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長瀞さんはフェチの結晶……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

11月に連載2周年を迎えた『イジらないで、長瀞さん』。

”Sデレ少女”長瀞さんに、イジってイジってイジり倒されるセンパイ。読んでて何だかムズムズする、そんなふたりの際どいラブコメ。
 

「長瀞さん」はどのようにして生まれたのか? 隔週連載ってどういうスケジュールで描いているの? など、気になることを作者のナナシ先生にお聞きしました!

 

マガポケデビューまでに描いたのは全400ページ!

 ――2周年、そして6巻発売おめでとうございます!

 

ナナシ先生:
ありがとうございます。

 

正直、打ち切られさえしなければいいなぁと思っていたので、ここまで支えてもらえて嬉しいですね。

 

——漫画家を目指したのはいつ頃から?

 

ナナシ先生:
目指しはじめたのはもう少し後ですが、小さいころから漫画は好きでした。親が漫画を読むことを許してくれなくて、隠れてこっそりと読んでいた、という記憶があります。

 

――好きな作品は?

 

ナナシ先生:
高田裕三先生の『3×3 EYES』が大好きで、めちゃくちゃハマっていました。暴力的な作品を読むのを禁じられていたからか、バトルあり、エロあり、ラブコメあり、という内容がとても魅力的に見えて。

 

読んでいたのが中学生あたりの頃だったので、とても影響を受けました。それから、漫画を描くようになったんです。

 

――漫画家を目指したのもその頃からですか?

 

ナナシ先生:
いえ、もうちょっと後(笑)。

 

でも、そういえば高校生の頃には、原稿用紙に漫画を描いてましたね。てことは、そのころには漫画家になることを意識していたのかもしれません。なんかハッキリ覚えてなくて(笑)。

 

――ナナシ先生は、社会人になってからゲーム会社に入社したと聞きました。

 

ナナシ先生:
ええ、15年くらいずっとグラフィッカーをやってました。
大きい会社ではなかったので、絵だけではなくて3Dとかも自分がやってましたね。

 

漫画とはまた違った楽しさがあって、好きでした。けど、さすがに連載の執筆と並行してやっていくのが難しくなってきて、辞めてしまいました。

 

――マガポケで連載される前は、仕事をしつつ同人誌もやっていらっしゃったとうかがいました。

 

ナナシ先生:
5年間くらいですかね、夏と冬のコミケに出展していました。
それぞれで新刊を用意していたので、同人誌は10冊くらい描いたと思います。

 

――グラフィッカーの仕事をしつつ同人誌を描くのは大変じゃないですか?

 

ナナシ先生:
同人誌は薄いですから20〜30ページくらいのボリュームです。
雑誌にも載せてもらったことがあったんですよ。読み切りを3本か4本ほど。

 

――ということは、マガポケデビューまでに400ページくらいの実績があった、というわけですね。

 

ナナシ先生: 
そう言われると、結構描いた気がしますけど、もう『長瀞さん』の方がぜんぜんページ数は多いですからね(笑)。 

 

深層心理に住んでいたキャラを形にしたら長瀞さんになった

 

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

――マガポケでオリジナル作品の掲載をはじめる前、編集部内コンペの時から随一の話題作でした。衝撃的な作品が来たぞ、と。

 

ナナシ先生:
そうだったんですか。担当さんから「評判が良かった」とは聞いていましたが、本当だったんですね。

 

――漫画としてものすごく面白かったということもありますが、何より作家の個性というか、フェチがぎゅうぎゅうに詰め込まれていたことに感動しました。

 

ナナシ先生:
ありがとうございます。

 

『長瀞さん』はたしかに自分の好きなこと、描きたいことを突き詰めて描いているので、そう言っていただけると嬉しいし、恥ずかしいですね。

 

――長瀞さんは、かなり強烈なキャラですが、モデルはいるんでしょうか。

 

ナナシ先生:
モデルはいないんです。

 

長瀞さんは落書きのように描いて、そのままネットにアップして、という感じでできあがったキャラなんです。連載することを想定していたわけではないんです。

長瀞さんと先輩www.pixiv.net

 

もし、連載漫画のキャラクターを作ろう、と考えていたら、もっとラフスケッチを何枚も描いて、練りに練って……という工程を経たと思うのですが、そういうのを全部すっ飛ばしてできちゃったというか(笑)。

 

――でも、練りに練って生み出されたみたいにキャラがブレないですよね。長瀞さんというキャラクターを強烈に愛しながら描いていることが伝わってきます。

 

ナナシ先生:
もしかしたら、深層心理に長いこと住んでいたのかもしれないですね。
こういう娘がどこかにいたら面白いなっていう気持ちが、ずっとあったのかもしれない。

 

――作品を描くときにはセンパイの心情なんですか?

 

ナナシ先生:
どちらかに偏る、ということがないんです。

 

センパイを描くときにはセンパイの気持ちになっているし、長瀞さんを描いているときには長瀞さんの気持ちになっている。そのせいか、どのやり取りも描いていてとても楽しいんですよね。

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

 

 

「話の進行上、仕方ないから長瀞さんにこういうセリフを言わせている」ということがなく、自然に描けているので、その楽しさが伝わっていればいいなと思います。

 

――作品に何かメッセージを込めていたりしますか?

 

ナナシ先生:
いやぁ、ないんですよ。そこまで深いことを考えたこともないし、メッセージを考えた事自体なくて。

 

ただ、自分が好きなものを形にしただけ。長瀞さんって、そういうキャラクターだし、そういう作品なんです。

 

さっき言われた通りですけど、自分のフェチ全開なんですよね。だから、誰も彼もが好きになるようなキャラではないと思っています。好きな人は好き、合わない人は合わない、万人受けはしなくて当たり前。

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

 

「もしかしたら、自分と同じ感性の人がいたら、好きになってくれるかも?」くらいの気持ちで描いています。

 

だから楽しく続けられているんだと思います。

 

集中できるのは「人目のある環境」

 ――2周年、6巻。隔週連載で、18~20ページを書き続けているナナシ先生ですが、コンスタントに仕上げていますよね。すっかりペースに慣れたのではないでしょうか?

 

ナナシ先生:
そうですね、最近すこし安定してきていると思います。最初の頃は正直、時間配分がわかっていなくて大変でした……。

 

漫画を作るときには、大まかなあらすじなどのプロット作成、それをコマに落とすネーム作り、そして作画、という工程を経るんですが、ネーム作りに時間をかけすぎてしまう、というのが悩みのタネでした。

 

というか、今でもネームは大変なんですが、それでも時間はかからなくなってきたというか。

 

まずプロットを作って打ち合わせ、それを元にネームを描いてもう一度打ち合わせをする、というやり方をしているのですが、プロットの段階でつまずくことが減ったせいですかね。

 

あと、登場人物が増えたことが大きいです。

 

――登場人物が多くなってきた分、かえって大変になるのでは?

 

ナナシ先生:
大変なところもあるのですが、自由度が増した、ということもありますね。

 

「こういう流れに持っていきたいときにはこのキャラを使おう」と、幅が出てきて、ネームでできることが増えたというか。 

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

 

キャラが2人だけだと、できることも限られてきてしまいますから。

 

――お気に入りのサブキャラはいますか?

 

ナナシ先生:
んー、みんな好きですけど、でもこの漫画は長瀞さんがすべてなんで。

 

どのキャラも長瀞さんを支えるために存在しているので、長瀞さん以外に特別なキャラクターはいない、というのが本音です。

 

――長瀞さんへの愛が伝わってきました(笑)。ネームの打ち合わせはいつもすんなりですか?

 

ナナシ先生:
いえ、ボツも、ときどきはあります(笑)。

 

ただ、ボツのありなしにかかわらず、ネームに時間をかけすぎてしまうので、いつも作画が大変です。

 

――ネームにこだわりすぎて、作画にかけられる時間が短くなってしまう?

 

ナナシ先生:
そうなんですよ!

 

だから、徹夜することもたまにあって、さっきも言いましたが、もう少し時間配分を考えなくちゃな、と考えているところです。

 

――ネームやプロット作りはどこで作業することが多いんですか?

 

ナナシ先生:
プロットは近くのファミレスやフードコートで、ネームになると編集部に来てやることが多いですね。

 

ファミレスと言えば、今年の大きな台風の日、ファミレスでネームやってたんです。夢中になって作業していたら、いつの間にか床上浸水していました。あれは驚いた。

 

――あの台風のときにも仕事をしていた先生にもびっくりです。

 

ナナシ先生:
家にいると、ついゲームをやったりTwitterを見たりしてしまうので、雨が降っても台風が来てもファミレスに行く、と決めていたんです。

 

まさかあんなことが起きるとは思ってませんでしたけど(笑)。

 

――家よりファミレスですか。

 

ナナシ先生:
適度に人の目があるほうが緊張感があって集中できるんです。

 

——漫画家さんによっては、人がいると集中できない、というかたもいらっしゃいますが。

 

 

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

ナナシ先生:
もともとゲーム会社にいたことも大きいかもしれませんね。

 

振り向けば作業をしている人がいる、という環境でずっとやってきたせいか、今でも人目があったほうが集中できます。

 

――スタジオを開いて、アシスタントさんたちと一緒に作業、という予定はないんですか?

 

ナナシ先生:
あはは、憧れます。

 

いまはデジタル機材や通信環境の進化もあるので、遠隔地のアシスタントとも遜色なく仕事ができます。だから、いま現在はスタジオを構える予定はありません。でも、憧れですよね……。

 

「連載を続けたいから○○に気をつけている」

ナナシ先生:
ほかの作家さんたちがどういうスタイルで描いているかっていうのが、とても気になっているんです。

 

——スタイル、といいますと?

 

ナナシ先生:
たとえば打ち合わせですね。みんなプロット段階で打ち合わせするんでしょうか? それともネーム段階で? 定期的に打ち合わせしています? そこのところどうなんですか?

 

——めちゃくちゃ気になってるんですね!

 

えーと、プロット段階で打ち合わせする作家さんもいらっしゃいますし、その前の下打ち合わせを大事にする方もいますし、いきなりネームという方もいますし、なんなら打ち合わせしない方もいます。本当に十人十色です。

 

ナナシ先生:
定期的にやってますか? あと、どれくらい打ち合わせに時間かけるものなんでしょう?

 

——たとえば毎週月曜日に夕方4時、という感じで定例で行うこともあれば、ネームができたタイミングで電話で、というケースもあります。

 

1時間で終わるかたもいれば、数時間じっくり、という方も。かなりバラつきがあって、平均的なケースというのはあまり思い浮かばないですね。

 

ナナシ先生:
場所はどちらで?

 

——編集部だったり作家さんの家や作業場だったり喫茶店やファミレスだったり、これも様々ですね。

 

ナナシ先生:
なるほど。ほかの作家さんのことをあまり知らないので、つい興奮してしまいました。みなさん、それぞれの方法で活動されているんですね。

 

——そうですね。担当が知らない間に編集部の作業スペースにいらっしゃってて、トイレでばったり会ってびっくり、ということもよくありますよ

 

ナナシ先生:
あはは(笑)。やっぱり自分のやりやすいやり方が一番なのかもしれないですね。

 

連載を開始した頃には、「打ち切られませんように」とだけ考えていましたが、2年たって、今ではできるだけ長く続けていきたいという気持ちが強くなってきました。

 

——話もますます広がっているところで、面白いです。

 

ナナシ先生:
作品の中で時間が流れていないように感じる読者もいるかもしれませんが、一応あの中でも時間は流れているし、少しずつ進展はしているんです。

 

あまり急激には変化しない、でも長い目で見るといろいろなことが変わっている。そういうペースが理想です。

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

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——改めて、ナナシ先生にとって、漫画とは一体何でしょうか。

 

ナナシ先生:
うーん、難しいですね。
失礼な意味ではないんですが、自分にとっては「遊び道具」でしょうか。

 

ゲームを作っていた頃は、1つの作品を作るのに集団で作業していました。映画などの映像作品も、基本的にはそうですよね。

 

でも、漫画は基本的には1人の作業で完結するものですよね。もちろん大勢の人の手助けが無いと成り立たないのは事実ですが、1人で完結させるべき箇所はゲームや映画よりも多い印象です。

 

だからこそ、自分のすべてを出せる。自分の頭の中であらすじを考えて、絵に起こしていく。とてもおもしろい作業だと感じています。

 

——そういう意味では、漫画という作品は稀有なものですよね。

 

ナナシ先生:
とはいえ、皆さんに支えられてきたからこそ、ここまで来られました。

 

「打ち切られないように」と頑張ってきましたが、いまは10巻までいきたいな、という気持ちです。10巻までいったら次、その次、とコツコツ目標を立てながらやっていきたいです。

長瀞さんは深層心理に住んでいたキャラなのかも……『イジらないで、長瀞さん』ナナシ先生にインタビュー!

——これからも、ギリギリのラインを攻めてくる長瀞さんのセンパイいじりを期待しています! 今日はどうもありがとうございました!

 

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