あっという間に、11月……。
この時期になると、1年を振り返ってしまいますよね。
この1年、僕は何をしていたかというと……
……あれ? 何もしてない……??
今年の頭には大きな目標を立てていたはずなのに! なんで毎日ぐうたら過ごしちゃったんだろう……!
今からでもいきなり成長できる裏技とかないかなぁ……。
そんな生ぬるいことを考えながら、日課のマガポケ徘徊をしていたら、僕の甘い考えに喝を入れてくれる作品に出会ってしまいました!
その作品とは――
基礎をおろそかにしてしまった冒険者たちの再出発冒険譚『邪魔な初級職を追放したら、大変なことになっちゃったんですけど!?~追放された初級職【アイテム師】が自分の居場所を見つけるまで外伝~』です!
●『邪魔な初級職を追放したら、大変なことになっちゃったんですけど!?~追放された初級職【アイテム師】が自分の居場所を見つけるまで外伝~』はこんなお話!
本作の舞台は、冒険者たちが集う、とある街――。
街中にある居酒屋の一角で、ひとりの冒険者がS級パーティ「三日月の爪」を追放されるところから、物語は始まります。
彼は、アイテム師として三日月の爪に所属していたガイウス。
アイテム師は、この世界においてランクの低い「初級職」に分類される職業。三日月の爪のメンバーは、ガイウス以外全員「上級職」なので、ガイウスの活躍の場は限られていましたが、後方支援や雑務をこなし、パーティに貢献していました。
しかし、三日月の爪がS級にランクアップしたことで、ガイウスはパーティメンバーから足手まといだと思われ、クビを宣告されてしまったのです……。
非情な宣告ですが、当のガイウスはというと――
あっさりと三日月の爪に別れを告げ、冒険者としてのセカンドライフをスタートさせます!
ここまで読んで、察しの良い皆さんは、こう思ったでしょう。
追放された主人公の逆転劇が始まるんでしょ、と。
……いいえ、本作は違うのです。
この物語の主人公は、ガイウスではなく――
ガイウスを追放した、S級パーティ「三日月の爪」の4人!
パラディンとして先陣を切って戦うキザなイケメンリーダー、グルガン。
強力な魔法で敵を殲滅する、黒魔術師のハンナ。
前衛としてタンク役を担う重装盾士のベンと、回復やサポートで活躍する上級僧侶のリリーシア。
なんだかみんな強そうだし自信に満ち溢れていませんか……⁉
しかも……
グルガンとハンナ、ベンとリリーシアはカップル! つまり、リア充なんですよ!!!
ガイウスを追い出した背景には、2組のカップルに紛れ込んだ独り身のガイウスを邪魔に思ったという理由もあったのでしょう。ガイウス、不憫すぎる……!
自分たちの都合で邪魔者のガイウスを追い出した4人は、新たな門出を祝う宴を開き、はしゃいでイチャイチャして、とっても上機嫌!
しかし、希望に満ち溢れていたはずの彼らを待ち受けていたのは……
大量のアイテムの山!
途方に暮れる夜!
いかついおじ様からのお叱り!
突き刺さる冷たい視線!
大丈夫か、三日月の爪!?
というのも、彼らは、冒険者としてやらなければいけない基本的な仕事をすべてガイウスに任せきりにしており、基礎がガタガタだったのです……。
ですが、今さら後悔してももう遅い!
だって、自分たちがガイウスを追放してしまったのですから!
最悪なスタートを切った三日月の爪メンバー。これから先、彼らは冒険者の基礎が身についていないことで様々な苦労をしながら、奮闘していくことに。
ここからは、三日月の爪の失敗と奮闘から、冒険者の基礎を学んでいこうと思います……!
●冒険者の基礎その①:商人との関係がカギ! 素材やアイテムを売ってお金を稼ごう!
冒険者の仕事といえば、モンスターの討伐やダンジョンの攻略など、ギルドからの依頼を達成することですよね! ですが、それと同じくらい大事な仕事があります。
それは、手に入れた素材やアイテムを管理、売却すること!
ドロップ品の売却は冒険者の大事な収入源です。
しかし、素材やアイテムの管理をガイウスに任せっきりにしていた三日月の爪メンバーは、誰ひとりとして素材の売却方法を知りませんでした。
ガイウスが置いていった共有アイテムの山を見ても、驚くだけ!
普段から素材の管理をしっかりこなしていれば整理できるはずですが、この4人は、ガイウスがたくさんのアイテムを保管していたことすら知らなかったようです……。
ひとまず、素材の山を片付けるため、翌朝商人を呼ぶことに。
珍しい素材もあるのだから、簡単に売れるだろうと期待する4人ですが……
買い取りを頼んだよろず屋から、粗悪品だと一蹴!
素材は適切な処理を施さないと価値がつかず、売れないのです!
さらに、大型素材に分類されるものは、城で買い取ってもらうルールがあります。いくら素材があっても、時期によっては売れません。
ガイウスはそれを知っていたからこそ、素材を貯めておき、時期を見て「交渉」スキルを使うことで利益を生み出していました。
貴重な資産も、考えて運用しなければ、無価値になってしまうのです……!
素材を売ることができないと知った4人は、一時的な保管場所を確保するため、よろず屋にアイテムポーチの製作を依頼!
アイテムポーチは膨大な量のアイテムを収納できる便利アイテムですし、どうしても値が張るものです。ですが……
三日月の爪はアイテムポーチの相場を知らないようで……。
金貨120枚を請求され、あろうことか、よろず屋の店主に「ぼったくり」と一言!
そんなことを言われたら、もちろん、こう返すしかありません。
「商売ナメてんのか?」と。この怒りも、ごもっともです……。
もしもガイウスがいたならば、適切な交渉で良好な関係を保ちつつ、もっと安く仕事をしてもらえたかもしれません……。
商人と良好な関係を築くことも冒険者の基礎。冒険で獲得した素材は適切な処理をして、時期を見ながら、柔和な態度で売却しましょう!
●冒険者の基礎その②:騎獣は冒険者の相棒! ドラコニクスのお世話をしよう!
この世界では、冒険者たちはドラコニクスという騎獣に乗って移動します。
自分が乗るドラコニクスは自分でお世話をするのが当たり前!
しかし、三日月の爪のメンバーは、自分の騎獣のお世話すらもガイウスに任せきりだったとか。
よろず屋の店主に指摘されるまで、「ドラコニクスのお世話をする」という考えすらなかったのです……!
これには、ドラコニクスたちも呆れ顔! こんな顔をされないように、冒険者たるもの、しっかり騎獣のお世話をしてあげましょう。
ドラコニクスのお世話の方法は、藁を替えて水と餌をあげること。これを朝晩2回行います。
お世話を怠ると……
ドラコニクスは命令に従わず、野生化してしまうのです!
最悪の場合、街中で暴走することも……!
三日月の爪もドラコニクスを暴走させないよう、お世話はきちんとしてほしいものです!
●冒険者の基礎その③:驕り高ぶる気持ちを捨てろ! 謙虚に基礎研修を受けよう!
いくら実績のある冒険者といえども、調子に乗って基礎をおろそかにするようでは一流とは言えません。
三日月の爪も、調子に乗るなど言語道断! よろず屋さんにも叱られましたし、少しは基礎の大事さを理解したでしょうか?
………って……
め~~~ちゃくちゃ調子に乗っちゃってます……!!!
実は、よろず屋に素材の買い取りを断られた翌日、三日月の爪が街へ出かけた際に、ドラコニクスの暴走に出くわしていました。大量に仕入れた卸問屋が面倒を見きれなくなってしまったようです。
みんながパニックに陥る中――
三日月の爪がスキルを駆使して暴走を鎮圧!
ガイウスを追い出し、よろず屋で無礼を働き、評判が下がりまくっていた三日月の爪は、街のピンチを救ったことで自信を取り戻しすぎたのです!
再び調子に乗ってしまった三日月の爪は、依頼を受けるため、意気揚々とギルドに向かいます!
しかし、そこで三日月の爪に告げられたのは、予想外の言葉でした。
研 修――。
なんと、S級パーティにもかかわらず、初心者講習を受けるように言われてしまったのです!
その理由は、素材の処理方法を知らず、よろず屋に迷惑をかけたうえに、冒険者全体のイメージを下げてしまったから。S級パーティがこのような状態では示しがつかないため、研修を受けるように言われたのでした。
初心者講習を受けることになった4人は、「圧倒的満点」を叩き出せばいいだろうと、気合い十分!
意気込む4人の前に現れたのは、講師を務めるバリアン。彼の指導のもと、4人は冒険者の基本をみっちりと叩き込まれます!
座学を終えたら、戦闘訓練スタート! 冒険者の基礎的な知識が身についていない三日月の爪ですが、実力は本物。汚名返上のため、張り切って挑みます!
……しかし、その結果は、悲惨なものでした。
各々が自分の考えで動き、全く連携が取れていなかったのです。
いままでパーティが実力を発揮できていたのは、サポート役のガイウスがいたから。
いくら個人の能力が高くても、協力して戦えなければパーティの意味がありません。
散々な結果に終わった初心者講習会ですが、大事なのは結果よりも、その反省を次に活かすこと!
三日月の爪メンバーも、この結果を受け入れ、再スタートすることを決意できたようです!
初心者講習で基礎を学び直し、戦闘訓練での連携を反省している彼らの成長に期待したいですね!
●冒険者の基礎その④:よい仕事はよい生活から! 生活習慣を正そう!
戦闘訓練でもはっきりしたように、パーティとして活動するうえで重要なのは、協調性です。協調性を養うためには、共同生活は有効な手段だと言えるでしょう!
三日月の爪も例外ではなく、4人で共同生活を送っています。
……しかし! 共同生活で大事なのは、互いを気遣い、規則正しい快適な生活環境をつくること。パーティメンバー全員の生活習慣が乱れていては、意味がありません!
三日月の爪に、規則正しい生活は……
無理そうかも……!
ということで、彼らの住む屋敷に、バリアン先生がやってきました。
冒険者としての資質を確かめるために、三日月の爪と共同生活を送ることにしたそうです……!
生活が乱れに乱れている三日月の爪にまず必要なのは、早起き!
そして、片付け!
ガイウスが去ったあとの屋敷は、片付けができない4人によって散らかりまくっていました。
整理整頓は冒険者の基本です。
よいアイテムがあっても、どこにあるかわからないようでは宝の持ち腐れ! アイテムを整理してよい仕事ができるように備えなければなりません。
バリアン先生の見張りのもと、1日がかりで、屋敷は無事に片付きました!
1日働いて、疲れた冒険者がやることといえば、もちろん……
宴です!
早起きして体を動かし、スッキリした後のお酒は格別! こうしてパーティの仲を深めることも、協調性を養うためには必要なことです!
飲みすぎ注意ですが、このときばかりは、余計なことは忘れて楽しんじゃいましょう!
仲間と一緒に暮らすうえで、互いに気遣うことはとても重要です。よい仕事はよい生活から! 規則正しい生活を送りながら,協調性を身につけて、パーティの絆を深めていきたいですね!
基礎をおろそかにしたせいで、様々な困難にぶつかる三日月の爪一同。しかし、学び直しはまだ始まったばかり! 今後の成長に期待しつつ、僕たちも、基礎の重要性を一緒に学んでいきましょう!
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