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女の子のかわいさから感情の機微まで再現する! 『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』漫画担当・手名町紗帆先生インタビュー

人気小説のコミカライズとして、マガポケで大好評連載中の『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』(以下『ロシデレ』)。

 

“奇跡の美少女”と呼ばれる才色兼備のハイスぺロシアンJK・アーリャさんと、隣の席の怠惰な男子生徒・久世政近(くぜ まさちか)くんが織りなす、青春ラブコメです!

アーリャさんが久世くんだけに見せるロシア語の「デレ」は胸キュン必至! そのかわいさと青春のときめきから目が離せません!

 

今回は、『ロシデレ』の漫画を担当する手名町紗帆先生にインタビューを実施。漫画家を目指したきっかけや、『ロシデレ』制作秘話など、さまざまな話をお聞きしました!

 

●漫画の勉強は、ひたすら模写することから!

──漫画家を目指したきっかけを教えてください。

 

手名町紗帆先生(以下、手名町):
実家に父の趣味の漫画が何シリーズかあったのですが、幼い頃からそれをよく読んでいました。『ブラック・ジャック』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、『めぞん一刻』などが好きでしたね。漫画に触れる機会は多い方でしたが、小学生の頃、初めて自分で買った『東京ミュウミュウ』にハマり、模写をし始めたんです。もともと小説が好きで、「ストーリーを作る人」への憧れがあったのですが、漫画家なら「絵」も「ストーリー」も作れる、と気づいて。「やりたいこと全てできるんだ!」と感動し、漫画家を目指すようになりました。

 

──小説はどのような作品が好きだったのでしょうか?

 

手名町:
小学生の頃は、児童書をメインに、毎週図書館で5冊の本を借りていました。当時海外文学ブームの真っ只中で、『ハリー・ポッター』や『ダレン・シャン』をはじめとした海外文学も読んでいたのですが、ファンタジー作品の挿絵を多く手掛けている佐竹美保先生の絵に心を打たれて。佐竹先生が挿絵を描いている本は読むようにしていましたね。そのうち、自分でも小説を読んで浮かんだ情景を絵に描くようになりました。漫画家を目指すよりも前なので、コマ割りなど考えて描いていたわけではありませんが、コミカライズに通じるようなことをしていたんだなと思います。

 

──漫画家を目指す前から絵を描くことが好きだったのですね。

 

手名町:
5歳くらいの頃から、生まれたばかりの弟のために絵本を描いたりしていました(笑)。小学2年生の頃になると、漫画家への憧れもあり、学校の友達を動物のキャラクターにした4コマ漫画を描いていましたね。

 

──本格的に漫画を描き始めたのはいつ頃でしたか?

 

手名町:
ずっと「漫画家になりたい」という気持ちはあったのですが、本格的に描き始めたのは18歳の夏です。小学生の頃から通っていたアトリエで、プロの漫画家さんにお会いする機会があって。その先生の出身校である京都精華大学に入学したいと思い、まずは大学合格を目指して漫画を描き始めました。高校では文芸部でミステリー小説を書いていて、部誌の表紙や挿絵を描いたり、編集をしたり、本づくりに関わってはいましたが、漫画自体を描き始めたのは遅い方かもしれません。

 

──漫画の勉強はどのようにされたのでしょうか?

 

手名町:
最初は漫画の描き方が分からなかったので、とにかくいろいろな作品を模写しまくって、ロジックやパターンを覚えていきました。1ページや見開きのうち、何割が背景で、何割がキャラクターの顔のアップで、何割がバストショットで、と分析するイメージです。「少女漫画なら変形ゴマが多いんだな」とか、「こういう作風は自分に合っているな」とかが分かるようになり、勉強になりましたね。

 

──勉強する中で、影響を受けた作品や好きな作品はありましたか?

 

手名町:
影響を受けたのは、松井優征先生の『魔人探偵脳噛ネウロ』、助野嘉昭先生の『貧乏神が!』、そして羽海野チカ先生の『3月のライオン』『ハチミツとクローバー』です。『魔人探偵脳噛ネウロ』は、人間賛歌だと思っていて。漫画家になれるのか不安になっていた頃に出会い、「人間は成長を止めなければどこまでも進化できる」と気づかされ、とても救われたんです。「漫画は人を救うことができる」「今度は私が救う側になりたい」と思えるようになりました。
『貧乏神が!』は、助野先生が楽しんで描いているところが好きです。画面の密度や遊び、背景の後ろの方までキャラクターを描き込むところなど、四六時中漫画のことを考えていないとできないと思います。先生の漫画愛を感じて、しんどいときに「やっぱり私も漫画家になりたい!」と思い直せた作品ですね。『3月のライオン』と『ハチミツとクローバー』はシンプルに大好き! 憧れています。

 

●コロナ禍で苦しんだデビュー作から、『ロシデレ』へ

──大学に入学されてから、『夜鷹と六等星』で「月刊少年マガジン」第32回グランドチャレンジの佳作を受賞されるまで、どのような活動をされていたのでしょうか?

 

手名町:
実は、『夜鷹と六等星』の前に一度、少年誌の賞で審査員特別賞をいただいたことがあります。京都精華大学では、「出張編集部」といって、出版社の編集者さんが学生の作品を見てくださる機会があるのですが、そこで知り合った編集者さんにネームを持ち込みました。当時自分が未熟だという自覚があったので、完成原稿ではなく100ページくらいのネームを見ていただいたのですが、そのガッツを買っていただいたのかな(笑)。別の作品が完成したタイミングで編集者さんが賞に出してくださりました。受賞後はなかなかうまくいかなかったのですが、どうしても在学中にデビューしたくて。卒業制作のために作っていた『夜鷹と六等星』を、第32回グランドチャレンジに応募しました。その結果、読み切りデビューが決まったんです。

 

──その後、読み切り作品『エンドレスチェリーナイト』で第36回グランドチャレンジの佳作を受賞され、約3年後に、初連載作品『小説の神様』がスタートしています。『小説の神様』の連載がスタートした経緯を教えてください。

 

手名町:
『エンドレスチェリーナイト』から『小説の神様』までの期間は、アシスタントをしながら連載会議にネームを出していました。ですが、なかなかネームが通らず、漫画を描くこと自体に面白さを感じなくなってしまい……。ある日突然、まったくネームが描けなくなったんです。『魔女の宅急便』でキキが魔法を使えなくなるシーンがありますが、まさにあんな感じ。「もう私は漫画をやめた方がいいかもしれません」と編集さんに打ち明けようとしたタイミングで、『小説の神様』のお話をいただきました。原作を読むと、ストーリーとそのときの自分の状況が重なって。「これは絶対に私が描きたい」と強く思いました。

 

──初連載で苦労したことはありましたか?

 

手名町:
スケジュールは大変でしたが、原作者の相沢沙呼先生とも仲良くなり、本当に楽しかったですね。しかし、単行本第1巻が発売されるタイミングで、新型コロナウイルスの流行によって最初の緊急事態宣言が発令され……。実写映画も公開予定だったのですが、同年10月まで延期になりました。書店にもあまり人が来なくて、不安とストレスから、鬱病と円形脱毛症になってしまい……。

 

──pixivにその頃の実録漫画が掲載されていますね。

 

手名町:
今もまだ、髪の生えていないところがあります(笑)。当時は苦しかったのですが、『小説の神様』を読んだ今の担当さんが『ロシデレ』に誘ってくださったので、漫画を続けてよかったです。今まで聞けていませんでしたが、どうして誘ってくださったんですか?

 

担当編集:
『小説の神様』をあれだけうまく描ける人だったら『ロシデレ』を描ける、と確信していましたから。高校生の青春模様をどれだけ魅力的に描けるか、『ロシデレ』を描くにはそこが一番重要です。それが可能な人として、真っ先に思い浮かんだのが手名町さんでした。

 

手名町:
ありがとうございます!

 

●『ロシデレ』の推しポイントは、恋愛を超えたアツい関係性!

──『ロシデレ』の連載について、初めて聞いたときはどう思いましたか?

 

手名町:
お話をいただく1週間ほど前に、街中で『ロシデレ』の広告を見ながら、「私もいつかこんな作品を描けたらいいな」と思っていたんです。そうしたら、「コミカライズをやりませんか?」と言っていただいて。転生ものの主人公になったようで、怖かったですよ(笑)。

 

──『ロシデレ』を読んだときの感想を教えてください。

 

手名町:
ストーリーは知っていたのですが、改めて読むと「これは好きな作品だ!」と確信しました。私、男女のアツい絆が好きなんです。『魔人探偵脳噛ネウロ』のネウロと弥子、『ズートピア』のジュディとニック、『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』の瀬文と当麻、『ゴールデンカムイ』の杉元とアシㇼパのような、恋愛を超えた相棒的な関係。アーリャと政近も、どんどんバディになっていく感じが良いんです。

 

──『ロシデレ』ならではの世界観を再現するために、意識していることはありますか?

 

手名町:
没入感を高めるために、背景に力を入れています。と言っても、描くのはアシスタントさんなんですけど(笑)。「この世界に入り込みたい」「ここで生活したい」と思ってもらえるくらい描き込むと決めています。例えば、アーリャたちの通う私立征嶺学園は、日本の将来を担うエリートたちの学校なので、説得力を持たせるために伝統的な建物にしました。明治期に建てられた建物や博物館、大学などの見学にも行きましたね。構図や下描きは私が行い、あとは頼れるアシスタントさんにお願いしています。まだ作中には登場させられていませんが、ロシアのインテリアについても勉強中なので、描くのが楽しみです。

 

●小説のコミカライズは天職!

──『ロシデレ』の連載で実感したことはありますか?

 

手名町:
私は小説を読むのがとても遅いんですよ。それは、小説を読みながら、頭の中でコマ割りをしてしまうからなんです。コミカライズだと、原作を読みながらある程度コマ割りが決まるので、ネームにあまり時間がかからなくて! コミカライズは私の天職だな、と感じています。読者の方から「自分が読んだときに浮かんだ光景がそのまま漫画になっている」という感想をいただけるのも嬉しいです。思わず「よしっ!」と(笑)。原作者の燦々SUN先生にも読者の方にも、喜んでいただけるのは励みになりますね。

 

──燦々SUN先生とやりとりされることもあるのでしょうか?

 

手名町:
燦々SUN先生はコミカライズの感想を毎回送ってくださるんです。会社勤めされながら、原作を書いて、アニメの企画も進んでいて、とってもお忙しいはずなのに……本当にありがたいですね。

 

──燦々SUN先生から褒められて嬉しかったシーンを教えてください。

 

手名町:
燦々SUN先生は優しいので、いつも褒めてくださります。毎回本当に嬉しいのですが、特に褒められて印象的だったのは、幼い頃のアーリャさんに政近が傘を差し出すシーン(第14話)ですね。重要なシーンなので、気に入っていただけて嬉しかったです。

 

●女の子を描くときは、「かわいくなれ!」と念じながら!

──『ロシデレ』の魅力のひとつとして、女の子のかわいさが挙げられると思います。女の子をかわいく描く上で意識していることはありますか?

 

手名町:
とにかく「かわいくなれ!」と念じています(笑)。あとは、効果的にかわいく見える服を着せることも意識していますね。体型や性格によって、似合う服が変わるので。例えば、アーリャの姉・マーシャは上半身がグラマラスなので、ブレザーではなくカーディガンを着せました。同じ制服でも、原作と漫画で着方が少し異なるキャラクターもいます。漫画ではコマの中で小さく描くときや後ろ姿を描くときもありますが、それでも誰なのか判別できるようにしたくて。もちろん許可をいただいてアレンジしていますが、そこはコミカライズならではのこだわりかなぁと思います。


──特に気に入っている衣装はありますか?

 

手名町:
第21話で、政近の幼馴染・有希(ゆき)が政近の服を借りたときの着こなしかな? 「有希のお腹を見せたいんですが、いいですか?」と訊いて許可をいただき、アレンジしました。ダボダボな服から華奢な部分を見せるのがこだわりですね。そして、同じ回のアーリャの服もお気に入りです。今後のエピソードでも、アーリャがいろいろな服にお着替えするシーンがあるので、楽しみにしていてください。

 

 

──手名町先生の描く女の子は、佇まいからかわいいのが分かります。

 

手名町:
仕草も女の子っぽさをリアルに表現したいので、毎回自分で自撮りをしています(笑)。アーリャはよく髪を指でクルクルとしていますが、それも自分で動きを真似して自撮りし、見ながら描きました。

 

●ときめきの中の緊張感にキュン!

──キュンとしたエピソードがあれば教えてください。

 

手名町:
文化祭で、クラスメイトの分まで頑張りすぎるアーリャを政近が助けるシーンですね。私は高校時代にアーリャと同じ経験をしていて。原作を読んだときから「このシーンに心当たりがあるぞ」と共感していたので、政近の行動に「いい男だな」とキュンとしました。

 

──アーリャのロシデレシーンでキュンとしたエピソードはありますか?

 

手名町:
政近と有希の関係性に嫉妬したアーリャが、ロシア語で「かまちょコール」するところかな。燦々SUN先生はすごいですよね。ときめきの中に、緊張感があるのが面白い。あのシーンは絶対にかわいく再現しなければ、と思っていました。

 

──政近と有希の親しげな様子を見たアーリャが、宇宙猫(宇宙の写真と猫の写真をコラージュした、インターネット上でよく使われるミーム画像)のようになるシーンも好きです。

 

手名町:
あのシーンは、読者さんからの反応も良かったです。『ロシデレ』の読者さんは、インターネットミームを分かってくれる人が多いだろうと思って、ところどころで使っています。

 

●各キャラの「感情の交わり方」に注目!

──今後の展開で注目してほしい点や見どころを教えてください。

 

手名町:
アーリャと政近が徐々にバディのような関係になるのですが、困難に立ち向かう中で絆を深めていくところを見てほしいです。王道少年漫画のような展開もあったり……。その中で、お互いが相手をどう思っているのかも見えてきます。そこがまたエモいんですよ! 政近が抱えているものと、それに対するアーリャの感情、単なる悪戯っ子ではない有希、アーリャに対するマーシャの気持ち……。みんな、いわゆる「クソデカ感情」を抱えているんですよね。原作ではその感情の交わり方がとても丁寧に描かれているので、感情の機微やストーリー構成の上手さまで再現したいと思います!
あとは、原作の挿絵と同じ構図を使ったり、細かなところで「おっ!」と思っていただけるような仕掛けをしているので、原作ファンの方にはそこも楽しんでいただきたいです。

 

──手名町先生が注目しているマガポケ作品を教えてください。

 

手名町:
マガポケオリジナル作品では、『薫る花は凛と咲く』から目が離せません! 恋愛漫画の最高峰だと思います。マガポケベースに掲載されている三香見サカ先生のインタビュー記事も読みました! 先生がどんな感じで作品を描いているのか、叶うことなら拝見させていただきたいです。

 

──それでは最後に、『ロシデレ』ファンの方にメッセージをお願いします。

 

手名町:
多くの方が『ロシデレ』に注目してくださり、嬉しいです。原作ファンの方も、ネタバレをせずにいてくださって感動しています。いつも本当にありがとうございます!
原作ファンの方も、コミカライズから読み始めた方も、絶対に楽しませますのでどうか見守っていただけたらと思います。今後も『ロシデレ』をお楽しみください!

 

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