料理漫画の金字塔『中華一番!』シリーズに登場する“中華一番メニュー”を、実際の中華料理人に作ってもらおう! という本企画。これまで『三卵焼売』『卵白炒めのせ赤チャーハン』の2品を、『中華料理 一番』(東京都葛飾区)の2代目・森島さんにメニューを再現してもらいました。
いよいよ最後となる第3弾。今回は、現在連載中の『中華一番! 極』第1話に登場する『翡翠玉衡担々麺』です。花椒の風味が決め手となる刺激的な味わいは、いったいどのように再現されるのでしょうか!?
小川先生と森島さんによる対談もお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください!
あらかじめ塩抜きしておいたザーサイを切るところから、調理がスタート。いよいよ最後の一品ということで、森島さんの集中度も高まっていきます。
ネギ、豚モモのひき肉と順番に作っていきます。豚モモ限定ということで市販のひき肉は使わず、なんとモモ肉を細かく切りながら、ひき肉を作っていきます。肉の種類まで忠実に再現する徹底ぶりに、森島さんの高いプロ意識を感じますね! これに細かく刻んだアーモンドを加えれば、具材の準備が完了です。
具材を炒める段階に入ると、その一方では同時進行で奥さんがタレを準備。連携して手際よく調理を進めていきます。
用意した具材を豆板醤や紹興酒、甜麺醤を加えながら炒めていく森島さん。まず肉から始まり、ネギやザーサイ等は後から追加していました。引き続き、小川先生は興味津々の様子で写真を撮っています。
具材が炒め終わると、何やら麺を手にした森島さんが小川先生に説明を始めます。なんと今回、漫画で用いられる藤椒油(タンジャオユ)の練り込まれた麺を、自家製で作られたとのこと。藤椒は『翡翠玉衡担々麺』の要とも言える素材ですが、ここまで忠実に再現頂けるとは驚きです!
やはりマオ同様、料理人というのは、アツい思いを持っているんですね!
鍋で茹で上げた麺。湯切りしそうになった瞬間、「いけない! 麺は湯切りしないんだった」と気づいた森島さん。本当に『中華一番!』を細かく読み込んでくださっているのが分かります。
ザルの上で混ぜ、粘り気の出た麺を、奥さんが用意していたタレに乗せます。そしてここに炒めた具材を加えれば・・・
ついに最後のメニュー『翡翠玉衡担々麺』が完成しました!
では、さっそく試食に移っていきましょう。
タレと麺をよく混ぜた後、思い切りよく「ツルツル」っと食べ進める小川先生。
漫画では、パオ爺が亡くなってから元気を失っていた船引きたちが、マオの手によって再現されたパオ爺の『翡翠玉衡担々麺』を食べて復活! “肌筋復活”(マッスルリザレクション)で元気を取り戻すというストーリーです。
そんな『翡翠玉衡担々麺』を食べた小川先生は、果たしてどうなってしまうのか。
まさか……まさか……!?
で、出ました、“肌筋復活”!!!!!
力はみなぎり、マンガ同様、船引きさながらのポーズを披露してくれました。それほどにパワーの湧き上がる『翡翠玉衡担々麺』ですが、自家製麺はかん水が用いられていないので、いわゆる中華麺に比べると柔らかめ。しかし、タレがしっかり絡んでいます。食べた瞬間の辛さはさほどではありません……が、後から辛味が湧き上がり、身体がポカポカと温まります。
香り、食感、そして味。気力を失った船引きの元気を湧き上がらせた『翡翠玉衡担々麺』を、まさに完全再現できたのではないでしょうか。
三品のメニューをたいらげ、大満足なマガポケ班。本当にごちそうさまでした!!!!!
ここからは、小川先生と森島さんによる対談をお届けいたします。
小川先生:実際に食べてみて、イメージしていたものとズレもあったんですが、また違った美味しさがあって感動しました。これ、本当はこういう味だったのか……って。20年以上も前に描いたものを、まさかこうして再現していただいて食べられるとは思っていなかったので。
森島さん:上海蟹の卵や黒松の実は、かなり探したものの時期的なことから揃えられず残念でした。しかし、私にとっても良い勉強の機会になりました。ありがとうございます。例えばこれまで、焼売の皮を自分で伸ばすことなんてありませんでしたから。でも白い皮は市販であるものの、卵を混ぜて黄色くなった皮はないので、自分で作るしかないですよね。作っていて、本当に面白かったです。
小川先生:あれは、鶏卵を練り込むという余計な設定がありますもんね。大変な手間をお掛けてしてしまいました。でも、お陰さまで本当に美味しかったです。あと『卵白炒めのせ赤チャーハン』は、上に乗せる卵白のフワフワはかなり調理が難しいと聞いたことがあり、本当に作ってもらえるとは思っていませんでしたし、感動しました! しかも、レシピ自体が漫画としてハッタリのような部分もあるのに、ここまで忠実にやっていただけるとは。しかもちゃんと美味しいですし、凄いですね。『翡翠玉衡担々麺』は肉の感じが普通の担々麺より凄く、麺のモチモチ感なども最高でした。裏メニューにでもして欲しいくらいです。
森島さん:私は『中華一番!』『真・中華一番!』を昔から読んでいたので、こういう機会を頂いて本当に感謝です。メニュー化についても小川先生のお墨付きとあれば、いずれ検討させてほしいです! 楽しかったです! ありがとうございました。
小川先生:ぜひ! 今日は森島さんというリアルマオを見ることが出来て、本当によかったです。ありがとうございました!
▼中華料理 一番
住所:東京都葛飾区西水元1-24-4
電話番号:03-3627-2262
営業時間:11:00~15:00、17:00〜20:00
定休日:金曜日
URL:
▼ 『中華一番!極』をWEBで読む!
(三河賢文)