マガポケベースマガポケの秘密基地! ここだけで読める面白記事あります!

第105回新人漫画賞、結果発表!

f:id:magazine_pocket:20201210220330j:plain
半年に一度開催されている「週刊少年マガジン」新人漫画賞。

 

入選2本、佳作5本を含む総勢17名が雑誌とWEBで掲載決定!
今回は第105回の結果発表をご紹介します!

入選2本

彩原最中『ZOMBIE KILL』50p

f:id:magazine_pocket:20201210175835p:plain吉河美希先生コメント:
世界観と物語とキャラが上手くまとまっている良作! 多少わかりにくさはあるものの、ページをめくらせる力があります。伏線の回収も見事でしたし、主人公のゾンビというキャラを生かしたバトルシーンも見ものでした。漫画力は充分あると思うので、もっと読者が読みやすいと感じるよう、吹き出しの位置や大きさ、画面の明暗バランスなどのスキルアップに期待!

 

編集部コメント:
死者をゾンビとして蘇らせる術が流行した世界。ゾンビとなった少年と、ゾンビを狩る「ゾンビキラー」の少女がバディとなり、連続殺人ゾンビを追う。設定も面白いですが、この作品の特筆すべきところはキャラクター造形です! 被害にあった人を気遣い、人差し指で無理やり笑顔を作ろうとする少女。逃げ際に何故かカッコよくポーズを決める少年。キャラの存在感ハンパないです。絵やアクションもいいですね。俯瞰やローアングルを上手く使い分けている点も感心しました。首をもいで攻撃を躱すところとか面白カッコいい! 今後を楽しみにしています!

 

三香見サカ『海月のうた』50p

f:id:magazine_pocket:20201210175921p:plain吉河美希先生コメント:
物語の冒頭からワクワクする魅力的な絵に感動。はじめの1Pからは歌が主体の話とは思ってもいなかったので驚かされました。そこを物語の中できちんと回収してある構成も見事。流れる空気感やセリフとコマまわしはプロレベルだと思います。強いて言うなら全く別の世界を生きているからこそ主人公のヒロインへの感情移入にもっと説得力が欲しかったです。とはいえ、二人の感情の流れがキレイに表現されていて素晴らしい読後感でした。

 

編集部コメント:
描かれるのは、歌が大好きだけど楽しくないシンガー・otohaと、ハードル走が楽しくてしかたない陸上選手・壱馬、2人の高校生の物語。派手なバトルもないし奇々怪々な事件も起きません。描かれるテーマも誰もが当たり前に感じたことのあるものです。そんな当たり前すぎるくらい当たり前の物語がなぜこんなにも愛おしく感じられるのか! これは繊細なキャラクター描写(憂いある表情は必見)と情感溢れるカメラワークの賜物でしょう。キャラの表情だけで、こんなにも「言葉」を伝えることができる18歳。今後が楽しみです!

 

佳作5本

さささまきき『グレートシャークス』41p

f:id:magazine_pocket:20201210180032p:plain吉河美希先生コメント:
ギャグもありつつ知識も身に着く楽しい作品。絵で面白いと表現できる画力も十分にありながら独特のセリフまわしが拍車をかけてテンポよく読めました。若干コマ割りが単調なのでメリハリをつけることと、思い切ってキャラの目線が読者に向くともっと作品に惹き込まれそう。個人的に第2話が読みたいです。

 

編集部コメント:
海洋のサメの世界を擬人化したコメディ。ギャグセンスと親しみやすい絵柄に高評価が集まりました。空想要素と現実要素の混ぜ方が本当にちょうどよく、ゆえに主要人物(鮫)の感情に共感しながら読むことができました。それがコメディの出来、ギャグの切れ味を支えていると思います。笑い・バトル・ドラマを行き来できる作家に!

 

吉河美希賞も受賞!! 永士郎『WORM』45p

f:id:magazine_pocket:20201210180123p:plain
吉河美希先生コメント:
描画力にセンスがありすぎる! 描き手の中で充分に世界観が構築されているからこそ。描ける内容になっていて説明がなくとも勢いだけで展開にワクワクしました。コマごとにキャラクターそれぞれの動きが見える点も素晴らしい。クライマックスは線の一本一本から熱量が伝わってきました。キャラクターもめちゃくちゃやる一方で愛嬌があって好きです!

 

編集部コメント:
この読み切りの前に何があったのか、その歴史がすべて作家の頭の中にあるかのような自然な物語。そして粗削りだけど線の一本一本がすべてかっこいい! セリフの言い回しもかっこよくて、無駄なことを一切言わずに内容を伝えていて難しい設定のお話なのに簡単に頭に入ってきました。次は連載を楽しみにしています!!!

 

辻村治『機械仕掛ケノ楽園』50p

f:id:magazine_pocket:20201210180152p:plain
吉河美希先生コメント:
新人らしからぬ作品を最後まで丁寧に描けている点にとても好感が持てました。キャラデザもわかりやすく線がキレイで見やすい点も素晴らしい! 負の感情を表現するのに魅力を感じました。ただ、セリフがなければ伝わらない表現が多く、画力があるのにもったいないと感じました。

 

編集部コメント:
画力が高く表情が多彩で魅力的。思わず目の留まるコマが随所に見られた上、セリフにもキレ味があり読み応え十分! 特殊な世界観に主点がおかれ、説明が続いてしまったことと主人公の活躍があまり見られなかったのは残念でした。次回作はぜひキャラクターを軸にして主人公の活躍を描いてほしいです。今後の伸びしろに期待しています!!

 

今村玲音『STEAMPUNK GIRL』50p

f:id:magazine_pocket:20201210180241p:plain
吉河美希先生コメント:
バトル全フリで大変勢いがあり、とにかくキメゴマがカッコイイ! なのにキャラクターの表情も繊細に描けており画力の高さを感じます。女の子をカワイイだけで表現せずとも魅力的に描けている点がスゴイ! 冒頭でドーンと背景が入るなどして作品の世界観が伝わればもっと没入できるのではと感じました。

 

編集部コメント:
まずはその素晴らしい画力に圧倒されます。迷いがなく描かれたそのラインはとても美しいです。さらに驚かされるのは、この作者の最初の作品だという点です。間違いない、漫画界に降臨した宝だといえます。ただ、カメラアングルの選び方やキャラの位置関係などが悪く、読みづらかったです。読みやすく、読者の間口を広げるテクニックを学んで欲しいです。

 

西井聡太郎『ヒートコンダクション』50p 

f:id:magazine_pocket:20201210180316p:plain吉河美希先生コメント:
スポーツ物くくりになるお話でしょうが、“希望”という表現がとても上手く描けている作品。セリフで説明しなくともキャラの魅力でこういった表現ができるのはすごい! 絵は粗削りですが、楽しく描いているのが読み手にも伝わってきます。世界観とハンドボールとの組み合わせもキャラを引き立てていてとても楽しく読めました!

 

編集部コメント:
とにかく躍動感のある絵がカッコよくて見ているだけでワクワクできる画力と演出力に感動しました。次世代の週刊少年マガジンのスポーツ漫画を描ける才能だと非常に期待してます! 少し、残念だったのは物語の作りがわりと複雑で、読者的には素晴らしい絵に酔いしれたいところなのに物語を追う方で頭を使わせてしまうような印象を受けました。誰が、何をして、どんな壁を乗り越える物語。のようにまずは一言で言えるプロットを意識して書いてみてはいかがでしょうか? 次回作も期待してます!

 

特別奨励賞10本

広山ナカト『ボクVS.』45p

編集部コメント:
快作! 転校生のちょっと変な女の子はどうやら宇宙人、というコメディ。明るさ、楽しさ、キャラの魅力、意外性、すべてがそろっていて、前半から中盤にかけては見事な出来です。後半、駆け足になってしまって、やや読み応えを損なったのが残念でした。次作はデビューを目指しましょう。

 

たつわ周大『怪人プロデュース』48p

編集部コメント:
まずは「怪人をアイドルとして売り出す、主人公はプロデューサー」というアイディアが良いです。女の子もかわいらしいです。だが、何より素晴らしいのは、漫画としての完成度。物語の膨らませ方や伏線回収など、読んでいてどんどん気持ちよくなれました。あとは基礎画力を磨くだけです!

 

高橋麗『銃声を鳴くナイチンゲール』49p

編集部コメント:
「武装看護団」というアイディアが面白いです。設定を生かしたドラマなのも高評価。ただ、画力がハードな世界観・設定に追いついていけませんでした。読者の心を抉るような戦場の残酷さや、スケール感のある戦争描写が描けると、優しいお話が浮き立ち、もっと感動的になったはずです。

 

窪神鳴波『さめざめ晴ルル』50p

編集部コメント:
アイディアと演出がうまくかみ合っており、非常に読後感の良い作品に仕上がっています。演出力の高さに加え、ストーリー構成も巧み。一方、世界設定が特殊なため、主人公に共感しづらい点が残念でした。実力は十分だと思うので、次回作に期待してます!

 

涼風そら『周りのやつが攻めてくる』26p

編集部コメント:
主要3人のJKキャラがそれぞれかわいらしく、楽しく読むことができました。吉田さんの好奇心によって進んでいく展開もテンポよく、いやらしいワードのエロボケにドキッとさせられました。絵柄も丁寧で良いのですが、物語のヤマが弱く、印象が薄い点が残念です。

 

川村祐介『passive play』50p

編集部コメント:
スポーツ漫画の熱いドラマを描き切ろうとする姿勢はとても好感がもてます。読後感も良く、時々良いセリフも光っていました。今後は、画力を鍛え、良いキャラクターを創り出して、構成や演出をもっと勉強しましょう。とても将来が楽しみな逸材です。

 

佑月ケイ『殲滅のマグリナル』50p

編集部コメント:
隕石に付着した植物「マグリナル」によって滅亡寸前の地球で、懸命に戦う二人の戦闘員のストーリー。絵はまだ発展途上ですが、ラストは本当に熱かったです! すでに友人はマグリナルに成り代わっていたオチも秀逸だし、その悲しみの描き方も胸に響きました!

 

御手元隼『秋桜伝-ある老人の与太話より-』50p

編集部コメント:
面白かったです! 画力、キャラ回し、ドラマとどれも素晴らしく、総合力の高い作品でした! 一方でラストがややあっさり終わってしまったのは残念。凄いアイディアのある展開や、めちゃくちゃ泣けるシーンなど、突き抜けたものを描けるようになればデビューは近いはず!

 

タイジュ『Crush inside』50p

編集部コメント:
全体的にとても総合力が高い作品でした。画力も、絵の密度も、演出もレベルが高いです。なにより、キャラクターの性格を展開でやれているのはとても素晴らしかったです。唯一、キャラクターの造形(特に主人公)とロボットっぽい変身スタイルに華が足りない印象でした。目の描き方とキャラクターデザインのセンスを磨いてほしいです!

 

千明『ギャルorヤンキー?』40p

編集部コメント:
気になるあの娘はギャルかヤンキーか⁉ まず発想が面白く、一発ネタで描ききるセリフ回しが見事! セリフ力が武器である反面、頼りすぎている印象もありました。ヒロインの魅力やライバルとの対立など、心情に関わる部分はもっとシーンや行動など別の演出でも見たかったです。

 

このほかにも、8作品が奨励賞を受賞しました!
たくさんのご応募ありがとうございました。

 

吉河美希先生の総評:

今回どの作品も描き手の個性やメッセージが強烈に伝わってきてとても楽しく読ませていただきました。全体的に現代物が少なかったのも世が世なだけに影響があったのかもしれません。未来への期待と「うおーっ外に飛び出してぇー」っていう、そんな勢いが感じられる作品が多く、私も影響を受けて外に飛び出したくなりました(笑)。それ程、力強いメッセージ性のある作品が多かったです。ただ、画力や構成力があがればもっと楽しくなる作品も多かった。上達するには描きまくればいいだけのこと! お互い頑張りましょう。 

 

第106回新人漫画賞の締め切りは2021年3月31日(当日消印有効)。
特別審査委員長は『化物語』の大暮維人先生にお願いしています。
ご応募、お待ちしております!

▼あなたの投稿を待ってます! 第106回新人漫画賞の詳細はコチラ!

shonenmagazine.com

▼104回新人漫画賞の結果発表はコチラ!

pocket.shonenmagazine.com

▼マガジンデビューしたい方はコチラから!

pocket.shonenmagazine.com