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「週マガ」でガチ歴史小説が漫画化⁉ 原作者・今村翔吾先生に聞く新連載『カンギバンカ』の魅力!!

f:id:magazine_pocket:20201109160446j:plain「週刊少年マガジン」50号より、『BLOODY MONDAY』『ACMA:GAME』『This Man その顔を見た者には死を』などを手掛けた恵広史先生の新連載『カンギバンカ』が始まりました!


本作の原作は先日、直木賞候補に選ばれたのち、第11回山田風太郎賞を受賞した本格歴史小説『じんかん』。

 

一見するとお堅い感じの歴史小説……でも、実は少年漫画的な魅力が詰まっているんです! そこで今回は、原作『じんかん』の著者・今村翔吾先生にインタビュー!
初めての少年漫画化にあたって、いろいろ聞いちゃいました!

 

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今村先生プロフィール:
1984年、京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。
角川春樹小説賞、吉川英治文学新人賞など受賞多数。『じんかん』で第11回山田風太郎賞を受賞した。

 

「週マガ」連載が決まったことへの感想は?

―――まずは連載開始、おめでとうございます! 最初に「週マガ」で連載することが決まった時は、どんなご感想を抱かれましたか?

 

今村先生:
とにかく「えっ、マガジン⁉ スゲー!!」とビックリしました(笑)。

もし漫画にしてもらえるとしても、青年誌だろうと思っていました。今でも、少年漫画で連載されるということには驚きがあります。週刊の漫画誌って、毎週読者の方からの意見が届くんですよね? 鈍感でいたいのに、いられない…(笑)。

今はどんな反応が届くのか、ドキドキしながらも楽しみにしています。

 

―――時代劇というジャンルも、最近のマガジンでは珍しい気がします。

 

今村先生:
そうみたいですね。
時代劇って、どうしてもハードルを高く感じてしまうジャンルだとは思うんですが、雑誌内でかぶっていないことはプラスだと思います。『カンギバンカ』が「マガジン」読者の皆さんに受け入れられて、「マガジン」という雑誌の幅を広げるお手伝いができれば嬉しいですね。

 

「歴史的大悪人」を主人公にした理由

―――今作の主人公は戦国武将・松永久秀。将軍暗殺・東大寺焼き討ち・仕えていた主家の乗っ取りなど、歴史的大悪人と見られている人物です。なぜ、その松永久秀を描こうと思ったのでしょうか?

 

今村先生:
まさにそのイメージを変えたかったからです。
ご存じの通り、彼はずっと悪役的な人間として描かれてきました。SNS的にいうと、何百年も炎上し続けているような感じです。でも、専門家による研究が進んで、どうやら彼の行動は決して悪の側面だけで語ることはできないとわかってきたところがある。

 

だから、偏見なく、純粋な気持ちで、何も久秀について知らない状態で彼の境遇を知るような態度で接したら、彼の「一見すると悪事に思える振る舞い」にも何か理由があるのではないかと思えたんです。

 

―――『じんかん』で描かれていたのは、まさにその久秀の「哲学」でした。そこで描かれた彼の思想や行動には、幅広い層の読者から共感を集めたそうですね。

 

今村先生:
久秀は、当時としては特殊な正義を持っていたのではないかと考えています。

誰もが己の立身出世ばかりを考える戦国時代において、久秀は世とは何か、人とは何かを考えて挑み続けたように思えます。その姿勢は格好いいですよね。幸いなことに『じんかん』は若い人にも受け入れてもらえたようで、SNSなどで感想をいただいたり、小学生や20代の女性からお手紙が届く事もありました。 

僕は常に「歴史の知識がなくても興奮できる物語」を書きたいと思っているんですが、『じんかん』ではそれが達成できたのかな、と思っています。

 

漫画家 恵先生のスゴさとは⁉

―――その『じんかん』から生まれた漫画である『カンギバンカ』は、題材こそ同じであるものの、より登場人物にフォーカスした物語、という印象があります。

 

今村先生:
1話目の段階から、九兵衛と一緒に怒って、笑って、泣いて、喜べるような作りになっていて、原作者なのに息つく間がありませんでした(笑)。

九兵衛はクールな印象があるけど、中身の部分はすごく熱い奴で、その部分がきちんと描かれていると思います。だから彼の喜怒哀楽が共有できるし、甚助との兄弟愛や仲間と出会った時の想いなども感じることができますよね。

 

―――初めて、恵(広史)先生のネームを読んだ時の印象はいかがでしたか?

 

今村先生:
お世辞は全く抜きで、素晴らしいと思いました!というのも、僕が小説を書きながら「勝負のセリフ」と思っていたところに、ちゃんと「勝負の絵」をぶつけてきてくれている気がするからです。

勝手に「僕と恵さんは相性がいい」と思っています(笑)。ネームの段階から絵がとても綺麗で、しかもパッと見てすぐに「恵さんだ!」とわかる個性もある。ガチの殴り合いや斬り合いも、動きに迫力があって、とにかく格好良かったという印象です。

それから恵さんは、セリフの選び方が小説家の立場から見てもすごくいい。
一切説教臭くなくて、純粋に格好いい。僕が『じんかん』を文庫化する際に逆輸入したいって思うセリフもたくさんあります(笑)。

僕が物語の核をブレないようにしていれば、あとは恵さんが10倍にも100倍にも膨らませてくれる。それくらい信頼しています。『BLOODY MONDAY』を読んでいた若い頃の自分に「お前、いつかその人に漫画描いてもらえるんやぞ!」って教えてあげたい(笑)。

  

漫画制作に対する印象

―――『カンギバンカ』は、小説『じんかん』を原作としながらも、今村先生ご自身に打ち合わせにご参加いただき、オリジナルエピソードをいただいています。漫画原作者としてのお仕事は、小説を書かれている時と比べて違いますか?

 

今村先生:
かなり違う気がしますね。小説って、かなり自己完結型の仕事なんです。もちろん小説にも編集者さんはいるけど、書いている時は基本的に一人。

一方で漫画のお仕事は、恵さんがいて、担当さんがいて、一緒に物語を作っている感覚がある。チーム感が強いんです。誰かにアイディアを伝えたら、もっといい案が出てくるかもしれないっていうか。 

逆に、迷惑をかけることもできないというか。同じ方向を向いている仲間と一緒にやれるって環境はすごく楽しいですね。「俺、漫画原作者の方が向いてるんちゃう?」とか思ったりします(笑)。

 

―――今村先生ご自身も、読者としてすごく漫画がお好きと伺いました。どういった作品がお好きなんですか?

 

今村先生:
「マガジン」だと『炎炎ノ消防隊』は欠かさず読んでいます。

他には『極主夫道』『深夜のダメ恋図鑑』『終末のワルキューレ』、『正直不動産』なんかも好きです。あとは……『ワンパンマン』『僕のヒーローアカデミア』あたりでしょうか。

 

―――かなり最近の作品を読まれているんですね。

 

今村先生:
そうですね。
もともと漫画がすごく好きということもあるんですが、僕は小説よりも漫画の方が、より時代を表していると思っているんです。

漫画って、5年連載、10年連載がざらにありますよね。ということは、5年後・10年後にも古くないものを描くために、先のことを見据えて描かなければいけません。 

常に、最先端のものと普遍性のあるものが混ざっている気がします。だから、創作の場においては、漫画は先に先に進んでいるように見える。ちなみに小説は、その1年くらい後に「より深く掘る」イメージですね。

 

―――最後に、この記事を読んでいる「マガジン」読者にメッセージをお願いします!

 

今村先生:
僕自身がとても楽しみにしている作品ですので、ぜひ皆さんも楽しんでいただければと思います!

小説から漫画になって、『じんかん』であって『じんかん』ではない新たな物語となっています。恵さんと今村翔吾が掛け合わさって『カンギバンカ』になっていると思っています。ぜひ『カンギバンカ』をお楽しみください!

 

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