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第107回新人漫画賞、結果発表!

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半年に一度開催されている「週刊少年マガジン」新人漫画賞。

 

入選1本、佳作4本を含む総勢17名が雑誌とWEBで掲載決定!
今回は第107回の結果発表をご紹介します!

入選1本

小金『ミミクリ』49p

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瀬尾公治先生コメント:
構成が上手いのでスムーズに物語に引き込まれました。キャラクターの感情の流れも自然で違和感なく読めます。お手本のようなストーリー展開が続き、どこで裏切ってくる(作家性を出してくる)のだろうと期待して読んでいたのですが、予定調和で終わってしまい少し残念でした。もっと予想を裏切り、期待は裏切らないという描き方をすれば、更に心に響く作品になった気がします。絵に華があるので、画力が上がれば即戦力になれる作家さんだと思います。

 

編集部コメント:
死んでしまった母親に変身して子守をする怪物のお話。とんでもない画力です! デッサン力、構図、絵柄のかっこよさ、そして何より表情の豊かさ、どれをとっても素晴らしい! さらにそこにオリジナリティもしっかりと備わっており、大きな才能を感じました! ストーリー面も、アイディア自体はとても良かったので、あとは世界観や背景エピソードについての見せ方だったり、情報だったりを出す順序を意識すると、一層良くなると思います! 今後のご活躍に大変期待しております!

 

佳作4本

瀬尾公治賞も受賞!! 吉村 健太郎『人はバットで殴られると死ぬ』49p

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瀬尾公治先生コメント:
読み手を上手くミスリードするように作られていて、表現したいこともしっかり伝わってきました。会話のテンポもよく、読みやすかったです。好みは分かれると思いますが、作品自体の完成度は高いと思います。少年誌で連載を目指すというのであれば、もう少しキャッチーな要素を取り入れた方がいいかもしれません。

 

編集部コメント:
冒頭ではキモさすら感じたおっさんですが、ラストまで読んで見事に裏切られました! 病原体にまつわる父娘の哀しい物語になるとは、誰も想像できなかったでしょう。とにかくキャラ描写が秀逸。妻を亡くし吞んだくれる父親と、父親を軽蔑している不器用な娘。どちらもリアルでした。絵柄は今作とは合っているものの、まだ向上の余地アリです。

 

大倉 貴志『偶像(アイドル)』50p

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瀬尾公治先生コメント:
興味を惹かれる導入で楽しく読み進められました。“転”がややご都合主義的で、キャラの言動や感情もストーリーを進めるためのものになってしまっていたのが、もったいなかったです。とはいえ女の子は可愛く描けており、それだけでページをめくらせる力があります。山場は全てセリフで説明するのではなく、主人公の予想外の行動で突破して欲しかったです。

 

編集部コメント:
確かな画力と熱量でもって圧倒的なリアリティーを生み出せていました。アイドルというジャンルに対する愛情も感じるため、やや暗い展開ですが主人公には好感が持てました。とは言え少年漫画なのでもっとエンタメが欲しいです。「アイドルがファンである自分の家に転がり込んでくる」設定に対しての読者の期待を想像してみてください。

 

雪一『SMOKE OUT』47p

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瀬尾公治先生コメント:
カット割りが上手く画力も高いです。しかし既存の作家の影響が強く出過ぎているので、もっと自分なりの絵や表現を模索すれば、更によくなると思います。ヒロインが戦うことになった理由がわかりづらく説得力に欠け、また主人公の気持ちの流れが見えないまま唐突に活躍するので、ちょっと置いてきぼりにされた感はありました。雰囲気はオシャレでいいと思います。

 

編集部コメント:
「カッコいい」をちゃんと描けることは素晴らしい才能です。構図、セリフ回し、仕草などすべてにおいて「カッコいい」への意識が詰まっており、その「カッコいい」が読者にも素直に伝わるものになっている点も凄い! 演出に意識を取られ過ぎて状況説明が疎かになりがちな部分の改善と、更に熱量を感じる絵を追求してみて欲しいです。

 

月田 恵夢『ダストラッシュ』50p

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瀬尾公治先生コメント:
細かい背景の描き込みやモブキャラの会話で、作品の世界観をわかりやすく伝えられていると思います。ただ全体を通して画面が見づらいので、もう少し白と黒のメリハリをつけた方が読み易いです。主人公と少年のどちらを描きたいのか、また誰目線の話なのか、これらをハッキリさせてあげられると、もっと良くなったと思います。

 

編集部コメント:
豊かな世界観を感じる一大ファンタジー作品! 装飾品や背景一つ見ても作りこみに驚愕。やや構成とコマ割りが独特ではありますが、それを補って余りある大変高い画力が素晴らしい。シンプルにカッコよくファンになりました! 敷居の高いファンタジーというジャンルを、表情豊かなキャラで親しみやすく描いているのも魅力です!

 

特別奨励賞12本

橋田 久弥『HOLD HANDS』46p

編集部コメント:
アイディア・ドラマ・アクションという漫画としての必要なポイントを水準高く押さえられた作品という印象です。既に連載を狙える実力は十分に感じられました。残念だったのは、この作品でしか感じられない強烈な印象を作り切れていなかった点です。多少の強引さは覚悟で読者をハッとさせることを意識しても良いかもしれません!

 

柴矢 しう『See through BONE』50p

編集部コメント:
透明な骨を探す冒険譚。キャラクターの立て方がとにかく素晴らしく、骨好きの学者・レイリーの変人っぷりは最高です。モンスターを倒す見開きページも迫力たっぷりで申し分なし! ただ主人公とヒロインの「コンビとしての魅力」が物足りなかったのが残念ポイントでした! 

 

小林 鮎『二人の勇者』50p

編集部コメント:
読みやすく、画力も高い。主人公の造形も魅力的。非常にバランスの取れた作品でした! 後半、山場の盛り上がりに欠け、展開が雑に見える部分があったのが惜しいです。地力は間違いなくあるので、小さくまとまらずに「読者を驚かせること」を意識してほしいです。

 

うがうが『24 feet』44p

編集部コメント:
壁にハマった女子高生の無防備なお尻に、イケメンやヤクザなど様々な人たちが訪れるという構図は、いい意味でバカバカしく、楽しめました! ただ同じパターンで話が進むので、後半物足りなさもありました。またテーマ的にはもう少し官能的な絵が欲しかったところです。

 

さくら『見える神田くん。』40p

編集部コメント:
神田くんにしか見えない霊は、恐ろしい姿をしているが、実は優しくて親切ないいヤツラだった。固定観念を逆手に取った霊視ギャグはテンポよく、だんだん霊が可愛く見えてきたという感想もありました! 連載しててもおかしくない、高い企画性も評価されました。

 

瀧 宏一『ジュミドロ』50p

編集部コメント:
「魅せ方」が巧い! 内容はどちらかといえば淡々としているのに、妙に印象に残るシーンが沢山ありました。画面の切り取り方のセンスが素晴らしいのだと思います。物語を引っ張っていけるだけの魅力的なキャラを描けるようになれば、デビューも近いはずです!

 

三浦 貴人『omphalotomy』50p

編集部コメント:
出産を機に引退したボートレースの世界に、再び挑む母親とその息子の物語。少年誌とは思えない大人のドラマに賛否ありましたが、キャラクター描写は素晴らしかったです。欠陥を抱えても前に進むミズハ、熱くなりました。次は画力アップにも取り組んで下さい!

 

住良木みや『同姓同盟』44p

編集部コメント:
設定をわかりやすく伝える構成力とテンポの良さで、摑みはバッチリ! 時折入る小ネタギャグからラストの弁論シーンまで、キャラの表情や行動力に作者の「描く楽しさ」が表れていて、非常に好感度の高い一作でした。あとは原稿を重ねて、更なる画力のレベルアップを!

 

涼風 そら『私は夜に。』48p

編集部コメント:
心霊写真が仲良しツーショットに見えてしまう……という導入に摑まれる一作! 絵もすっきりしていて読みやすかったです。一方、会話中心で展開しており、やや単調な印象も。絵的に面白いシーンや動きのあるシーンを意識的に盛り込めると、作風の幅が広がると思います!

 

三木 句読点『くらがり』36p

編集部コメント:
生物部の3人のやり取りが魅力的でした! 特に部長が秀逸で、セリフ選びやちょっとしたリアクション等がよく考えられていて、「キャラを立てる」という、漫画で一番重要ともいえる技術ができる人だと感じました。物語の企画性をもう一歩磨けば爆発的に良くなりそう!

 

19歳『鏖殺のグランドコロス』50p

編集部コメント:
誰かのために戦う主人公像が多い中で、ひたすら自己の欲求の実現に突き進み、命さえ懸けてみせる主人公のオレサマなキャラクターに惹かれました。世界観にもオリジナリティや工夫の跡が見え、好感が持てました。絵柄は尖りすぎないように頑張っていきましょう!

 

こがねまりょう『マエダ。カワイイ』32p

編集部コメント:
タイトル通りの作品! 身長190センチのヒロインが好きな人に「可愛い」と言ってもらうために頑張る姿がコミカルで笑えるし、何より健気で可愛い! 好きな人が「可愛いよりかっこいい方が好き」とわかった瞬間、スイッチが入るのも可愛い! 可愛いの表現が巧い一作でした!

 

このほかにも、7作品が奨励賞を受賞しました!
たくさんのご応募ありがとうございました。

 

瀬尾公治先生の総評:

数年前に比べて、新人作家のレベルが随分上がっているように感じました。読者に興味を持ってもらうための導入部分がそれぞれ工夫されていて、ストレスなく物語に入れる作品が多かったです。ただ「面白い」とは「予想外の方向からのパンチ」だと思っており、その点では想像を超えてくるものは少なかった気がします。もっと自分の中の一番イジワルな読者を意識して、そいつを面白がらせてやろうという気持ちで描けば、更に作品の質は上がっていくと思います。でもみんな僕が新人だった頃に比べれば圧倒的に上手いので、きっと大丈夫です(笑)。

 

第108回新人漫画賞原稿大募集!!

第108回新人漫画賞の締め切りは2022年3月31日(当日消印有効)。
特別審査委員長は『ブルーロック』の金城宗幸先生、ノ村優介先生にお願いしています。
ご応募、お待ちしております!

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