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『七つの大罪』作者・鈴木央インタビュー! 「電子嫌い」の作者に、コロナ禍がもたらした心境の変化とは?

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累計3700万部を超えるヒット作『七つの大罪』は、2020年3月に完結し、約8年の連載を終えた。「マガジンポケット」では、2月23日(火)から本作の24巻無料を実施する。かねてより、「電子嫌い」を公言してきた作者だが、なぜ今回24巻もの巻数の無料化に踏み切ったのか? 心境の変化を知るべく、『七つの大罪』作者・鈴木央へのインタビューを実施した!

 

「電子嫌い」の作者に、コロナ禍がもたらした心境の変化とは?

 

――今回、『七つの大罪』の電子版24巻分無料化を行うと伺いましたが、本作はいままでほとんど電子版の無料化キャンペーンなどを行ってこなかったそうですね。

 

鈴木先生:
はい。僕の中では、やはり紙の単行本で読んでほしいし、紙の書店を大事にしてほしいという思いが強くて、そういった電子版の無料化みたいなことにはあまり乗り気ではありませんでした。
単行本の電子版自体も発売されてはいるんですが、新刊の発売日を、紙の単行本より1か月遅れにしてもらうようにお願いしていました。アナログ人間だと言われるかもしれないんですけど、僕自身が紙で漫画を読んで育ってきたので、どうしても思い入れが強くて。それに、僕自身がインターネットをまったくやらないというのもあります。

 

――「インターネットをまったくやらない」というのはすごいですね! 先生は「電子嫌い」ということを伺いましたが……。

 

鈴木先生:
パソコンとかスマホとか、全然できないんです(笑)。10代で福島から上京して以来、ずっと漫画を描いてきたので、そういうものに触れる機会がないままに今に至っています。
僕はゲームがすごく好きなんですけど、PS4もインターネットに繋がず一人でやっていますから。昔、あるゲームで初期出荷分にバグがあって先に進めなくなってしまって、どうやらインターネットで修正されたみたいなんですけど、僕のPS4はインターネットに繋がっていないので、そこから永遠に進めなくなってしまったこともありました(笑)。

 

――担当の編集者とのやりとりはどうされているのでしょうか?

 

鈴木先生:
基本は電話ですね。メールも使えないです。あ、でもFAXは使いますよ! 前にマガジンの忘年会で仲良くなった某作家さんに飲みの誘いをしたんですけど、僕はメールアドレスを持っていないので、いきなり電話をかけたらすごく驚かれたことがありました(笑)。今の人は、いきなり電話をかけたりしないんですね。

 

――パソコンやスマホを使ってみようと思ったことはなかったのでしょうか?

 

鈴木先生:
ないですね!(笑) 今後も無いと思います。もちろん漫画の原稿もアナログで描いていますし、漫画の資料とかも全て紙の本ですね。
電子書籍だとかさばらないよ、とオススメされることもあるのですが、僕はむしろ紙の本を棚に並べるのがいいと思っているので。だから、『七つの大罪』も棚に並べがいがあるように、背表紙には巻をまたがって繋がったイラストを入れています。最初は、「これですぐ打ち切りになったらどうしよう……」と思っていましたけどね(笑)。

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▲『七つの大罪』単行本の背表紙。並べると、繋がった1枚の絵になる。

 

――紙への思い入れを強くお持ちなのですね。

 

鈴木先生:
今は、スマホで漫画を読まれる方も多いと思うんですけど、小さい画面でちゃんと読めるのかな? と思うこともあります。
電子版を出してほしくないとか、そういうことでは全然ないのですが、できれば、紙の単行本のサイズで読んでほしいという気持ちはあります。それに、紙だとふとした時に読み返したりすることがあるじゃないですか。そういうことも紙の良いところかなと思っています。
なにより、昔から紙の書店さんが大好きで、紙の書店さんを大事にしたいというという気持ちは強いですね。今、紙の書店さんがつぶれていってしまっているじゃないですか。もちろん、電子版で読んでもらえるのも嬉しいんですけど、紙の書店で買ってほしいという気持ちも捨てきれない。今回、無料化ということをすることにしたんですけど、その気持ちはまだまだ強くあります。

 

――そんな先生が、今回『七つの大罪』の大量無料化を決断されたきっかけはなんだったのでしょうか?

 

鈴木先生:
それは、やはりコロナのことがありました。今は僕自身もほとんど外出せず、大好きなお酒を飲みに行くこともできないのですが、こういう状況の中でもっともっと苦しんでいる方もいますし、大変な尽力をされている医療関係者の方もいます。あるいは、外出して漫画を買いにいけないということもあるかもしれません。そういう中で、みなさんが家で過ごすことの助けに少しでもなるのであれば、今だけはやってもいいのかなと思いました。
僕自身は、今後も電子版で漫画を読むことはないと思います。ですが、若い人はスマホで読んだりすることに慣れているということもわかっているので、こういう状況ですし、スマホや……パソコン?でも読めるんですかね? ……とかで、読んでもらえたら、それはそれで良いのかなと思っています。そして、それがこのコロナ禍を乗りきる助けになるのであれば、なお良いのかなと思います。

 

――なるほど。ありがとうございました。最後に、読者の方にメッセージがあればお願いします。

 

鈴木先生:
大変な日々を過ごしている方が多いと思います。僕もちょうど連載が終わって、「よし、羽を伸ばすぞー!」と思ったタイミングでコロナが流行ってしまって、なかなか外出できないままに新連載が始まってしまったのですが、もっとつらい状況の方もいると思います。そういう時に、漫画を読むことが気分転換になったり、少しでもお役に立てればと思っています。みんなで、この状況を乗りきりましょう!
また、今年の1月から「週刊少年マガジン」で『七つの大罪』の続編『黙示録の四騎士』も始まりました。そちらもぜひ読んでいただけると嬉しいですね。

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▲2021年1月27日から連載を開始した『黙示録の四騎士』。

 

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プロフィール

鈴木央

1977年2月8日生まれ。出身は福島県。1996年に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始した『ライジングインパクト』で連載デビュー。現在は、『七つの大罪』の続編『黙示録の四騎士』を「週刊少年マガジン」で連載している。「ジャンプ」「サンデー」「チャンピオン」「マガジン」の週刊少年誌4誌全てで連載経験のある数少ない漫画家のひとり。

 

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