別冊少年マガジンで連載中の
別マガ ムービーガイドを特別に大公開!!
今回は、2017年5月号に掲載された編集部員のヨシモト編をお届けします!
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名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。
紹介された映画が気に入ったら、オマケで編集部のオススメのもう1本もご覧くださ〜い!!
お次は、去年の新入社員ヨシモト推薦の2本。
このムービーガイドで何を選ぶか?
1年坊主のヨシモトは悩んだことであろう。
なぜなら、普通にいい映画を選んだんでは、意地の悪い先輩からは、〝能がない〟と言われるし、あまりに尖った映画を選べば、〝お前ってスゴいね~〟と嫌味を言われるに違いない。難しいところだ。
そんな悩めるヨシモトに、
〝とっとと決めろ〟と脅して決まった1本が
『インセプション』。
巨匠クリストファー・ノーラン監督が、レオナルド・ディカプリオと組んだSFアクション映画である。
海岸に打ち上げられた男コブ(レオナルド・ディカプリオ)、その海岸にはなぜか日本の城が!?
次のシーンでは城の中に、そして暴動が起きようとしている街のホテルに、次々と変わる場面に、何が何だかわからない?
と、最後はなぜか新幹線の中で、コブは目覚める。
どうやらそれまで観た光景は〝夢〟の中らしい、だが誰の夢なのか……。
コブは、夢を見ている人間の潜在意識に潜り込み、アイデア(または情報)を盗むスペシャリスト=産業スパイなのだ。
と書いてもイマイチ分かりにくいのだが、ざっくり言うと、調合した薬(睡眠薬みたいなもの)を使い、ターゲット(=アイデアを盗み出す相手)と一緒に夢の中に入る。
その夢は、コブの仲間が設計した世界で、その世界にターゲットの潜在意識を投影させる。そしてアイデアを引き出すのだ。
例えばアイデアを持つ相手に、夢の中でそのアイデアを金庫に入れさせることができれば、それを盗むことができる。
あるいは夢の中で誘拐し、脅せば、アイデアを聞き出すことも可能。舞台設定は思いのままだ。
夢から目覚めたターゲットは、まさかアイデアが盗まれたとは思わない。
おもしろいのは、人間の潜在意識には層があって、深く潜れば潜るほど、時間が伸びるのだ。
夢の中で夢を見ているようなもので、たとえば現実の10時間は、
第1層では1週間、
2層は半年間、
3層では、なんと10年間?
逆浦島太郎なのである。
そこから戻るには、夢から目覚めればいいのだが、
4層以上潜れば、そこは虚無。
現実に戻れなくなってしまう。
そして、夢の設計で、やってはいけないのが、記憶の再現だ。なぜなら、夢か現実か分からなくなってしまうからだ。
こんな複雑な世界を、実写でやってしまうノーラン監督のイマジネーションは素晴らしい!!
物理のルールを無視してパリの街を捻じ曲げ、NYの道路に列車を走らせ、建築不可能な構造物さえも観る者の前に差し出して見せるのだ。
そしてコブが、実業家サイトー(渡辺謙)に依頼された仕事は、あるアイデアを盗むのではなく、ある人物に植え込むこと。
〝インセプション〟と呼ばれるそれは、果たして可能なのか?
極限の潜在意識には何があったのか?
何度観ても驚かされる作品である。
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次にヨシモトが選んだのは
『バタフライ・エフェクト』だ。
バタフライ・エフェクト、ちょうちょ効果? なんだそれ? という効果だが、これは
〝ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる〟という、初期条件のわずかな違いが、将来の結果に大きな差を生み出すという理論らしい。
日本風に言うと〝風が吹けば桶屋が儲かる〟的な話である。(ちょっと違うか)
子供時代、記憶障害の問題(短い時間、記憶を失うのだ)を抱えていたエヴァン(アシュトン・カッチャー)は医師の勧めもあって子供の頃から日記を書いていた。
大学生になったエヴァンが、ある晩、昔の日記を手にし、読みだすと……文字が揺れ始め、なんと子供時代、記憶を失った時に戻ってしまう。
その時にいったい何が起きたのか?
幼い頃、近所の幼馴染ケイリー(女の子ね)の父親に、いかがわしい映像を撮られたこと(しかもケイリーと一緒に!?)。ケイリーの兄トミーに愛犬を焼かれたこと。
やはり幼馴染のレニーに取り返しのつかないことをやらせてしまったこと。
そしてエヴァンは引っ越したのだ。
恐ろしい記憶を失ったまま。
大学生に戻ったエヴァンが、子供時代に過ごした土地に戻ってみると、そこには不幸そのもののケイリーが。
しかも再会して数日後、彼女は自殺してしまうのだ!!
自殺の原図が自分にあると考えたエヴァンは、再び日記を読み、失われた記憶の時に戻る。
そして、ケイリーの父親をなじり、撮影を止めさせる。
すると彼の脳の中の記憶が変わっていき、目覚めると……なんと女子寮!?
そこには幸せそうなケイリーが。ほっとするエヴァン。エヴァン自身、真面目な大学生からチャラ男になっていたが。
だが変化はそれだけではなかった。
ケイリーの父親は、兄のトミーを殴るようになり、トミー自身も暴力的な男に成長していたのだ!?
ケイリーに暴力をふるうトミーを止めようとしたエヴァンは、誤って彼を殺してしまう。
刑務所に入れられるエヴァン。そこで再び日記を読み直し、過去に戻るのだが……。
ここで賢い読者は、バタフライ・エフェクトを思い出すはずだ。
子供時代にエヴァンが起こした行動によって、登場人物たちの現在が劇的に変化するのだ!!
その変化がものすごい!!
幼馴染のレニーが廃人になったり、ケイリーが薬物中毒になったり、エヴァンが腕を失ったり、どうやっても、みんなが幸せになるようにはならないのだ。そこで最後にエヴァンが取った行動は……!?
いやはや、この映画を観ると、
自分のちょっとした言動がどんな結果をもたらすのかと、恐ろしくなる。
ヨシモトにちょっかい出すのもやめておこう。
(※この記事は別冊少年マガジン2017年5月号に収録されたものです)
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(終わり)