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【第111回新人漫画賞締め切り直前特別企画】〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家への花道 『オリエント』大高忍先生が新人漫画家の悩みを解決!

新人漫画家さん必見!! 今回は、第111回新人漫画賞締め切り直前特別企画として、漫画家先生へのインタビュー「漫画家への花道」を大公開! 『オリエント』の大高忍先生が新人漫画家の悩みを解決しちゃいます!

 

魂を熱くするファンタジーバトルの描き方!!
『オリエント』の大高忍先生に聞く!

読者が熱中する創作の極意!!

別冊少年マガジンにて『オリエント』を大好評連載中の大高忍先生に電撃取材! 漫画の核となるキャラクターの描き方をお聞きしました!

 

大高忍先生Profile
東京都出身。2004年、『すもももももも ~地上最強の嫁~』(スクウェア・エニックス)にてデビュー。第2作となる『マギ』(週刊少年サンデー)が大ヒット。現在、別冊少年マガジンにて『オリエント』を連載中。

 

●極意 其の一
“他人事”の目線で描く

――本日はよろしくお願いいたします。


 よろしくお願いします!


――大高先生は、キャラクターを描く際に何か気をつけている点などはありますか?


 私はキャラクターを「他人」として描くようにしています。理由は二つです。
 一つ目は、キャラクターを物語を動かすためだけの道具ではなく、一人の自立した人間として描くためです。
 二つ目は、作者である自分がキャラクターの立場に寄り添いすぎてしまうと、どのキャラクターも感情が似寄ってしまうので、それを避けるためです。


――自分の立場とキャラクターの立場を分けて考えているということですか?


 はい、分けて考えています。作中のキャラクターを自分とは違う人間だと考えているので、キャラクターが自分の考え方とは真逆の行動を取る場合があります。そういった時には、このキャラクターは自分とは相容れない存在だと感じることがあります。逆にキャラクターに対して気が合いそうだなと思うこともあります。
 キャラクターを作る際、最初に設定をある程度決めるのですが、ネームの中で動かしてみてはじめて、キャラクターの本質が見えてくることもあります。それが立場を分けて描くことのメリットだと思います。

 

――キャラクターを他人として描いていくなかで、セリフはどのように決めているのですか?


 セリフに関しては、実際にキャラクターがこの場にいると仮定して考えます。作品の中で、「このシチュエーションなら、このキャラは何と言うのだろう」と想像しながらセリフを決めていくことが多いです。

 

▲大高先生が描く、熱くまっすぐなキャラクター。

 

●極意 其の二
体型を見やすく描く配慮

――次にキャラクターのデザインを考案する際、気をつけていることを教えてください。


 キャラクターのデザインを考える時に大切にしていることは、体型の描き分けです。女性は女性らしい体型に、男性は男性らしい体型に描き分けるようにしています。
 それはキャラクターをパッと見た時に、性別やおおよその年齢が分かった方が、読者は読みやすいのではないかという配慮からです。また、大柄な人はより大きく、小柄な人はより小さく、実際のサイズよりも誇張して描くことがあります。『オリエント』でも、キャラクターのサイズ感を誇張して描いているので、キャラクターの初登場時から話が進むにつれて体が大きくなっていったキャラクターもいます。

 

▲敵の体の大きさを強調。圧倒的な存在としてキャラクターを認識させる。

 

●極意 其の三
自立というテーマ

――大高先生は『オリエント』において、洗脳や毒親など少年誌としては珍しいテーマを描かれていると思います。なぜそういった内容を取り入れようと思ったのですか?


 それは私が昔から「自立とは何か」ということに興味があり、ずっと考え続けているからだと思います。「自立」を漫画の中で表現するために、洗脳や毒親といったテーマを選択しがちなのかもしれません。

 

▲少年誌としては珍しい「洗脳」を表現する場面。キャラクターのリアリティが巧みに描かれている。

 

――「自立」というテーマを考え続けている理由はなぜですか?


 答えの出ないことを考えることが好きだからだと思います。「自立」以外にも、「平和とは何か」といった重い話から、軽い話まで、ハッキリとした答えがないものについて様々な思考を巡らせています。そういった頭の中で考えていることを読者と共有したいという願望が、私にはあるのだと思います。

 

●極意 其の四
読者の視点を意識する

――作画に関して、意識していることはありますか?


 コマを割る際においてのみですが、私は奇抜なことをしないように心がけています。まだデビューもしていない頃に、奇抜なコマ割りの読み切りを描いて、当時の担当編集者さんに「こういうコマ割り、新人はやりたがるんだよね」と怒られたことがありました。それが今でも心に残っています。その時に改めて、漫画は読みやすいに越したことはないと思い知らされました。当時の私は少し尖ったことをしようとしていたんです。自分のやりたいことだけを描こうとしていて、読み手のことを全く考えていませんでした。


――コマ割りは、分かりやすさ優先でシンプルなほうが良いということですか?


 正解はいくつもあると思いますが、私はそう思います。漫画は読者が理解してくれてはじめて意味を持つという意識が常に頭の片隅にあります。当時の担当編集者さんに出会っていなかったら、この教えは私の中に取り入れられていなかったかもしれません。ですので、自分の中にはない視点を取り入れるためにも、新人さんには持ち込みをして、編集者さんから意見をもらうことをオススメします。

 

▲読み手のことを考えたコマ割りの具体例。長方形を組み合わせて、視覚的に理解しやすい配置になっている。

 

●極意 其の五
新人時代の過ごし方

――大高先生の描く作品に影響を与えた作品はありますか?


 思春期に読んでいた作品が、今の自分に大きく影響を与えていると思います。一般論として思春期は感受性が強いので、その時に読んだ作品は心に残りやすいのではないでしょうか。


――ちなみに、どういったジャンルの作品から影響を受けたのですか?


 ファンタジーバトルです。今でもファンタジーバトルを描いているのは、それが理由かもしれません。


――では、新人時代からずっとファンタジーバトルを描いていたのですか?


 ファンタジーバトルだけではなく、色々なジャンルの作品も描いていました。
 新人時代は、一つの編集部だけでなく、いくつもの編集部の新人賞へ投稿しようとしていました。編集部の特徴に合わせて描く漫画のジャンルを考えていたので、結果的に色々なジャンルに挑戦することになったのだと思います。しかし、バトルものでデビューのきっかけとなる賞を獲得したので、そのあとはバトルもので行こうと決意し、そのジャンルに集中し始めました。


――では自分の得意なジャンルを見つけるまでは、幅広いジャンルに挑戦したほうが良いということでしょうか?


 私はそれも正解の一つだと思っています。なぜかというと、幅広いジャンルに挑戦することで、自身が本当に描きたいジャンルが見えてくる可能性があるからです。また、様々なジャンルの作品を描くだけではなく、担当編集者さんにそれらの作品を見せ、意見をもらうことも大切だと思います。私の場合、客観的な目線や意見は、多ければ多いほど参考になります。


――ありがとうございます。他に何か新人時代の経験で、今に活かされていることはありますか?


 漫画以外のことをたくさんして良かったと思います。アルバイト、部活動、勉強など漫画とは直接関係のないことをたくさんしました。そして、それらが漫画を描くうえで大きな糧になっていると思います。新人時代、「このまま漫画家を目指していてよいのだろうか」、「正解が分からない」と思い悩むこともありました。でも、漫画以外のことに触れた結果、改めて自分がやりたことは漫画であるということに気づけました。
 行き詰まった時は、いったん他のことをやってみると、自分の本心に気づけるかもしれません。


――では最後に今、漫画家を目指している人たちに大高先生から一言お願いいたします。


 漫画を描いていると、自分が何を描けばいいのか全く分からなくなることがあると思います。そういった時は、様々なコンテンツに触れ、色々なものを吸収していってください。また担当編集者さんの意見を参考にするのも良いと思います。皆さん頑張ってください。


――本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。


 ありがとうございました!

 

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