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〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家(プロ)への花道 森川ジョージ先生特別インタビュー!! 後編

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週刊少年マガジンに掲載された

漫画家(プロ)への花道を特別に大公開!!

 

今回は、2018年14号に掲載された特別企画をお届けします!

 

(前編はこちらから)

pocket.shonenmagazine.com

 

 

新人賞で勝てーー!! 

森川ジョージ先生

特大インタビュー!! 後編

 

森川先生流

「画面」の作り方!!

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『はじめの一歩』を通して伝わる〝迫力〟や〝熱気〟。

 

実在するかのように描かれる、森川ジョージ先生の 「画面作り」の秘訣を週マガだけで大公開!!

 

森川ジョージ

週刊少年マガジン1989年43号より『はじめの一歩』を連載中。同作で、第15回講談社漫画賞少年部門を受賞。

 

 

 

〜画面作り〜

 

ーー画面作りにおいて、森川ジョージ先生が気をつけていることはありますか?

 

森川:とにかく、「わかりやすく」ということを意識しています。

 

誰が、いつ、どこで、何をやっているのか、ということは最低限伝わるように描いているつもりです。

 

例えば、目まぐるしく変化するボクシングの様子を「わかりやすく」伝えるために、『はじめの一歩』を描く上で「テレビと同じ画面」となるよう、斜め上からリングを見た「俯瞰の構図」を多くするように意識しています。

 

それは、俯瞰で試合を捉えた方が、今何が起こっているのかということを把握しやすいからです。

 

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テレビと同じ俯瞰の構図でリングを捉えることで、「わかりやすく」ボクシングの戦況を伝えている。

 

 

ーー森川先生の画面からは、テレビの画面以上に迫力を受ける気さえするのですが、どうすれば森川先生のような「迫力ある画面」が作れるのでしょうか?

 

森川:僕は自分の絵に迫力があると思ったことが一度もないのですが、意識していることは「絵を止めないこと」です。

 

絵を止めないためには、写真ではなく動画を見て描くこと。写真は止まっているものなので、それを見て描くと間違いなく止まった絵になります。

 

ですが動画の場合、描きたいものの一連の動作を見ることができるので、何が起こっているのかを全て理解することができます。

 

その描きたいものに対する「理解」が迫力につながっているのではないでしょうか。

 

 

ーー「わかりやすく」読者に伝えることが「迫力」につながっているんですね。

 

森川:「わかりやすく」読者に伝える上で一番大切なのが、「漫画というものは、ほとんどの読者が体験していないファンタジーを描いている」という意識を持つことです。

 

例えば、多くの人が思い切り殴られるという体験はしていないと思うし、殴られる痛みを漫画を通して伝えることはできません。

 

ですが、一発のパンチを打つということがどれだけ勇敢なことか、パンチを打つためにそこに飛び込む勇気は伝えることができると思うんです。

 

それを僕は描きたいと思っています。

 

 

ーー実際に体験したり、取材をすることも大切なのでしょうか?

 

森川:僕は、自分の体験や取材は漫画には一切必要ないと思っています。

 

なぜなら漫画は妄想力の産物だからです。

 

ミステリー漫画の作者が人殺しをしたことがないように、物語を作る上で大事なことは妄想することです。

 

だから、さっき言った写真より動画を見た方が良いというのも、より良いのは動画を何回も見返さないことです。

 

ファーストインプレッションで描いた方が、初めに感じた勢いをそのまま表現できると思います。

 

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「絵を止めない」ようにすることで、「迫力ある画面」になる。

 

 

〜演出〜

 

ーー漫画作りの大事な要素として「演出」というものもあると思います。森川先生が考える「演出」について教えてください。

 

森川:演出というのはすごく難しくて、僕もいまだに勉強中です。

 

ですが、大事なことの一つとして「誰がやるか」ということを意識しています。

 

突然出てきたキャラクターが何かをやっても、何とも思わないですよね。だから、その場面に至るまでのキャラクターをいかに描きこむかということに尽きると思います。

 

一歩がデンプシー・ロールを習得するためにたくさん練習をするからこそ、打てた時の説得力や迫力につながると思うんです。

 

ちゃんと努力してきたことを描かないと、そのパンチがどれくらい強いのか、どれくらい迫力があるのかということがわかりませんよね。

 

キャラクターの物語をしっかり描くこと、それこそが演出の大事な要素だと思います。

 

そして、キャラクターの物語をしっかりと描くことによって「体温が感じられる」漫画につながるんだと思います。

 

紙に描かれたキャラクターがやっているのではなく、そこに生きている本物の 人間がやっているんだと感じてもらうことが究極の演出だと僕は思います。

 

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キャラクターの努力をしっかりと描くことが「迫力」につながる。

 

 

〜キャラクター〜

 

ーー「キャラクターの物語を描く」と仰られましたが、キャラクター作りにおいて意識されていることはありますか?

 

森川:キャラクター作りで意識していることは、「リアクション」です。

 

キャラクターの描き分けをするとき、作家は自分の中からキャラクター達を生み出すことになるので、必ず自分と同じような性格のキャラクターが生まれてしまいます。

 

そして、大概の人が描き分けられなくて自分と似たキャラクターばかりになってしまいます。

 

そんな時にどうすればいいかというと、「リアクション」に気をつけることです。

 

例えば背中から呼びかけた時に、一歩は体ごと振り返り「はい。何ですか?」と応えます。

 

木村なら肩越しに軽くこっちを見て「ん?」と言うだろうし、青木は肩をいからせて「何だよ?」とすごむ。 鷹村は無視して歩き去るでしょう(笑)。

 

そのキャラクターには固有のリアクションがあるんです。

 

受け答えや一人称などで、どんな人間なのか、どんな境遇なのかがわかります。

 

それさえ気をつければキャラクターは何 人でも作れます。 

 

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最初のリアクションから、キャラクターができていく。

 

 

ーー「リアクション」で誕生したキャラクターを、生身の人間たらしめるために意識していることはありますか?

 

森川:そのキャラクターが、どういう風に生まれて、どういう家で育って、どういう風な考えで今ここにいるのか、ということを意識して描いています。

 

例えば、本当は御曹司なのに、それを捨てて今ここに鷹村はいるんだということや、一歩は気が弱かった自分を変えたくて殴るんだ、というバックボーンをキチンと描くことです。

 

それによって、どういう気持ちで試合に臨んでいて、なぜ倒れないのか、という説得力になると思います。

 

どんなに強い気持ちを持っていようが、本当に強烈なパンチをもらったら、現実では立っていられないと思いますけどね(笑)。

 

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そのキャラクターのバックボーンを描くことで、 過酷な試合を戦い抜く説得力へとつながる。

 

 

ーー日常を描くことの他に意識されていることはありますか?

 

森川:表情の移り変わりをキチンと描くことです。

 

記号的な喜怒哀楽を描くと、そのキャラクターは軽く見えてしまいます。

 

だから、意識することは喜怒哀楽の中間の表情を描くこと。

 

100%の「怒り」「喜び」だけが表情ではないんです。

 

 

ーー最後に新人作家のみなさんへメッセージをお願いします。

 

森川:長々と読んでもらってありがたいのですが、僕の言うことなんて聞かずに描きましょう(笑)。

 

僕が先輩方に教わったことは、迷ったときには先輩の大好きな漫画を読むべきだということだけです。

 

今回の記事でもこうした方がいい、ああした方がいいと答えましたが、漫画は自由です。

 

だから、あなたらしい漫画を自由に描いてほしいと思います。

 

森川先生に
ちょこっと質問!

   

 

ーー一番のお気に入りのシーンを教えてください。

 

森川:来週の話を読んでください。今までの話ではなく、これからの話を読んでほしいと思っています。

 

よく一番好きな試合を聞かれることがありますが、それは次の試合だと答えるしかないです。

 

だって、いつまでもこの試合が良かったと言っていたら駄目だと思うんです。

 

 

ーー影響を受けた作品を教えてください。

 

森川:ちばてつや先生の作品すべてです。

 

ちばてつや先生の作品ほど体温が感じられる漫画はないと思います。

 

漫画家を志すきっかけとなった『ハリスの旋風』の石田国松という主人公が、本当に実在すると当時は思っていました。彼が喜ぶと嬉しいし、悲しむと僕まで悲しくなる。

 

それを僕は目指しています。

 

 

ーー新人にオススメしたいことはありますか?

 

森川:漫画をたくさん読むのがいいと思います。だって漫画を描くんだから。

 

体温が感じられる漫画をいっぱい読んで研究するのが一番いいと思います。

  

 

 

新人賞の詳しい応募要項は

週刊少年マガジン

公式サイトをチェック!

shonenmagazine.com

  

 

 

(※この記事は週刊少年マガジン2018年14号に収録されたものです)

 

 

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(終わり)