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【『シャンフロ』TVアニメ毎週日曜午後5時放送中!!】『ソードアート・オンライン』川原礫先生×『シャングリラ・フロンティア』硬梨菜先生の特別対談を大公開!!

TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』毎週日曜午後5時放送中! 今回は、TVアニメ大人気を記念して、『ソードアート・オンライン』原作者・川原礫先生×『シャングリラ・フロンティア』原作者・硬梨菜先生の特別対談を大公開しちゃいます!

 

●『シャンフロ』TVアニメ大人気御礼! 超特別企画!!
『ソードアート・オンライン』川原礫先生×『シャングリラ・フロンティア』硬梨菜先生
 VRMMOの魅力を語り尽くす超豪華対談!

『シャンフロ』TVアニメ毎週日曜午後5時から放送中! MBS/TBS系全国28局ネットにて!
YouTubeチャンネル「フル☆アニメTV」ではTVアニメ第3話までを完全無料配信中!

VRMMO(仮想現実を舞台とした多人数同時参加型オンラインゲーム)を題材とする人気小説を生み出した2人が、「週マガ」で奇跡の対談!! 『シャンフロ』の魅力や作家としての想いなど、ここでしか読めない話をお届けします!

 

Profile:
川原礫

1974年8月17日生まれ。2008年、『アクセル・ワールド』で第15回電撃小説大賞〈大賞〉受賞。2009年4月より、ウェブサイトで連載していた『ソードアート・オンライン』シリーズが刊行開始。同作はTVアニメや劇場版でも人気を博し、全世界累計発行部数3000万部を突破している。

 

■『SAO』川原礫先生が語る
『シャンフロ』の魅力とは?

―川原先生の『ソードアート・オンライン』(以下、『SAO』)は、『シャングリラ・フロンティア』(以下、『シャンフロ』)と同じVRMMOを舞台とする作品です。同じジャンルの書き手として、硬梨菜先生は川原先生の作品をどう見ているのですか?


硬梨菜:『SAO』は小説から読み始めて、TVアニメも第1期から楽しく見ていました! 僕のような今ちょうどVRMMOジャンルを書いている小説家にとって、『SAO』は源流の一つであり、偉大なご先祖様だと思っています。

 

川原礫:ありがとうございます! 遡ると、1994年に電撃文庫から『クリス・クロス 混沌の魔王』(著:高畑京一郎)というVRとオンラインゲームを融合させた作品が出ています。同作はプレイヤーの数が少ないためMMOではなくMOという立ち位置だったので、更なるご先祖様と言いますか(笑)。ちょうど私がWebに『SAO』の小説を投稿し始めたころ、「VRMMO」を題材とした作品を投稿されている方が私以外にも何人かいらっしゃって、それからここまでこのジャンルが大きくなったのは嬉しい事だと思います。硬梨菜先生が、このジャンルで小説を書き始めたきっかけは何だったんですか?


硬梨菜:僕がWeb小説を発表したのは2017年でしたが、当時はハイファンタジーや異世界転生が主流でした。僕も実は『シャンフロ』をハイファンタジーのつもりで書こうとしていたのですが、ハイファンタジーにすると一人に命は一つなので、どうしても制約が生まれてしまうと思ったんです。一方でVRMMOだと、何度でもリスポーンすることが可能になります。実際にVRカテゴリーで人気の小説にも、デスゲームではなく普通のゲームをやる作品があり、同じことを考えている人が多いと思ったので僕もVRMMOに変更しました。

 

▲『ソードアート・オンライン』『シャングリラ・フロンティア』は共に、仮想現実を舞台に多人数が同時にプレイする広大なゲームを扱った作品だ。


川原礫:なるほど! 最初からゲーマーがゲームを楽しむ日常を描くという意図があったんですね。私はまさにそこが『シャンフロ』の魅力だと感じたんです!『SAO』を書き始めた頃は、キャラクターがゲーム内で死に放題となると、失うものが少なすぎて危機感が足らないだろうと感じて、ゲームでの死がプレイヤーの死に直結する設定にしたんです。でも、『シャンフロ』はその課題に堂々と切り込んで、なおかつエンタメとして成立しているのが魅力的ですよね。


硬梨菜:『シャンフロ』を読んでもらう時の感覚って、ゲーム実況動画に近いと思っています。視聴者はプレイヤーの友達の立ち位置で実況を見ていて、仮に友達がゲーム内で死んでも、「そこはこうプレイすればいいのに」や「だったら代わりに俺がやるよ」という気分で楽しんでいます。加えて、近年は『ダークソウル』のような“死にゲー”が楽しまれている事もあり、一度の死に重みを加えなくていいと思って『シャンフロ』は何度もゲームができる設定にしたんです。


川原礫:私もゲーム実況を楽しく見ていますが、ゲーム実況は「ゲームの面白さ」以外にも「実況者本人の魅力」が重要だと思うんです。それはラノベの面白さにも当てはまると思っていて、分解すると、文章:ストーリー:キャラ=1:4:5くらいが面白さの比率だと個人的に考えています。キャラの魅力が突き抜けている事が重要なんですね。そういう意味では、『シャンフロ』もサンラクというキャラに魅力があるから成立している作品だと思います。本気でゲームに挑んでいるサンラクの姿が、作品の魅力を増しているのかなと。

 

▲川原礫先生が『シャンフロ』の魅力として挙げた主人公のサンラク。神ゲーを本気で楽しむ姿は、仲間のゲーマー達にも大きな影響を与えていく。

 

■川原先生の推しキャラはエムル!
硬梨菜先生が誕生秘話を激白!?

硬梨菜:サンラク以外で、川原先生が好きなキャラクターはいますか?


川原礫:私はNPC萌えの人間なので、イチオシはエムルです。主人公サンラクとのバディ感がたまらないですよね…! 硬梨菜先生は、サンラクの相棒をなぜプレイヤーではなくNPCにしたんですか?


硬梨菜:そもそもNPCを相棒にしたのは、「『シャンフロ』のNPCはこんな反応をするんだ!」という驚きをサンラクや読者に与えられると思ったからです。また、主人公に恋するヒロインの斎賀玲は、彼の背中をずっと追いかけるキャラにしようと決めていたので、ヒロインすら追い付けない主人公の隣にプレイヤーがいるのも良くないかなと思って、NPCにしたのもあります。その中でエムルにした理由を正直に話しますと、『ポケモン』でいうところのピカチュウが欲しかったんです(笑)。でもそのままだとさすがにまずいと思ったので、ウサギならいいかなと(笑)。自分のこうした想いを自由に反映できるのがWeb小説の楽しさかなと思います。

 

▲川原礫先生が好きなキャラクターに挙げたエムル。主人公サンラクの相棒として『シャンフロ』を共に開拓し、世界の謎を解き明かしていく。

 

■自由に! やりたい放題に!
ゲーム設定へのこだわりとは

硬梨菜:お聞きしたかったのですが、川原先生は作中内のゲームの設定をどう考えていますか?


川原礫:私は、ゲームの設定部分がVRMMOジャンルの小説に挑戦する上で一番やりがいがあるところだと思っています。本物のゲーム開発者ではないので、予算やマシンスペック、開発期間を考えずにやりたい放題でゲームを作れますから。『SAO』では、とりあえずサーバーのCPUパワーは無限、ストレージも無限、回線速度は無線接続であろうとも秒間100ギガビットという現実を超えた性能で考えています(笑)。『シャンフロ』もそうなのかなと思ったのですが、いかがでしょう?


硬梨菜:そうですね! 僕も「未来はこうなったらいいな」という想いで自由に書いています。ゲームのサーバーも、「ビル7棟分」と書いて大きさで誤魔化そうとしていました(笑)。そして原作小説でも設定を明言していなかったのが頭に装着するVR機器ですね。コミカライズ版の『シャンフロ』ではヘッドギア型のVR機器が登場していますが、あれは作画担当の不二涼介先生がデザインしてくれたものなんです。漫画が決まった時に、VR機器はどうなるんだろうと気になっていたのですが、不二先生が自然な形で登場させてくれて嬉しかったです。


川原礫:コミカライズで絵がつくと、脳内のイメージが補完されるのはありがたい事ですよね。そこも私が『シャンフロ』を読んでいて楽しい部分の1つです。同時に、『シャンフロ』はプレイヤーがログアウトしている時間も多く、現実世界にいる感覚を描いてくれているのも魅力的ですよね。VRMMOジャンルの作品の中には、ゲーム内の話を重点的に書くことでリアルの人物はあえて書かない作品もあります。一方の『シャンフロ』では、現実で主人公とヒロインのラブコメ展開をやってくれるなど、現実世界に軸足を置いている事が作品に一段も二段も深みを出していると思います。

 

▲ヒロインの斎賀玲は、『シャンフロ』内で「最大火力」の称号を持つトッププレイヤーだが、現実世界では主人公の陽務楽郎に密かに想いを寄せる女の子。奥手ながらも楽郎にアタックする様子も作品の見どころの1つ。

 

■ゲームデザイナーに漫画家!?
川原先生の意外なキャリア

―川原先生が小説を書き始めたきっかけを教えてください!


川原礫:昔からストーリー性のある何かを作りたいと思っていました。小学生の頃にゲームデザイナーという存在が世に出始めていたので、最初はゲーム作りに憧れたのですが、学生だった頃はゲームデザイナーのなり方が分からなかったんですよね(笑)。そんな状態で大学に進学した後、漫画研究会に入ったんです。


硬梨菜:えっ! 当時は漫画家を目指していたんですか?


川原礫:そうなんです。でも、何作か漫画を描いたんですが、漫画はネームを作ってからもペン入れやトーン貼りなどの山場があるんですよね。私にとって、漫画制作で楽しいのはネームまででそこから先は辛かったんです。そんな時に小説なら物語を文字として書き起こすことで完結すると思い、小説を書くようになりました。当時はデビューを目指して電撃文庫に投稿しようと思ったのですが、少し日和ってしまいまして(笑)。書いた小説を投稿せずにWebサイトの方で小説を連載するようになったんです。そこからしばらく経って、一念発起して『アクセル・ワールド』という作品を電撃小説大賞に応募して、ようやくデビューする事になりました。硬梨菜先生は、小説を書き始めたきっかけは何ですか?


硬梨菜:僕はガチガチの電撃文庫世代なので、川原先生の作品をはじめとした色々なラノベがきっかけとなりました。それこそ「小説家になろう」にWeb小説を載せようと思ったきっかけは、当時同サイトで読めた『魔法科高校の劣等生』(著:佐島勤)でしたね。


川原礫:あの作品は凄かったですね! 『魔法科高校の劣等生』が電撃文庫から出版された時は、ついにWeb小説がスカウトされる時代がきたか! と衝撃を受けました。

 

▲『シャンフロ』のゲームデザイナーである継久理創世と天地律。天才と称される2人だが、才能があり過ぎるが故に激突する事もしばしば…。

 

■AIと戦う武器は性癖!!
小説家として見据える「未来」

硬梨菜:いざ自分で小説を発表してみようとなってから、書いたり消したりを繰り返して、ついに『シャンフロ』を書き始める事になりました。今は『シャンフロ』に全てのリソースをつぎ込んでいるので、今後の事は『シャンフロ』を完結させてから考えるつもりです。ただ新しい作品を書く時には流行りも変わっているでしょうし、何を始めるにも研究が必要だなと感じています。


川原礫:私も『SAO』がいつ完結するかは分かりませんが、硬梨菜先生が次回作を書いている頃には、AI技術がさらに発展しているだろうと感じています。現時点でAIも1ページの掌編小説であれば成立しますが、自分が何を書いているか分かっていないので長編小説は書けません。でも、これも時間の問題だと思っています。


硬梨菜:僕ももしAIが小説の世界でも本格的に登場したら、その時は作家の性癖で戦うしかないと思っています(笑)。


川原礫:むしろ、AIの方がド変態かもしれませんよ(笑)。彼らはストッパーがないでしょうしね。でも、AIが登場したら私達も上手に利用して仕事に繫げていくしかありません。相当意識しておかないといけないと思っています。

 

▲神ゲーと称される『シャンフロ』にも、サンラクが驚くような高性能のAIを搭載したNPCが多数登場する。現実のゲームにも、『シャンフロ』のようなAIが登場する日は近い…!?

 

■メディアミックスは一回切り?
TVアニメ化の喜びと葛藤

―現在、『シャンフロ』はTVアニメが放送中です。『SAO』も大人気のTVアニメシリーズとなりましたが、自身の作品がTVアニメになる時はどう感じていましたか?


川原礫:TVアニメ化は、Web小説家にとっては究極的な目標ですので、やっぱり嬉しかったですね! ただ、同時に覚悟が必要でした…。担当編集には「タスクが膨大に増えるので大変ですよ」と言われました。実際に、TVアニメのためにアイテム名やモンスター名、固有名詞を新たに作りました。アイテム名だけで済めばよくて、個別アイテムのプロパティウィンドウの中身を作ることもあり、「このネックレスの効果は『ストレングス+3』くらいかな…」と一つずつ考えるのが大変でしたね。


硬梨菜:よく分かります! アイテム名を10個くらい考えて欲しいと言われて案を練っていたら、時を置かずに「このキャラクターって、このタイミングでスタミナ何%残っているんですか?」という質問も来たり(笑)。「そこまで細かくは考えてなかった…!」と焦った事もありました。


川原礫:設定を考えるのは楽しいですが、大変になる時もありますよね。TVアニメの反響はいかがですか?


硬梨菜:皆さんに楽しんでいただけているようで嬉しい限りです! ただ、TVアニメ化した事で「なんで原作小説は書籍化していないんですか?」という声が爆増したのには慌てました(笑)。僕が『シャンフロ』を書籍化していない理由の1つが、すでに投稿している過去の文章を全て手直ししたくなる気がしているからなんです。もともと自分の文章には自信がなく、再読すると、ストーリーごと改変しちゃいそうで…。また、Web小説として読みやすく書いたものを、ライトノベルの書籍フォーマットに合わせて読みやすくしないといけない事を考えると、そう簡単には書籍化できないなと。こうした今後の事は、これから考えます…(笑)。川原先生はTVアニメ化の時、他に大変だった事はありますか?


川原礫:私がプレッシャーだったのが、「メディアミックスは一回切りのワンチャンスしかない」と感じていた事です。基本的には、一度TVアニメ化して成功しなければ、二度目はないと思っていました。原作者目線では、TVアニメ化は一回しか使えない作品のブースターなんです。TVアニメ化が上手く作品のブースターとならない場合、原作小説も勢いが切れてそこで終わってしまうのではないかという不安がありました。そうした悩みもありましたが、結果として多くの方に見てもらうきっかけになり嬉しかったですね!

 

▲漫画内では1コマしか登場しない場面も、TVアニメは連続する動きのあるシーンとして描かれる。特にキャラメイクなど固有名詞が頻出する場面に、両先生は大苦戦!?

 

―最後に、この記事を読んでいる週刊少年マガジンの読者に向けてメッセージをお願いします!


川原礫:『シャンフロ』が週刊少年マガジンでコミカライズするニュースを見た時、思わず二度見するくらい驚きました。中高生の頃から、『疾風伝説 特攻の拓』や『カメレオン』などのマガジンの漫画を読んで育ってきたので、「マガジンで漫画化するの!? 『シャンフロ』にはヤンキーが1人もいないのに!?」と思ったんです(笑)。でも実際にコミカライズ版を読むと、冒険漫画やバトル漫画らしいワクワク感が満載で、「確かにこれはマガジンらしい少年漫画だな」と思いました。同時に、VRMMOの小説を書いている人間として、VRMMOを舞台とする『シャンフロ』がマガジンの読者に受け入れられた事が凄く嬉しかったです。『シャンフロ』をきっかけに、VRMMOが好きな読み手と書き手がもっと増える事を楽しみにしています。


硬梨菜:今回の対談は、「ポケモン」で言う最後のチャンピオンに挑むトレーナーの気分でした(笑)。『シャンフロ』を書き続けて、VRMMOの大先輩と話せて光栄です! 本日はありがとうございました!


川原礫:こちらこそありがとうございました!

 

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