』
藤原竜也主演の映画をもう1本。こちらはサスペンス。

 

『鳩の撃退法』

発売中
ブルーレイ特別版【数量限定生産版】:6380円(税込)
DVD通常版:4180円(税込)
発売・販売:松竹
©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

 

●TITLE『窓ぎわのトットちゃん』
不幸な時代の幸せな子供時代。

 推薦者2人目は同じく『Fate/Grand Order -turas réalta-』のカワグチタケシ先生。前回の推薦作は『E.T.』と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』と映画通な推薦作でした。そして今回、推薦作1本目はアニメ『窓ぎわのトットちゃん』。守備範囲の広いカワグチ先生です。
 原作は黒柳徹子の幼い頃を描いたノンフィクション。お若い読者はご存知ないかもしれないが、この本、無茶苦茶売れた本で、全世界累計発行部数は2500万部!! 世界35か国で翻訳された大大ベストセラーである。印税を考えただけで目眩を起こしそうだが、さすが黒柳徹子、印税を全額寄付して“社会福祉法人トット基金”を設立したそうな。
“これは第二次世界大戦が終わるちょっと前まで、実際に東京にあった小学校と、そこに本当に通っていた女の子のお話です”。その女の子は幼い頃の黒柳徹子であり、通っていた小学校とは独自の教育方針で知られたトモエ学園のことである。トットちゃんとは、徹子さんの幼い頃の呼び名。
 落ち着きがなくて、他の子供達と同じようにできないトットちゃんは、小学校で問題児扱い。ついには小学校を退学になってしまう。優しい母親はそんな彼女をトモエ学園に連れて行く。トモエ学園の教室は電車だし、校長先生はトットちゃんの話を根気よく聞いてくれる。すっかり学園が気に入ったトットちゃん。
 初めてトットちゃんがトモエ学園の校長先生と会話するシーンがいい。“どうして(先生は)みんなに私を困った子というの? トットちゃんなのに”“キミは、本当はいい子なんだよ”これぞ教育者である。
 ある日、汲み取り式のトイレに運悪くサイフを落としてしまったトットちゃん。昔はトイレといえば“ボットン便所〟などと呼ばれた、落下式である。サイフを取り戻そうと、溜まっている○○○を掻き出すトットちゃん。
 そこに現れた校長先生、“何してるんだい”。“お便所におサイフ落とした〟と答えるトットちゃん。すると“そうかい”と、怒りもせずに立ち去る校長先生。しばらくしてから“あったかい、サイフ”とトットちゃんに声をかけると“終わったら戻しておけよ”と一言。子供のことをよくわかっている先生だ。最後には“たくさん探したからもういいの”とトットちゃん。掻き出した○○○はちゃんと片付けてある。怒ったり、叱らなくても、子供はちゃんと分かるのだ。トモエ学園でさまざまな経験をするトットちゃん。小児麻痺の少年、泰明ちゃんとの友情には心を打たれる。
 戦争が子供達に暗い影を落とすが、優しい両親と、理解のある教師、そして仲間がトットちゃんを成長させる。
 映画のラスト、赤ん坊の弟にトットちゃんは言う“いい子ね。あなたは本当にいい子”。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『火垂るの墓』
同じ時代の話ながら、こちらは過酷な運命を辿った戦災孤児の兄妹を描いたアニメーション。

 

●TITLE『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』
隠された金貨を巡るガンマンたちの熱い戦い!

 カワグチ先生、推薦作2本目は『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』。マカロニ・ウエスタン映画だ。原題は『THE GOOD, THE BAD AND THE UGLY』。直訳すると善玉、悪玉、卑劣漢。南北戦争のドサクサで消えた南軍の20万ドルの金貨を巡る3人のガンマンの戦いである。
 善玉ブロンディはもちろん主役。演じるのはクリント・イーストウッドだ。現在のイーストウッドは、巨匠監督のおじいちゃん(94歳)だが(とは言っても、最近、新恋人とのデートをパパラッチされたばかり)、若い頃は長身(今もだけど)、ブロンド(今は白髪)の2枚目である。善玉と言っても、賞金稼ぎなので危ない橋も渡ってきた男である。
 悪玉のエンジェルは、その名前とは正反対の男で、自分の利益のためなら情け容赦ない殺し屋だ。演じるのはマカロニ・ウエスタンの大スター、リー・ヴァン・クリーフ。
 そして卑劣漢のトゥーコはお尋ね者。下品で最高に嫌なヤツだが、そのサバイバル能力は天才級。演じたのはイーライ・ウォラック。
 南北戦争末期のアメリカ西部。ブロンディとトゥーコはコンビ組んで芝居を打ちトゥーコに掛けられた賞金を山分けしていた。その方法はマカロニ・ウエスタンならではの方法で、気になる方はぜひ映画を観て欲しい。
 そんな2人が偶然にも瀕死の南軍兵士から、隠された20万ドルの金貨のありかを聞く。トゥーコは金貨の隠し場所である墓場の名、ブロンディは金貨が埋めてある墓碑名だ。この2つが分からないと金貨は手に入らないというややこしい状況である。なぜそうなったかは、これも映画を観てほしい。しかも金貨の存在を知るのは彼らだけではなかった。殺し屋のエンジェルも金貨の行方を追っていたのだ。こうして三つ巴の戦いが繰り広げられるわけだが、時は南北戦争中。金貨を追って戦場を横断したり、南軍・北軍兵士に化けたりと、拳銃を振り回すだけじゃない。脇役たち、トゥーコの兄や南軍・北軍の将軍たちのドラマなども挟んで物語はマカロニ・ウエスタンの大叙事詩になっていく。
 監督はマカロニ・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネ。音楽はこれまたマカロニ・ウエスタン映画の作曲家として知られるエンニオ・モリコーネ。この映画に使われた♪ピロピロり〜ん♪と言う旋律は(情けない擬音表現で申し訳ないが、聴いたら絶対、あの曲ねと納得してもらえるはず)西部劇といったらこの音楽と言えるほど有名である。
 若い女性がいっさい出ない。埃まみれのむさ苦しい男ばかりが出てくる映画だが、男のロマン満載。間違いなく映画史に残る1本だ!!

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『荒野の用心棒』
セルジオ・レオーネ、クリント・イーストウッドのマカロニ・ウエスタンをもう1本!

 

『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』

11月27日発売
ブルーレイ:6380円(税込)
発売・販売:キングレコード

 

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