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【騙されたと思って1本!!】「別マガ」ムービーガイド 販売部 野上さん&秋吉さんが選んだムービー編

名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。今回の推薦者はマガジンを支えてくださる販売部のお2人。熱いコメントもいただきました! たぶん2人はかなりの映画好き(しかも文章うまっ!)。 編集部オススメの作品もおもしろいのでチェックしてみてね!

 

●TITLE『マンマ・ミーア!』
底抜けに明るいミュージカル!

 今回、最初の推薦者はマガジン編集部を担当する販売部の野上さん。別冊・週刊マガジンが、作家さんはもちろんのこと、編集者、販売、宣伝といった各部署の人たち、印刷所の皆様によって作られているということは以前にもこのコラムで書いた通り。野上さんは販売の方で、編集者が一番嬉しい、重版のニュースを伝えてくれる女神であり、雑誌の部数やコミックスの初版の部数を決定する重要な部署のお方でもある。そんな野上さんの最初の推薦作は『マンマ・ミーア!』。ロマンティック・コメディ・ミュージカル映画だ。
 作品の推薦をお願いしたところ、推薦作と一緒に次のようなコメントが!! 
“底抜けに明るい気持ちになれる! もともとABBAが大好きなので、往年の名曲だらけで熱いです。メリル・ストリープ演じる主人公ドナとその親友2人の、オバサンになっても続く友情に憧れます。友達が悩んだときは、からかったり隣で騒いだりして……気付けばみんなまとめて元気になっているのが少女時代のまま! 観ているこちらも、「なんとかなるか!」という気持ちにさせられます。私も40〜50代になったらギリシャの島で踊りたいです”。
 作品愛溢れるコメントである。
 ギリシャのとある小さな島で、ホテルを経営するシングルマザーのドナ・シェリダン(メリル・ストリープ)と娘のソフィ(アマンダ・サイフリッド)は何かと慌ただしい。というのもソフィの結婚式が近いからだ。次々に招待客が島に到着。ここに3人の男も登場する。彼らはドナのかつての恋人であり、ソフィの父親かもしれない男たちである。父親を知らないソフィは、母の若い頃の日記から、この3人に目星をつけ、母親に内緒で、しかも母親の名前で結婚式に招待したのである。
 母親の日記を盗み読みする娘って、どうよ、という問題は別にして、娘としては父親に花嫁姿を見てもらいたい。
 ソフィを演じるアマンダ・サイフリッドは、エマ・ストーン(『ラ・ラ・ランド』)と並んで大きな目が魅力の女優さん。水着姿が超可愛い!
 父親の候補の3人だが、これがなかなか。候補その1サムを演じるのはピアース・ブロスナン。5代目007=ジェームズ・ボンドである。その2のハリー役のコリン・ファースは『キングスマン』でベテランスパイを演じたクールガイ。その3ビリー役のステラン・スカルスガルドは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで主役の1人ウィル・ターナーの父親役を演じたワイルド系である。
 果たしてソフィは実の父親を知ることができるのか? そして母親ドナの反応は?
 70年代から80年代にかけて世界的人気を誇ったスウェーデンのポップグループのABBAの曲を使ったご機嫌なミュージカル。マツケンサンバのノリで、恋や友情が盛り上がる! ギリシャの島も最高! ハワイで結婚式を挙げる人の気持ちがよく分かったよ。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『プリシラ』
ドラァグクィーンたちのミュージカル・ロードムービー。ABBAの楽曲が流れます。

 

『マンマ・ミーア!』

発売中
4K Ultra HD+ブルーレイ:6589円(税込)
ブルーレイ:2075円(税込)
DVD:1572円(税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
© 2008 Universal Studios and Internationale Filmproduktion Richter GmbH & Co. KG. All Rights Reserved.

 

※2024年10月の情報です

 

●TITLE『プロミシング・ヤング・ウーマン』
親友を失った女性の復讐劇とは!?

 野上さん、推薦作2本目は『プロミシング・ヤング・ウーマン』。こちらも野上さんの熱いコメント付き。“全然別マガ読者向けでない映画ですみません。同級生からのレイプで自殺した親友のために、明るい未来を約束された若い女性(=プロミシング・ヤング・ウーマン)である主人公・キャシーが復讐を企てる話。とくに激ヤバの女性蔑視を受けた経験も、ミサンドリー(男性嫌悪のこと)も無いのですが、それでも早稲田松竹(過去の作品などを2本立てで上映する東京・高田馬場にある名画座)を出たときに痛快! と叫んでしまったのがこの映画。男性の皆さんにとっては微妙に共感しにくい所や、「いや俺たちにもこういう理由がある!」といった部分はあるかもですが、だからこそ観てみてほしい……! そしてどう思ったか聞いて回りたい……! 復讐自体が用意周到でとてもスッキリできるので、男女の問題は1回置いておいてもおススメです。強く優しく可愛い女の子が大好きなんですが、この映画の主人公・キャシーはまさにそういう女性。自分の信じる軸を持って、目標に向かって突き進む主人公からずっと目が離せません。ラストシーンの「手紙」が最高なので、ぜひご覧になって確かめてください!”。
 付け加える必要なしのコメントで、終わりにしたいところだが、そうもいかないので、もうちょっと解説しよう。
 親友の自殺を機に、医学部をドロップアウトしたキャシー(キャリー・マリガン)は、カフェで働きながら、男たちに復讐をしてまわるのだが、その方法とは……。夜な夜なクラブに出没し酔い潰れたフリをする。すると、優しげに寄ってくる男たちがいる。彼らは一様に彼女を送ると言いながら、自宅へ連れ込み、さらにお酒を飲ませ、ことに及ぼうとするのだが、そこで彼女がシラフに戻り“何やってるの?”と聞くのである。女性の同意を得ずに、そんなことをしようとすれば、それは犯罪である。不思議なことに、女性がこの手の性暴力に遭うと、聞かれるのは“自業自得”という言葉である。“夜遅くまで遊んでいるから” “スキがあるから” “派手な格好をしているから”である。変な例え話ではあるが、男が夜中に酔っ払ってお尻を出しても、そこまでは言われないし、性暴力は受けなさそうだ。そして男たちの暴力行為は“ヤンチャ”の一言で済んでしまうこともあるが、女性の場合キャシーの親友のレイプ事件のように“自ら招いたこと”となってしまうことがあるのだ。
 そんなある日、キャシーが働くカフェに、医学部時代の同級生ライアンが偶然やってくる。小児科医となっている彼は思いやりのある男で、キャシーの傷ついた心を癒すかと思われた。ところがライアンと医大時代の昔話をしていたところ、ある名前が出てくる。アル・モンロー。彼こそがキャシーの親友を自殺に追いやった男。長年海外にいたが、帰国するという。キャシー、最後の復讐が始まるのだが……!?
 男性読者にも言い分はあろうと思われるが(この映画に出てくる男たちはゲス野郎ばかりなので)、ラストのどんでん返しも含み、サスペンス映画としても一級品のこの映画を楽しんでいただきたい。女性への理解も深まります。

© 2019 Focus Features LLC/Promising Woman, LLC. All Rights Reserved.

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『イギリスから来た男』
こちらは娘を奪われた男(けっこうな犯罪者)の復讐劇。

 

『プロミシング・ヤング・ウーマン』

発売中
ブルーレイ:2075円(税込)
DVD:1572円(税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
© 2019 Focus Features LLC/Promising Woman, LLC. All Rights Reserved.

 

※2024年10月の情報です

 

●TITLE『ジョーカー』
ヴィラン誕生の物語

 今回2人目の推薦者は、野上さんと同じくマガジンの販売担当の秋吉さん。販売部の方は映画好きが多いのか、こちらも熱いコメント付きの推薦でした。推薦作『ジョーカー』へのコメントはこちら。
“「ついてない」という一言が似合う、やせこけた貧乏なおじさんが、全米を混乱と恐怖に陥れる1人の大物テロリストになるまでを描いた社会派映画の名作です!
「人は誰しも自ら望んで悪役にはなりたがらない」という前提のもと、彼が何故その道を選ぶようになったのかが詳細に描かれています。思わず目を背けたくなるほどのかわいそうな人生なのに、彼がその人生を何とか喜劇に変えようとする姿から1秒も目を離せません!!
 一見めっちゃくちゃ狂った言動をしてるのに、思わず共感してしまう自分にゾッとします……。ぜひ皆さん一度は観ていただきたい、じゃないと人生リアル15%程は損しています!”。
 人生15%の損と言われれば、観ずにはいられない!
 さて、みなさんご存知の通り、ジョーカーとはバットマンの敵、ヴィランである。過去にも様々なジョーカーがいた。鬼才ティム・バートン監督作『バットマン』に登場したのは、名優ジャック・ニコルソンが演じるお茶目なジョーカーだった。
 天才クリストファー・ノーラン監督作『ダークナイト』に登場したのは、自らを混沌の使者、恐怖だと名乗る、自然災害のような予想不能、理解不能のジョーカー(ヒース・レジャー)だった。
『スーサイド・スクワッド』に登場したジョーカー(ジャレッド・レト)は、若くてハンサム。ハーレイ・クインという恋人までいた。
 そして今作のジョーカーである。そして、観客からの共感をもっとも得たジョーカーかもしれない……。
 アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は派遣ピエロとして生活費を稼ぎ、老いた母親と慎ましく暮らしている。夢はコメディアンになること。だが心の病気の彼が、やはり病気の母親を抱えてでは夢を叶えることなど難しい。
 ネタ帳と日記帳を兼ねるノートに彼は綴る“心の病を持つ者にとって最悪なのは、世間の目だ。その目はこう訴えてくる、心の病などない。普通のようにしていろと”彼は、世の中から見捨てられた存在であり、孤独な男なのだ。
 そんな彼が一線を越える事件が起きる。女性に絡む3人組の男を撃ち殺してしまうのだ! ところがその行為が格差社会の中で“金持ちを殺せ”という新たな社会ブームを起こし……!?
 出生の秘密、バットマン=ブルース・ウェインとの因果関係などが明らかになるのだが、どれも悲惨で悲しいエピソードである。自ら進んでヴィランになったわけではないアーサー=ジョーカーに思わず共感してしまうのは、誰もが、悲劇を喜劇に変えるしかないアーサーの孤独に共感するからだろう。
 作品の中でジョーカーが踊るシーンに使われたニューヨーク市ブロンクス区にある階段は、聖地になっているらしい。ヴィランであっても、彼に共感する人は多いのだ。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『ダークナイト』
ジョーカー繫がりで。こちらは根っからのヴィラン。

 

『ジョーカー』

発売中
【初回仕様】
アルティメット・コレクターズ・エディション
〈4K ULTRA HD&ブルーレイセット〉
(2枚組/豪華封入特典付):8580円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント 
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
TM & © DC. Joker © 2019 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

 

●TITLE『万引き家族』
家族とは何か

 秋吉さん推薦作2本目は『万引き家族』。カンヌ国際映画祭、パルムドール受賞作である。監督は是枝裕和。
 秋吉さんのおすすめコメントがこちら。
“是枝監督の代表作といっても間違いない作品です。あるおばあさんの所に、一組の夫婦と、身寄りのない子供達が寄生し、一見家族かのような形で共同生活を営む集団の物語です。万引きで生活をするこの奇妙な集団が繰り広げる、日々の会話、お出かけ、遊び、食事等を通し、まるで本当の家族よりも「温かい家族感」を感じてしまう自分に驚かされました。そして必ず皆さんも、その違和感の迷宮に引きずり込まれます! 「家族」って何なんだろう、そもそも人と人の関係の深さって何でできてるんだろう。そんな疑問が観てから2年経った今も自分の中にしっかりと残っています”。
 まさにその通りのコメント。文字数少なくても、解説って出来るのね……。
 作品の公開前に、日本の映画がパルムドール受賞とニュースで流れ、そのタイトルが『万引き家族』と聞き、なんちゅうタイトルだと思ったが、観終わると腑に落ちた。教育がなく、まともな仕事に就けない父親・柴田治(リリー・フランキー)、犯罪歴のある母親・信代(安藤サクラ)、性風俗店で働く娘・亜紀(松岡茉優)、夫に捨てられた祖母・初枝(樹木希林)。虐待を受け、拾われてきた子供たち……。そんな彼らが家族となり、なんとか暮らしていくためには、万引きは必須だったのだ。
 彼らの会話に考えさせられる。
“(自分たちは)心で繫がってる”
“どこで繫がるんだよ”
“普通はお金”
“俺たち普通じゃないからな”
 終盤、警察に捕まり、祖母・初枝の死体遺棄の疑いを掛けられた信代が言う。
“捨てたんじゃない。誰かが捨てたものを拾ったんです。捨てた人って他にいるんじゃないですか”
 捨てられた者たちが心を寄せ合って家族となる。秋吉さんの言う通り、この作品は“家族とは何か”という問いを観る者に突きつける。
 ラスト、自分を虐待する家族に戻された小さな女の子がベランダから見たのは、絶望か希望か。観る価値のある1本だ。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『グエムル 漢江の怪物』
モンスター映画だが、家族物語でもあり!

 

『万引き家族』

発売中
ブルーレイ:5170円(税込)
DVD:4180円(税込)
発売元:フジテレビジョン
販売元:ポニーキャニオン
© 2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

 

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